Super Woofer と QUAD ESL-63 | (98/11/1 記) |
平成10年の5月末に、私達は、日本に戻ってきた。 戻ってきて、一番最初に試したのはオーディオ装置の点検と掃除。 幸い、湿気のために QUAD ESL-63 がちょっと機嫌が悪いぐらいで、問題はなかった。 オーディオ関係は、留学のために、JBL のサブシステムを作ったぐらいで、いろいろ試したくなっていた・・・
以前から、試してみたかったのは、QUAD ESL-63 にサブウーファを加えてみようという試み。 QUAD ESL-63 の低域は、小編制のオケものぐらいまでなら、十分だけれど、私の好きな Schumann あたりだと、ちょっともの足りない。 Brahms あたりだと、ちょっと欲求不満になることもある。 (後ろから、贅沢だという妻の声あり・・・ ^^) どうせ聴くなら、よりよく聴きたい・・・・
Super Woofer の追加について、だれか他にやっていないかなぁと思い、NIFTY SERVE の FAV の会議室に書き込んでみたところ、Yamaha YST-500 を使用して、改善を得たというレスをいただいた。 改善効果は、大編成の曲に対する苦手意識がなくなったように感じたとのことだ。 そんなわけで、私も試してみようと、以前から思っていたわけ。
Super Woofer について書く前に、私の聴いている部屋について書いておくべきだろう。 部屋の大きさが、Super Woofer の試みが成功するかどうかに関わっているらしいからだ。オーディオ装置をおいている部屋は、建売マンションの1階で、おおよそ 15 畳弱のスペース。 床はフローリング仕上げ。 壁面はごく普通の建材で覆われている。 部屋の高さは、2 m 40 cm ある。 防音は、マンション購入時のままで、特に何もしていないが、隣人の生活音は全く聞こえない程度である。 部屋には、オーディオ装置とテレビ、食器棚2つ、ローセット・テーブルだけが置いてある。 下に概略図を示したが、丸いじゅうたんがひいてある。 完璧とは言えないものの、定在波対策で、これがないと、フラッターエコーが鳴り響いてしまう。
上記の写真は、リスニングポイントの右後ろからみた部屋の様子だ。 機材をおいているところは、ちょうど出窓のような形になっているので、そこに押し込めている。 見ての通り、ESL 63 の後ろ側は、壁になっている。 リスニングポイントは、丸いじゅうたんのあたりで、クッションなどに座って聴いている。 主として、直接音を聞くことになるが、リスニングポイントから、後ろの壁面までは、3メートル以上とれるので、後方からの間接音が、聴取にあたって悪い影響を与えることはないだろうと思っている。
さて、本題に戻って、Super Woofer の追加を決めたのだが、場所の制約から、YAMAHA YST シリーズなどの省スペース型のものしか、置く余裕がない。 YAMAHA YST-500, 1000 を候補としていたのだが、すっきりと収納できるのは、YST-500 のみで、YST-1000 だと、左右のスピーカーの間に置くことができない。 低域は方向間がないので、3Dで、十分に大丈夫だと言っても、全く別の方向から音が聞こえてくる状況は、好ましくない。 問題は、YST-500 でいくら QUAD ESL63 が、コンデンサ型で低域が弱いと言っても、100 Hz 前後の通常の低域は十分にでているので、今回の目的の場合、カットオフ(クロスさせる)周波数は、30 - 70 Hz 前後になるはず。 それよりも高いところであれば、定位感などに悪影響が出ることを避けられないであろう。 幸い、カタログスペックから、YST-500 でも、私の用途に使えそうだったので、さっそく注文した。
店頭で見たときには小箱にしか見えなかったが、家に来るとけっこう大きいものだ。 防振ゴムではさんで、ラックの中に押し入れた。 さっそく音出し。 試聴ソースは、仏パテ版の、サン・サーンスの交響曲第3番、「オルガン付き」の LP にした。 まず、小手調べとばかりに、カットオフ周波数を 100 Hz にセットして、音量を調節してみる。 音がブーミーになるばかりで、バランスが取れない。 音がブーミーになるということは、低域が量的に多すぎるということだから・・・ と考えて、音量を絞ってしまうと、Super Woofer の効果が全くわからない。 失敗か! 焦る、焦る・・・・。
低域がブーミーになるのは、ESL-63 の側から、十分な低音が出ている証拠と考えて、思い切りよく、カットオフを 50 Hz まで、落としてみる。 今度は、音量を増やしても、音がブーミーになることはない。 しかし、低域の質感は、あまり改善がない。 おそらく 50 Hz と 100 Hz との間に、適当なカットオフがあるのだろうと考えて、試行錯誤を重ねてみた・・・。 音量を大きめにセットすると、カットオフ周波数を下げれば、バランスが取れたように聞こえる。 しかし、カットオフ周波数が低すぎると、低域の質感の改善感がなくなる。 一方、カットオフ周波数が高すぎると、逆に、低域の質感が低下し、ブーミーでバランスが取れなくなるようだ。 カットオフ周波数をどれぐらいにすると、低域の質感が最良になるかがポイントになるようだ。 私の場合、60 Hz だと、比較的タイトな質感で好感が持てるが、ボリューム不足。 70 Hz だと、低域の質感は、むしろゴージャスになるが、ちょっと締まりが足りない感じに思えた。 間をとって、65 Hz にすると、どっちつかずで、おもしろみに欠ける感じ。 ここで、試聴するソースを、室内楽やピアノ独奏曲に変更してみると、60 Hz では生真面目な優等生、70 Hz では艶っぽいグラマラスな女性という感じに聞こえる。 やっぱり、楽しめなきゃ・・・ ということで、カットオフを 70 Hz に固定して、音量の調整をした。
あとは、いろいろと試聴してみるだけ。 大編成ものは、とにかく気分がいい。 QUAD 単独だと、こじんまりとまとまって、箱庭的な感じがつきまとうことがあるが、Super Woofer 付きなら、そんなことはない。 意外なことに、もっとも改善されたのは、ピアノ曲である。 ペダルを踏んだときの音とそうでない時の音との差が、歴然としてくる。 つまり、ピアノ本体の箱鳴りが感じられるのだ。 ここ一番の強奏の時の音の余裕度が全然違う。 Super Woofer なしだと、やかましいだけに感じることもあるが、Super Woofer 付きだと、快感そのものである。 Jazz Piano などでは、本当に Super Woofer の独壇場といえる。 QUAD ESL-63 で、大西順子を聴く・・・なんて書くと、気が狂ったのかと言われそうだが、Super Woofer 付きなら、とても気持ちがよい。 スカッとする。 超低域が加わると、上の方まで音が変わると聞いていたが、まさにその通りだ。
QUAD で、大西順子が快く聴けるのなら、JBL ならもっとよいだろうと思い、Super Woofer をJBL のサブシステムに、つないでみた。 このサブシステムは、わたしのコンピュータなどを置く部屋にあり、6畳程度の広さだ。 JBL の低域感は、バスレフのおかげで、けっこうな量があるので、QUAD と同じ周波数でつないでみた。 ところが、全然、改善された感じがしない。 いろいろいじってみると、カットオフが 120 Hz ぐらいで、やっとバランスする感じ。 この場合、Super Woofer 側の音量をあまり上げることはできないし、トータルバランスも QUAD ほど良くない。 16 cm 2 way のシステムとはいえ、カットオフ 120 Hz というのは解せない。 はたと気がついたのは、部屋の大きさに依存しているのかも・・・ ということ。 さっそく QUAD をおいてある部屋に JBL, Super Woofer を持ち込んだところ、QUAD と同じカットオフ周波数でバランスがとれた。 バランスが取れてみると、QUAD と JBL との音質が、意外なほど、似ていることに気がついた。 Super Woofer なしだと、歴然としている違いが、Super Woofer をいれることで、音質の差が薄まってきた感じ。 ブラインドテストをされたら、私では差がわからないかもしれない。 よく聞き込むと、JBL のほうが音が細いこと、QUAD の方が音場感が良いことがわかるのだが・・・。
この経験からすると、Super Woofer を効果的に利用するためには、やっぱりそれなりの広さの部屋が必要なようです。 QUAD ESL-63 をお持ちの皆様、Super Woofer と合わせると、もっと良くなりますよ〜〜〜。
簡易測定器をつかった調節の様子が、 測定は大切:スーパーウーファの調整 に記載されています。 ご一読ください。(99/9/19 追記)
(to be continued...)