12HG7/12GN7A はモノになるか? 再度のトラブルシューティング

リモコン付きバランス型プリアンプと本機で単身赴任先の Victor SX-700 を鳴らしてみた。 先に書いたダイナミックかつワイドレンジな印象は変わらない。 現代的な音で、サブウーファなんかいらない低音域の雰囲気感がよくでている。

音質的には満足したのだが、電源OFF時に、ぶつんと音が出る。 自宅では気にならなかったのだが、Victor SX-700 では結構気になる。先行実践によれば、CasComp 段の電源が出力段より先に落ちると雑音が出るとのことだ。

よって、最初に試したのは、上図のC1(プラスマイナス両方)を2個並列にしてみたが、雑音は変わらず。 C2が大きすぎるのかもと考え、1000μF としてみるも、これまた変わらず。 出力段の定電流部分の電圧をみると、電源OFFからほどなく電流が全く流れなくなっている。 その一方で、CasComp 回路のオペアンプのほうの電圧が下がってきて、オペアンプが動作しなくなる電圧までさがったときに、ノイズがでることがわかった。

どうやら、このノイズを避けるためには、スピーカー端子を切り離すしか手がないようだ。 C-電源は5V強なので、手元にあった不良在庫の G6A-274P-5Vを活用して、スピーカーを切り離すこととした。 本アンプの出力は、4W/4Ω なので、電流としては 1A である。 G6A-274P-5V の定格範囲内である。 めでたしめでたし。

もはや取り付ける場所がないので、スピーカー端子の上面にすずめっきせんでくくって取り付けた

AK4497SVQ miniDAC を作ろう・・・はらわたと感想

はらわたを下に示す。 左側から電源部(基板2枚)、Amanero Combo 384、同軸(AE-DIR8416)基板で、同軸基板の上に KZ電解コンデンサを使った音作りのためのリップルフィルターがある。 一番右側の下がデジタル制御基板で、上がDAC本体基板である。

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DAC基板とアナログ電源を供給する KZ電解コンデンサによるリップルフィルター基板である。 OSコンやオーディオ用電解コンデンサがが多数、DAC基板に搭載されているのがわかる。 下は電源部の詳細であり、SONY製のEIコアトランス、tinySP電源基板、DC-DCコンバータによる 5V基板が見える。tinySP電源基板の裏面には、25V 10μF の PMLCAP 積層フィルムコンデンサが追加されている。

トグルスイッチやロータリースイッチのまわり止めのために、アルミ板を追加して、ふたつのスイッチをねじ止めすれば、十分に固定できる。 この技はとても便利だが、ふたつのスイッチを必要とする。

できあがってから、この DAC基板は、オペアンプ出力がそのまま出力されていることに気がついた。 先の痛ましい事故の経験から、出力に DC が絶対出ない仕様とするので、16V 10μF のPMLCAP を出力に追加した。

上が AK4497SVQ miniDAC で、下がリモコン付きバランス型プリアンプ
AK4497SVQ miniDAC のつまみは、デジタルフィルターの切り替えで、トグルスイッチは入力切り替え 

KZ電解コンデンサは寝起きが悪いので、100時間程度鳴らしたのちの感想だが、リモコン付きバランス型プリアンプ、12HG7/12GN7A CasComp 単段差動アンプ で鳴らしてみた。BlueSnow DAC と比較してみると、Blue Snow DAC のほうがややおだやかでひかえめだが、これは Blue Snow DAC でオペアンプに MUSES 01 を使っているためと思われる。 しかしながら、その差は少なく、ブラインドで聴きわける自信は全くない。 ただし、本機のほうが、デジタルフィルタの差がわかりやすいことに気がついた。旭化成による、デジタルフィルタに関する記事によれば、次の通り。

おおむねアジア圏の人々は Sharp roll off filter, Slow roll off filter を、欧米のお客様は Short delay sharp roll off filter を好まれる傾向があるようです。
なぜ音質の好みに地域性が出るかを色々考えてみたのですが、その人が話す言語の特徴が影響を及ぼしているのではないでしょうか。言葉のなかで、子音の重要度が高い言語を話す人はプリエコーのない short タイプを、母音が重要度の高い言語を話す人は対照型の特性のフィルターを好むように感じています。一番耳にする頻度が高く、コミュニケーションに重要な部分を占める言語 (母国語) が、聴感の好みを決めているのではないのでしょうか? 非常に興味深い傾向だと思っています (あくまで仮説です…) 。

私の好みというか、リファレンスを最もうまく描出するのは、Short Delay Slow Roll-off filter であった。 BlueSnow DACも同じ設定に変更することとした。 miniDAC 工作は、おおむね満足な結果といえる。

たっぷり試聴しているうちに、ピアノの打音が固めで、時にバイオリンが悲鳴を上げることに気がついた。 致命的とはいえないのだが、気になり出すとどうにもならない。 IV のオペアンプを LME49720から、いつもの MUSES01に変えてみると、いつも通りの安心できる音にかわった。念のためにオシロスコープで発振がないことを確認して、これで完成とした。

完成を喜んでいたら、MUSES 01 が生産終了予定であることを知った。 2SK30A、2SK117、2SK170 などの FET や 2SC2837/A1186 などのトランジスタがなくなりそうなときに、ストックとして買い込んだが、オペアンプもそういう時代になりそうだ。 もはや、電気工作という趣味自体が結晶化し、終焉が近いのかもしれない。

AK4497SVQ miniDAC を作ろう・・・作成編

届いた基板をみながら、基板の配置を考える。 DAC基板から LCD基板のケーブル長の関係で、どのようにしても LCD基板をリモコン付きバランス型プリアンプと同じ位置にするのは困難だ。 加えて、アナログ部の配置がデジタル部と交差してしまうので、よろしくない。 前面デザインを合わせるプランは早くも挫折。

デジタル部とアナログ部ができる限り分離できるように基板類を配置すると、LCD基板は前面右側に寄せるしかない。 こうなると、スイッチ類を同じにするとやぼったくみえる。 ロータリースイッチを通販で発注してしまった手前、不良在庫にはしたくない。 つまみも発注しなおしだ。 マルツ仙台店の店頭販売中止は本当に痛い。 梅澤無線仙台店は平日の日中しか営業していないので、店頭売りは事実上利用できない。

バラックで動作確認後、DC5V電源基板を作成した。 実際には筐体で放熱だが、とりあえず 6cm x 5cm x 2cm の放熱板に取り付けた。 5°C/W 程度に相当するが、これがかなり熱くなる。 かろうじてさわり続けられる程度だ。 実際には、この負荷に同軸基板(秋月電子 AE-DIR8416)が加わるので、もっと電流負荷が大きくなる。 よって、DC-DCコンバータを使うことに決めた。 調べてみると、三端子レギュレータと同じピン配置という超高効率DCDCコンバーター 5V1Aがある。 0.5A 品で十分だが、1A品のほうが発信周波数が高いので、そちらを使うことにした。 これだと発熱は皆無だ。 パスコンには、在庫のOSコンを用いることにした。

秋月電子 AE-DIR8416の改造を行ってみると、コメント欄にあったように、ハンダがのらない。 フラックスをつけてもだめだ。 3C2V をハンダ付けしようとしても、不安定ではずれてしまう。 芯線が細く、ハンダ量が少ないためであろう。 やむを得ず、前回同様に細いシールド線で代用し、フラックスをたっぷりつけて安定してとめることができた。また、Amanero Combo384 のほうだが、USB入力端子を外にそのまま出すのは、ねじ止めの位置の関係で難しいことがわかった。 よって、NEUTRIK NAUSB-W を用いて、外出しすることとした。

オペアンプを NL8802 のかわりに、LME49720 にしても発振することはなかった。 問題はなさそうだ。 ここまでくれば、筐体の金属加工をすれば、すぐにできあがりだ。

to be continued…

 

miniDAC を作ろう・・・妄想編

単身赴任のアパート用に、リモコン付きバランス型プリアンプを作った。 少し動いて手を伸ばせばリモコンはいらないのだが、ボリューム調整のリモコンは本当に便利だ。 Ideal CE-30(幅300mm, 奥行き200mm 高さ100mm)に組んでいるので、ちょっと小さめだ。このケースで DAC を組んでみたいと思った。

手元にある DAC は、Soulnote sd2.0b(PCM1792A dual)、2台の Blue Snow DAC(AK4490 dual)Gustard DAC-A22(AK-4499 dual)であるが、音は DAC チップセット で決まるわけではないことを痛感している。 リファレンスをもっともうまく鳴らすのは、Blue Snow DAC(AK4490 dual)であり、Gustard DAC-A22(AK-4499 dual)はかろうじて合格である。 DAC チップセットの序列であれば、最高位は AK-4499 dual だが。

私が可能な DAC の自作となれば、頒布されているキットか基板を購入するしかない。 必要な仕様はバランス出力であること、USB入力と同軸入力が可能であることぐらいだ。 お気楽オーディオさんのAK4493-5 がいいかなぁと思っていたところ、リモコン付きバランス型プリアンプでお世話になった mi-take クリエイト から、AK4493SEQ dual MK2, AK4497SVQ が発売となった。 仕様が今回にはぴったりなうえに、Amanero Combo 384 使用時の DSD 対応など魅力的な機能がついており、こちらを利用することにした。 相談メールの上で、AK4497SVQ mono 基板を購入した。

Aliexpress から購入した Amanero Combo384 はこちら。 注文件数が多い商品を選んでいる。 同軸入力は手持ちの秋月電子 AE-DIR8416を用いて、前回の失敗を回避した改造を行って利用したい。

音質的にいじれるところは、電源とLPF に使うオペアンプだけだ。 電源トランスは、リモコン付きバランス型プリアンプと同じ、SONY 製の重厚な鋼板で覆われたEIトランス を使う。 電源部も mi-take クリエイトの電源基板 type-TinySP を使えば、± 15V 電源はニチコンFW 4700uF が平滑コンデンサだ。 いつものように PLMCAP を追加する。 そして、いつものようにニチコンKZコンデンサによるリップルフィルターを通してアナログ部に供給する。 オペアンプは、もともとは日清紡の NL8802 だが、とりあえず リモコン付きバランス型プリアンプ12HG7/12GN7A CasComp 単段差動アンプにあわせて、LME49720 で試聴を開始する。 もちろん、オシロスコープで発振の有無をチェックする必要がある。

5V については、この基板を使わずトランスから両波整流して別に作りたい。 デジタル部の変動をアナログ部から遠ざけたいからだ。 デジタル部については、ニチコンKZHを用いて平滑し、三端子レギュレータで放熱すれば十分だろう。

LCD表示やつまみをリモコン付きバランス型プリアンプにあわせて、同じ前面デザインにすると統一性があってかっこいいかも。 このためには、スイッチ類を増やす必要がある。 幸い DAC ポストフィルターの設定はロータリースイッチでもできる。
さて、もくろみ通りにうまくいくだろうか?

to be continued…