アナログ対応プリアンプなので、フォノイコライザーも必要だ。 スペースファクタの問題から、ディスクリートは無理なので、オペアンプによる回路にならざるを得ない。 使用するカートリッジも、Denon DL-103、Shure V15-TypeIV、Philips GP-422Z/II、GP-922ZとMC型もMM型もあってさまざまだ。 気楽に楽しむという点からは、MM型を常用する可能性も高い。 MM型にしておいて、MCヘッドアンプ・トランスを利用するのも良いが、スペースファクタを考えると内蔵がありがたい。
フォノイコライザでは、RIAA特性を得るために、50Hz(3180μS)から 500Hz(318μS)まで +6dB/oct の低域ブーストを行ったうえで、2.12kHz(75μS)から上の周波数では -6dB/oct の減衰を必要とする。CRによるハイカットフィルターを用いる場合は、フィルターを低インピータンスドライブかつ高インピータンス受けが必要なため、2段の増幅器を重ねる必要があり、S/N比の悪化が問題となる。 その一方で、上記の時定数をNF回路で行う場合には、低域と高域でNF量が数十dB異なる上に、そのインピータンスが低いため、その対応が必要という面倒くさいことになる。 もちろん、そういううるさいことを言わなければ、オペアンプ1本に適当な時定数のNFをかければ、音は出るのだが・・・。
今回の目的には、さらに、MC/MMの両対応が望ましい。 検索エンジンで調べてみると、MC/MM 切り換え機能付きのCR型イコライザーアンプが結構多い。 Linkman(マルツ)の LV3-PE はサブソニックフィルターもついており、仕様も悪くない。 欠点は単電源であることなので、改造すれば使えなくはない。 さらに調べてみると Analog Device 社の超低ノイズ、低歪み、オーディオ・オペアンプ(とメーカーが称している) LT1115 のデータシートには、今回の目的にぴったりの使用例が掲載されていた。
これはよい。 上記の回路が今回の目的に合致するうえに、高速±150mAパワー・バッファ LT1010CT でNFB回路を強力にドライブしており、オペアンプ1本のNF型とは段違いの制動能力が期待できそうだ。 実際、この回路を試した方が、色気があって情報量が多く、かかったコストの低さからは信じられない音と評している。
作成する上での困難さは中途半端な値の抵抗を要することだが、GOOGLE で検索をかけたら、ありがたいことに完成基板として売っていた~!
さっそく取り寄せて、バラックで聴いてみると、本当に低ノイズで音質的にもいい感じだ。 問題点はサブソニックフィルターをどうするかと、unbalance – balance 変換をどうするかだ。
to be continued….