バランス型プリアンプは完成するか・・・できた~

歪み率特性を測定してみた。 測定は ESI juli@xte と WaveGene & WaveSpectra で行った。 ESI juli@xte は、アンバランスとバランス入出力を切り替えられるサウンドカードである。 よって、バランス入出力の本プリアンプの歪み率を測定可能である。 この組み合わせによる歪み率測定は0.005%程度が限界である。

測定結果は下記の通りで、最低歪み率は 0.01% を割っており、全ての周波数で歪み率は誤差の範囲内で揃っている。 左右差も誤差の範囲内である。 自画自賛であるが、実に優秀な結果といいたい。

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使ってみて、リモコンで入力切り替えが出来て、音量調節が出来るのはとても使い勝手が良い。 加えて、仕様的にも我が家にぴったりである。 Ch-1 に Soulnote sd2.0b のDAC出力、Ch-2 にRaspberry Pi + SB32+PRO DoP によるネットワークプレーヤー出力、Ch-3 には、Soulnote ph1.0 の LP プレーヤーのイコライザ出力がつながっている。

現時点では、出力に Soulnote ma 1.0 のバランス出力、あるいは Softone Model 7(出力管 KT-66)がつながっているが、いずれ自作のフルバランスパワーアンプをつなげたい。

上はネットワークプレーヤー
下が本プリアンプ

バランス型プリアンプは完成するか・・・またもトラブル発生

念のために、特性をチェックしてみたところ・・・

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ボリュームが最大だと、500kHz 前後で 1 dB 程度のピークが出てくる。 面白いことに、電子ボリューム(VOL-12,  VOL-01)を 1 dB でもしぼるとこのピークは消える。

よく考えれば、電子ボリューム 1 dB 分の抵抗で、HPA-12 の入力回路に挿入された 100 pF との間でハイカットフィルターが働いたとわかるのだが、「トランジスタ回路は苦手・デジタル回路はわからない 」の先入観で、混乱してしまった。

実際、0 dB で使用することはないので、このままでいいかと考えたり、このままでは気持ち悪いと考えたり・・・・。 結局、たかじんさんの掲示板で相談してしまった。 なんと恥ずかしい。

結論として、HPA-12 の前に 1.8 kΩの抵抗で、このピークは消えましたとさ。

(左Ch:クリックで拡大)

(右Ch:クリックで拡大)

バランス型プリアンプは完成するか・・・トラブル発生

改良と調整のはずが、壊してしまった。

シグナルジェネレータとオシロであたってみると、セレクタ基板の SEL-12 で信号が途切れている。 VOL-12 の入力に触ってみるとノイズが発生するので、MUSES72330 が載っている VOL-12 と VOL-01 は無事だ。

たくさんの表面実装部品が載っている VOL-12 と VOL-01 が無事なのは朗報だ。 しかしながら、SEL-12 はマイコン制御でのセレクタ基板であり、デジタル部分が壊れていたら、私には直しようがない。 リレーを駆動しているトランジスタのベース電圧が明らかに異常であり、駆動トランジスタが壊れているのはすぐにわかった。

とりあえず駆動トランジスタを外して、マイコン制御の出力電圧をあたったところ、幸いなことにそちらは壊れていないことがわかった。 ほっとしつつ、駆動トランジスタを再度ハンダ付けして、おそるおそる電源をいれたところ、SEL-12 が正常に動作した。 よかった~。

さて、気を取り直して試聴したところ、当初はちょっと物足りない感じでがっかりしたが、コンデンサのエージングが進んだのか、音の粒立ちがよくなり、大規模な交響曲のトゥッティも滑らかで心地よい。 後は、特性のチェックだけだ。

追伸: 実は、再度の調整中に、また同じトラブルが起きた。

原因は、VOL-12、VOL-01、SEL-12 のデジタル系と HPA-12 のアナログ系の GND をつないでいなかったことにあることをたかじんさんに教えてもらった。 MUSES72330 の各種GNDが導通していないことから デジタル系、アナログ系の GND を分離して良いと考えた私のミスであった。

バランス型プリアンプは完成するか・・・改良を試みたが

さまざまな曲を1か月ぐらい聞いていたら、大規模な交響曲を聴いていると、トゥッティがうるさく聞こえることに気がついた。

また、たかじんさんの作成では、最低歪み率が 0.01 % を切っている。 本構成は2チャンネル合わせてバランス型にしているので、同じにはならないが、倍を大きく超えているのは、NFB量が足りないためかと思われる。

当初、HPA-12 のゲインを 5倍としたのは、私が作るアンプは低出力のものが多く、フルボリュームが 1V 未満のほうが使い勝手がいいだろうと考えたことや、学生の頃に作ったアンプでは、フラットアンプは 10倍 という固定観念があったためもある。 実際使ってみると、ゲインは有り余っているので、NFB量を増しても使い勝手に影響しない。

以上から、TIPS-12 の バイアスコンデンサを 10µFに増量することにした。Panasonic ECQE  メタライズドポリエステルフィルムコンデンサを用意した。 また、NFB関係をたかじんさんのオリジナルに合わせることにした。

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部品を入れ替えて試聴しようとしたら、なんと音が出ない。 壊れてしまった・・・

to be continued.

 

バランス型プリアンプは完成するか・・・配線と最初の試聴

配線にあたっては、ぺるけさんの平衡プロジェクト をひととおり熟読した。 一番参考になったのは、シグナルラインとアースラインの取り回しだ。 HOTとCOLDの2本のシグナルラインをしっかり捻って配線すれば、シールド線は不要というのは目から鱗だった。 それでよい理由は、平衡回路の基礎4・・・平衡回路の実装 に詳しい。 ぜひ一読されたい。 アースラインについては、ぺるけさんの作例 がとても参考になった。 あらためて、ぺるけさんに心から感謝申し上げたい。

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HPA-12 基板の TIPS集 の音質改善アイディアのほうは、

  • TIPS-10  電圧増幅部へのコンデンサ追加
  • TIPS-11  バイアス回路にコンデンサ追加

がある。 電圧増幅部のほうは、オーディオ用ハイグレード品電解コンデンサ MUSE KZシリーズ 1000µF 25V の追加とした。 バイアス回路のほうは、0.1µF~100µFとかなりの幅が指定されていたので、コメント欄でたかじんさんに伺った。

バイアス部のコンデンサは、音の雰囲気に影響がでます。
何も付けていないと、音数が多く聞こえるけど、音量を上げるとすこしうるさく感じる面もあります。

そこに、0.1~1uF程度のフィルムコンデンサを入れることで音が大人しくなってきます。

更に容量を増やして電解コンにすると、もっと大人しくなるのですが、何か音が物足りなくなってしまいます。

という訳で、好みで選択してください。とっかえひっかえしてみるのが良いと思います。

とご教示いただいたので、1µF のPILKOR 積層メタライズドフィルムをいれてみた。

さて、試聴してみると、プリアンプをいれたほうが、音数が増えた感じがして大満足。 しばらく、このままで聞いてみることにした。

特性的には、歪み率の最低が 0.03% 程度で、周波数特性は下記の通りですなお。 残留雑音は 0.05mV 程度であった。

 

バランス型プリアンプは完成するか・・・フラットアンプの作成とケース加工

フラットアンプ設計さえ終われば、作るのみ。 面倒かつ時間がかかったのは、2SK-170 の Idss 測定ぐらい。 ぺるけさんの冶具を以前に作成していたので、時間をかけて行うだけでいいのだが。 HPA-12自体は以前に作った経験もあり、NO TROUBLE で音が出た。 ミニアンプとしても動作するので、スピーカーをつないで動作確認。

ここまででは順調だったが、ケースでつまずいた。 プリアンプだから大した大きさにならないし、なんとでもなるだろうとタカをくくっていた。

トランスは3台で、φ60mm のトロイダルトランスと、おおよそ 70 mm × 80 mm の Rコアトランス TRS-12 を 2台である。 お気楽オーディオキット資料館を探すと、TIの超低ノイズ電源レギュレータの TPS7A47 と TPS7A33 を用いた正負電源基板 TYPE-I 電源は 80 mm × 120 mm とかさばる。 110 mm × 125 mm の HPA-12基板が2枚、さらに、ボリューム基板の VOL-12 & VOL-01、セレクタ基板の SEL-12 がある。

ボリュームとセレクタ基板はミニコン制御の都合であまり離せないといった制約があったり、表示用有機EL ディスプレイの位置も遠くに離すことはできない。 さらに有機EL ディスプレイをどのようにして前面パネルに取り付けるかも検討する必要がある。

ケースの大きさは大きいほど配置は楽だが、完成後の置き場所に悩むことになる。 ケースの高さは、XLR入力端子を横にずらっと並べれば小さくなるが、その場合は幅が著しく大きくなる。 まさにあちらをたてれば、こちらがたたず。 少々組み込むのが大変になるかもしれないが、幅 44cm、奥行き 33cm 程度で、高さは、 XLR端子を縦にふたつ並べられることを条件とした。 純A級フルディスクリートヘッドホンアンプをベースにしたフラットアンプなので、発熱対策も考える必要があるけれど。 結局、タカチ WO99-43-33S を選択した。 ウッドケースである必要はないのだが、たまたまオークションで新古品をゲット出来た。

加工は大変。 ぺるけさんお薦めの 24mmユニカ製のメタコアトリプルを購入し、安物だけど、振動ドリルとドリルスタンドも手に入れた。 おかげで、XLR端子の穴開けは十数分で完璧。 前面の角穴は、角に丸穴を開けてジグゾーできりとったら、十分な精度で十分弱で開けられた。 電動工具様々であった。 有機ELディスプレイは、しっかり絶縁した上で屋外用両面テープで取り付け、ホットボンドで補強と手抜きをしたが、実用上は十分すぎる強度が得られた。

(有機ELパネルの取り付け)

バランス型プリアンプは完成するか・・・フラットアンプの設計

たかじんさんの設計したフルディスクリート・ヘッドホンアンプ HPA-12基板を用いて、回路としてFET入力純A級フルディスクリートヘッドホンアンプをベースにするとしても、各種の定数を決定する必要がある。 これまでに考えたのは、次の2点だ。

  • 貴重なストックから 2SK170 を初段に用いる
  • SEEPの終段はシングル

決めなければならないのは次の点だ。

  • 初段のゲートバイアス抵抗と高域カットのコンデンサ容量
  • 終段のエミッタ抵抗
  • 終段に流す電流量
  • ゲイン(NF抵抗とその補償コンデンサ)
  • Zobel ネットワーク
  • フラットアンプのあとのDCカットコンデンサ等

MUSES72320 のデータシートの使用例からみると、初段バイアスは 470kΩ がよさそう。 初段の高域入力制限はトライ&エラーだろう。 終段のエミッタ抵抗は高いほうが安定度が増すので、たかじんさんの設計の倍ぐらい? そのかわり電流は多めで。 ゲインは少し高めにしておくと使い勝手がいい? ヘッドホンやスピーカーを駆動するアンプではないので、Zobel は不要では? フラットアンプのあとのCRは、フィルムコンデンサの入手性を考えると 1~2.2μF程度か?

たかじんさんのホームページで相談してみたら、設計者のたかじんさんから、ご回答いただいた。 心から感謝。

  • 初段のゲートバイアス抵抗 470kΩはそれでいいが、高域カットのコンデンサは必須で 100pF
  • 終段のエミッタ抵抗が高いと駆動力に影響するそうで、オリジナルのままとする。
  • ゲインはあまり大きくしないほうが良い。
  • Zobel ネットワークを入れたほうが良い。 ゲイン次第だが、2SK170 はゲイン高めとのこと。
  • フラットアンプのあとのDCカットコンデンサは10μ程度で、その後のターミネートは22~47kΩ
    → WIMA の メタライズドポリエステルフィルム(MKS2)を手配

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後は作ってみてのお楽しみ。

バランス型プリアンプは完成するか・・・電源部をどうするか

フラットアンプの HPA-12基板には電源部が最初から組み込まれている。 一方、MUSES72320基板のほうは電源部を作成する必要がある。 十分に Low Noise であることも要求したい。

お気楽オーディオキット資料館を探すと、TIの超低ノイズ電源レギュレータの TPS7A47 と TPS7A33 を用いた正負電源基板 TYPE-Iがあった。 これにしよう。 表面実装部品もあるが、比較的大きいこともあって、こちらは楽勝。

ダイオードはファストリカバリーダイオードの UF4007 として、電源コンデンサは、低ESR 低Z電解コンデンサ KZH 35V 2200μF を 3個並列とした。 TPS7A47 と TPS7A33の出力コンデンサは OS コンデンサを当てた。 このあたりは気休めだけど。

HPA-12 の電源のほうは、電流容量多めの UF2010 とした。 ショットキーバリアダイオードを使いたいところだが、電流容量多めのものは穴に入らない。 リップル除去用は KZH 4700μ ×2 でリップルフィルタ抵抗は大きめの 10Ω。 何しろフラットアンプでの使用なので、完全A級動作になるので。 終段のデカップリング用のコンデンサはたかじんさんの指定通りオーディオ用を用いた。 KZ を使いたいところだが、大きさの関係から、ニチコンの  FG 1000μF である。

電源ができたら、次はフラットアンプの設計だ。