「アンプ自作」カテゴリーアーカイブ

リモコン付きバランス型プリアンプ 完成 & はらわた

さて、肝心の音質の評価だが、Blue Snow DAC → 本プリアンプ → KT88全段差動アンプ → Dynaudio Contour 3.3 で行った。 すべての機材を 15分ほどウォームアップしたうえで、まずはリファレンスの試聴。 最初の数十秒で、不合格かどうかがわかる。

幸いなことに本機は合格だ。 先に失敗したフラットアンプでも、かろうじて合格だが、本機は、余裕で合格である。 あとは、弦楽四重奏や女性ボーカルを聞いて、不快感を感じなければよい。 初代ほどのゴージャス&わかりやすい快活さはないが、欠点は感じられない。 これでよさそうだ。

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左から電源スイッチ、LCD、Volume、入力選択だ。 LCD の下に見えるのは、リモコンの入力部である。
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ボリュームに相当する可変抵抗と入力切り替えのロータリースイッチは、アルミ板で共締めされている。 このようにすることで、操作によるゆるみを防止できる。
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右下に、リップルフィルタ基板が見える。
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いつものように、パスコンは PILKOR で 1µF
筐体のアース接続が確実になるように塗装を剥がすのを忘れずに。

ここまでくれば、あとは、相棒になるパワーアンプ次第。 パワーアンプの作成に力を入れたい。

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その3)

よく考えれば、先に考えたフラットアンプは、不平衡出力に使えない。 もとにもどって、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプの回路を見直してみると、この回路は反転アンプである。 FET+エミッタフォローをオペアンプに変えても動作はするはず。 ただし、この場合は入力インピータンスを高くはできないので、アナログ対応バランス型プリアンプには使用できない。

今回は一番最初に、差動ドライバ/レシーバとしての動作を確認した。 今回は大丈夫だ。 トランス二次側を開放すると、500kHz あたりに 15dB に及ぶピークがでる。 二次側に 2kΩを試しに入れたところ、ピークは 4dB で収まるが、抵抗値を小さくしてもあまり変わりがなかったので、残りは微分補正(上回路図の要調整のコンデンサ)で検討することにした。

左チャンネルを示す(右チャンネルもほぼ同じ)

微分補正のコンデンサ容量をいろいろ変えたところ、24pF では 200kHz でわずかに盛り上がる。 一方、47pF では、位相回転がプラス側に著しく跳ね返るので、適性な補正が 33pF であることがわかる。 この容量は左右とも同じであった。  高域の -3dB 点は おおよそ 400kHz である。 低域のほうはどの程度の出力かによって異なるが、4V出力においては、なんと 2Hz である。 Analog Discovery の発信器の制約から、これより大きな出力では測定できない。 ぺるけ師匠の記事通りの性能といえる。

左チャンネルの雑音比済み率 VP-7723A (LPF=80kHz)

歪み率特性をみると、20Hz では、0.1V出力ぐらいからひずみ率の低下が認められなくなる。おそらくトランスが飽和してくるためと思われる。 試しに 100 Hz も測定してみたが、0.2V出力ぐらいまでは 1kHz とデータがそろう。 これまでの WaveGene/WaveSpectra での測定であれば、100/1k/10kHz の測定で、0.001% のオーダーの測定はできないので、 きれいに 100/1k/10kHz の測定結果がそろったように見えるであろう。 トランスを使った影響が、ひずみ率の形でみえてくる。

残留雑音は、VP-7723A (A補正)にて、左チャンネル 11µV、右チャンネル 12µV であった。 さて、肝心の CMRR は下記の通り。 左右のチャンネルで状況は異なるが、20kHz までは、60dB とれている。

左チャンネル(クリックで拡大)
右チャンネル(クリックで拡大)

性能的には、やっと目的を達することができた。 あとは音質。 果たして合格できるのか・・・。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その2)

次に考えたのは、ぺるけ師匠の簡易平衡→不平衡コンバータの応用である。 下記のように使えば、平衡入力・平衡出力が得られるはず。

ところが、この回路は入力インピータンスが異なるため、不平衡入力のときに、バランスが不良となる。 ぺるけ師匠の記事から、-入力側の入力抵抗を 30kΩとし、NF抵抗(上図の 20kΩ)を 60kΩとする必要がある。 60kΩという抵抗はないので、120kΩを並列にして組み上げた。

Analog Disocovery にて周波数特性を測定すると、1.5kΩにてトランス二次側をターミネートするだけではだめで、トランス二次側につながる NFB 抵抗を利用して、微分補正をかける必要があった。 下図にて赤は微分補正なし、青は 15pF、茶は 22pF であり、15pF が適正と考えた。

VP-7723A LPF=80kHz

歪み率特性をみると、出力電圧が 2V ぐらいから、20Hz の特性が頭打ちになる。 おそらくトランスが飽和してくるためと思われるが、8V程度まで 0.01% を切っているので、問題にはならない。

ところが・・・ 上記の回路だが、ラインレシーバとして動作しない。 そんなばかな・・・と思ったのだが、トランスの二次側から NFB をかけていることが原因らしい。 二次側のトランスの中点をGND につなぐとラインレシーバとして動作する。

せっかく作ってしまったこともあり、試聴してみると、高域がキンキンとうるさく感じるところがあって、疲れる感じがした。 この現象は、電子ボリュームの出力にオペアンプバッファがはいっていて、フラットアンプが低インピータンスドライブされるためらしい。 たかじんさんの PGA-2311ボリュームでも、100-200kHz の LPF を入れる対策をとっている。 本フラットアンプでもそのようにしてみたところ若干の改善は認められたが、基本的な性格は変わらないようだ。 どうやら失敗らしい。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その1)

今回のフラットアンプを考えるときに最初に考えたのは、ぺるけ師匠の平衡プロジェクトだ。 平衡・不平衡の入出力に対応している。 すなわち、バランス入出力のフラットアンプであり、差動レシーバ/ドライバとしても機能する。

参考にしたのは、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプだ。 最少の半導体で構成されているが、上記の条件を満たしている。 トランス出力としているのは、不平衡出力の時に、片側の出力をアースすれば使えるということが大きいようだ。 今回のフラットアンプでも、そのようにしたいと考えた。 ぺるけ師匠は、各種のライントランスの計測データも提示なさっている。 これをみると、日本光電の E-8480 が私の目をひいた。 ヤフオクで手に入れることができた。

問題はこれから。 アナログ対応バランス型プリアンプでは、470kΩの入力インピータンスで受ける必要がある(MUSES 72320 の出力をバッファなしで受ける)ので、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプのフラットアンプは使えない。 反転入力型の回路であり、入力インピータンスをあげるのは困難だ。 小さく仕上げるためにオペアンプを使うことを考え、下記のような回路を考えた。 ぺるけ師匠のように、トランスの二次側からも NFB をかけるが、一次側の出力からも NFB をかけておく。 このようにすることで、トランスがループに含まれる NFB 量を減少させ、安定化に役立つ。

※ 二次側のターミネートは下記に示した試行錯誤により決定

二次側のターミネートをつけるだけで、上図の周波数特性が得られた。

VP-7723A LPF 80kHz(バラックでの測定)

上記に示したのは、バラックでの仮測定のときの歪み率特性である。100Hz が少し悪いのはシールド不十分のための雑音が影響していると思われる。

聴いてみると、なかなかゴージャスなご機嫌サウンド。 ビッグバンドジャズがよく映える。 ところが、これは失敗作であった。 なぜなら、CMRR を測定したら、6dB 程度しか取れていない上に、差動ドライバとしては動作しないこともわかった。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ 構想編

mi-take クリエイトから購入したのは、PGA2230 によるバランス型ボリューム基板と専用電源基板、表示用LCDである。 これにフラットアンプを自分で作成する。

電源には SONY 製の重厚な鋼板で覆われたEIトランスを使う。 ちょうど専用電源基板にちょうど良かった。 

専用電源基板は、SBD で整流、ニチコンの FW が用いられており、自分の趣向にもあう。 ただし、FWのパスコンとして、PMLCAP 35V 4.7μF を追加した。

基板裏に PMLCAP をはんだづけした。

PGA2230 によるバランス型ボリューム基板には、デジタル制御の 5V とアナログ部分に供給されると思われる±電源が必要である。 専用電源基板は三端子レギュレータなので、このあとに、大好きな KZコンデンサによるリップルフィルタをいれてから、PGA2330 に供給する。 このあたりは、アナログ対応バランス型プリアンプと同じ。 PGA2330 基板とフラットアンプ基板には、それぞれリップルフィルタがはいる。

今回は電流が少ないので、トランジスタのベースのKZ は 100μFとした。

PGA2230 によるバランス型ボリューム基板は、リモコンに対応している。 リモコンの受光部がすでにはんだ付けされているので、これをはんだ吸い取り機(HAKKO FR-301)ではずして、フロントパネルに取り付けることにした。 取り付けは、例によって、ホットボンドだ。

手元に、4回路3接点のロータリースイッチがあるので、これを利用して3入力とするが、うち1入力を RCA 端子とする。 フラットアンプに差動ドライバの役割も持たせる必要がある。 最悪の場合は、アナログ対応バランス型プリアンプと同じように、変換基板を作ることにするが、できれば、今回はぺるけ師匠の差動型プリアンプのように、トランスを用いて、差動ドライバ/差動レシーバの役割を持たせたい。

電源電圧が ±14.4V のみであることと省スペースという制約のなかで、平衡・不平衡入出力に対応できるフラットアンプを作成することがこのリモコン付きバランス型プリアンプの成功のカギを握ることになる。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ 妄想編

メインシステムで使用しているバランス型プリアンプには、全ての操作をリモコン操作が可能という特徴があり、たいへん重宝していた。 このバランス型プリアンプを不注意な改造で壊してしまったときに、もしも修理できなかったときのことを考えていた。 2025年7月現在のたかじんさんのバランス型ボリューム基板には、リモコン操作可能なものはない。

ウェブ上で調べてみると、バランス型プリアンプのシャーシ(タカチ WO99-43-33S)にうまく組み込み可能なものに、mi-take クリエイトPGA2230 によるバランス型ボリューム基板がみつかった。とりあえず、各種の関連基板等を確保した。

幸いにして、バランス型プリアンプは、たかじんさんのご支援により修理できたので、この基板を用いて、単身赴任先で用いるプリアンプを作成することにした。

購入した基板はボリューム基板のみなので、フラットアンプが必要になる。 アナログ対応バランス型プリアンプでは、設置面積が少なくてすむClassAA フラットアンプを採用したが、この構成には大変大きな欠点がある。 CMRR(同窓除去比)が 0 ということだ。 バランス型プリアンプを改良しようとして、故障させてしまったのもこの点を改良しようとしたためであった。

よって、新たなフラットアンプを検討する必要がある。 一番良いのは、もちろん、たかじんさんによる入出力バランスアンプ NNBA-1 基板を採用することだが、7cm x 10cm 2枚構成ということで、小さくまとめることのは困難だ。 ヒートシンクがトランジスタに支えられる構造から、縦置きはよろしくない。 アナログ対応バランス型プリアンプもスペース的にも、電源容量の観点からも、NNBA-1 基板は採用できない。 どちらでも使えるフラットアンプを作り出す必要があるのだ。

ケースは単身赴任先で使用することも考え、できれば余り大きくしたくない。 そう考えていたときに、ヤフオクで、Ideal CE-30(幅300mm, 奥行き200mm 高さ100mm) が投げ売りされていた。 廃品種になったようだ。 ちょうど良いので複数確保することにした。

追伸 アマチュア向けのシャーシ/ケースがどんどんなくなっていく。 LEAD はアマチュア向けから撤退してしまった。 予定では夏ごろとのことであったが、KT-88全段作動アンプ で使った MK-400 はあっという間に売り切れてしまい、予備を購入できなかった。

to be continued…

フルバランス・フルディスクリートアンプへの修理・・・また発振だった

フルバランス・フルディスクリートアンプの左チャンネルが、バランス型プリアンプの改良で故障してしまった。 この故障は、フラットアンプの±電源のうち、+電源が供給されなかったために、出力にDCが出力されたためと思われる。 幸いにして、スピーカーは、保護回路基板のPRT-01 によって、影響を受けなかった。

この原因は、フラットアンプ NBBA-1 の出力のコンデンサをフィルムコンデンサと電解コンデンサを並列接続しており、逆電圧がかかったことが理由として考えられる。 ある機械の故障が他の機械の故障につながるというのは許容できないと私は考える。 よって、このような形式になっていた Blue Snow DACバランス型プリアンプの NBBA-1 の出力から電解コンデンサを除去することとした。 電解コンデンサの除去によっても、低域のカットオフ周波数が 1Hz 以下になることを確認した。 音質的な変化としては、低域の余裕度が犠牲になると思われたが、私の環境では、高域の変化のほうが圧倒的に大きかった。 高域の雑味が取れた感じというのが一番の変化であった。 ただし、我が家はメインシステムが、左右別サブウーファ付きという点が一般的ではないので、他の環境では別の結果となるかもしれない。

さて、フルバランス・フルディスクリートアンプの修理の方だが、VFA-01 の BTL 構成であり、片チャンネルがバイアス電流を上げられず、オフセット電圧を調整できなくなっていた。 実験用トラッキング電源で、±12V を供給し、各トランジスタのBE電圧が 0.6V になっていないトランジスタは壊れていると考え、交換することで修理が完成するだろうと考えた。

最初に見つかったのは、終段の 2SA1186 の故障であったため、その3段ダーリントントランジスタを全て交換した。 ところが、相変わらずオフセット電圧の調整が極めて不安定のままだ。 出力は、-10V からほんの少し回しただけで、+1.7V 程度となり、その後ゆっくりと +1.4V ていどまで低下する。 右に完全に回すと+4V程度になる。 DC Offset が +1.5V 程度であれば、バイアス調整が可能になる。
しかし、DC Offset がマイナスになると、バイアス調整が全く取れず、電流が流れない。

たかじんさんによる ±12V 電源 での動作時の各所の電圧 を参考にして故障した実機の電圧は下記の通り。

クリックで拡大: ただし、初段は 2SK170 である

これをみると、差動2段目があやしいかもしれないと考え、電流負荷も含めて全て交換するも、全く変化がなかった。 DC入力された、FET(2SK170)の故障を考えて、こちらも交換したが、変化がなかった。 念のために、電源を入れずに、全ての抵抗を確認したが、これまた異常がなかった。 交換していないのは、2SC2837 の3段ダーリントンのみとなってしまったので、だめもとで交換したが、これまた変化がなかった。

オシロであたってみると、オフセット電圧がマイナスのときには、40MHz 帯で発振していた(下図)。 オフセット電圧ガプラスになると、1MHz 帯での発振に変わる。

こうなると、初段の出力間のCR(下図の C4, R5)、2段目のベースに接続されたC(C5)を丸ピンソケットにして、各種の値を差し込んで試みてみたが、一向に改善されない。

たかじんさんに相談してみると、3段ダーリントンのベースのコンデンサ(C7, C8)の増量や、ベースにいれた抵抗の増加も考慮してはとのことであったが、C7, C8 を1000pF 程度まで増加しても,発振の状況は変わらなかった。 調整のしすぎで、半固定抵抗が不安定になってしまい、これも交換した。 

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かくして、困ってしまった私だが、たかじんさんも新作の VFA-34 では発振で苦労なさっていた。 この記事のコメントで、ボード線図の測定が提案されており、私もやってみた。 

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驚くなかれ、400kHz に急峻なピークがある。 このようなピークは、NFBループのコンデンサで解決すべきと考え、たかじんさんの推奨の 3pF から、6.8pF に増量したところ、このピークは消え、オフセット電圧の調整、バイアス電流の調整もきくようになった。 一番よかったのは、R5=100Ω / C4=1000pF であった。 念のために、ひずみ率特性を測定し、従前と変わらないことを確認した。

フルバランス・フルディスクリートアンプの修理での教訓は、基本に忠実であれということにつきる。 トランジスタアンプの場合、自分で設計する技量がないので、回路の理解が十分ではないこともあって、わからない/予想外となると、たかじんさんに安易に質問してしまう悪い習慣がついているようだ。 ぺるけ師匠の「Tips &トラブルシューティング・ブック」にある「手を動かす前に頭を使え」である。 今回は、問題がない部品をたくさん交換してしまった。 交換してしまったトランジスタは、HFE 測定後に再利用したい。

追伸: 本来の予定では、NNBA-1 の換装 した後に、Panasonic Audio Analyzer VP-7723A を購入したので、安定した測定が可能になった報告で終えるつもりだった・・・

Class AA パワーアンプは実現できるか・・・なんとかできた編

Gain 20dB のときの音が良かったことをたよりに、NFB抵抗を元に戻すことにした。 下図のNFB抵抗 10kΩ のところである。 あきらめた編では、NFB抵抗が22kΩになっていた。

左チャンネルでは、C1 = 2200pF, C2 = 82pF、右チャンネルでは、C1 = 4700pF, C2 = 220pF にて下記の雑音ひずみ率特性である。 左チャンネルでは あきらめた編 のひずみ率特性の名残のように 10kHz で 1W 付近のひずみ率が増加している。 右チャンネルでは、このような特性は認められていない。 これだけを見ると、右チャンネルのほうが優秀に見えるが、右チャンネルは最大出力の時に DC漏れが増加することがわかっており、痛しかゆしである。 とはいっても、実際に使用している 3W 程度までは、0.05V 未満であるので、これ以上追わないことにした。 最大出力は左右とも、雑音ひずみ率 5% であると、どの周波数でも、16W (8Ω)である。 ちなみに、4Ωでは、25W程度となるので、出力を増大させるという目的は達成したと言えよう。

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周波数特性は上図に示した。 左右でけっこうフラット部分が異なるが、C2 を増減させると、よくわからないピークやディップが、200kHz 以上の部分ででてくる。 この特性で精いっぱいといったところだ。 残留雑音は、左で 0.09mV、右で 0.12mV (いずれも、GwINSTEK GDM-8261A直読)であった。 ダンピングファクタは、ON-OFF 法で、20以上と思われる。

試聴では、やっと安心して聴ける音質である。 MUSES 05 らしく、ソリッドな低音と華麗に散乱する高音といったところだろうか。 Victor SX700Class AA ヘッドホンアンプ で鳴らすと、きれいだけれど非力さを感じるが、こちらでは力強さを感じる。 リファレンスに示してピアノのキータッチの差は楽々表現してくれるので、よいアンプだと思う。

しかしながら、特性を見ても、また再現性という観点からも、このアンプの作成は全くお勧めできない。 今回の作成過程で、TDA2030L を5個以上壊してしまった。 トラッキング式定電圧電源 TEXIO GwINSTEK GPS-2303 を使って電流リミッターを働かせながら、基板作成を行って、このありさまである。 

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はらわたを上に示した。 トロイダルトランスの上には、たかじんさんの PRT-02 基板、右の側面に たかじんさんのPGA2311ボリュームと Balanced-Unbalanced 変換基板がある。 この Balanced-Unbalanced 変換も悩ましいところだ。 なぜなら、Balanced-Unbalanced 変換に用いるオペアンプの音質が、大きく影響してしまうからだ。

本機の Unbalanced の音は、MUSES 05 の音質が支配的であるように思われる。 力強い低域、ど直球の中域、華麗で散乱する高域という感じである。 Balanced-Unbalanced 変換のオペアンプとして、当初、無難に LME49720 を使用していた。 私の印象では、LME49720 はさわやかで情報量が多く、結構気に入っているオペアンプだ。 しかしながら、Unbalanced と比べて明らかに音の方向性が異なってしまう。 低域の力強さがなくなり、高域の華麗さがなくなる。 試しに、私の大好きな MUSES 01 にすると、MUSES 05 らしさがスポイルされ、ピラミッド形で、高域は雰囲気感あふれる音になる。 Unbalanced でもこの音なら、大変満足するところだ。 それではと、1回路→2回路変換基板を用いて、MUSES 05 を使ってみると、MUSES 05 らしさがマシマシになり、派手なドンシャリになってしまう。 さすがにこれは駄目だ。ふと思い出したのは、MUSES 02 だ。 MUSES 02 はかつてIV変換のために購入したが、MUSES 01 が好きすぎて、お蔵入りになっていた。 MUSES 02 は中域の密度の濃さが特徴的で、ボーカルものはよいのだが、大編成になるといまひとつという印象をもっていた。 低域の弾む感じは MUSES 05 に少し似ているので、良いのではと考えた次第だ。 試したところ、今回はベストマッチとわかった。 Unbalanced、Balanced ともに類似した傾向となった。

最近作成した、VFA-01 BTLアンプ、KT88全段差動アンプは似た音質傾向と述べたが、本機は明らかに異なる。 使用するオペアンプ・・・特に V-Amp のオペアンプによる影響が大きい。 本機は、Class AA ヘッドホンアンプやミニワッターの出力増大を目的としていたのだが、そうはいかなかった。

また、本機の製作を通じて、WaveGene/WaveSpectra での雑音歪み率測定や Analog Discovery での周波数特性測定の難しさも感じた。 ちょっとした配置の変更で、特性が変わってしまうのだ。 測定限界に近いところでの測定であることも原因かもしれない。 真空管アンプの作成では感じたことがなかったので、より広帯域、より低歪、低雑音の半導体アンプのためかもしれない。 オーディオアナライザが欲しくなってきた・・・。

とりあえず、これで完成としておくが、まだまだ改良の余地があると自覚していることを最後に述べておきたい。 いつの日か、再チャレンジを・・・

Class AA パワーアンプは実現できるか・・・あきらめた編

たかじんさんのアドバイスもむなしく、ダメだったことから、妄想編で記した方針を撤回して、Class AA ヘッドホンアンプClass AA ミニワッターと同様に、V-Amp に LME49720 を利用することとする。 2回路のオペアンプなので、1回路は遊ぶことになる。

今度は大丈夫だろうとタカをくくって制作してみたら、ホイートストンブリッジが 0.33Ωー0.1Ω、33Ωー10Ωの場合、LME49720でもコンパレータ状態になってしまった。 呆然とする n’Guin・・・

仕方がないので、たかじんさんのアドバイスをあきらめて、補正コンデンサ位置を元に戻したが、当然ノイズは高いまま。

アンプ入力ショートであると、雑音が聞こえないのに、PGA2311 電子ボリュームにつなぐと雑音が多くなることから、PGA2311電子ボリュームの作成ミスやQIコネクタの接点不良などを疑って、いろいろ試してみたが、PGA2311電子ボリュームの左右を変えても、右チャンネルの雑音が多いことから、PGA2311電子ボリュームはシロらしい。やはり不安定な Class AA パワーアンプ基板が問題?

ふと思いついて、トロイダルトランスを回してみたら、ノイズが変化するではないですか。 運が悪いことに、最もノイズが大きい方向で固定していたらしい。 また、Talema の 12V 6.67A x 2 (160VA) なので、付属の金属ボルトで固定していたが、これをプラスティックボルトに交換することで、さらにノイズは減った。 左右とも、0.1mV 台になった。 大喜びで試聴してみたが、なんか変だ・・・。 聴きづかれする音質のままな感じがする。 歪み率特性をとってびっくり。こんな変な特性を見たことがない。

to be continued…

Class AA パワーアンプは実現できるか・・・光転じて闇編

C1の容量を減らして、試行錯誤したところ、片チャンネルは C1=4700pF、他チャンネルは 2200pF で周波数特性がいい感じになった。 しかし、10kHz の方形波では、寄生発振が認められる。

ここで、C2 をいれて周波数特性の肩特性が整うようにしてみたところ、10kHz の寄生発振も止まった。 1KHz の雑音歪み率を WaveGene / WaveSpectra で測定してみると、出力2V(1W/8Ω)で 0.05% ぐらいと優秀。

これでいけるかもと思ったが、音を鳴らしてみると、雑音がひどい。左チャンネルは耳に近づけるとわかる程度、右チャンネルははっきりわかる。  測定してみると、左チャンネルは 0.4mV 、右チャンネルは、1.0mV 程度。 面白いことに、たかじんさんの PGA2311 電子ボリュームの接続をやめて、アンプ入力部でショートすると、左チャンネルは 0.1mV 、右チャンネルは、0.4mV 程度まで下がる。 PGA2311 電子ボリュームでのトラブルの経験から、アースライン対策はしっかりとっている。 何が何だかわからず、たかじんさんのホームページで相談したところ、上記のようにC1を入れるのは標準的な対策ではないそうだ。 

回路図とF特、拝見いたしました。
気になった点としては、C1ですね。 アンプの+と-入力間をCで接続すると、負帰還側から+入力へバイパスされて正帰還へとなってきます。
C-amp側の帯域を制限するときは出力と-端子の間に小容量のCを入れることが多いと思います。
(この回路図でいうとTDA2030の1-3ピン間に10pF、22pF、47pFなどを入れて実験)

ノイズに関しては、ホワイトノイズ系と、飛び込みによるビートノイズ系、電源由来の
ハムノイズに分けられます。
ホワイトノイズは、デバイス依存や入力部の抵抗値、アンプのゲインで決まってきます。
ビートノイズは飛び込み自体を抑えこむ必要があります。
入力信号ラインをGND線とツイストするかシールド線を使う、金属シャシーに沿わせる、
取り回しを動かしてノイズの低いところを探すなどでしょうか。
ハムノイズは、電源トランスが近いと意外と厄介だったりしますね。 磁束漏れの大きな
トランスの場合はトランス自体を変更しなければ解消できないというケースもありました。

C1がよろしくないというのは、言われてみて、初めて気が付いた次第。 ノイズは、ツィータからも聞こえてくるので、ビートノイズかと思われたので、次の対策を立てて試してみた。

① TDA2030の1-3ピン間に小容量のコンデンサをいれてみる
② さらなる安定化のために、ゲインを 26dB に増加させる(NFBを減少させる)
③ そのうえで、周波数特性をみながら、NFBの補正コンデンサ量を決定させる。

ところが、上記の対策をしてみても、ノイズは減少しない。 それどころか、雑音歪み率特性が一桁上昇し、10kHz では波打つようになった。 0.2W で 0.5%程度まで下がるが、1W では 2% 程度に上昇したのちにまた下がり始める。 試聴すると、耳障りな音で疲れる音であり、明らかに改悪してしまった・・・

to be continued…