Linaeum LS-1000 をメインスピーカーとして使うには、高域の華やかさがもう少しあるとうれしい。 Linaeum A-1 ではそういう不満はない。 考えることはひとつだ。 LS-1000のフルレンジと同じ構造のドライバである Linaeum A-1 のツィーター部をLS-1000のスーパーツィーターとして使うことだ。 このやり方でうまくいく可能性があるのかどうかを確認したい。
Linaeum A-1 のツィーターを LS-1000 の上にのせて、コンデンサ1本の 6dB/Oct ネットワークでつないでみる。 面白いことに、1µF でつないでも、それなりの変化がある。 1µF だと計算上のクロスオーバーは、26.5kHz だ。 可聴帯域ではないにもかかわらず、ハイハットの切れが増したように聞こえる。
コンデンサを増量して1.47μFに(1μFと0.47μFを並列)すると、計算上のクロスオーバーは 18kHz になる。 ハイハットの切れが増すのはもちろんのこと、高域の質感が向上したような気がする。 ただし、この状態では、中低域の華やかさに負けている。 さらにコンデンサを増量して、2.2μF にすると、華やかさという点では、やっとバランスする感じに聞こえる。 ただし、この場合は高域が量的に多すぎる感じは否めない。
2.2μFだと、クロスオーバー周波数は 10kHz だが、6dB/Oct なので、数kHz の領域まで音が出てしまっている。 実際スピーカーに近寄ると、スーパーツィーターが鳴っている感じがわかってしまい若干の違和感がある。
この欠点をなくすためには、ネットワークを 12dB/Oct にすれば良い。 計算してみると、クロスオーバー周波数を 10kHz にするなら、コイルが1mH、コンデンサが1.47μFあたりでよいようだ。 試聴してみると、かなり良い感じだ。 よって、Linaeum A-1 のツィーター部を LS-1000 のスーパーツィーターに使うことは決定。 むき出しだとせっかくの振動板を壊しそうに思い、カバーの一部を切り取り、配線を外に出すことにした。クロスオーバー周波数10kHz/12dB/Oct のネットワークは端子板にはんだ付けして、車用の両面テープで固定した。
この先の作業としては、スーパーツィーターを置く位置の決定である。 LS-1000の上に置くのは当然だが、前後の位置決めが必要である。 10kHz の波長は、3.4cm であることを考えると、センチ単位で決定する必要があるだろう。 こうなると、自分の駄耳での判定では心許ないので、周波数特性を測定する必要がある。
スピーカーの周波数特性の測定は、いつもアンプの歪み率測定で使用している WaveGene と WaveSpectra で可能だ。 ただし、測定にはそれなりのマイクが必要だ。 また、周波数特性が良いコンデンサマイクを使用するためには、ファントム電源に対応したマイクアンプ・・・DTM で利用されるオーディオインターフェースが必要と言うことだ。
周波数特性が良いコンデンサマイクだが、本格的な製品は数十万円の予算が必要だ。 私は廉価だが評判の良い Dayton Audio の EMM-6 を入手した。 必要とあれば、周波数特性の更正データでキャリブレーションをかけることもできる。
オーディオインターフェース選びは、いろいろ考えたが、聴き専に評判が良い MOTU M2を選ぶことにした。 M2 は DAC にESS Sabre32 を搭載している。 測定が終わってからも、バランス出力が可能なDACとしても使えることだろう。
to be continued…