I2S over HDMI コンバータの基板は・・・後編

予備のコンバータではうまくいったのに、なぜだ・・・。 よく見ると、予備の基板は何やらおかしい。 下の写真に示すように、ICのひとつが白い接着剤で固められている。 先に細工した基板では、この白いのがない。

予備の基板

どうやら、外見上同じに見えるコンバータであるが、上記の細工がしてあるものと、していないものがあるということのようだ。 今回、私は予備のコンバータが、Gustard DAC-A22 にぴったりだったという幸運をひきあてていたようだ。

先に行った細工は無駄で、単にショートしておくだけで、SACD再生時の左右が正常化するようだ。 念のために、 DENON オーディオ・チェックSACDを購入して、再確認しておこうと思う。

ここまでくれば、トランス式電源を作っておけば、一通り完成だ。 説明書きには、HDMIケーブル経由の電流で間に合えば不要とのことだが、DSD出力ができなくなるので電源は必須だ。 消費電流を図ると動作時で 150 mA 程度だった。 高周波特性が悪い、逆に言うと電源ノイズが漏れにくい EIコアのトランスを用いて、5V 0.5A 程度あればいいだろうと考えて、マルツに HT-1205 (12V 0.5A)を買いに行ったら、なんと¥2,500 強。 1000円程度で買えていたのに。 

回路は上記の通り。 整流後の電解コンデンサは、超低ESR、超低インピータンスで、105℃品の KZHを2個。 I2S over HDMI コンバータを上に置くことを考えて、ケースをタカチ MB7-5-10 にしたので、多数並列は断念。 三端子レギュレータのパスコンは、お好みの PILKOR(旧 Philips 系)として、OSコンを追加。 OSコンは出力端子にはんだ付け。 スペースの関係で縦ラグを使った配線・・・

この電源は、予想通り、作成して動作確認時はとんでもない音。 KZH電解コンデンサも、OSコンも、初期エージングがとても大切。 48時間つけっぱなしにして、聴ける音になった。 これで、電気工作部屋でも、CD/SACD を満足いく音で聴けるようになった。 めでたし、めでたし。

ところで・・・
左右チャンネルをいれかえるためにDIGIKEY から取り寄せた OMRON G6A-274P 5V は届いたけど、部品箱直行になったとさ。 全然、めでたくなんかないじゃないか。

I2S over HDMI コンバータの基板は・・・前編

CD(PCM入力 over HDMI)で左右が誤った出力になってしまう。 USB入力などの他入力と異なる結果になってしまうことから、力業で左右を変えるしかないかと考えた。 このコンバータは、5Vの電源を使うので、5Vのリレーで手動で左右を入れ替えるわけだ。

こういうときのリレーは当然ながら、OMRON G6A を使いたい。 理由は、金クラッド接点だからだ。 ところが、マルツにもモノタロウにも在庫がない。 モノタロウなら、G6A-234の在庫があったが、長期ストック品(>7年)であり、あまりうれしくない。 ネット上で調べてみると、なぜか DIGIKEY には大量に在庫がある。 DIGIKEYは¥6,000 以上なら、送料無料だ。 他に買いたいものを探さないと、相当割高になってしまう。 定電流ICの LM334Z は、全段差動アンプの前段には好都合だが、秋月電子では1個570円(2023年2月)と結構いい値段で購入をためらっていた。 DIGIKEY だと、在庫は少ないが、カットテープ品が1個160円だった。 まとめ買いするともっと安くなる。 これ幸いと、30個まとめ買いすることにした。

届くまでの間に、I2S over HDMI コンバータを分解してみた。

ねじを外してみると下記の基板がでてくる。 右側に OP1 OPTION との記載がある。

(クリックで拡大)

基板の裏をみると・・・

上記を見てわかるように、DSD入力の時の左右が変わる。 試しに、予備のコンバータの OP1 OPTION をはんだでショートしてから試してみると、CDのときの左右が入れ替わった。 ここをスイッチで切り替えられるようにして、切り替えの状態をLEDで表示できるようにしてみた。

OPTIONのところに、AWG28の電線をはんだ付けした。

基板用のトグルスイッチならなんとか余白につくので、無理やり上記のように配線してみた。 SACDの左右がスイッチで入れ替わるのを確認できた。 ところが、CDを再生してみるとおかしい。 左右が入れ替わっていない。 予備の基板ではうまくいったのに・・・

to be continued….

Gustard A22 の HDMI入力 を設定しよう

Gustard A22 のHDMI入力の設定には、PHASE INVの項目がある。 バランス出力であれば、2番ホットか、3番ホットかを設定できる。位相チェックということになる。

どうやったら、この位相チェックができるのだろうか。 たかじんさんからのアドバイスでは、DA変換後のアナログ出力をみると分かりやすいとのことであった。 残念ながら、入力信号と出力信号の両方をオシロで見てチェックというわけにはいかないようだ。

100Hz のサインウェーブを0.01秒切り出せば、1波長のみになるので、PCからのUSB入力によって得られた信号と、HDMI経由の信号をオシロでみて、同じようにすればよい。 我が家のオシロはデジタルオシロなので、何らかの形でトリガを決めて記録すればよいはずだが、やりかたがわからないので、何回も再生して、画面を見て判断したところ、PHASE INV の項目を Enable にすればよいことがわかった。

これで一件落着のように思えたが、よく考えると、PHASE INV の項目を Enable にしなければならないということは、I2S over HDMI コンバータによる HDMI出力が、Gustard などの中華DACに対応した C2配列であることと相反している。

Gustard A22 HDMI Input(http://www.gustard.cn/?post_type=products&page_id=8942 より)

もしやと思って、CDを再生してみると、違和感がある。 左右が逆かもしれない。 テスト信号を作ってみると、まさにその通り。 どうしよう・・・。

to be continued….

Gustard A22 の HDMI入力 を使ってみよう

I2S over HDMI コンバータによる SACD再生等で実績があるのは、元記事のTOPPING D90 であった。 I2S over HDMI のコンバータに関するWeb上の情報では、TOPPING、S.M.S.L、Gustard、LOXJIE、Sabaj、BRZ HIFI、 DENAFRIPS、MUSICIAN PEGASUS、HOLO AUDIO あたりが動作可能性が高いとのこと。

しかしその一方で、上述の メーカーの DAC製品が、Audio Science ReviewのSINAD(歪とノイズの少なさの指標)ランキングの上位を占めている一方で、音質的に優れているという review が少ないとの指摘もあった。 「高特性は正義か?ASR推奨製品の実力を検証」記事で、同じ中華製のなかで、Gustard A22 が音質的に一歩飛び抜けているとの記載があることから、Gustard DAC-A22 をヤフオクで手に入れることにした。 もちろん、I2S over HDMI 入力で DSD入力によるSACD再生を行うためだ。

Guastard DAC-A22 は、旭化成の AK4499 を DUAL で使用しているDAC だ。 AK4499はTHD + Nが124dBで、ESSのフラッグシップ製品である9038Proチップをデュアル構成した際の122dBと比較しても優秀で、市場に出ているどのチップよりも低い高調波歪みという渾身のチップだが、工場火災により、入手困難となっている。 当然ながら、Guastard DAC-A22 すでに製造中止になっている。 このDAC-A22 の情報は、http://www.gustard.cn/?post_type=products&page_id=8942 にある。 右上の【简体中文】をクリックして、English に変更すれば、英語で情報が手に入る。 ネットからひろったマニュアルは、こちらにある。

Pioneer DV-A610AV のマニュアルに従い、デジタル音声出力の【HDMI出力】をデフォルトの【自動】から、【自動(DSD)】に変えることで、SACD のDSD音声を、HDMI出力からデジタル出力できる。 Gustard DAC-A22 を通して、音が出た。 とりあえず、成功だ。このほかの注意事項としては、SACD再生が、デフォルトの 2ch エリアになっていることの確認も必要だ。  HDMI-INPUT と同じ面にある HDMI-OUTPUT からモニターに接続して設定を行う必要がある。

なお、SACD再生のときの注意事項として、PCMからDSDに移り変わるときに、大きなノイズがでる。 Gustard のリモコンの左上・・・ちょっとみると電源スイッチのようにみえるところが、MUTEボタンであり、これを利用することを忘れないように。

to be continued….

Blue Snow DAC の HDMI入力 を使ってみよう

たかじんさんによる Blue Snow DAC には、HDMI入力がある。  このHDMI入力は、Blu-lay や DVD に対応した入力(以下、HDMI/MHL と記す)ではなく、DAC内部のI2S接続に対応している、たとえば、たかじんさんによる North Fox Digi (Raspberry pi からの I2Sデジタル出力基板)を使うと Raspberry pi で再生した音楽をHDMI ケーブル経由で I2S接続で鳴らすことができる。 私が作成した Blue Snow DAC でも North Fox Digi で、動作確認していた。

さて本題だが、HDMI/MHL から I2S 信号を取り出すコンバータがあることをTOPPING D90 MQAでI2S入力 – 根布産業代表のブログで知った。 これを使えば、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC と伝達できるので、原理的に SPDIF経由よりジッターの影響が少なくなるそうだ。 このあたりの詳細な説明は、たかじんさんの記事「SPDIFとHDMI-I2S接続のジッターを比較」にある。 コンバータの入手先は記事では、ebay であったが、もとはといえば Ali Express のようだ。 使い方は簡単で、下図で、AUDIO PATH を AMP にあわせればよい。TVは、HDMI INPUT をそのまま HDMI OUTPUT に出力するモードで、DOUは Multi Ch に対応するらしい。 DC5Vの電源入力は、必要に応じて使えばよいと記事がある。

さて、最初の実験には、Pioneer の DVD Player DV-610AV を用いた。 これは電気工作部屋で SACD を聴くために購入したものだが、いわくつき(?)の後継機にあたるもの。 DV-610AV → I2S over HDMI → Blue Snow DAC で音出しを確認。 DV-610AVの設定は初期設定のままで、CDの音出しはOKであった。 さて、比較対象は、Soulnote cd 1.0 をトランスポートモードで用いた SPD-IF である。

一聴して、DV-610AV → I2S over HDMI の HDMI接続のほうがダイナミックレンジが高く、音数が多いのがわかる。 単独で聞けば気にならないのだが、HDMI接続に比べると、SPD-IF接続は単調に聞える。 HDMI接続のほうは、広大なホール感がわかる感じといったらわかってもらえるだろうか。 

ここで、比較対象を Soulnote cd 1.0 のバランス音声出力としてみる。 このようにしてみると、音質の傾向が異なるものの互角な感じ。 以前に示したリファレンスでは、ピアノのキータッチの差は、どちらもよくわかる。 Soulnote cd 1.0 のほうが、やや優しい感じ。 それに対して、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC では、ピアノの弦の胴なりの表現が巧みで、ダイナミック。 甲乙つけがたい。 ちょっと聞くと、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC のほうが、ダイナミックだけど、やや荒削りな感じだ。

いずれにせよ、HDMI 出力可能なユニバーサルプレーヤ、I2S over HDMI コンバータと Blue Snow DAC を組み合わせることで、高級CDプレーヤ並みの音が出せることは収穫だ。 Blue Snow DAC の HDMI入力は、DSD信号を受け付けないので、DV-610DVの初期設定で、HDMI出力を PCM 信号に限るようにセットすると、SACD を 88.2KHz の PCM として音出しも可能だ。 これまた収穫だが、DSD入力が可能なDAC と組み合わせると、SACD も高音質で聴けるかもしれない・・・

to be continued….