バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・設計・試作編

 設計にあたり、終段の動作はぺるけ師匠の平衡型EL34全段差動アンプを踏襲した。 ぺるけ師匠の設計で1番端子がアースされていたのは、どうしてなのか最初わからなかったが、KT88/6550ではシールドであるためと思われる。 EL34などでは1番端子がG3なので、となりのカソードとつなぐつもりになっていた。  また、B型10kΩの二連ボリュームが手には入らなかったので、バイアスのかけかたは、6AQ5全段差動アンプと同じにした。

 ドライバは構想編で述べたように、6G-A4全段差動アンプと同様に、2SK117 のカスコードブートストラップによる。 終段と直結にしないので、カソードフォロワがなくてもいいだろうと考えた。
 電源トランスはぺるけ師匠の記事にある TANGO MX-280 で、オークションで購入したときにいっしょに売られていた MC-5-250 をチョークトランスとして利用する。 チョークトランスの直流抵抗が、ぺるけ師匠がモノラルアンプで使用したチョークトランスの倍以上で、電流も倍なので、電源電圧が10Vちょっと下がってしまう。 出力がやや小さくなるかもしれないが、まあいいだろう。 電源のコンデンサはぺるけ師匠の記事より耐電圧が高いものを選んだ。 500V 耐圧の電解コンデンサはなかなか手にはいらず、JJ製のブロックコンデンサとなった。

 以上から設計した回路は以下の通り。 出力管は、EL34 / KT88 / 6L6GC など互換性のある真空管がたくさんあるはず。

当初の設計図(クリックで拡大)

 最初に、定電流源を組み立て、実験用安定化電源で 120mA 流れるように抵抗値を調整した。 次にカスコードブートストラップに利用する手持ちの E-301 定電流ダイオードの電流値を測定し、LM334Z の制御抵抗値を調節して、2SK117 に流れる電流が 2.0mA になるようにした。 LM334Z の制御抵抗値は、抵抗をRset(Ω)、電流をIset(mA)とすると、Rset=70/Iset でよいとの記事があったが、おおよそということで、現物合わせの調整が必要であった。

 ここまでくれば、あとは組み立てるだけ。 今回はぺるけ師匠のように平ラグを利用してみたが、平ラグパズルは楽しい。 2SK117 はぺるけ師匠からの配布品を利用した。 2SK117のバランスを取るための半固定抵抗はなくてもよかったようだ。 2SC3209 のコレクタ間の電圧がゼロになるようにすればよいのだが、ほぼ中央でバランスした。

上記設計での周波数特性(クリックで拡大)

 とりあえず、無帰還で周波数特性を測定してみたら、上図の通り。 なんと高域の -3dB 点が 50kHz と驚くほど低い。 だめだ、こりゃ。

to be continued….

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