禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・トラブルシューティング

さすがに、同じトラブルをやらかせば、すぐに気が付く。 100Hz の歪み率だけ悪いのはアースの問題だと。 ClassAA基板のみで歪み率を測定すると、100Hz でも 1kHz とほぼ同じ歪み率なので、問題は電子ボリュームあたりのアース処理に問題があると。 HPA-1000 でも同じ問題で悩んだ経緯があり、たかじんさんから下記のコメントをいただいた。

GNDの接続、とくにループになってしまうことによる影響は大きいですよね。

ハムノイズとして現れることが多いのですが、ひずみ率として捉えるのは面白いと思いました。

HPA-1000 は2枚の基板をあまり離さずにGNDラインを1本で繋げるという手法をとってもらうのが理想です。 でもそこに電子ボリュームが入ると、電子ボリュームの電源のGNDが必要になり、GNDループが発生します。

この辺の処理はいくつかあるのですが、トランスからの漏れ磁束を拾ってしまう事もあったりして、ハムノイズという現象だけを追っていると一筋縄ではいかないんですよね。
GNDだけでなく、信号ラインからも漏れ磁束を拾ってしまうから。

PGA2311 電子ボリュームの信号系のアースを、ClassAAアンプ基板の入力端子から供給するのではなく、電源であるPRT-03 の S-GND から供給することにした。ひずみ率特性のみならず、音質向上が得られたのは言うまでもなく。

ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)
ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)

雑音歪み率は、100 Hz から 10kHz まで、左右差なくよくそろっていることに加えて、最小で 0.003% と HPA-1000 より優れている。 特性が優れているからと言って、音質が優れている証拠にはならないが。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、3.5W程度は出るので、知人宅で、Technics SB-MX100D を鳴らさせてもらう機会を得た。 ClassAAアンプは Technics のお家芸だからだ。 絶妙の空気感に驚いた。 村治佳織のギターが目の前に浮かび上がるように聞こえる。 何よりも素晴らしいのは、奏法の違いがよくわかることだ。 1980年代に聞いた Technics の高級機を彷彿させる、ちょっと離れたところからきれいに響かせる感じといったらいいだろうか。 ジャズトリオなどでは、楽器の位置関係がよくわかって、響き合う様子もよくわかる。 この感じは、手持ちの Linaeum や Dynaudio では得られないものだ。

閑話休題。 私が作成した HPA-1000 は、初段トランジスタに 2SC2240 を使っているためか、清楚で女性ボーカルの良さが引き立つ感じがとてもいい。 隅々まで音の余韻が聴こえて大人な響き。 穏やかなで落ち着いた雰囲気。 これに対して、この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、HPA-1000 に比べると、もう少しクールにまとめてくる。 Modern Jazz Quartet のおしゃれさがよく目立つ。 交響曲を聞くと、HPA-1000 は、ホールトーンもよく聴こえる中央よりやや後ろの席。 この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、よく全体を見渡せる2階席の最前列といった感じ。 

いずれにせよ、難産だった禁断のClassAA ヘッドホンアンプが完成して、とてもうれしい。

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