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バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・ファンの追加

ケースは LEAD MK-400 であり、ボンネット付きであり、真空管を守れるための採用であった。 ボンネットなしでは、シャーシが熱くなるのは、定電流源などの放熱部分のみであるが、ボンネットをつけて使用すると、真空管の放射熱をボンネットが受け止めてしまい、結果的にケース全体が熱くなってしまう。 お風呂なみの熱さになるので、40℃を超えていると思われる。 これでは、電解コンデンサの寿命に悪影響がでる可能性がある。 このため、ボンネットにファンをつけることを考えた。

PC用の静音ファンとして有名なのは、noctua の静音ファンであるが、色が明るい茶色系であり、目立ってしまう。 調べてみると、同程度の静音ファンとして黒色のもの(騒音レベル: 19dB)を購入し、両サイドの真空管の上に配置した。

定格 DC12V のファンであるが、定格で回すと、若干ファンの音が気になる。 もちろん、リスニング位置では聞こえないのであるが。 AC 6.3V を整流しておおむね 8V 程度で試みたところ、残念ながらボンネット・シャーシの温度上昇が認められた。 よって、AC6.3V + 5V の端子を利用して、LM317 で電圧を調整することにした。 DC 10.5V 程度であると、ファンの音も気にならず、数時間使用してもボンネット・シャーシ全体が熱くなることなくしようできることがわかった。

それにしても、ボンネットが理由で温度上昇が問題になるとは、思ってもみなかった・・・

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・完成

ケースは LEAD MK-400 だが、足はタカチの アルミインシュレータ AFM44-20S に変えている。 (クリックで拡大)

完成して、Softone Model 7 と聞き比べてみると、確かに本機のほうが、音の粒立ちがよく、音数が多い感じはするが、親の欲目かもしれない。 真空管の差を出すという点では、むしろ Softone Model 7 に軍配が上がる。 バイアス調整が不要であり、手軽に真空管を変えて楽しめるという点では、Softone Model 7 の良さがあるといえる。

当初、ぺるけ師匠の作例である EL34 で鳴らし続ける予定であったが、EL34 だと、切り替え視聴で VFA-01 BTL アンプ と同じにしか聞こえなかった。 ちなみに雑音歪み率、周波数特性などの特性データは、KT88 とほとんど変わりがない。 いろいろ聴いてみて、もっともゴージャスで、低音から高音へのピラミッドがしっかりしている KT88 で常用することにした。

自分の耳が悪いのかもしれないが、ブラインド視聴であれば、本機とVFA-01 BTL アンプ とを聞き分ける自信がない。 切り替え視聴でよく聞き込むと、本機のほうが少し元気がよくて、 VFA-01 BTL アンプ のほうがしなやかな感じがするように思うのだが。

本機と 6G-A4全段作動 とを比べると、超低音の出方が本機のほうがあきらかに手上だ。 我が家のメインシステムは、Fostex CW-250A を左右別に2台使用しているので、この差がわかる。 CW-250A を使用しなければ差がわからないので、Arito’s Audio Lab の出力トランス DE-8K20W が優秀なのだと思われる。 6G-A4全段作動も同じトランスで、平衡型に作り直そう。

はらわた(クリックで拡大) ただし、LM334Zの制御抵抗を多回転半固定抵抗に変える前のもの

 

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・いろいろ最終チェック

発振対策を行った上で、ひととおり、各部をチェックしてみた。 ドライバ段が予想通りに増幅しているかとか。

オシロで確認してみると、先に下側がクリップしている。 どうやら動作電流が適当でないらしい。 LM334Z の制御抵抗を100Ωの半固定抵抗に変えて、オシロで確認しながら、上下同時にクリップするように調整した。 このときのカスコードトランジスタのコレクタの電圧は、両チャンネルともほぼ100Vであった。

出力段 KT88 で調整していたが、他の球に変えてみると、バランスがとれない場合もある。 ぺるけ師匠が、10k 二連ボリュームにしていたのは、調整域を広げるためであったことを思いだした。 近くで手に入るのは Aカーブしかないので、試してみようと思ったが、よく考えれば、10kΩのボリュームから Vc-(-3.0V)への抵抗を小さくすれば、調整域を広げられる。 10kΩから 3.3kΩとしたところ、すべての球で調整可能であった。

最終回路図(クリックで拡大)

両チャンネルとも、ひずみ率 5% での出力は、おおよそ14W で、ほぼ計算通りである。 雑音ひずみ率は、両チャンネルとも 0.002W ~ 4W まで 0.1%以下で、0.1W あたりは、0.015% 程度と極めて低歪みである。 残留雑音は、デジタルマルチメータ GwInstek GDM-8261A で測定して両チャンネルとも 0.10-0.12 mV 程度(A補正なし)である。  ダンピングファクターは、 両チャンネルとも 10.0(ON-OFF法)である。 クロストークは、左→右、右→左とも、10Hz ~ 30kHz で -82.5dB、100kHz にて -74.9 dB (1W出力時)であった。 正直、クロストーク特性については、ダミーロードの位置によって、10kHz 以上で測定値が変動する。 30kHz までは、残留雑音と変わらないことはわかっている。 100kHz については、えいやで測定した数字で本当はもっと低いかもしれない。

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・発振判明とその対策

これで完成だと思って、WaveGene/WaveSpectra を使って雑音歪み率特性を測定すると、1%以下に下がることはなかった。 これは発振だと思って、オシロでしっかり調べてみると・・・・やっぱり発振していた。 左右チャンネルとも、260kHz 2Vp-p 程度の発振が認められた。 6G-A4全段差動アンプのときも、発振で苦しめられたが、カスコードブートストラップ回路の宿命なのだろうか。

6G-A4全段差動アンプで苦戦したときの私と、今の私は同じではない。 フルバランス・フルディスクリートアンプの経験がある。 自分で対策を考えられそうだ。

今回採用した Arito’s Audio Lab の出力トランスは、周波数特性の実測データが公開されている。 下図は私のロットのデータである。 これをみると、発振周波数近くでは、位相特性が -130° 程度となっていることがわかる。 

Arito’s Lab より拝借した、私のシリアルナンバーのトランスの周波数特性(クリックで拡大)

ドライバ段の周波数特性は下図の通りであり、発振周波数近くでは、位相特性が -70° 程度になっていることがわかる。 これらが組み合わされれば、位相特性が -180°を超えることから、発振するのは当たり前といえる。

ドライバ段の周波数特性(クリックで拡大)

よって、この周波数でのドライバ段での利得を下げれば良い。 具体的には、2SK117 カスコードブートストラップ段の両プレート抵抗間に補正の CR をいれればよい。 この CR の決定方法については、VFA-01基板によるフルディスクリート・フルバランスアンプの作成の時にコメントしていただいた。 それには次のようにある。

たかじんさん Wrote:
個人的な感覚では、大雑把に負荷抵抗の1/10くらいの抵抗値を使っている場合は、たくさん補償していると思います。 1/2~1/3程度でしたら、わずかに味付けしているって感じです。 仕上がりゲインが低い場合はNFB量が多めになりますので、どうしても位相補償を沢山しなければいけなくなりますので、補償の大小がアンプ設計の優劣を決定するわけでもありません。

まずは実験。 両プレート抵抗間に負荷抵抗の1/10 である 4.7kΩ – 220pF(fc=153kHz)をいれてみた。 発振はきれいに止まるが、トータルの周波数特性はがたがた。 この手法で止まることさえわかれば、あとは、オシロをみながら、コンデンサを減らしてみるのみ。 68pF まで発振が止まっていた。 56pF ではときおり発振波形がみえており、47pF では発振が止まらない。

よって、4.7kΩ – 68pF(fc=497kHz)で周波数特性をとってみたところ、高域の -3dB は 100kHz とまずまずで、周波数特性上の暴れもない。 補正を少なくする意味で、10kΩ- 33pF(fc=482kHz)と比較したのが下図。 4.7kΩ – 68pF(fc=497kHz)のほうが、高域は素直だが、10kΩ- 33pF(fc=482kHz)のほうが、低域、高域ともに伸びている。 この傾向は左右チャンネルとも同じであった。

ブートストラップカスコード回路の両プレート間の 補正CR の検討(クリックで拡大)

上記のデータをみて、位相特性の変動周波数が高く、トランスそのものの周波数特性に近い 10kΩ- 33pF(fc=482kHz)の補正値を採用することとした。 わずかなピークが 100kHz にあるが、これは NFB抵抗に抱かせるコンデンサで補正していける。 たかじんさんのご教示に心から感謝申し上げたい。

左チャンネル: C-NFB の検討 (クリックで拡大)

さて、周波数特性をみながら、メインループNFBに抱かせるコンデンサ容量を検討したのが上図。 Cなしでは、100kHz にわずかなこぶがある。 C = 3.3pF では、わずかなこぶがなくなる。 C = 10pF では、より素直になるが、位相特性のあばれがひどくなる。 よって、3.3pF に決定した。 右チャンネルも同様であった(下図)。 両チャンネルとも、-3dB 落ちは 120kHz 程度であった。

右チャンネル: C-NFBの検討(クリックで拡大)

to be continued….

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・NFBをかけてみました

現段階での回路図は下の通り。 負帰還がたすきがけになるので注意が必要だ。

現段階での回路図(クリックで拡大)

負帰還抵抗として 68kΩを取り付け、ゲインが下がることを確認し、これでよいと思って周波数特性を測ったところ、波を打ってのたうちまくる理解できない特性であった。 オシロでみたところ 15kHz できれいに発振している。

負帰還が多すぎるためと考えて、負帰還抵抗を 100kΩとしたところ、オシロでの発振波形は消えた。 周波数特性でも波を打ってのたうちまくることはなくなり、補正コンデンサがない状態で150kHz に 3dB 程度のピークがある周波数特性であった。 このピークを取り去るために、負帰還抵抗に抱かせるコンデンサをいろいろ試したのが下図である。 6.8pF では 200 kHz にピークがあるが、10pFではこのピークが消える。 22pF まで増やすと、高域特性が悪化するので、10pF に決定した。

負帰還をかけた周波数特性(クリックで拡大)

これで完成だと思ったら大間違い・・・とわかるのはもうすぐ。

to be continued….

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・設計やりなおし

 今回は、Arito’s Lab のトランスを使っており、周波数特性が公開されている。 高域の伸びが悪いのは、もともとの設計の悪さに決まっている。

 まず、ドライバの周波数特性をはかってみたら・・・。 下のように、-3dB点が、20kHz 未満という悲惨な状況であることがわかった。 ぺるけ師匠も私も、周波数特性が一番狭いのが終段になるようにしている。 これは絶対にだめだ。

最初の設計におけるドライバ段の周波数特性(クリックで拡大)

ドライバ段の負荷抵抗が 47kΩなのに対して、後段のグリッド抵抗が 100kΩで負荷が重すぎるのであろう。 よく考えれば、カスコードブートストラップ回路での出力インピータンスは負荷抵抗と同じと考えて良いのだから、この結果は当然(^^;)

対策は 6G-A4全段差動アンプと同様にエミッタフォロワで受けて後段に渡すことだ。 すでに平ラグはいっぱいなので、平ラグをとめるネジ穴に 7P の立てラグをたてて利用することにした。 エミッタフォロワには 1mA 流した。 年末でパーツ屋が休みなので、200kΩ 1/4W を2本並列とした。 対策は効果があって、下のように、-3dB 点が 300KHz超のところになった。

エミッタフォロワ追加後の周波数特性(クリックで拡大)

後は負帰還抵抗を配線して、抵抗に抱かせるコンデンサの量を調節すればできあがりだろう。 無帰還で聞いても、結構いい感じ・・・

to be continued….

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・設計・試作編

 設計にあたり、終段の動作はぺるけ師匠の平衡型EL34全段差動アンプを踏襲した。 ぺるけ師匠の設計で1番端子がアースされていたのは、どうしてなのか最初わからなかったが、KT88/6550ではシールドであるためと思われる。 EL34などでは1番端子がG3なので、となりのカソードとつなぐつもりになっていた。  また、B型10kΩの二連ボリュームが手には入らなかったので、バイアスのかけかたは、6AQ5全段差動アンプと同じにした。

 ドライバは構想編で述べたように、6G-A4全段差動アンプと同様に、2SK117 のカスコードブートストラップによる。 終段と直結にしないので、カソードフォロワがなくてもいいだろうと考えた。
 電源トランスはぺるけ師匠の記事にある TANGO MX-280 で、オークションで購入したときにいっしょに売られていた MC-5-250 をチョークトランスとして利用する。 チョークトランスの直流抵抗が、ぺるけ師匠がモノラルアンプで使用したチョークトランスの倍以上で、電流も倍なので、電源電圧が10Vちょっと下がってしまう。 出力がやや小さくなるかもしれないが、まあいいだろう。 電源のコンデンサはぺるけ師匠の記事より耐電圧が高いものを選んだ。 500V 耐圧の電解コンデンサはなかなか手にはいらず、JJ製のブロックコンデンサとなった。

 以上から設計した回路は以下の通り。 出力管は、EL34 / KT88 / 6L6GC など互換性のある真空管がたくさんあるはず。

当初の設計図(クリックで拡大)

 最初に、定電流源を組み立て、実験用安定化電源で 120mA 流れるように抵抗値を調整した。 次にカスコードブートストラップに利用する手持ちの E-301 定電流ダイオードの電流値を測定し、LM334Z の制御抵抗値を調節して、2SK117 に流れる電流が 2.0mA になるようにした。 LM334Z の制御抵抗値は、抵抗をRset(Ω)、電流をIset(mA)とすると、Rset=70/Iset でよいとの記事があったが、おおよそということで、現物合わせの調整が必要であった。

 ここまでくれば、あとは組み立てるだけ。 今回はぺるけ師匠のように平ラグを利用してみたが、平ラグパズルは楽しい。 2SK117 はぺるけ師匠からの配布品を利用した。 2SK117のバランスを取るための半固定抵抗はなくてもよかったようだ。 2SC3209 のコレクタ間の電圧がゼロになるようにすればよいのだが、ほぼ中央でバランスした。

上記設計での周波数特性(クリックで拡大)

 とりあえず、無帰還で周波数特性を測定してみたら、上図の通り。 なんと高域の -3dB 点が 50kHz と驚くほど低い。 だめだ、こりゃ。

to be continued….

バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・構想編

ヤフオクで Softone Model 7 を、気がついたら購入していた。 Softone Model 7 は、技術解説によれば、2本の出力管を独立定電流回路を設けたカスコード差動単段増幅で、各種の真空管を調整なしで使用できる。 私が購入した商品には、オリジナルEL34に加えて、ElectroHarmonix の EL34EH、Golden Dragon 350B、Tube Amp Doctor 6L6GC/KT66、東京電気商会 KT88、CCI EL156 も付属していた。  これで大出力の全段差動アンプを自分で作成せずともよいと思っていたが、手元の全段差動アンプのほうが良いような気がしていた。

ぺるけ師匠の掲示板の過去ログをみていたら、ぺるけ師匠は独立定電流回路では、全段差動らしい良さに欠けるところがあるという書き込みがあった。 既にその掲示板の過去ログは失われているが、やはり自分で作って比較してみようと考えた。

当初は、Softone Model 7 と同じ出力トランスを使うことを考えたが、メインスピーカーのインピータンスが4Ω であることから、ARITO’s Audio Lab の DE-8K20W を使用することにした。 置き場所を節約する意味でステレオ構成と考えた。 電源トランスは Tango MX-280 をヤフオクで購入した。 ケースは、Lead MK-400 だ。 真空管がむき出しになっているほうが見栄えは良いが、子ども(孫たち)が触ってやけどしたりするのは困る。 それに、真空管破損もあり得る。 実際、先日 6G-A4 が被害にあった。

メインシステムで使うことを考え、バランス入力は当然だが、回路構成はどうしようか迷った。 ぺるけ師匠による 平衡型EL34全段差動プッシュプル・モニター・アンプ をデッドコピーすることも考えた。 手元に 5687 もあることだし。 しかしながら、へそ曲がりの私は同じはつまらないかなぁとすぐ思ってしまう。 デッドコピーは無理というぺるけ師匠の本音爆裂・神経逆撫は存じておりますが・・・

6G-A4 全段差動アンプで採用した 2SK-117 +カスコードブートストラップによる2段増幅アンプが頭をかすめた。 2段増幅アンプは、上記のデッドコピーの3段増幅アンプより、位相回転の点から安定しているからだ。 6G-A4 全段差動アンプでは直結アンプにしたが、今回のアンプでは終段のプレート電圧が高いため、直結アンプは 500V 以上の電圧を扱うことになるため避けたい。 段間をコンデンサで切ることになる。

6G-A4全段差動アンプでは、電源トランスから出力トランスへの誘導ハムが存在していた。 このような影響を避けるために、入念にトランス位置を考えた。 ぺるけ師匠の 6AH4GT 全段差動アンプのデザインを踏襲することを考えたが、出力管のスペースが狭すぎることから断念した。 左右対称型で真ん中に電源トランスをおき、その前にチョークをおくことにした。 こうすることで、出力管同士のスペースを広くできるので、放熱対策として有効だ。 一次側 P-P管の誘導ハムを最小にできる場所も確認した(下図)。

6R-HH2 全段差動ミニワッターを平衡入力に改造・・・完成

最終回路図(クリックで拡大)

最終回路図を上に、周波数特性を下に示す。 
周波数特性では、60kHz 付近にわずかなふくらみがあるが、NFC を増減させると、500kHz前後のふくらみが急激に盛り上がってくるので、これで最終特性とした。

左チャンネル 周波数特性 (クリックで拡大)
右チャンネル 周波数特性 (クリックで拡大)

歪み率特性は、バランス入力改造前と測定環境が異なるので比較できない。 理由は不明だが、これまで使用してきた ESI juli@Xte にて、低歪みでの測定ができなくなってしまい、Motu M2で測定したためだ。 しかしながら、最低歪み率は左右ともに0.1%を大幅に下回っており、良好な特性といえるだろう。

残留雑音は、A-weight なしで、左チャンネル 0.048mV、右チャンネル0.049mV であった。また、ON-OFF法によるダンピングファクタは、11.8(1kHz)であった。

聴感上は、7DJ8 と 6R-HH2 との真空管の差が目立たなくなったようだ。 どちらもバランス化する前の 6R-HH2 に近い。 微妙なニュアンスの表現がどちらもうまくなった。 自分の好みでは、6R-HH2 のほうが圧倒的に良い。 リファレンスのピアノのキータッチの差が一層わかりやすいうえに、ダイナミックレンジが上がった感じがする。もともとはミニワッターとして使用されていなかった 6R-HH2 が使えるかどうかのプロジェクトだったわけだが、バランス入力化してみると、低出力という難点はあるものの、デスクトップオーディオ用途では、むしろ推奨されるべき真空管であるように思えてきた。 ただし、この評価はバランス入力プリアンプと Tangent Evo4 の環境によるもので、使用機器との相性がよいのかもしれない。 いずれにせよ、バランス改造は正解だった。

6R-HH2 全段差動ミニワッターを平衡入力に改造・・・トラブルシューティング

前段回路の基板を取り出し、実験用電源につないで、電圧測定をしてみると、両チャンネルともバイアス調整ができない。 どこかが壊れているのだろう。 電圧をチェックしてみると、ひとつを除いて2SC2240GR の BE間が 0.6V前後から大きく外れていた。 これは壊れていると考えて交換したところ、当初正常だった側ではバイアス調整は可能となった。 最初に異常になった側はバイアス調整が出できない。 ぺるけ師匠が頒布してくださった貴重な 2SK117 の異常がないことを願って、発振器で入力しながら、オシロであたってみたら、なんと 2SK117 に信号が届いていない。 どこで途切れたかを探すとグリッド帰還抵抗であった。 はんだ付け不良である。 はんだを吸い上げて、再はんだしたら、バイアス調整が可能になった。 オシロで調べた限り、発振はしていなかった。

先の失敗の経過では、当初正常動作していたチャンネルも、壊れていったところから、何らかの設計不良があると考えざるを得ない。 ここでぺるけ師匠の平衡プロジェクトの記事を確認すると、FET差動バランス型ヘッドホンアンプが、この改造と同じタイプ(第1案)であることがわかった。 よく比較してみると、RNF の先のスピーカー(ヘッドホン)側を抵抗でアースに落としている。 第2案の場合は、NFの基準抵抗がアースに落ちている。 失敗した改造案では、2SK117 のゲートの電位はアッテネータを通してのみアースに接続されている点が大きく違っていた。 想像するに、スピーカーあるいはトランスからの逆起電圧が加わった際に不安定になったのではないだろうか。

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恐る恐る、電源をいれてみる。 何も起こらないことを確認して音を出してみると、問題ないように見える。 加えて、バイアス調整もきちんと働く。 よかった~。

さっそく、Analog Discovery で周波数特性などを図ってみると、NF量が上記の案では、NFが十分かかっていないことがわかって、NFR を 27kΩに変更して、NFC の調整をしてみた。

NFCなし(黒)では、500kHz の盛り上がりが目立つ。この盛り上がりは 10pF(橙)でも改善しないが、22pF(青)ではだいぶ解消される。 しかし容量を増やして 47pF(緑)とすると、また盛り上がりが目立つようになる。 グラフの生データをみると、NFCなしでは可聴帯域の 15kHz付近 で0.3dB程度盛り上がり、 10pF(橙)でも改善しない。 47pF(緑)ではさらに目立つ結果となった。 つまり、22pFが最適値だ。

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