最後の LP プレーヤー・最初の CD プレーヤー (98/6/29 記)
 

スピーカーも買ったし、それに合う管球アンプも買った。 もう買うものはないだろうと思っていた矢先のことだった。 DENON レーベルから、Ingrid Haebler Mozart Piano Sonata の新録音が CD でのみ発売となった。 昭和 63 年の秋のことだ。 私のなじみのレコード屋(仙台レコードライブラリー)は、世の中が CD 時代に入ってからも、輸入版の LP を提供してくれていたので、私は、CD プレーヤーを買わずとも、事足りていたのだった。 ところが、今回の発売は全世界的に CD のみ。 そういうわけで、私も、世間に遅れること数年で CD プレーヤーを買わないわけにはいかなくなった。

CD プレーヤーのオリジネーターは、皆様ご存知のように PhilipsSony だ。 今までにも書いてきたように、私は、Philips の音作りが好きだから、当然のごとく、Philips の製品を買おうと思ったのだが、調べてみて唖然とした。 業務用(らしい) LHH-2000 が 120 万円、LHH-1000 が 60 万円ぐらい。 高価すぎて、私には手が出ない。 でも、音はいいんですよねぇ。

それなら Sony かと思いきや、こちらは、数分の試聴でパス。 良くも悪しくも 細くて硬い Sony らしい音で、聴いていて疲れる。 機械的な音というか、腺病質で神経質な音に聞こえた。 ああいう音が好きな人もいるのだろう。

販売店の私へのお勧めは、なんと Marantz。 「えっ! どうして?」 と言葉を失った私への答えは、Marantz の製品は、 PhilipsOEM (相手先のブランドの名前で、製品を作ること。 この場合は、Philips が実際には製品を作っていることになる)だからだという。 Marantz CD-94 Limited + CDA-94 Limited は、シャンペンゴールドのボディになっているが、ボディ色を除くと Philips LHH-1000 と全く同じデザインだ。 さっそく試聴させてもらった。 LHH-1000 と比較試聴すると、LHH-1000 に軍配が上がることは確かだが、温かめで、つややかな音で、好感が持てた。 同一条件で比較試聴しないと、LHH-1000 との差は、私の耳ではわからないかもしれない程度の差しかない。 でも、値段は半分だから、私にはとてもお買い得。

およそ1週間して、我が家に Malantz CD-94 Limited + CDA-94 Limited が届いた。 大きすぎて、今まで使っていたラックにはいらない! という問題を除けば、とても良かった。 買ってから数ヶ月経つIngrid Haebler の CD が綺麗に響く。 大きな買い物が続いたけど、買って良かったなぁと思っていたところ、MJ 無線と実験にショッキングな記事が。 マイクロ精器のアナログプレーヤが、ほぼ全面的にモデルチェンジし、今後は軽量級の一体型のアナログプレーヤのみになるとのこと。 マイクロといえば、超ど級の糸・ベルトドライブで、オーディオマニアのみならず、音楽マニアにも良く知られている。 こういうものは、無くならないだろうと思っていた。

さっそく、週末に、オーディオ店に行くと、新製品の(マイクロとしては)軽量級のデモをやっていた。 音が悪いわけじゃないけど、物足りないというか、なんというか。 店の奥を覗くと、あった〜〜。 旧製品が。 ベルトドライブで、レコード吸着付きの SX-111FV。 さっそく聴いてみると、やっぱりいいなぁ。 (影の声: 単純に、ココロが満足しているだけで、実際の音の差じゃないだろ! n'Guin:お黙り!) さっそく値段の交渉。 ところが、お店の人曰く 「これは、デモ用に使っていた器械で、売り物じゃないんです。 傷もついているし。 新品はもう無いし、売れません。」とつれない答え。 「その現品でいいから、売ってほしい」と頼み込むも渋い顔。 ちょうどそのときに、顔なじみの社長が通りかかったので、頼み込んだら、「1ヶ月待ってほしい。 オーバーホールに出して、傷も消してお売りしましょう。 値段は新品の 30 %引き」とうれしいお言葉。 社長曰く「1ヶ月といっても、どうせアーム選んでいる間に過ぎちゃうでしょ(笑)。」 実際、その通りで、今度はアーム選びに時間がかかったが、結局、社長のご推薦の Audio Craft AC-3000MC に決定。 50 万弱になるほどの(私にとっては)大きなお買い物でしたが、これは一生モノだと思って自分を納得させた。

購入から、既に 10 年が経過したが、CD プレーヤーの Malantz CD-94 Limited + CDA-94 Limited も LP プレーヤーの Micro SX111FV + Audio Craft AC-3000MC も立派に現役だ。

LP のほうは、さすがに最近出番が減ってきているが、ベルトの交換ぐらいで、元気に働いている。 吸着システムは、やっぱり聴いていて不安を感じなくていい。 若干 LP が反っていても、問題ないのが何より良い。 LP の経験がない方にはわからないだろうが、反った LP だと、音が揺れるし、スピーカーにも負担がかかるし、いいことが無い。 そんな心配をしなくて良いのが、何よりうれしい。

CD のほうは、そろそろ新品を買いたいと思っているのだが・・・。 たまに、新製品の試聴もしているのだが、私が購入できる価格帯の製品では Marantz CD-94 Limited + CDA-94 Limited を明らかにしのぎ、君が欲しいと思える製品には、まだお目にかかっていない。 最近では、PhilipsLHH-500 シリーズなんかがよさそうに思えるのだが、ピラミッド型というか、どっしりした音場構成が得られない不満があって、購入にまで至っていない。 予算的に 30 万程度までというのが、原因か・・・。

(to be continued...)

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