Phono Equalizer も自作できるか・・・はらわたなど

ケースは OS70-33-43SS を横にして使っている。 本当は、バランス型プリアンプBlue Snow DAC(1台目)にあわせてサイドウッド WO型を使いたかったが、もはや入手できなかった。 OS70-26-43SS でもスペース的にははいると思われたが、トランスの横側にイコライザアンプを配置しなくてよいように、少し大きめのケースを選択している。

はらわた(クリックで拡大)

下の写真で、奥左はリップルフィルタ、奥右が LT1115-LT1010 イコライザ基板、手前が NNBA-1基板である。 見ての通りで、 山ほどの MUSE-KZ コンデンサが使われているのがわかるであろう。

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soulnote ph1.0 と鳴きくらべをしてみると、本機のほうが、バランス型プリアンプBlue Snow DAC と音色がそろっている感じがする。 使用部品の選び方や電源部の作り方が同じだから、当然かもしれない。 

それにしても時代は変わった。 MC入力で十分すぎるほどの S/N比をオペアンプによるイコライザで作れてしまうのには、改めて驚いている。 手元に 2SK117 を利用した MC ヘッドアンプが残っているが、こちらのほうがノイズは大きいのだ。

Phono Equalizer も自作できるか・・・確認編

トラブルシューティングが終わって、まず最初に行うことは、規定の性能を満たしているかどうかだ。 音がどうこう言う前に、そちらが大切だ。

まずは、RIAA 特性をきちんと満たしているかどうかを調べよう。 RIAA 特性の詳細は、The Art of Analog Circuits の記事「RIAA カーブ」を参考にした。

w=2*π*f (f:周波数 Hz)
RIAA=20*LOG(SQRT(
        (1+1/(0.00318*w)^2)
        /(1+1/(0.000318*w)^2)
        *(1+(0.000075*w)^2)
        ) )

   +0.08898158095803  

結果は下図の通りで、± 0.2dB の精度で正しいことが確認できた。

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次に確認したのは、NNBA-1 の歪み率特性である。 unbalance 入力から balance 出力として、WaveGene / WaveSpectra で測定している。左チャンネルの方が少しよいが誤差範囲であろう。 両チャンネルとも 100Hz が他の周波数に比べて良好で、たかじんさんの測定結果よりやや悪い結果であるが、測定系がたかじんさんのようによいわけではないので、概ね妥当と考えている。

最後に雑音だが、GwInstek の GDM-8261A で測定して、両チャンネルとも 0.2~3mV (ふらつく)であった。 MC入力でゲインが 68.7dB あることを考慮すると、多く見積もっても入力換算で -139dBV の結果である。 A-weighting補正なしの数字であることを考えると、これまたすばらしい結果といいたい(自画自賛だけど)。

Phono Equalizer も自作できるか・・・お粗末なトラブル

LT1115+LT1010 イコライザ基板をくみ上げた2024年3月であったが、その後が遅い。 NBBA-1 のために、hFE 測定器(下図)を作成してからなかなか時間が取れなかった。 2SC2240 を50個ほど測定して、必要なペアをとった。

電源部を作成したのは10月にはいってから、 NNBA-1 をなんとか組み上げたのは12月にはいってから。 とりあえず、MC専用ということでジャンパをいれて、使ってみたら、S/N比が悪い。 常用域ではノイズは聞こえないのだが、10dB 程度ボリュームを上げると、ハム音のような音がするのだ。

アナログ対応バランス型プリアンプでは、このようなノイズは全く聞こえなかった。 今回の LT1115 / LT1010 基板では、イトウ電子製の基板に比べて、下図のように入力信号の引き回しが長い。 このことが理由かもしれないと思い、入力部をシールドしたりしてみたものの何らの効果がない。

上記は試作機の基板で、知人宅で活躍しているもの

発信しているのかもと考え、1kHz の正弦波をいれて、オシロで解析しても異常はない。 ノイズが気になるとはいえ、ノイズそのものをオシロスコープでみても、何もわからなかった。 

ふと思いついて、ノイズを WaveSpectra で解析してみることにした。解析した結果、ノイズ成分は 100Hz であり、あきらかにハム音といえるのだ。 ということは電源が問題・・・?

電源は LM317/LM337 での安定化に加えて、リップルフィルタもいれているので、電源が原因ということはないだろうと思いつつ、LM317/LM337 後をACレンジ で測定してみると、数十mV という信じられない数字がでてきた。 Ripple rejection は 60dB 以上あるはずなのに・・・。 ということで、原因判明。 LM317/LM337 の入出力間電圧が足りていなかったということ。 当初 ±15.6V を出力させていたが、入力電圧は 17.7V 程度しかなかったのだ。 出力電圧を ±15.0V まで下げたところ、ハム音は消えましたとさ。 最終的には少し余裕を見て、±14.6V に設定することにした。

何ともお粗末なことで(唖然)

… to be continued.

Phono Equalizer も自作できるか・・・構想編

Phono Equalizer を作るとなると、問題となるのは電源部である。 たかじんさんの HPA-1000 ヘッドホンアンプでも、特注Rコアトランスを利用している。 理由はノイズである。 一般的なトロイダルトランスでは、リーケージフラックスが多くハムを誘発してしまうからである。 

こんなこともあろうかと(このフレーズで何かを思い出した人はすごい)・・・ ヤフオクで、よさげなRコアトランスが出ると買い占めていたのが役に立った。 北村機電製で、無負荷時 15V x 2 (大きさから 10VA)を5個持っており、静電シールド付きである。 13V x 2 と考えると電流容量は 0.38A で DC 0.2A ちょい取れる。 これを左右別電源で使えば、よいだろう。

電源は、たかじんさんによる Blue Snow DAC と同じ方式を採用することとする。 LM317/LM337 によって定電圧化をしたのちに、リップルフィルターをかませる。 当然ながら、LT1115/LT1010イコライザ基板と Unbalance-Balance 変換 NNBA-1基板とでそれぞれリップ利フィルターをいれる。すなわち、下記のリップリフィルタが4台はいることになる。ここには、たっぷりニチコン MUSE-KZ 電解コンデンサをおごっている。 LM317/LM337 基板には、お気楽オーディオさんのミニシリーズ Type-J基板を使った。 ただし、ダイオードによる整流は、正負別としている。サブウーファ用のハイカットフィルタと同じだ。 整流後のコンデンサは、ニチコン FW 4700μF を2本プラス PMLCAP 25V 4.7μF を投入する。 LM317/LM337 のリップルフィルタ部分は MUSE-KZ がスペース的にはいらず、ニチコン FG(FineGold)でがまんしたが、安定化後のコンデンサは、MUSE-KZ である。

リップルフィルタ

Phono Equalizer の LT1115/LT1010 基板のほうでは、電解コンデンサは MUSE-KZ、オペアンプのパスコンは、Philips PILKOR メタライズドポリエステルフィルムといつもの陣容で固めた。 イコライザ素子のほうは、 指定容量と許容差の観点から選択の余地は少なく、東信工業のポリプロピレンフィルムコンデンサを使用する。 NFBのAC帰還のためのコンデンサは、フィルムコンデンサとして PMLCAP を使用したので、電解コンデンサのほうは、容量優先で FW とした。

Unbalance – Balance 変換 に用いる入出力バランスアンプ基板 NNBA-1のほうは、2SC2240 / 2SA970 に活躍してもらい、少々無理をしても、MUSE-KZ コンデンサを使う。 ぺるけ師匠の 簡易版 hFE 測定器を作成して、2SC2240 のペアを探して使おう。 FET 入力にしようかとも思ったが、安全優先で、DCカットするならばと、2SC2240 / 2SA970 で優美さを狙った方がよいと考えた。

現在使用している soulnote ph1.0 は MC 専用であり、現在、メインシステムの Micro FV-111 + Audio Craft AC-3000MC には、ストレートアームに Philips GP922Z をつけているが、今回のシステムでは、MC/MM 両方が使えるようにしよう。 設定のための方策は、アナログ対応バランスプリアンプと同じだが、左右別電源に加えてさらにノイズ源となるトランスを加えるわけにはいかないので、めんどうだが、リレーの電源も左右別としよう。 片チャンネルから MC/MM 表示のLEDの電源をとり、もう片方からは、電源ON表示の LED電源をとることとする。

… to be continued.

Phono Equalizer も自作できるか・・・妄想編

すでに記事にしたように、電気作業部屋で使用しているアナログ対応バランス型プリアンプには、イトウ電子製の LT1115+LT1010 Phono Equalizer 基板で、MC/MMカートリッジに対応している。 この基板は S/N 比も極めて良好で、音質的にも満足できる。 

さて、我が家のリビングのステレオ装置は、鈴木哲さんが設計したSoulnote の ma1.0 / sd2.0 などであったが、それらはすでに、バランス型プリアンプフルバランス・フルディスクリートアンプBlue Snow DAC に置き換えられており、第一線を退いている。 現在残っているのは、フォノイコライザの ph1.0 のみである。  アナログ対応バランス型プリアンプのフォノ入力の音には大きな不満がないので、Phono Equalizer も自作に変更できるのでは・・・と妄想が広がる。

Phono Equalizer を作るとしたら、当然、アナログ対応バランス型プリアンプで採用したイトウ電子製の基板が第一候補になるが、欠品中である。 なんとかならないかと思っていたら、ヤフオクでLT1115+LT1010 イコライザ基板が売られていた。 イトウ電子製の基板と同じく、LT1115 のデータシート通りである。 その上、手には入りにくい値の抵抗も付属してくる。 説明サイトを読むと、2013年から改版されて売られ続けていることがわかる。 コンデンサ類を自分の好みのものを使って、試してみたい妄想が広がる。 電解コンデンサは KZ を使い、フィルムコンには Pilkor や PMLCAP を使うとか。 イコライザ素子はマイカかポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルムでといった具合だ。 もちろん、イコライザ素子は精度の問題もあるので何でもよいわけではない。

アナログ対応バランス型プリアンプでは、スペースの問題があって、電源を十分におごることができなかった。 また、Unbalance – Balance 変換も、スペースファクタ優先にせざるを得なかった。 これらの問題を解決した Phono Equalizer を作成すれば、ph1.0 もリプレースできる?

こんなことを妄想していたら、たかじんさんが 入出力バランスアンプ基板 NNBA-1 の配布を開始した。 この基板は、フルディスクリートのバランス入力・バランス出力で、可聴帯域の CMRR はおおよそ90dB と本格的な内容だ。 Unbalance – Balance 変換にも利用できる。 これなら、バランス型プリアンプのフォノ入力の音には大きな不満がないので、Phono Equalizer も自作できるかもしれない。

… to be continued.

追伸: 現時点では、バランス型プリアンプ のフラットアンプ部は、ヘッドホンアンプの HPA-12 を利用しているので、実は、CMRR が 0 dB という悲惨なことになっている。 当然ながら、NBBA-1 基板にアップグレードしたい。