発振対策を行った上で、ひととおり、各部をチェックしてみた。 ドライバ段が予想通りに増幅しているかとか。
オシロで確認してみると、先に下側がクリップしている。 どうやら動作電流が適当でないらしい。 LM334Z の制御抵抗を100Ωの半固定抵抗に変えて、オシロで確認しながら、上下同時にクリップするように調整した。 このときのカスコードトランジスタのコレクタの電圧は、両チャンネルともほぼ100Vであった。
出力段 KT88 で調整していたが、他の球に変えてみると、バランスがとれない場合もある。 ぺるけ師匠が、10k 二連ボリュームにしていたのは、調整域を広げるためであったことを思いだした。 近くで手に入るのは Aカーブしかないので、試してみようと思ったが、よく考えれば、10kΩのボリュームから Vc-(-3.0V)への抵抗を小さくすれば、調整域を広げられる。 10kΩから 3.3kΩとしたところ、すべての球で調整可能であった。
最終回路図(クリックで拡大)
両チャンネルとも、ひずみ率 5% での出力は、おおよそ14W で、ほぼ計算通りである。 雑音ひずみ率は、両チャンネルとも 0.002W ~ 4W まで 0.1%以下で、0.1W あたりは、0.015% 程度と極めて低歪みである。 残留雑音は、デジタルマルチメータ GwInstek GDM-8261A で測定して両チャンネルとも 0.10-0.12 mV 程度(A補正なし)である。 ダンピングファクターは、 両チャンネルとも 10.0(ON-OFF法)である。 クロストークは、左→右、右→左とも、10Hz ~ 30kHz で -82.5dB、100kHz にて -74.9 dB (1W出力時)であった。 正直、クロストーク特性については、ダミーロードの位置によって、10kHz 以上で測定値が変動する。 30kHz までは、残留雑音と変わらないことはわかっている。 100kHz については、えいやで測定した数字で本当はもっと低いかもしれない。