I2S over HDMI コンバータの基板は・・・後編

予備のコンバータではうまくいったのに、なぜだ・・・。 よく見ると、予備の基板は何やらおかしい。 下の写真に示すように、ICのひとつが白い接着剤で固められている。 先に細工した基板では、この白いのがない。

予備の基板

どうやら、外見上同じに見えるコンバータであるが、上記の細工がしてあるものと、していないものがあるということのようだ。 今回、私は予備のコンバータが、Gustard DAC-A22 にぴったりだったという幸運をひきあてていたようだ。

先に行った細工は無駄で、単にショートしておくだけで、SACD再生時の左右が正常化するようだ。 念のために、 DENON オーディオ・チェックSACDを購入して、再確認しておこうと思う。

ここまでくれば、トランス式電源を作っておけば、一通り完成だ。 説明書きには、HDMIケーブル経由の電流で間に合えば不要とのことだが、DSD出力ができなくなるので電源は必須だ。 消費電流を図ると動作時で 150 mA 程度だった。 高周波特性が悪い、逆に言うと電源ノイズが漏れにくい EIコアのトランスを用いて、5V 0.5A 程度あればいいだろうと考えて、マルツに HT-1205 (12V 0.5A)を買いに行ったら、なんと¥2,500 強。 1000円程度で買えていたのに。 

回路は上記の通り。 整流後の電解コンデンサは、超低ESR、超低インピータンスで、105℃品の KZHを2個。 I2S over HDMI コンバータを上に置くことを考えて、ケースをタカチ MB7-5-10 にしたので、多数並列は断念。 三端子レギュレータのパスコンは、お好みの PILKOR(旧 Philips 系)として、OSコンを追加。 OSコンは出力端子にはんだ付け。 スペースの関係で縦ラグを使った配線・・・

この電源は、予想通り、作成して動作確認時はとんでもない音。 KZH電解コンデンサも、OSコンも、初期エージングがとても大切。 48時間つけっぱなしにして、聴ける音になった。 これで、電気工作部屋でも、CD/SACD を満足いく音で聴けるようになった。 めでたし、めでたし。

ところで・・・
左右チャンネルをいれかえるためにDIGIKEY から取り寄せた OMRON G6A-274P 5V は届いたけど、部品箱直行になったとさ。 全然、めでたくなんかないじゃないか。

I2S over HDMI コンバータの基板は・・・前編

CD(PCM入力 over HDMI)で左右が誤った出力になってしまう。 USB入力などの他入力と異なる結果になってしまうことから、力業で左右を変えるしかないかと考えた。 このコンバータは、5Vの電源を使うので、5Vのリレーで手動で左右を入れ替えるわけだ。

こういうときのリレーは当然ながら、OMRON G6A を使いたい。 理由は、金クラッド接点だからだ。 ところが、マルツにもモノタロウにも在庫がない。 モノタロウなら、G6A-234の在庫があったが、長期ストック品(>7年)であり、あまりうれしくない。 ネット上で調べてみると、なぜか DIGIKEY には大量に在庫がある。 DIGIKEYは¥6,000 以上なら、送料無料だ。 他に買いたいものを探さないと、相当割高になってしまう。 定電流ICの LM334Z は、全段差動アンプの前段には好都合だが、秋月電子では1個570円(2023年2月)と結構いい値段で購入をためらっていた。 DIGIKEY だと、在庫は少ないが、カットテープ品が1個160円だった。 まとめ買いするともっと安くなる。 これ幸いと、30個まとめ買いすることにした。

届くまでの間に、I2S over HDMI コンバータを分解してみた。

ねじを外してみると下記の基板がでてくる。 右側に OP1 OPTION との記載がある。

(クリックで拡大)

基板の裏をみると・・・

上記を見てわかるように、DSD入力の時の左右が変わる。 試しに、予備のコンバータの OP1 OPTION をはんだでショートしてから試してみると、CDのときの左右が入れ替わった。 ここをスイッチで切り替えられるようにして、切り替えの状態をLEDで表示できるようにしてみた。

OPTIONのところに、AWG28の電線をはんだ付けした。

基板用のトグルスイッチならなんとか余白につくので、無理やり上記のように配線してみた。 SACDの左右がスイッチで入れ替わるのを確認できた。 ところが、CDを再生してみるとおかしい。 左右が入れ替わっていない。 予備の基板ではうまくいったのに・・・

to be continued….

Gustard A22 の HDMI入力 を設定しよう

Gustard A22 のHDMI入力の設定には、PHASE INVの項目がある。 バランス出力であれば、2番ホットか、3番ホットかを設定できる。位相チェックということになる。

どうやったら、この位相チェックができるのだろうか。 たかじんさんからのアドバイスでは、DA変換後のアナログ出力をみると分かりやすいとのことであった。 残念ながら、入力信号と出力信号の両方をオシロで見てチェックというわけにはいかないようだ。

100Hz のサインウェーブを0.01秒切り出せば、1波長のみになるので、PCからのUSB入力によって得られた信号と、HDMI経由の信号をオシロでみて、同じようにすればよい。 我が家のオシロはデジタルオシロなので、何らかの形でトリガを決めて記録すればよいはずだが、やりかたがわからないので、何回も再生して、画面を見て判断したところ、PHASE INV の項目を Enable にすればよいことがわかった。

これで一件落着のように思えたが、よく考えると、PHASE INV の項目を Enable にしなければならないということは、I2S over HDMI コンバータによる HDMI出力が、Gustard などの中華DACに対応した C2配列であることと相反している。

Gustard A22 HDMI Input(http://www.gustard.cn/?post_type=products&page_id=8942 より)

もしやと思って、CDを再生してみると、違和感がある。 左右が逆かもしれない。 テスト信号を作ってみると、まさにその通り。 どうしよう・・・。

to be continued….

Gustard A22 の HDMI入力 を使ってみよう

I2S over HDMI コンバータによる SACD再生等で実績があるのは、元記事のTOPPING D90 であった。 I2S over HDMI のコンバータに関するWeb上の情報では、TOPPING、S.M.S.L、Gustard、LOXJIE、Sabaj、BRZ HIFI、 DENAFRIPS、MUSICIAN PEGASUS、HOLO AUDIO あたりが動作可能性が高いとのこと。

しかしその一方で、上述の メーカーの DAC製品が、Audio Science ReviewのSINAD(歪とノイズの少なさの指標)ランキングの上位を占めている一方で、音質的に優れているという review が少ないとの指摘もあった。 「高特性は正義か?ASR推奨製品の実力を検証」記事で、同じ中華製のなかで、Gustard A22 が音質的に一歩飛び抜けているとの記載があることから、Gustard DAC-A22 をヤフオクで手に入れることにした。 もちろん、I2S over HDMI 入力で DSD入力によるSACD再生を行うためだ。

Guastard DAC-A22 は、旭化成の AK4499 を DUAL で使用しているDAC だ。 AK4499はTHD + Nが124dBで、ESSのフラッグシップ製品である9038Proチップをデュアル構成した際の122dBと比較しても優秀で、市場に出ているどのチップよりも低い高調波歪みという渾身のチップだが、工場火災により、入手困難となっている。 当然ながら、Guastard DAC-A22 すでに製造中止になっている。 このDAC-A22 の情報は、http://www.gustard.cn/?post_type=products&page_id=8942 にある。 右上の【简体中文】をクリックして、English に変更すれば、英語で情報が手に入る。 ネットからひろったマニュアルは、こちらにある。

Pioneer DV-A610AV のマニュアルに従い、デジタル音声出力の【HDMI出力】をデフォルトの【自動】から、【自動(DSD)】に変えることで、SACD のDSD音声を、HDMI出力からデジタル出力できる。 Gustard DAC-A22 を通して、音が出た。 とりあえず、成功だ。このほかの注意事項としては、SACD再生が、デフォルトの 2ch エリアになっていることの確認も必要だ。  HDMI-INPUT と同じ面にある HDMI-OUTPUT からモニターに接続して設定を行う必要がある。

なお、SACD再生のときの注意事項として、PCMからDSDに移り変わるときに、大きなノイズがでる。 Gustard のリモコンの左上・・・ちょっとみると電源スイッチのようにみえるところが、MUTEボタンであり、これを利用することを忘れないように。

to be continued….

Blue Snow DAC の HDMI入力 を使ってみよう

たかじんさんによる Blue Snow DAC には、HDMI入力がある。  このHDMI入力は、Blu-lay や DVD に対応した入力(以下、HDMI/MHL と記す)ではなく、DAC内部のI2S接続に対応している、たとえば、たかじんさんによる North Fox Digi (Raspberry pi からの I2Sデジタル出力基板)を使うと Raspberry pi で再生した音楽をHDMI ケーブル経由で I2S接続で鳴らすことができる。 私が作成した Blue Snow DAC でも North Fox Digi で、動作確認していた。

さて本題だが、HDMI/MHL から I2S 信号を取り出すコンバータがあることをTOPPING D90 MQAでI2S入力 – 根布産業代表のブログで知った。 これを使えば、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC と伝達できるので、原理的に SPDIF経由よりジッターの影響が少なくなるそうだ。 このあたりの詳細な説明は、たかじんさんの記事「SPDIFとHDMI-I2S接続のジッターを比較」にある。 コンバータの入手先は記事では、ebay であったが、もとはといえば Ali Express のようだ。 使い方は簡単で、下図で、AUDIO PATH を AMP にあわせればよい。TVは、HDMI INPUT をそのまま HDMI OUTPUT に出力するモードで、DOUは Multi Ch に対応するらしい。 DC5Vの電源入力は、必要に応じて使えばよいと記事がある。

さて、最初の実験には、Pioneer の DVD Player DV-610AV を用いた。 これは電気工作部屋で SACD を聴くために購入したものだが、いわくつき(?)の後継機にあたるもの。 DV-610AV → I2S over HDMI → Blue Snow DAC で音出しを確認。 DV-610AVの設定は初期設定のままで、CDの音出しはOKであった。 さて、比較対象は、Soulnote cd 1.0 をトランスポートモードで用いた SPD-IF である。

一聴して、DV-610AV → I2S over HDMI の HDMI接続のほうがダイナミックレンジが高く、音数が多いのがわかる。 単独で聞けば気にならないのだが、HDMI接続に比べると、SPD-IF接続は単調に聞える。 HDMI接続のほうは、広大なホール感がわかる感じといったらわかってもらえるだろうか。 

ここで、比較対象を Soulnote cd 1.0 のバランス音声出力としてみる。 このようにしてみると、音質の傾向が異なるものの互角な感じ。 以前に示したリファレンスでは、ピアノのキータッチの差は、どちらもよくわかる。 Soulnote cd 1.0 のほうが、やや優しい感じ。 それに対して、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC では、ピアノの弦の胴なりの表現が巧みで、ダイナミック。 甲乙つけがたい。 ちょっと聞くと、CD → I2S over HDMI → Blue Snow DAC のほうが、ダイナミックだけど、やや荒削りな感じだ。

いずれにせよ、HDMI 出力可能なユニバーサルプレーヤ、I2S over HDMI コンバータと Blue Snow DAC を組み合わせることで、高級CDプレーヤ並みの音が出せることは収穫だ。 Blue Snow DAC の HDMI入力は、DSD信号を受け付けないので、DV-610DVの初期設定で、HDMI出力を PCM 信号に限るようにセットすると、SACD を 88.2KHz の PCM として音出しも可能だ。 これまた収穫だが、DSD入力が可能なDAC と組み合わせると、SACD も高音質で聴けるかもしれない・・・

to be continued….

PRT-03 Rev 1.1 基板の修正

ヘッドホンアンプ基板 HPA-1000 の電源/プロテクタ基板の Rev 1.1 に基板配線ミスがあるとのこと。 たかじんさんからの情報で、リレーの 6pin、11pin を独立させればよいとのことで、下記のようにしてみました。 

  1. 部品取り付け面では、すべての 6pin, 11pin がつながっている。 その間のレジストを数mm はがしておく。 はんだ面ではアースにつながっているところも同じ。 下図にその場所を示します。  
  2. 銅箔の中心にポンチを軽く打ち、3mm 程度のドリルの歯でぐりぐりと銅箔をはがす。
  3. テスターで、銅箔の前後のつながりが、確実に切り離されたことを確認する。
部品面(クリックで拡大)
はんだ付け面(クリックで拡大)

ようこそ、Hifiman Edition XS, Ratoc RAL-DSDHA2 & M-Audio MicroDAC 24/192

バランス改造した Philips SBC HP1000 のおかげで、久々に物欲大魔王がやってきた。 欲しいものは、新しいヘッドホンと市販品のヘッドホンアンプだ。 いずれヘッドホンアンプは作るだろうけれど、比較対象としての市販品が欲しい。 手元には、たかじんさんのヘッドホンアンプ HPA-12基板をミニパワーアンプ化したA級アンプがある。

最初に欲しくなったのは、たかじんさんのサイトに記事があった Fostex TH500RP だ。 なじみの Fostex の平面磁界駆動型とあって、なんとなく音の傾向が想像できるからだ。 イヤーパッドの交換でアコースティックギターが綺麗に鳴るとあれば、欲しくなって当然。 でも、すでに旧機種で後継機はない上に、推奨イヤーパッドもすでに手には入らない。 たかじんさんからのアドバイスは、とにかく試聴してみなさいとのことで・・・。 当然だよね。 ところが地方都市には、試聴できる場所がない。 東京出張した折にでもと、思っていた。 また、試聴するにしても、スマホの出力をそのままではだめだろう。 ポータブル DAC がいるよね。 でも、そのポータブル DAC を買うには、ヘッドホンがいるよね・・・ということで堂堂巡り。

ポータブルDAC の方を調べてみると、知らないメーカーばかり。 そんな折りに、DTM 機器で有名な M-Audio の MicroDAC 24/192 という機種を見つけた。 M-Audio は懐かしいメーカーだ。 Audiophile 24/96 というオーディオカード(DOS/V普及当時は高級サウンドカードをオーディオカードと呼んだ)を長らく使用した。 堂堂巡りから脱却する意味でも、まずは、MicroDAC 24/192 を購入。 M-Audio らしく 、かっちりとソリッドに音を出してくれる。 この機種を選んだもう一つの理由は、ハードウェアボリュームがついていることだ。 電子制御ボリュームの場合、DAC のビット落ちがある機種も散見されるからだ。

コロナウィルス感染症流行が理由で、東京出張はなかなかやってこない。 ところが、ヨドバシカメラ仙台店で、ヘッドホンコーナーがあって試聴可能であることがわかった。 いてもたってもいられず、早速試聴に出かけた。 スマホに Amazon Music HD のお気に入り曲をダウンロードして、MicroDAC 24/192 をつないでの試聴だ。 幸い、私のスマホは、MicroDAC 24/192 をフルに利用可能だ。  下調べはたかじんさんのサイトに出てくるヘッドホンあたりだ。 たかじんさんのサイトでは、平面磁界駆動型の Hifiman Arya の記事があり、とても良さそうだが、完全に予算オーバー。

  • DENON AH-D1200 / 5200 / 7200 / 9200
    比較的優しい音色で楽しいが、もう少し分解能が欲しい。 何を聴いても同じように聞こえるところがある。 値段は正直で、リファレンスのピアノのキータッチの差は 7200 / 9200 でははけっこう良くわかった。 購入したいと思えるのは 9200 だが予算オーバー。
  • SONY MDR-CD900ST / MDR-M1ST
    SONY らしいモニター調の音色で端正な感じが良い。 しかしながら、リファレンスのピアノのキータッチの差は全くわからず。 購入候補にならず。
    後日、MDR-Z1R を TA-ZH1ES 試聴したが、これまたリファレンスのピアノのキータッチは全くわからず。 SONY とはやはり相性があまり良くないようだ。
  • AudioTechnica ATH-WP900
    明快でかっちりしたサウンド。 高域の明快さがあるのに、リファレンスのキータッチの差はわかりにくいが、SONY より良い感じ。 弦楽器のしなやかさの表現は、あまりじょうずではない。 女性ボーカルが際立って聞こえるのだが、色っぽい表現は苦手かもしれない。
  • Sennheiser HD 660S
    SONY の端正さを持ちつつも、楽器の差がよくわかる。 Steinway & sons と Bösendorfer の違いが一聴してわかるのも、とても好ましい。リファレンスのピアノのキータッチの違いもわかる。 バランス接続に最初から対応しているのもよい。 難を言えば、音が軽いというか弦楽器やピアノの低音の沈み込みがいまひとつか。
    後日、HD 820 を試聴して、難点が見事に解消されているのがわかった。 HD 800S だとちょっと不満が残るか。
  • AKG K712 PRO-Y3
    聴いていて楽しい。 鳴りっぷりが良い。 しかしながら分析的に聴くと、少々物足りないか。 例えば、リファレンスのピアノのキータッチの違いはよく聞き込まないとわからない。 バランス接続に対応していないのもマイナスポイント。
  • STAX SRS-3100
    昔聴いたSTAXの音。 きれいだが、蒸留水のようで面白みに欠ける。 AKG の直後に聴いたから、なおさらそう感じたのかもしれない。 期待が大きすぎたのかも。
  • Hifiman Edition XS
    予算的になんとか購入できる Hifiman の機種。 STAX を楽しくした感じに聞こえる。 少々明るすぎる音に聞こえるが、 Steinway & sons と Bösendorfer の違いもわかりやすい。リファレンスのピアノのキータッチの違いはよくわかるし、バランス接続にも最初から対応している。

当初は試聴のみのつもりだったが、物欲大魔王にまけて、Hifiman Edition XS を購入した。 次点というか、Sennheiser HD 660S には未練が残った。不思議と AKG K712 PRO-Y3 の良さも心に残った。 ヘッドホンで散財してしまったので、市販品のヘッドホンアンプは中古を探した。 バランス駆動と DSD再生、USB Audio Class2.0 対応を条件にして探していたら、Ratoc RAL-DSDHA2 を廉価に購入できた。 標準価格 ¥120,000 とのことだから、とんでもないモノではないだろうという予測の元に。

Ratoc RAL-DSDHA2 を Windows PC につないだら、勝手にドライバが組み込まれ、音が出た。 ところが、出てきた音は、とてもお粗末で、聴けたモノではない。 電源を入れっぱなしにして、エージングしても同じ。 安物買いの銭失いになってしまったと後悔しきりだったが、テスト用音源が必要で、横着して Android Tablet につないで音を出したら、端正なのに艶やかな音が出てきた。 驚いて、 Windows PC につないでみると 、またもひどい音に戻ってしまった。 キツネにつまされた思いで、RATOC のサイトを見たところ、Windows 10 用ドライバが準備されているではないか。 さっそく、指示通りにしてドライバを再導入したところ、Android Tablet と同じく良い音でなり出した次第。 Google 先生で検索してみると、同様のj事例がいろいろあるようだ。

ClassAA フラットアンプと PHILIPS SBC HPA1000 ヘッドホン

アナログ対応バランス型プリアンプのフラットアンプには、たかじんさんによる禁断の ClassAA ヘッドホンアンプを利用している。 当然ながら、ヘッドホンで聴いてみたくなる。 ところが、私自身はヘッドホンに余り興味がない。 大昔、大学生のころに STAX の入門機を持ってはいたが、ほとんど使わず、廃棄した覚えがある。

手元にあるのは、PHILIPS SBC HP1000 という太古のモデルのみである。 大好きな PHILIPS が高級ヘッドホンを出したのを知り、輸入専門店を通して購入したのだ。

●形式:セミオープン型
●ユニット:φ50mm
●再生周波数:5-40000Hz
●インピーダンス:32Ω
●感度(1mW):106db/mW
●許容入力:1500mW
●コード:4m、本体着脱式、LC-OFC
●プラグ:
●重量:330g

最適の音響と安定感を提供する室内用最高級HiFiヘッドフォン。 大口径50mmの高磁力ネオジウムドライバーにより、
パワフルな音響を楽しむことができる。 独特の調節可能なヘッドバンドは誰でも簡単に調節できる。 ヘッドフォンカバーはベルベット素材で、着け心地抜群。 

ClassAA回路は、たかじんさんご自身も「どう見ても、相当危険でヤバイ回路です。」とおっしゃっており、動作確認に最初からパワーアンプとスピーカーを使うのは、ちょっと躊躇があって、壊れても良いヘッドホンでスタートした次第。 もともとヘッドホンアンプだし。

ぺるけ師匠のサイトにも、たかじんさんのサイトにも、ヘッドホンのバランス改造記事がある。 GND の共通インピータンスによる悪影響が排除されるためで、ぺるけ師匠によれば、SONY MDR-7506 では、左右間クロストークは -36dB に達するそうだ。 私の PHILIPS SBC HP1000 でも状況は同じなので、改造してみた。 イヤーパッドはプラスティックの爪を注意深く引っ張ればとれるので、後はねじを外して分解するだけ。 2.5mm のステレオジャックを取り外し、穴を広げて3.5mm4極ジャックをホットボンドで固定して完成だ。

バランス改造した PHILIPS SBC HP1000

スマホで Amazon Music HD を一聴して驚いてしまった。 どんな曲を聴いても、音の鮮度があがり音数がふえ、雰囲気がよくわかるようになった。 自宅にて、MOTU M2 からのバランス出力 → 禁断の ClassAA ヘッドホンアンプ → PHILIPS SBC HP1000 で聴いて、完全にノックアウトされた。 最近、ヘッドホンやイヤホンの専門店ができたり、DAC付きのポータブル/据え置き型ヘッドホンアンプが数多く発売されているのは知っていたが、こんな世界があったとは。 新しいヘッドホンと市販品のヘッドホンアンプが欲しくなりましたとさ。

6R-HH2 全段差動ミニワッターを平衡入力に改造・・・完成

最終回路図(クリックで拡大)

最終回路図を上に、周波数特性を下に示す。 
周波数特性では、60kHz 付近にわずかなふくらみがあるが、NFC を増減させると、500kHz前後のふくらみが急激に盛り上がってくるので、これで最終特性とした。

左チャンネル 周波数特性 (クリックで拡大)
右チャンネル 周波数特性 (クリックで拡大)

歪み率特性は、バランス入力改造前と測定環境が異なるので比較できない。 理由は不明だが、これまで使用してきた ESI juli@Xte にて、低歪みでの測定ができなくなってしまい、Motu M2で測定したためだ。 しかしながら、最低歪み率は左右ともに0.1%を大幅に下回っており、良好な特性といえるだろう。

残留雑音は、A-weight なしで、左チャンネル 0.048mV、右チャンネル0.049mV であった。また、ON-OFF法によるダンピングファクタは、11.8(1kHz)であった。

聴感上は、7DJ8 と 6R-HH2 との真空管の差が目立たなくなったようだ。 どちらもバランス化する前の 6R-HH2 に近い。 微妙なニュアンスの表現がどちらもうまくなった。 自分の好みでは、6R-HH2 のほうが圧倒的に良い。 リファレンスのピアノのキータッチの差が一層わかりやすいうえに、ダイナミックレンジが上がった感じがする。もともとはミニワッターとして使用されていなかった 6R-HH2 が使えるかどうかのプロジェクトだったわけだが、バランス入力化してみると、低出力という難点はあるものの、デスクトップオーディオ用途では、むしろ推奨されるべき真空管であるように思えてきた。 ただし、この評価はバランス入力プリアンプと Tangent Evo4 の環境によるもので、使用機器との相性がよいのかもしれない。 いずれにせよ、バランス改造は正解だった。

6R-HH2 全段差動ミニワッターを平衡入力に改造・・・トラブルシューティング

前段回路の基板を取り出し、実験用電源につないで、電圧測定をしてみると、両チャンネルともバイアス調整ができない。 どこかが壊れているのだろう。 電圧をチェックしてみると、ひとつを除いて2SC2240GR の BE間が 0.6V前後から大きく外れていた。 これは壊れていると考えて交換したところ、当初正常だった側ではバイアス調整は可能となった。 最初に異常になった側はバイアス調整が出できない。 ぺるけ師匠が頒布してくださった貴重な 2SK117 の異常がないことを願って、発振器で入力しながら、オシロであたってみたら、なんと 2SK117 に信号が届いていない。 どこで途切れたかを探すとグリッド帰還抵抗であった。 はんだ付け不良である。 はんだを吸い上げて、再はんだしたら、バイアス調整が可能になった。 オシロで調べた限り、発振はしていなかった。

先の失敗の経過では、当初正常動作していたチャンネルも、壊れていったところから、何らかの設計不良があると考えざるを得ない。 ここでぺるけ師匠の平衡プロジェクトの記事を確認すると、FET差動バランス型ヘッドホンアンプが、この改造と同じタイプ(第1案)であることがわかった。 よく比較してみると、RNF の先のスピーカー(ヘッドホン)側を抵抗でアースに落としている。 第2案の場合は、NFの基準抵抗がアースに落ちている。 失敗した改造案では、2SK117 のゲートの電位はアッテネータを通してのみアースに接続されている点が大きく違っていた。 想像するに、スピーカーあるいはトランスからの逆起電圧が加わった際に不安定になったのではないだろうか。

(クリックで拡大)

恐る恐る、電源をいれてみる。 何も起こらないことを確認して音を出してみると、問題ないように見える。 加えて、バイアス調整もきちんと働く。 よかった~。

さっそく、Analog Discovery で周波数特性などを図ってみると、NF量が上記の案では、NFが十分かかっていないことがわかって、NFR を 27kΩに変更して、NFC の調整をしてみた。

NFCなし(黒)では、500kHz の盛り上がりが目立つ。この盛り上がりは 10pF(橙)でも改善しないが、22pF(青)ではだいぶ解消される。 しかし容量を増やして 47pF(緑)とすると、また盛り上がりが目立つようになる。 グラフの生データをみると、NFCなしでは可聴帯域の 15kHz付近 で0.3dB程度盛り上がり、 10pF(橙)でも改善しない。 47pF(緑)ではさらに目立つ結果となった。 つまり、22pFが最適値だ。

(クリックで拡大)

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