LPレコードを気軽に聴きたい

アンプの自作の記事ばかり載せているので、忘れてしまいがちだが、旧ホームページにあるように、私はどちらかといえば音楽ファンであって、アンプ自作マニアではない(・・・と書くと、うそをつくなと、石つぶてが飛んできそうな気もするが)。

我が家には、30歳ごろまでに集めた LPレコードがおおよそ1500枚ある。 もちろん、LPレコードを聴く装置はあり、今はなき Micro SX-111FV Audio Craft AC-3000MC アームの組み合わせだ。 Micro SX-111FVは、当時としても珍しかったレコードの全面吸着ユニットつきのベルトドライブプレーヤーで、Audio Craft AC-3000MC は、当時主流だったハイコンプライアンス型のMCカートリッジに対応しつつ、従来のローコンプライアンスのカートリッジにも、オイルダンプの程度を変えて対応するという当時の流行の最先端のようなアームだ。 このアームは、交換用アームパイプもあって、ハイコンプライアンス型のカートリッジでは軽量のストレートアームパイプを使うのが定番だった。 私自身は、このアナログプレーヤーを購入したのが、CDが出現してからかなりたった1988年ごろで、すでに LPレコードはだいぶCDに駆逐されていた。 当時の行きつけのレコード屋であった、仙台レコードライブラリーが、日本ではCDしか発売されていなくても、LPバージョンを買い続けられたことが大きい。 しかしながら、Ingrid Haebler の新しい Mozart Piano Sonata 全集(Denon)が、CDのみの発売となり、やむなくCDプレーヤーを購入すると、便利さから、LPレコードを聴く頻度は激減したのだった。

Micro SX-111FV と Audio Craft AC-3000MC は現在も問題なく動作するので、それで聴けばいいじゃんと思うかもしれないが、たまにしかか聴かないとなると、まざまな儀式(調整)が必要になることも多く、気軽に聴くという感じにはならない。 子どもたちが巣立ち、電気工作のための作業部屋を手に入れ、そこで音楽を聴くことも増えてきたので、そこにLPプレーヤーを導入してはと考え始めた。 最初に考えたのは、省スペースを考えて、LPジャケットサイズの Technics SL-10 とそのファミリーだ。 片付けておけることもありがたい。 ネックになったのは、やはり寄る年波には勝てないことや、特殊なカートリッジ(TP4)が必要なこともあげられる。

次に候補となったのは、DENON のLPプレーヤーである。 現在も新品が手に入る。 しかし、取扱説明書をネットでダウンロードして、驚いてしまった。 現在も新品が手に入る DP-500Mは、アームの高さ調整ができない。 調べてみると、最近の機種では、超高級機を除いて、アームの高さ調整ができないのが普通らしい。 そうなると、DENON などの中古を探すか・・・ 実際、某所から DP-55M を3か月保証で購入したところ、針圧調整がおかしい。 ゼロバランスを取っても、トーンアームを上下に操作すると頭が上がったままになったり、はたまた下がったままになったりする。 調べてみると、これは DENON のトーンアーム特有の業病のようで、単品売りの高級アーム(DL-307など)でも起こるらしい。 よって、DP-55Mは返品。

他社の新品を目を向けると、Technics の製品がよさそう。 でも、いかんせん高い。 安めのほう(SL-1200GR)でも15万円強。 SL-1500はイコライザーアンプ内蔵とのことだから・・・(以下略) ディスクジョッキー用は一聴してSNが悪い。

こうなると、機種選定はなかなか。 新品だと、 気軽に聴くために10万円を超える金額をだすわけにもいかない。  中古のターンテーブルと中古のアームを探して組み合わせるか、良質な中古を探し出すか。 ふたつにひとつだ。

… to be continued.

Blue Snow DAC ・・・はらわた

Blue Snow DAC は電源からIV変換までの全てが ALL IN ONE の基板なので、あまり独自の工夫はないが、私なりにまとめてみた。 基板本体の部品は、手に入らない部品を除いて、たかじんさんの指定通り。 Panasonic の PMLCAP は、音質向上(音数が自然に増える感じ)が出るようなので、オプション箇所も全ていれた。

(クリックで拡大)

電源入力には、EMI対策に、TDK EMC FILTER RPE-2003 をいれた。 電源は、SPD-IF(秋月電子 AE-DIR8416編) および COMBO384互換基板に使用する分で、Blue Snow DAC と同じくコンデンサをおごっている。 なお、両者の電源は整流部分までは同じだが、定電圧部はわけてある。

前面の様子は上図で、上が Blue Snow DAC で下が、バランス型プリアンプだ。 斜めには知っているのは、地震対策のためのステンレス線である。 役に立っているかどうかは不明だが、精神衛生上とても良い。 このようにデザインをあわせるために、Blue Snow DAC の前面基板に配置するはずのロータリーエンコーダを移して独自に配置し、もともとはロータリーエンコーダに付属しているフルカラーLEDを使用せずに、独立させている。 画面左側のホットボンドの山の中に、フルカラーLEDが配置されている。

Blue Snow DAC の完成で、アナログ系を除いた機器が、たかじんさんの基板による自作品にかわった。 自作オーディオの楽しみをおおよそ40年ぶり(年がばれる ^^)にあじわえるのは、とてもありがたい。 下の写真は、フルバランス・フルディスクリート構成パワーアンプ6G-A4全段差動アンプが写っている。 なお、右にあるのは、市販品の真空管アンプで、いずれ売却予定だ。

Blue Snow DAC 完成したと思った直後に再度絶望したが・・・

ルンルンでケース加工をして組み込んで、メインシステムに組み込んで聴いていたら、どうも定位が左側による感じがする。 幸い、メインシステムのバランス型プリアンプは、ピークレベルメータがついているので、そちらを確認するとモノラルのソースでもレベル差がある。 なんてこったい。

さっそく、WaveGene で PC から信号を送り込みながら電圧を測ると、右チャンネルのマイナス側の出力が低いことがわかった。 プラス側の半分しかない。

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ここで、オシロスコープで振幅を測定してと、DAC ICからの出力電圧はどの部分も全て同じであることがわかった。 よって、おかしいのは合成回路かと思い、右チャンネルのマイナス側のトランジスタを交換してみた。 取り出したトランジスタのベースエミッタ間をテスタであたってみると、0.6Vを示しており、トランジスタに異常がないらしいことが判明。 実際、交換してもなおらなかった。

次に、各種コンデンサの異常を考えて、取り外して調べてみたが、どれにも異常はない。 この過程で、高価な PMLCAP を破壊してしまった。 

正直手詰まりになってしまった。 しばらく思案したあとで、オペアンプをソケットから抜いて、再度、オシロスコープで、WaveGene の波形ををあたってみたら、下図のR14には波形が見られなかった。 オペアンプが動作していると、帰還波形が存在することに私が気がついていなかったのだ。

事故で、DAC ICがやられてしまっていたのか! 暗澹たる気分になった。 DAC IC のはんだ付けは、たかじんさんが行っているので、問題はないはず。 万事休すだ。

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数日して思い立って、R14 につながる DAC IC を接写してみた。 等倍に拡大してよく見ると、下図の矢印のところで、R14につながる端子が隣の端子につながっているようにみえる。

クリックで拡大: よく見ると矢印のところで、ハンダかすがみえる。

ハンダ吸い取り線で、この細いハンダかすを吸い取ろうとしたが、何回やっても、うまくいかなかった。 たかじんさんの作業を台無しにするかもしれないと思いつつ、上図の矢印のあたりに、フラックスをつけて、細いハンダを流し込み、再度ハンダ吸い取り線でチャレンジしたところ、やっとうまくいった。 おそるおそる、電源を入れてみると、R14の振幅が回復していた。 成功だ。

Blue Snow DAC 製作はやっと自分のペースに?

ケースを手に入れ、入力基板の準備をして、次に考えることは、SPD-IF入力(秋月電子 AE-DIR8416)基板 と COMBO384互換基板への電源供給だ。 

私がヤフオクで購入したCOMBO384互換基板には下図に示すように、PCのUSBから供給される電源をカットして、クリーンな電源を供給する端子の準備(下図の赤い矢印)がある。 これを期待して、この基板を選んだとも言える。

以上の電源供給を当初は Blue Snow DAC の本体から行うつもりだったが、基板制作者の情報(掲示板の[2420]以降)によると、どうも無理らしいので、独立した電源を作成することにした。 Blue Snow DACと同じタイプで電流容量が少ない【70030K】7VA を両波整流で用い、Blue Snow DAC と同じのコンデンサ等で構成した。 もちろんPMLCAP も使ったよ。

ここまできたところで、AMAZONで頼んだ別のCOMBO384基板が届いた。 中国からの国際郵便での到着で、包装はとても雑だ。 壊れていたら、返品する目的で動作確認の意味で音を聞いた。 たまげた。 おどろいた。 なんと、こちらのほうが圧倒的に音がいいのだ。 音数が増えて、楽器が生々しくニュアンスがわかりやすい。 この基板の場合は電源供給を別にする仕掛けはないので、USBケーブルを改造して、PCからの 5V 電源を乗っ取るように細工した。 下図で上の方に見えている赤と青の線だ。  USBケーブルの一部が黒いビニールケーブルで止められているところに、電源ラインが入り込んで、COMBO384互換基板に電源を供給している。

先に本DACにおけるオペアンプの音質評価をのせたが、COMBO384互換基板を変えたら、評価が一変してしまった。 MUSES01が音数が多く、しかも、エレガントでしなやかだ。 楽器の表情やきらめきもすばらしかった。 COMBO384互換基板の交換前には、OPA2134 が最も良いと感じたので、同社の上位互換である OPA627 や OPA827 も手配していたのが届いたので、再度聞き比べたが、OPA627 は良質な3極管シングルに通じる良さがある。 音楽の芯をうまく伝えるような良さがある。 OPA827 は OPA627 の良さを残しつつ現代風にした感じだ。 COMBO384 互換基板の交換前には、OPA827 あるいは OPA2134 にするかで迷っていたが、交換後は MUSES01 一択といえる結果となった。

あとはケース加工をして組み込めば完成だ・・・・ ばんざ~い。

Blue Snow DAC 製作のいばらの道は続く・・・

Blue Snow DAC の入力として、HDMI-I2S 、COMBO384(USB入力基板)、I2S-1、I2S-2 の4系統がある。 I2S -1, -2 は SPD-IFのために利用できる。 私の場合は同軸入力が主体である。 たかじんさんの記事では、 BlueSnowDACにSPDIF入力を付ける方法(お気楽オーディオWM8805編)BlueSnowDACにSPDIF入力を付ける方法(秋月電子 AE-DIR8416編)があったが、前者が同軸のキットで後者が光入力のキットだったので、前者を準備した。 ところが、記事をよく読むと、後者のでも同軸入力が可能でトラブルが少ないという。 下図で青で示されたようにすれば良いという。 

たかじんさんのホームページより(https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2021/11/post-ffaa7b.html

詳しくはたかじんさんの記事をごらんいただきたいが、チップ抵抗は1005サイズでとても小さい。 私は75Ωの1005チップ抵抗を準備しようとしたが、たかじんさんから、C3への入力を確保すれば、同軸入力のところで75Ω抵抗をつければ問題ないことを指摘された。 なんとあたまが固いこと > オレ

たかじんさんのホームページより(https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2021/11/post-ffaa7b.html

ところが、ここからが大変だった。 ハンダをもって、R6/R7を取り去ることは簡単にできたが、C3の入力になる R6/R7 のランドにハンダ付けができないのだ。 何度も繰り返している間に、パターンをはがしてしまい、仕方がないので、そのパターンに細いシールド線を半田付けして、ホットボンドで固定した。 あえて同軸ケーブルを利用しなかったのは、同軸ケーブルの細い芯線では基板から離れたパターンとの間での安定した接続を期待できないと考えたからだ。

賢明な皆さんは、すでに気がついたことだろう。 光端子をはんだ付けしていない私の場合は、R6の部分をハンダでショートすれば、光端子のところから、ケーブルを取り出したり、負荷抵抗の75Ωを接続できたことに。

考えなしで、あほで馬鹿な私は、このようにトラブルを自分でまねてしまうのだ。 残念ながら、2枚の基板をホットボンドで固定してなんとか動作確認をした後に、R6をハンダショートする方法に気がついた次第(TT)

Blue Snow DAC 製作は絶望か・・・

前回の失敗は、対地電圧の差による破壊と思われる。 AC100Vラインからトランスで絶縁された二次側は一次側と異なる対地電圧をもつが、その電圧は不定である。 その二次側が一次側とショートしたので、対地電圧の差に相当する電流が流れるが、その電流は一次側によって生じた電流ではないので、ブレーカーから見ると漏電と同じ扱いになる。 よってブレーカーも落ちてしまった・・・・。 雷が落ちて、いろいろな半導体機器が故障するのと同じ原理である。

このような場合、どのように電流が流れたかは不明であり、全損と考えざるを得ない。 このホームページに記してきたトラブルとはレベルが違う壊れ方といわざるを得ない。 考えられるトラブルシューティングは壊れた半導体の全ての交換であるが、AK4490EQは、AKM延岡の工場火災により、現時点では供給されていない。  よって、この故障からの回復は、ほぼ不可能と思われた。 AK4490EQの供給が再開されてからと思い、ジャンク箱にしまい込んだ。

お世話になった方々への報告の意味で、たかじんさんのホームページのコメントに書き込んだところ、たかじんさんから返信がありました。

n'Guin wrote:
AC100V ラインとフロント基板との間で火花が散った可能性が高いです。 バラックで使っていたのがわざわいしました。 LEDはつきますが、イルミネーションはなくなってしまいました。

たかじんさん wrote:
LED何色で止まっていますでしょうか?
青なら、OLEDイニシャライズ失敗です。 それ以降はエラーコードがOLED画面に表示されます。

たかじんさんの返信からわかったことは、少なくともマイコンは生きていて、OLEDイニシャライズ失敗であることだ。 OLEDを交換するとエラーコードがOLED画面に表示されるはず。 よって、OLEDを秋月電子に発注して、交換してみたところ・・・なんと復旧しました(^^)

たかじんさんのトラブルシューティングへの配慮には驚くばかりだ。まさか、LED付ロータリーエンコーダのLEDが、マイコンのイニシャライズの状況を報告する役割をもっていたとは・・・。 このトラブルシューティングは、たかじんさんの情報のおかげだ。

喜び勇んで、SPD-IFの基板作成やケース加工に励むことにした。 ところが、ここでまた一難去って、また一難。 予定していたタカチのWO型ケースを売っているところがない。 どこも取り扱い中止になっているのだ。 メーカーホームページには記載があるのに。 でも不吉な材料もあった。 WO-99 / WO-133 のケースは生産終了になっていたのだ。 WO-70についてはタカチの在庫もない。 最後の望みをかけて、メーカーホームページのお問い合わせから、WO70-43-33S の在庫確認について問い合わせたが、返信がすぐにはなかった。 だめだと思ったころに、在庫を確保したとの返信があった。

喜び勇んで、完成目指してまっしぐらと思ったのだが、実は地獄の一丁目にはいったばかりだったと知るのはもうすぐだ。

Blue Snow DAC 製作は楽勝のはず・・・

たかじんさんが開発した、電源一体型 Dual AK4490EQ DAC基板が Blue Snow DACだ。 入力はHDMI-I2S 、COMBO384(USB入力基板)、I2S-1、I2S-2 の4系統で、出力部はトランリニアバイアス完全バランス回路である。 バランス入力プリアンプを作った私のためにあるような仕様である。

Blue Snow DAC 製作で、困難なのは、0.5mm ピッチの AK4490EQ とHDMI端子のハンダ付けだが、これは、たかじんさんがオプションで作業してくださるとのこと。 よって、後は時間をかければ、楽勝でできあがるはず。

当座の周辺機器としては、COMBO384基板が必要だが、たかじんさん指定の 互換品(AMAZON)は、売り切れて納期未定。 AMAZON の同等品は、全て納期が1か月以上なので、ヤフオクですぐに入手できるものを手に入れ、AMAZONの方は安いのを1個発注した。

実際、手順通りに作成して問題なく動作した。 若干迷ったのは、放熱部分が金属の LM337 の取り付けぐらいで、念のために絶縁した。 (実はしなくてよいことが後でわかった。) バラック状態だが、すぐに音が出て、さっそくアナログ部分のオペアンプでどれがよいかを検討し始めた。 

たかじんさんによれば、『「MUSES8920」がAK4490の音色にもぴったりです。孤高の音が好みでしたらOPA2134あたりでしょうか。』とある。 確かに、 MUSES8920 はいい感じ。 同じFET入力の上位互換の MUSES01 に期待したが、どうもいまひとつ。 MUSES02 のほうがよいようだ。 ここで、たかじんさんのもうひとつのおすすめである OPA2134 を試すと、これがなかなか。 孤高の存在というのは、楽器のきらめきがしっかり聞こえるという意味かと。 ALL FET といわれる OPA2604 は音数が少なく情報量が足りない印象。 このような差異は相性の問題といえる。

さて、こんな調子でオペアンプをかえて試聴を繰り返していたときに突然、火花が散った。 OLEDによる表示を担当するフロント基板がおそらく AC 100V のラインと接触したらしい。 

この写真は、たかじんさんのページにある Blue Snow DAC の説明から(手前がフロント基板)

フロント基板のOLEDはつかなくなったが、写真右側のLED付ロータリーエンコーダは青に光っていた。 もちろん音は出ない。 万事休す。

Linaeum LS-1000 にスーパーツィータ・・・測定

スピーカーの周波数特性の測定法は、こちらなどに詳しい。 要するに WaveGene で必要なスィープ音源を作り、WaveSpectra で Overlay 表示させればできあがり。 今回の目的では低域を測定する意味はないので、時間の節約のため 1kHz ~80kHz のみを測定している。 よって下記の周波数特性は相対的な比較であり4kHz 以下は意味がない。

スーパーツィータなし(クリックで拡大)

上図はオリジナルのままで、スーパーツィータなしの周波数特性だ。 30kHz 程度まで帯域が確保されているが8-9kHz あたりにディップがある。

正相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースが一致(クリックで拡大)

エンクロージャとスーパーツィータのケースの前面を一致させて測定したのが上図だ。8-9kHz のディップがやや解消され、帯域が50kHz 程度まで伸びているのがわかる。

正相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを1cm後退(クリックで拡大)
正相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを2cm後退(クリックで拡大)
正相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを3cm後退(クリックで拡大)

ここでは、正相接続でスーパーツィータのケースを1cm ずつエンクロージャ前面から後退させた図(1~3cm)を示した。 2cm 後退させたときがもっとも平坦な特性にみえる。提示しないが 1.5cm / 2.5 cm も測定して比較しているが、2cm がベストだ。

逆相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを1.5cm後退(クリックで拡大)
逆相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを2cm後退(クリックで拡大)
逆相接続、エンクロージャ前面からスーパーツィータのケースを2.5cm後退(クリックで拡大)

ここまで測定してから、同条件で逆相接続してみる。 スピーカー本体のプラスから、スーパーツィータのマイナスに接続する形だ。 コンデンサ一本の 6dB/oct のネットワークだと、正相のほうが良いことが多いが、12dB/oct のネットワークだとチェックしてみないとわからない。

結果は正相接続より逆相接続のほうが、10-20kHz のピークがおさえられ、2m が8-10kHz のディップも押さえられるようだ。 ここでは、-1.5 ~ -2.5 cm のデータを示した。 以上から、私の選択は、-2.0 cm で逆相接続である。

MJ 無線と実験の著明な著者によれば、「オーディオは測定器の奴隷ではない」そうだが、そういう方からみたら、私は測定器の奴隷にみえることだろう。 今回の例で言うと、正相接続で1cmあたりだと、他の条件だと聞こえない音が聞こえて、「すごい」ってなりがちだ。 私の経験では、そういう音は音楽のジャンルによっては、聴くにたえない音を鳴らしてしまい、がっかりすることが多い。今回の 逆相接続 -2cm の条件は、さえない音に最初は聞こえるが、聞き込むにつれて、オールラウンドプレーヤーであることがわかってくる。

追伸: 私の感覚だと、測定器はいらぬトラブルを探し出してくれる装置にみえる。

Linaeum LS-1000 にスーパーツィータ・・・下準備

Linaeum LS-1000 をメインスピーカーとして使うには、高域の華やかさがもう少しあるとうれしい。 Linaeum A-1 ではそういう不満はない。 考えることはひとつだ。 LS-1000のフルレンジと同じ構造のドライバである Linaeum A-1 のツィーター部をLS-1000のスーパーツィーターとして使うことだ。 このやり方でうまくいく可能性があるのかどうかを確認したい。

Linaeum A-1 のツィーターを LS-1000 の上にのせて、コンデンサ1本の 6dB/Oct ネットワークでつないでみる。 面白いことに、1µF でつないでも、それなりの変化がある。 1µF だと計算上のクロスオーバーは、26.5kHz だ。 可聴帯域ではないにもかかわらず、ハイハットの切れが増したように聞こえる。 

コンデンサを増量して1.47μFに(1μFと0.47μFを並列)すると、計算上のクロスオーバーは 18kHz になる。 ハイハットの切れが増すのはもちろんのこと、高域の質感が向上したような気がする。 ただし、この状態では、中低域の華やかさに負けている。 さらにコンデンサを増量して、2.2μF にすると、華やかさという点では、やっとバランスする感じに聞こえる。 ただし、この場合は高域が量的に多すぎる感じは否めない。

2.2μFだと、クロスオーバー周波数は 10kHz だが、6dB/Oct なので、数kHz の領域まで音が出てしまっている。 実際スピーカーに近寄ると、スーパーツィーターが鳴っている感じがわかってしまい若干の違和感がある。

この欠点をなくすためには、ネットワークを 12dB/Oct にすれば良い。 計算してみると、クロスオーバー周波数を 10kHz にするなら、コイルが1mH、コンデンサが1.47μFあたりでよいようだ。 試聴してみると、かなり良い感じだ。 よって、Linaeum A-1 のツィーター部を LS-1000 のスーパーツィーターに使うことは決定。 むき出しだとせっかくの振動板を壊しそうに思い、カバーの一部を切り取り、配線を外に出すことにした。クロスオーバー周波数10kHz/12dB/Oct のネットワークは端子板にはんだ付けして、車用の両面テープで固定した。 

この先の作業としては、スーパーツィーターを置く位置の決定である。 LS-1000の上に置くのは当然だが、前後の位置決めが必要である。 10kHz の波長は、3.4cm であることを考えると、センチ単位で決定する必要があるだろう。 こうなると、自分の駄耳での判定では心許ないので、周波数特性を測定する必要がある。

スピーカーの周波数特性の測定は、いつもアンプの歪み率測定で使用している WaveGene と WaveSpectra で可能だ。 ただし、測定にはそれなりのマイクが必要だ。 また、周波数特性が良いコンデンサマイクを使用するためには、ファントム電源に対応したマイクアンプ・・・DTM で利用されるオーディオインターフェースが必要と言うことだ。

周波数特性が良いコンデンサマイクだが、本格的な製品は数十万円の予算が必要だ。 私は廉価だが評判の良い Dayton Audio の EMM-6 を入手した。 必要とあれば、周波数特性の更正データでキャリブレーションをかけることもできる。

オーディオインターフェース選びは、いろいろ考えたが、聴き専に評判が良い MOTU M2を選ぶことにした。 M2 は DAC にESS Sabre32 を搭載している。 測定が終わってからも、バランス出力が可能なDACとしても使えることだろう。

to be continued…

Linaeum LS-1000 がやってきた

海外のウェブサイトや実測よりLinaeum LS-1000 の仕様は次の通り。

2スピーカー・2ウェイ 
低音部: 16 cm (6.5″)密閉型
高音部: 15 cm (6″) Linaeum driver 後面開放型
クロスオーバー周波数: 150Hz
インピータンス: 4Ω
大きさ: W275×H1010×D205(mm)
重量: 約17kg/本

The Linaeum dipolar 6" tall dual cylinder ribbon drivers, covering the entire spectrum from 200 to over 20K.Bass is handled by a single 6.5" woofer. Specs are as follows: FR: 70-18K (+/- 2.5 db) 50-20K (+/- 5 db) (the 5 db referes to the lower limit, HF extends to 20K =/- 3 db) Bass driver: 6.5" woofer in a sealed enclosure HF Driver: The Linaeum driver is in open back enclosure, as it a dipole design. Nominal impedance: 4 ohms Sensitivity: 88db/w at 1 meter Crossover frequency: 150 hz Recommended Amp power: 20-100 watts per channel Distortion: Less than 1% @ 400hz Less than .1% @ 1000hz Decreases as FR goes up. Size: 10.7" wide, 8.0" deep, 19.2" tall.
Linaeum has developed a driver the goal of which was to give all the clarity of a single line source with a usable bandwidth below 100 cycles to over 20k In the company's quest to build uncompromising speaker systems, the Linaeum brochure states: "In place of copper Linaeum Driver coils are made of pure silver to provide a more predictable and efficient response"

上記から期待したのは、海外サイトにあるように、音楽にとって主要な周波数である 100Hz 以上の可聴域を1本のリボンドライバーで再生している点である。 極端な言い方をすると、以前に使用していた Quad ESL-63 + サブウーファ的な鳴り方をするのではという期待だ。現在まで長いこと使用している Dynaudio Contour 3.3 はトールボーイ型ではあるが、Quad ESL-63 ほどとは言えないが、楽器の定位感にあふれ、音数の多いスピーカーで気に入っている。 もちろん Quad ESL-63 は大好きなスピーカーなのだが、湿気に弱いという欠点があって、長く持たなかった。 Linaeum LS-1000 は、電源を必要としないリボンドライバーなので、ESL-63 のような心配はない。 A-1 を手に入れて、その設計思想の素晴らしさを続 Linaeum Model A-1 がやってきたに記したが、LS-1000 にもそれを期待して、手に入れたというわけだ。 中古品市場でA-1 を探していた長期間にわたり、LS-1000 は1セットがずっと販売中の形で、残っていてくれた。 

我が家に到着して、バランスプリ+Soulnote ma1.0 で、リファレンスのシューマニアーナ8 を鳴らしてみると、ピアノのキータッチの差は驚くほど豊かで驚いた。 ちょいおきで聴いた瞬間に、ESL-63 の様な音場感を感じたのだ。 Linaeum A-1 をお持ちの方は、ツィーターのクロスオーバー周波数 150 Hz に落とされた・・・すなわち、ほとんどの音が、ツィーターのように鳴るといったら、イメージできるかもしれない。 ESL-63 はスピーカーの筐体の後ろにもスペースをたっぷりとる必要があって、音場はスピーカーの後方に広がるが、LS-1000 の場合は、前に広がる違いがあるだけでよく似ている。 しかし、低音にはしっかりしたウーファがあるため、ESL-63 のようにサブウーファを加えたいとはあまり感じない。

鳴らし始めて数十分したところで、LS-1000 のほうが、これまで使用してきた Dynaudio Contour 3.3 より優れているのではないかと感じ始めた。 おそるおそる比較試聴してみると、中低域は LS-1000 の圧勝である。 音数の多さといい、定位感といい、比較にならない。 ただし、高域は Dynaudio Contour 3.3 のほうが華やかできれいな感じがする。 比較試聴しなければ、LS-1000 で満足しているところだが、ハイハットの伸びや切れが Contour 3.3 のほうがはっきり良い。 悩むところだが、メインスピーカーの座は LS-1000 だ。 リビングにどう置くかを悩むことにした。 Contour 3.3 を断捨離するわけにはいかないので、他のスピーカーを手放し、LS-1000 の置き場所を確保することとした。

to be continued…

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