「ヘッドホンアンプ」カテゴリーアーカイブ

そうだ!小型のバランス対応ヘッドホンアンプを作ろう・・・完成

最終回路図は、下記の通り。 同じ構成で終段の 2SC5191/2SA1930  をパラレルに、エミッタ抵抗を 0.47Ωとして、ミニアンプを作成したことがあったが、測定中に焼損させている。 今回のヘッドホンアンプのほうが、エミッタ抵抗が大きいなど、より安定な回路であることを考えると、ミニアンプのときは最初から発振していた可能性が高そうだ。 200kHz までの アナログオシロ程度の測定器しか持っていなかったのだ。

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Panasonic VP-7723A LPF 80kHz ON
Panasonic VP-7723A LPF 80kHz ON

雑音歪み率特性を上記に示す。 左右とも同じような特性で、20Hz から 20kHz までほぼそろっている。 残留雑音は、左 0.091mV(A-Weighted 0.0069mV)右 0.089mV(A-Weighted 0.0078mV)であった。

小さなシャーシに、むりやり組み込んだ割にはノイズの少ないヘッドホンアンプに仕上がったように思う。 肝心の音質だが、たかじんさん設計のいつもの慣れ親しんだ音としかいいようがない。 サウンドカード出力であることを考えると、バランス入出力の良さが現れているような気がする。 ただの自画自賛かも。

そうだ!小型のバランス対応ヘッドホンアンプを作ろう・・・なんだこりゃ

Analog Discovery で周波数特性を測ってみると、驚きの結果に。 500kHz 前後で、3dB近いピークが存在する。 ボリュームを最大にしていたので、あのときと同じかと思った。 入力のハイパスフィルタがないためだ。 あのときは、ボリュームを絞るとピークが消えた。 ボリュームを絞って計測すると下記の通り。 ピークは全く消えていない。 すなわち、修正すべき点があるということ。

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VFA-01基板(フルバランスパワーアンプ) のときも、単体では問題がなくても、BTL にしたとたんに、様々な問題が噴出したのを思い出した。 すぐに考えたのは、上図の初段のドレイン間にある 1000pF-330Ωのコンデンサ容量をあげることだ。 この時定数だと、fc = 480kHz 程度なので、2200pF とすれば fc = 220 kHz 程度となる。とりあえず、この修正を加えて取った周波数特性が下図。

赤はボリューム最大で測定、ピンクはボリュームを常用域まで絞ったときに測定している   クリックで拡大

ボリューム最大では、まだ 1dB 程度のピークが存在する。 このピークは、ボリュームを常用域まで絞れば解消することがわかるが、美しくない。 さらなる対策がいることがわかるが、微分補正・・・すなわち、メインループの NFB に抱かせているコンデンサの増量で対処することとしよう。 さらに、安全のために入力のところに、ハイカットフィルタをいれておこう。 メインループの NFB は、22kΩ // 10pF で fc = 720kHz ほどなので、22pF まで増量して fc = 330kHz とすればいいだろう。 入力のハイカットフィルタの抵抗は基板上で入力 DCカットの電解コンのパターンを使うとスマートだろう。

最終周波数特性を上図に示す。 ボリューム最大位置で -3dB となる周波数は 450kHz 程度だが、ボリュームを常用の位置では 50~60kHz 程度まで下がるだろう。 位相回転も十分に少なく抑えられており、申し分ないと思われる。

to be continued…

そうだ!小型のバランス対応ヘッドホンアンプを作ろう・・・作成編

ケースのアルミ厚が 1mm ということもあって、ケース加工は簡単だ。 少し頼りないが、大きさ優先だからしかたがない。

奥にトランスをおくので、スイッチは裏面とした。 基板2枚で 19cm なのに、ケース幅は 20cm と全く余裕がないので、100V の AC配線を前面に持ってくるとノイズ対策が大変になりそうなので、避けることにした。

同じ感覚で、入力は前面にした。 差し替えするときの便利さを優先したといってもよい。 スペースの観点から 6.3mm TRS フォン端子を用いることにした。 出力は XLR 4 ピンメス(ノイトリック)だ。空いているところに、パイロットランプ(LED)を配置した。

部品のレイアウトさえ決まってしまえば、作業は一本道。 バランス入出力とあって、アースの取り回しをあまり考えなくてよいのもありがたい。 土曜の午後から初めて、日曜の午前中には、動作を確認できた。 ところが、蓋が閉まらない。 下のはらわたを見てもわかるように、横幅ギリギリまで使っている。

この写真は後に述べる修正作業前のもの、クリックで拡大。

よって、蓋の方を細工して、しめることにした。 幸いにしてカバーのほうなので、たいした強度はいらない。 ここまでしても、カバーをかけるときには、若干の工夫が必要で、ずらしながら、だましだましはめる必要がある。

to be continued…

そうだ!小型のバランス対応ヘッドホンアンプを作ろう・・・構想編

電気工作部屋には、LP player Kenwood KP-9010、I2S 接続 SACD/CD Player Pioneer DV-610AV、DA Converter Gustard DAC-A22MOTU M2アナログ対応バランス型プリアンプバランス入力 6R-HH2 全段作動ミニワッター、Tangent Evo4 + Fostex Submini2 (2台)のオーディオ機器がある。 

小型のバランス対応ヘッドホンアンプをいずれ作ろうと思って、たかじんさんの Sound RABBIT の基板を確保しており、これを作ろうと思った。 ところが、手元にはバランス入力プリアンプ で使っていた HPA-12基板と専用Rコアトランス TRS-12 が 2 個ずつある上に、デスクトップパソコンには、サウンドカード Juli@Xte がささっている。 Juli@Xte は、バランス入出力/アンバランス入出力のどちらかを選んで使用できる。 ドライバも、Windows 11 への対応している。 Juli@Xte のもととなった Juli@ は一世を風靡したサウンドカードで、AVWatch でも紹介されていた。

こうなれば、廃物の有効利用で、デスクトップパソコンの上に置けるバランス入出力のヘッドホンアンプを作ろう。 HPA-12 は、初段に貴重な選別品の 2SK170 を使っている、終段は 2SC5191/2SA1930 のペアだ 。 

トランスは、専用 TRS-12 を2台使おう。 たかじんさんのおすすめのツイン・モノ・コンストラクション・・・ ボリュームは、バランス入力のアンプを作るときに必要になるだろうと思って、秋葉原で見つけた ALPS RK-27 4連(50kΩ)である。

問題は大きさだ。 デスクトップパソコンのケースは、20年近く使い続けている Antec SOLO Black で、幅は 20cm である。 この上に乗せられるケースで、2台の HPA-12 をどうやって収容するか。 HPA-12は、95mm x 110mm であり、2台並べると 20cm の 横幅のケースで、1cm しか余裕がないことを意味する。 できたら、上面が黒い方がよい。 そんなケースはあるだろうか。 いろいろ調べてみると、タカチ YM30-5-20 なら、ぎりぎりながら、なんとかなりそうだ。 後は現物合わせということで・・・

to be continued…

Adam Audio SP-5 バランス改造

バランス改造した Philips SBC HP1000Hifiman Edition XS & Ratoc RAL-DSDHA2 の購入は記事にしていた。 たかじんさんのHPA-1000ヘッドホンアンプClass AA ヘッドホンアンプを作成したので、RAL-DSDHA2 はお役御免となったし、Hifiman Edition XS も手放して、たかじんさんと同じく Hifiman Aryaに変更したりしていた。

それだけではない。 記事にしていないが、AKG K-701(通称澪フォン)、AKG K-712、Beyerdynamic T5p 2nd、Sennheiser HD800S、Ultrasone Edition Eleven、Adam Audio SP-5 を手に入れ、状況に応じて使っている。  澪フォンは娘に取られて、手元にはない。

Adam Audio SP-5 は、Ultrasone の協力の下に作られたヘッドホンで、S-Logic plus が搭載されている。 Ultrasone S-logic は好みが分かれると思うが、スピーカーを聞いている感覚に近いので、私にとっては受け入れやすい。 Edition Eleven は開放型に対して、Adam Audio SP-5は密閉型である。 Adam Audio SP-5 の唯一の欠点は、バランス接続に対応していないことだ。 低音の定位感がいまひとつに聞こえる。 本家の Ultrasone からバランス接続に対応した Signature Master MkII がでたので、いずれ買おうと思っていた。 その Signature Master MkII だが、現在ではだいぶ安く中古で入手できるので、新品同様品を e-earphone で試聴したのだが、違和感たっぷり。 無味無臭で、たしかにモニター用にはよいのかもしれない。

よって思い切って、Adam Audio SP-5 をバランス改造することにした。 分解記事を探したのだが、なかったので防備録である。 イヤーパッドは引っ張れば取れる。 下記の穴の中にねじ止めされておいて、それを取れば簡単に内部にアクセスできる。 ねじは普通のプラスねじだ。

接続部は、2.5mm ジャックが固定されているが、ねじを外すと、取付穴が顔を出す。 ここに マル信無線 MJ-079 がちょうどよくはまる。 すこし穴が大きいので、ブチルゴムのテープに穴をあけてはめて密閉性をよくすることとした。

3.5mm 4極の TRRS ジャックをつなぐことになるが、大きく分けて、SONY 方式(先端から L+, R+, R-, L-)と FOSTEX 方式(先端から L+, R+, L-, R-)があるようだ。 下記は、誤って SONY方式で配線したときの図だ。 SONY のヘッドホンは、私の好みとは異なるようなので、FOSTEX 方式で統一しようと思う。

バランス改造して、音の定位感がよくなったのはもちろんだが、高域まで雰囲気感がよく出るようになったように思う。

現在、ヘッドホンアンプは自宅に1台、単身赴任先に1台ある。 電気工作部屋には、MOTU M2 があるが、バランス対応ではない。 バランス用がほしくなった。

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・はらわた

左から、電源スイッチ、出力切り替え、ヘッドホン(XLR4)、NFB切り替え(LEDはNO-NFB時ON)ボリュームつまみ。
足はアルミ無垢(AFM44-20S)にした。
スピーカー出力は、バナナプラグ専用。 ほとんどたかじんさんのデモ機と同じ配置になっている。
中央の緑色の基板は、NFB切り替えのリレー用基板。 見ての通りで、各基板は数ミリ程度しかはなれていない。 QHコネクタのおかげでなんとか配線できている。

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・再度のトラブルシューティング

最初に考えたのは、はんだ付け不良だ。 音を聴きながら絶縁物で部品をたたくと、はんだ付け不良がわかる。 どこも異常がない。 各部の電圧は正常だし・・・・。 万事休すか。

修正をあきらめて、風呂に入っているときに、左右で違うところとして、アースラインを思い出した。 MUSES72320 ボリューム基板は、入出力ともに左右別の GND端子がある。 これは、たかじんさんによれば、MUSES72323 自体が左右の GND を分けて、チャンネルセパレーションをよくする工夫をしているからとのことだ。 しかしながら、左右別のGND をそのまま入力端子につなぐと、音源で GND は一緒になるので、下図のように左右のRCAケーブルを通して、音源とHPA-1000 のSGNDで大きなループを形成してしまう。 これはノイズ対策上問題になる。

点線がアースループを示している

上記の問題を避けるために、下図のように、入力端子の GND をつなぎ、MUSES72323 基板の左チャンネルのシールド線を利用して、アース電位を供給していた。 こうすれば、上述のループは形成されない。

上図だと、アースラインのループは形成されないが、シールド線によるアース電位は、左チャンネルの信号により、影響を受けることになる。 もしかすると、信号が大きくなると歪み率があがるのはこのためかもしれないと、風呂の中で考えたのだ。 シールド線を通して入力端子の GND をつなぐのではなく、下図のように HPA-1000 の SGND から直接つなぐことにするのだ。 こうすれば、ループも形成されないし、チャンネル信号がアース電位に影響を及ぼすこともない。

結果は大成功で、全体的に歪み率が下がった。 たかじんさんのオリジナルより歪み率は今一つだが、NFB量が6dB 少ないことを考えれば妥当と思われる。 音質はぐっと変わった。 ダイナミックさが大幅に増した。 たった一本の配線の違いで、こんなに影響が及ぶことがあるという貴重な体験をした。 

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・測定してみる

音が聴けるようになって、たかじんさんのコメント「高級ヘッドホンを駆動するならHPA-1000がおすすめです。 HPA-12からすると一つ上の階に上がったかのような景色が見られると思います。」が気になる。

確かに、HPA-12のA級ミニアンプ(27番のところ)で、ヘッドホンを駆動するより良いのだが、上流の音源次第であるように思えるし、一聴して上という感じがしない。 ブラインドで聴かされたら区別できない。 HPA-12のA級ミニアンプが思いのほか良いのだろうと思っていた。

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周波数特性は左右ともほとんど同じで、-3dB 点はおおよそ 270kHzだ。 位相回転も少なく、素晴らしい特性といえる。

ところが歪み率特性を図り始めたら、とんでもないことがわかった。ヘッドホンを考え、33Ω負荷にて測定したところ、1kHz での歪み率は、0.1mW では左右とも 0.07% と同じだが、10mW では左ch 0.17%、右ch 0.02% と差が開き始め、30mW では左ch 1.0%、右ch 0.07% と桁が違ってくる のだ。 1000mW 程度の定格出力であることを考えると、30mW でこんな歪み率になるのは、あきらかに異常といえる。

どこがおかしいのだろうか。 解決できるのだろうか。

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・音が出るまで

HPA-1000 の入力端子は、はんだ付けではなく、2.54mm ピッチのヘッダピンにしておいたので、そこをショートするとハム音が消える。 外部から適当な音楽を流し込むときれいな音が流れることから、問題はMUSES 72323 ボリューム基板である。

オシロで動作することを確認していたのに、なぜだ? 壊してしまったかと、取り外してオシロで再確認すると、問題がない。 きちんとボリュームとして動作している。

ハムがでることから、アース関係だろうと思われることからアースの問題だと思われるが、電源を PRT-03 から取っている以上、アースはつながっているはず。 すぐに考え付いたのは、シグナル関係のアースがつながっていないのではと考え、HPA-1000 両基板の SGND間のアースをワニ口クリップでつないでみると、音は出るけどボリュームとしては機能していない。 たかじんさんのホームページでヘルプをもらおうかと思ったが、回路図片手に考えてみることにした。

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回路図を検討すること1週間、わかったことは次の通り。

  1. 電源のGNDは、信号ラインのアースにはつながっていない。
  2. 信号ラインのアースは、左右で分離している。
    → 現状の配線では、信号系のアースがつながれていないので、ハム音がでるのは当然。
    → PRT-03 に一点アースするのが低雑音の決め手であることから、信号ラインのアースは、HPA-1000 の SGND からループができないようにつなげばよい
  3. たかじんさんの説明ページでは、アッテネータとして使う時には、オペアンプの3番と6番をつないで使うように指示があるが、そうすると、MUSES72323 の R+ 信号と R(OUT)信号が混合されることになる。
    → MUSES72320 基板と同じ使い方をするなら、3番だけから出力を取り出せばよい。

以上が正解で、音が出始めた。 「めでたし、めでたし」と思ったが、本当のトラブルシューティングは、実はこれから・・・

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・作成編

まずは電源部からということで、PRT-03 を作成した。 作成途上で、不具合情報があり、自分はパターンカットで対処。 作成前に不具合情報が手に入って対処できたのは大変ありがたい。

MUSES72323基板はアッテネータとして利用するため、オペアンプ部とそのパスコンの部分は実装しなかった。 0.65mm ピッチのMUSES72323 のはんだ付けは、今回は一回で成功。 過去の失敗が生きた。 発振器とオシロで動作確認して、作成完了。 組み立てが楽になるように、ボリューム部分は 2.54mm ピッチのヘッダピンをたて、QIコネクタで接続するようにした。 1.6mm ダイスでの圧着にもだいぶ慣れたせいか、今回は多用してしまった。

本体基板の作成は小さな表面実装部品がないから楽勝のはず・・・がそうはいかなかった。 いくつかの解決すべき問題がある。

  1. MUSES72323 基板はアッテネータとして使用するので、HPA-1000基板のすぐ近くに配置する必要がある。
  2. NFB回路をシャーシ前面のスイッチまで引き回すわけにはいかないので、リレーでショートさせることにする。 NFB回路の端子が、先のMUSES72323基板からの入力端子と極めて近いところにある。
  3. 終段とドライブ段のトランジスタは基板ごと固定となり、M3 のタップ霧が必要で、ステレオ分で10個も。
  4. ステレオ分の2枚の基板と PRT-03 の SGND と を太い線でつなぐ必要がある。

    つまり、位置決めはやり直しがとても難しい。

結局、たかじんさんのデモ機と同じ配置で、2枚の HPA-1000 基板の間に最小限に切り落としたリレー基板をおき、MUSES 72320 基板は側面に配置することとした。

幸いにして、一発で、HPA-1000基板は DCバランスがとれて、バイアス調整もすんだ。 NFB 量が少ないので、安定度は低めだが、しっかりおいこめた。

喜んで、MUSES72323 基板とつないで、テスト用スピーカにつないで音を確認しようとしたら、音が出ないどころか、強烈なハム音がでてくる。 なぜだ?

to be continued…