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Class AA ミニワッターは実現するか・・・合格しました & はらわた

完成した Class AA ミニワッターを、自宅で100時間程度エージングしてから、知人宅に持ち込んだ。 村治佳織のギターでテスト! 禁断のClassAAヘッドホンアンプのように、目の前に広がる絶妙な空気感がでるかどうか? 

何しろ、こちらの利点はやや出力が大きいことと、保護回路に小信号用のリレーではなく、MOS-FET を使っていることだが、Rコアトランスを利用できていないし、使いやすいようにゲインを少し上げており、ひずみ率特性はやや悪い。

最初の一音が出た瞬間に合格だとわかった。 この絶妙な空気感は、ClassAA回路とテクニクスのスピーカーで織りなす音なのだろう。 我が家のスピーカーでは出ない。 また知人宅の Mcintosh のアンプと組み合わせても出ない。

左側のスピーカーが Technics SB-MX-100D。 アナログプレーヤの上に仮置きされているのが、ClassAAアンプ。 右側に Mcintosh のセパレートアンプと Soulnote sa1.0 がみえる。

無事に合格できてよかった~~~ このアンプは知人宅にお嫁入りだ。 自作派にとっては、この上ない喜びといえる。 何しろたくさんの市販アンプをお持ちの知人宅で、他のアンプより、はっきり優れた組み合わせだからだ。 2台の ClassAAアンプが共通した音色であることから、これは回路の音といえるのだろう。

要調整のNFコンデンサは不要であった
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Class AA ミニワッターは実現するか・・・とりあえず完成

左右差の理由として考えられ、高域特性に大きく影響するものといえば、NFBの補正コンデンサである。 思い切って、補正コンデンサをはずして、周波数特性を再度図ってみると、フラットになっているではないか。 基板だけで測定しても、最終的に測定してみないとだめということ。

(クリックで拡大)ClassAAミニワッター周波数特性(8Ω負荷)

歪み率特性は、左右とも類似した特性になった。 100Hz が一番よく、周波数が上がるにつれて、悪化している。 禁断の ClassAAヘッドホンアンプと比較すると、NFB量の低下と負荷抵抗が下がったことが影響しているのだろう。 そうはいっても、一番良いところでは、0.01% を切っており、とても立派な特性といえよう。

ClassAAミニワッター雑音歪み率特性 左チャンネル(8Ω負荷)
ClassAAミニワッター雑音歪み率特性 右チャンネル(8Ω負荷)

ここまで作り上げて、自分でヒアリングしてみる限りでは、それなりによいアンプに仕上がっていると思われた。 なにしろ、Dynaudio Contour 3.3 相手なら、軽々とドライブして、リファレンスの音源をきれいに鳴らしこめるのだから。

to be continued…

Class AA ミニワッターは実現するか・・・またも迷走

2代目ということもあって、簡単ねぇと思いながら、手持ちのシャーシに穴あけして組み込んだ。 ボリュームは、手持ちのアルプスRK-27 2連 10kΩを用いた。

入出力特性を調べてみると、たった1.5W しか出ない。 おかしいと思って電源電圧を図りながら入出力特性を測定すると、電源のレギュレーションが悪く、最大出力時には、8V程度まで電圧が下がってしまうことが判明した。 よって、トランスを 115V/12V2回路、50VA のものに変更した。 このことによって、おおむね 4W 程度の出力が確保できた。 無信号時の電圧はおよそ ±15V で定格内に抑えられている。

音は出るが、ノイズ感がある。 おかしい。 幸い、入力はQIコネクタを用いているので、QIコネクタに直接入力すると問題ない。 ひずみ率測定をすると、1kHz, 10kHz に比べて、100Hz が一桁以上悪い。 今回は、過去のアースラインの失敗(HPA-1000禁断のClassAA ヘッドホンアンプ)は対策済みだ。 どうしてなのかわからない。

RK-27を用いたボリューム回路に何らかの問題があるに違いない。 このときに考えたのは、アンプ部の入力インピータンスである。 簿ボリュームが 10kΩで、アンプ部の入力インピータンスが 10kΩではだめなのではないか。 たまたま、たかじんさんのホームページのコメントに、「東京光音電波の説明だと、全抵抗値の10倍以上の値で信号を受けてくださいと書いています。50kのボリュームなら500kΩ以上の入力抵抗のアンプで受ける必要がある。」とあった。 東京光音電波のホームページには、20倍以上がよいとあり、その理由は、アッテネータ特性(減衰量)が狂うからという説明であった。 音質的な影響等はどうなのかをたかじんさんに尋ねたところ、次のコメントがあった。

それ以外にも摺動子に流す電流を抑えた方が音質的に優れていると感じます。
アルプスRK27を使った個人的な感想としては受け側インピーダンスが10kΩ程度では高域がうるさく、音場が狭いというか音の見通しが悪くなります。 100kあたりまで上げるとそれらの不満はかなり解消されます。
そんなこともあって、HPA-1000では330kΩ受けにしています。

なるほど~! 作例をみれば、解答が推測できるというのを忘れていた。 よって、このアンプも 受け側入力インピータンスを330kΩに変更した。 この変更で、100Hz の歪み率が、1kHz、10kHz より大幅に悪いという現象は消失した。 

安心して、歪み率測定を始めたところ、今度は、10kHz のひずみ率が、左チャンネルで、右チャンネルに比べて、一桁高いという現象が発生した。 なぜだ~。

to be continued….

Class AA ミニワッターは実現するか・・・基板の作成

禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは難産だったが、今回はそれをよりよくコピーしようというものなので、アンプ基板の作成は短時間ですんだ。 設計上の変更点は、NFBの定数のみである。 ただし、電源供給はPRT-02の端子をうまく利用できるように大電流部分は左右別とし、前段のV-AMP については、別途電源部から取り出した。 そのうえで、S-GND も左右別にした。

(クリックで拡大) 
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難航したのは、PRT-02のほう。 調整できない。 今回はたかじんさんに聞く前によく考えてみたところ、電源電圧が±10V 程度と低いため、チェナーダイオードを手持ちの 4V 程度のものに変更したところ、無事に動作するようになった。

(クリックで拡大) ClassAA ミニワッター 左チャンネル

アンプ基板ができたところで、NFBの並列コンデンサの容量を決定するために、周波数特性を測定した。 左チャンネルでは、1.5pF が適正と考えた。 また、右チャンネルでは、上図の左チャンネルのCなしに見られる 200kHz のふくらみがなかったため、 補正なしとすることにした。

to be continued…

Class AA ミニワッターは実現するか・・・構想編

難産の末に生まれた禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは、知人宅の Technics SB-MX100D を驚くほどの空気感で鳴らした。 知人はMcintosh のセパレート、Soulnote sa1.0、EL34全段差動アンプなど各種のアンプを持っておられるが、彼が驚くほどの出来であった。 曰く、手持ちのアンプでは出ない音とのこと。 面白いことに、その空気感は、我が家の Dynaudio や Linaeum、Tangent のスピーカーでは出せない。 村治佳織のギターが目の前に浮かび上がるのだ。

自作派としては、同様のアンプを作って驚かせたいところだ。 禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは、あくまでヘッドホンアンプであって、スピーカーを鳴らすものではない。 例えば、スピーカーの保護は小信号用の OMRON G6A リレーであり、スピーカー保護には向かない。 たかじんさんの基板を利用するなら、PRT-01/02 を使う必要がある。 ここでは、PRT-02を採用したい。

また、ミニワッターとしたいので、電源電圧を少しは上げておきたかったり、出来上がりゲインを多めにしたいなど、修正箇所は多数あるはず。 また、たかじんさんの基板は、大電流を流すGND と信号系の GND を分けているので、それを理解して配線することも必要になるだろう。 当初の設計は下記の通り。

電源トランスは、禁断の ClassAA ヘッドホンアンプと同じにしたいが、このアンプはヤフオクでジャンクとして購入したRコアトランスであり、同じものは手に入らない。 とりあえず、手持ちの RS のトロイダルトランス 9V x 2 50VA を用いることにした。

to be continued…