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Pure Audio でも Subwoofer を使おう・・・妄想編

ここ数年の間に、たかじんさんのアンプ基板、DAC基板のおかげで、Pure Audio (2ch Stereo)が復活しているが、一時は Pure Audio が、Multi-Ch Audio / Hometheater に乗っ取られていた。 ヤマハの AVプリアンプ CX-A 5100 が Pure Audio のリファレンスCDを、しっかりならしきったからだ。 試聴室で初めて聴いたときに、嘘だと思った。 DVD の DTS から、Blu-ray のロスレスDolby True HD、DTS-HD Master Audioに対応した Marantz AV8003 に始まり、AV8801に乗換え、AV8802を視聴しにいったときのことだ。

リファレンスCD とは、シューマニアーナ8 (フォンテック FOCD-9328)で、ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調 Op.14 の冒頭の部分だ。

(クリックで拡大)

上図の1段目から2段目にかけて、左手が重々しく通奏低音を奏でる一方で、右手はメロディラインを、輝かしく、明るく歌い上げる対比がある。 2段目の最後に向かって、上声部も下声部も壮大さを増しつつ、まばゆいばかりに光り輝く。 ところが3段目からは、うってかわって、優しく、おだやかな風景に移り変わる。 上記の楽譜では明るく輝かしさを橙、赤で、重々しさを水色、青で示し、下声部の歌い上げを紫で示した。 黄色系の色は優しさを示しているが、下声部は春風を思わせる温和さだ、 伊藤恵 によるこの CD は、まさに楽譜の指示通りと思われる演奏で、しかも、音量だけではなく、キータッチの違いでもこれらを表現した名演といえる。 長いこと、私はこのCD をリファレンスとしている。 この CD の良さを表現できない機材は、原則として我が家に招き入れないことにしていたが、例外は AVアンプであった。 さすがに映画鑑賞用の機材なので無理なのだと思っていたのだ。

ヤマハ CX-A5100 が、全てのプリアンプ機能を担うようになって、良かったことのひとつに、SACD Multi-Ch の楽しさを知ったことだ。 1960 -70 年代の録音にも Multi-Ch 録音のものがあり、2 ch のステレオ版より楽器の定位感をはじめとして、優れた録音がある。 もうひとつは、サブウーファを使えることだ。 CX-A5100 の特徴のひとつに、Dolby Atmos への対応があって、我が家では 本機の最大限 7.2.4ch を活かしきる構成とした。 すなわち、耳と同じ平面上に Front / Center / Surround / Surround Back の 7台のスピーカー、天井に Front Height / Rear Height の4台、さらに、サブウーファ 2台だ。 Pure Audio 相当の 2ch を聴く場合には、2.2ch で聴ける。 この体験で、50Hz 以下の超低音であっても方向性があって、サブウーファによってホールの雰囲気感が伝わってくる経験をした。

さて、やっと本題だが、たかじんさんの基板によって、Pure Audio が復活しているが、こちらの機械でもサブウーファを使えるようにしようというわけ。 2台のサブウーファは、Fostex CW250 シリーズだ。 このサブウーファはスピーカー入力で、クロスオーバー周波数や音量、位相を調節できる。 スピーカー入力で聴いてみると、やっぱりサブウーファがはいることで、ホールの雰囲気感が伝わってくると言うか、余裕を感じる。 ところが、スピーカー入力でこれらのサブウーファを使うと、Multi-Ch Audio / Hometheater のときにそのままでは使えなくなってしまう。 どちらも両立するためには・・・

to be continued…

Thinkpad X201 / X260 — Tiny11 インストールしてみた

Thinkpad X260 の Windows11 インストールThinkpad X201 の Windows11 インストール では、デバイスマネージャですべての項目に適切なドライバがあたって、気をよくしていた。

しかしながら、Amazon Music Unlimited を聞いていると、時々音が途切れたり、Blue Snow DAC の認識が怪しくなったりする。 特に、UltraHD の曲を聴いていると、よく音が途切れる。 ドライバを排他モードにしたり、Wi-Fi を使わずに有線イーサネットを用いると少しマシになる。 ドライバの問題かと思ったりして、いろいろ調べていたら、CPU 使用率が 100% になって音が途切れることが分かった。 13年前のPCである X201 はいざ知らず、Skylake 世代 Core i7 の X260 でも音が途切れる状況は同じだ。 Windows Update が裏で動き始めると、全く動作しなくなってしまう。

リビングで使用している Thinkpad X260 を買い替えることを考えたが、どの程度のマシンを買えばよいのかよくわからない。 Windows11 は、インテル第8世代以降の CPU のみの対応だが、Kaby Lake-R 世代では、Skylake 世代と CPU 性能はあまり変わらない。 PCにあまりお金をかけたくないので、最低限、音が途切れたりせずに動作させるために、どの程度のPC が必要なのかがよくわからない。 最近だと、Alder Lake世代の Intel Processor N100 が、Kaby Lake-R 世代より高性能だというベンチマーク結果をみて、その上の Core i3- N305 あたりが狙い目かと思っていた。

どうしようかと思っていたら、ブラウザの広告で、Thinkpad L13 Gen3 (Core i5-1235U、RAM 16MB / SSD256GB) がアウトレットで7万円弱と知り、すぐに飛びついた。 OSが Windows 10 Pro だったので、Windows 11 の入れ直しに数時間かかったが、快適に使えるようになった。

だましだまし使っていた Thinkpad X260 / X201 だが、軽量化された Windows 11 という Tiny 11 をインストールしてみることにした。 インストールは簡単だ。 日本語化するために、言語パックをあとでインストールする必要がある程度だ。 ドライバ関係は、以前の記事と同じでよかった。 2GBメモリでも動作可能な軽量化したWindows 11「tiny11」を試してみた の記事通りで、動作しているプロセスが少ないため、軽快に動作する。 X260 のほうでは、Amazon Music で、UltraHD の曲を聴いていても、CPU使用率は 50% を切るようになり、音切れの心配がなくなった。 Windows Update が裏で動いても音切れは起こらなかった。 X201 のほうでも、音切れはなくなったが、さすがに Windows Update が裏で動くと駄目なようだ。

まだ、長い時間使っていないので確実性は不十分だが、Tiny 11 は、古いマシンをよみがえらせる手段として適切だ。 注意点としては、Windows 7/8/8.1/10 Pro のプロダクトキーが必要であることぐらいか。 単身赴任先には、Atom のミニノートがあるので、Tiny 10 をインストールしてみようと思っている。

2台目の Blue Snow DAC ・・・なぜか解決

初回の電源投入時に OLED ディスプレイが表示されない。 LEDのイルミネーションは正常で、前に選択していたところから音も出る。電源を入れなおすと、OLEDディスプレイの表示は正常になる。

いったい何が悪いのやら、全く見当がつかない。 フロント基板のはんだ付けをやりなおしましたが、改善されない。 たかじんさんのHPで質問したところ・・・

OLEDの電源立ち上がりタイミングの問題ですかね。 電源入れなおすと毎回ちゃんと表示するなら配線も問題なさそうですし。
電源部の電解コンデンサの容量が指定通りだったとするとOLEDの個体差の可能性もあります。

ぺるけ師匠は「部品故障よりはんだ付け不良」とおっしゃっていましたが、今回ばかりは部品かと思ったが、使っているうちに、電源を入れなおさずとも、正常動作するようになった。 いったい、何が起こったやら。 

http://上が Blue Snow DAC、下は HPA-1000 ヘッドホン・ミニアンプ

HPA-1000 ヘッドホン・ミニアンプとデザインを合わせた。 トグルスイッチは、(ON)-(ON) スイッチで、みためはトグルスイッチだが、押し下げがモーメント動作の押しボタンスイッチに相当している。

2台目の Blue Snow DAC ・・・制作編

1台目では、AK4490 はんだカスを飛ばして修復に苦労したので、最初に行ったことは、AK4490 のチップをセロテープで覆うことからはじめた。

表面実装部品のCRを、値をテスタで確認しながらはんだ付けしていった。 慣れてきたとはいえ、ピンセットで部品をどこかに飛ばしてしまうミスは何度もあったが、面白いように服の上から見つかった。 今回作業していて思ったのは、PMLCAPのように大きな表面実装部品のほうが、作業が難しいことだ。 大きな表面実装部品だと、はんだが部品の側面だけについて、基板面には十分でなかったことがあった。基板面にしっかりついていることの確認にけっこう手間取ったりした。 AK4490 にはんだカスを飛ばしたトラブルは、おそらく AK4490 近くのPMLCAPはんだ付け時であったのだろうと思った。

2回目ということもあって、今回は順調に作業を終え、Amanero Combo384 互換基板を通して、音出し確認が済んだ。 今回は何のトラブルもなく作業終了とルンルンであったが・・・・

今回も、前回のように、USB入力、HDMI入力には、Neutric の NAUSB-W、NAHDMI-W を使うことにしたが、ケースが奥行が狭いために、USB-Bの端子がはいらない。 しばし悩んだ末に、Amanero Combo384 基板の USB-B 端子を外し、コードを直接つなぐことにした。

USB Type B のピンアサインとケーブル色

手持ちのケーブルを切ったのはいいが、内部配線をどこにどのようにつないでよいかがわからず、調べてみたが一番わかりやすかったのは上図。 今後の忘備録に乗せておくことにした。 5V の電源は別電源から乗っ取り、パスコンとして、手持ちのOSコン(82μ 6V)を付け、動作確認後に、ショートなどしないようにホットボンドで固定した。

改造後の Combo384 互換基板

次に、AliExpress から購入した QCC5125 Bluetooth基板の動作確認。 192kHz に Upsampling されていることから、192kHz でロックが得られて大喜び。 スマホからも LDAC5.1 として、ペアリングが開始され、これで動作OKと思ったが、そうは問屋がおろさなかった。 ペアリングの pin code を要求してくるのだ。 製品のページを見ても何も書いていない。 一般的な数字かと思い、0000、1234 をいれたが、拒否されてしまった。 

“QCC5125 pairing” で検索をかけても、該当する情報はなし。 ”QCC5125 Pin Code” で検索をかけたところ、 他社製品で Upsampling がないものだったが、0123 との記載があった。 試してみたところ、0123 が正解であった。 LDAC接続も可能であり、Bluetooth も使えることになった。 この基板の消費電流を調べてみたところ、Upsampling に電流を使うのか、なんと0.1A強であった。Blue Snow DAC 本体から供給するのは困難と考え、簡単な電源を作成した。 SBD 11EQS06 で両波整流後、105℃超低ESR の KZH 電解コンデンサ 3300μ ×2個 入れたのち、NJM7805 で定電圧化している。 パスコンはお好みの PILKOR を使った。

Combo384/QCC5125 基板用電源 左の緑はスパークキラー

さて、組み上げてスイッチオン。 なんとOLED ディスプレイが点灯しない。 それにもかかわらず、たかじんさんによる起動時 LEDイルミネーションは正常に作動。 どうして OLEDディスプレイがつかない・・・!

to be contined….

2台目の Blue Snow DAC ・・・構想編

2022年の 8月ごろ、ヘッドホンを探してヤフオクを見ていたら、Blue Snow DAC 基板が出品されていた。 Blue Snow DAC 基板は、たかじんさんのサイトでは瞬殺だったので、当然誰かが買うものだと思ってながめていたら、入札者なしで流れてしまいそうになったので、1分前に入札して確保した。 このときには、ヘッドホン沼におぼれていて、HPA-1000ヘッドホンアンプを作ることを決定していたので、これにあわせることを考えた。

ヘッドホンは寝床で使うことも多いので、使いやすさ優先と考えたときに、Bluetooth 入力を付けられたらと思った。 ぺるけさんのサイトでも Bluetooth 基板が取り上げられていたし。

Bluetooth I2S で検索してすぐ引っかかってきたのは、Amazon の CSR8675デコーダボードだが、これには I2S 信号の説明がない。 CSR8675 I2S で検索してみると同じようなボードがひっかかってくる。 AliExpress の CSR8675ボードであるが、値段は Amazon と比較にならないぐらい安いうえに説明書きもあって、I2S出力の説明もある。 しかしながら、DATA、BCK、LRCK のみでクロック出力(MCLK)がない。 ESS社 の非同期モードなどなら、これでも動作してくれる。 さらに調べてみると、CS8421を用いたクロック作成ボードもあることがわかった。 両者を併用すれば、Blue Snow DAC でも使えそうだ。

Bluetooth を使うにあたって、もうひとつ気を付けるべきはアンテナだという。 見た目がよく似ていて異なる構造のものが売られているとぺるけさんのページにもある。 この意味では、アンテナ付きの基板を選んだほうが良さそうだ。  

クロック出力(MCLK)が確実で、アンテナ付きの基板を探したところ、Bluetooth 入力に Qualcomm QCC5125を利用し、192kHz アップサンプリング付きの基板が見つかった。 QCC5125 を利用しているのは同じだが、DAC付きだったり、ヘッドホン出力やボリューム調整がついているものもあったが、ここではあくまで、I2S出力が目的なので、ほかの出力が付いていないものを探した。 AliExpress なので、説明書も不十分で、結局捨てる形になるかもれないが、チャレンジしてみることにした。

HPA-1000 とペアで使うことから、ケースは HY-70-43-22SS である。1台目より狭いケースであるが、1台目は余裕がありすぎるぐらいなので、十分だろうと思っていた。

to be continued….

Gustard A22 / Blue Snow DAC の HDMI入力 で SACD を聞こう

Gustard A22 の HDMI入力 を設定しよう にて、Pioneer DV-610AV → I2S over HDMI基板 → Gustard A22 の HDMI 入力をへて、DSD 信号で再生可能になったと報告した。 その後、これがうまく働かないときもあって、困ってしまった。 具体的には、DSD信号ではなく、88.2kHz PCM 信号で入力されてしまうのだ。 どうやら、HDMI OUTPUT にモニタがつながっている必要があるようだ。 HDMI negotiation がなされなければ、DSD信号で出力できないのだろう。

だからといって、確実にモニタをつなぐのは大変だ。小さなモニタを買おうかとも思ったが、見もしないモニタを置くのか。 ちょっと調べてみたら、HDMI ダミープラグというのがあることが分かった。 本来はサーバなどの映像出力に差し込んでおくと、サーバからはモニタがあるようにみえる。 この仮想画面に対して、リモートデスクトップなどで接続すれば、モニタレスで運用できるわけだ。

HDMI OUTPUT に差し込んであるのが、HDMIダミープラグ

これは良いと思って購入してつないだが、うまくいかない。 なぜだ。 これは初期設定がモニタごとに変わるためのようだ。 リモコンで初期設定画面を操作して、HDMI出力を自動(DSD)にセットする必要がある。 実際のモニタで練習しておき、盲目的にセットアップして解決した。

Blue Snow DAC だと、COMBO384 入力しか、DSD出力は受けられないので、PCMに変換して受けることになる。 Pioneer DV-610AV だと 88kHz PCM になってしまうが、SONY UBP-X800M2 であれば、176.4kHz PCM に出力できるという記事があり、Blue Snow DAC向けに、買っちゃいました。 そうして、Blue Snow DACの SPD-IF入力を取り外し、I2S over HDMI 入力基板を内蔵させちゃいました。

右上が I2S over HDMI 基板

電源コネクタを無理やりはがしとって、そこに OSコンも載せましたとさ。 なお、こちらのほうは、PCM変換をしているので、HDMIダミープラグは不要でした。

追伸: 試してみたら、Blue Snow DAC でも、COMBO384入力からなら、DSD入力可能でした。 ただし、MUTE端子(11番)を GND に落として、MUTEを解除する必要がありました。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・はらわたなど

ケースはタカチ HY-70-33-22SS だ。 サイドの放熱器は全く不必要なので、OS-70-20-33SS のサイド面をパネル面として使うのが正しい選択なのだろうが、HY型のほうが圧倒的に安いので、こちらを利用している。 おそらく、OS型はパーツ数が多いために値段が高くなるのだろう。 配置は左からトランス、PRT-03、アンプ基板と、HPA-1000ヘッドホンアンプと同じ配置で、アンプ基板も右側が入力、左側が出力側となっている。

PRT-03 の出力抵抗には、酸化金属皮膜3W 10Ω / 47Ωをいれてあるが、使う意味はなさそうに感じている。

横幅はけっこうキツキツでぎりぎり。
アンプ基板

NFBの補正コンデンサは抵抗に直付け。 調整の都合上こうするのが楽で横着した。 導電性テープを用いてベタアースを作っている。 MUSES01 を V-AMPに採用する予定で作り始めたため、ひとつのオペアンプを両チャンネルで共有するつくりになっている。 入力コンデンサは PMLCAP なので、裏面にはんだ付けしてある。

アンプ基板裏面
上から禁断のClassAAヘッドホンアンプ、2台目の Blue Snow DAC, HPA-1000ヘッドホンアンプ

写真で見ても、禁断の ClassAAヘッドホンアンプの前面の光の照り返しが違うのがわかるだろう。 実は、XLR4 のためのメタコアによる穴開け作業で、手が滑り、XLR4穴周囲に大きな傷を作ってしまった。 ホルツ 補修用パテ アルミホール用アルミパテで穴埋めして削ったところ、色が全然違いかえって目立つことが判明。 さらに、削ったことにより、パネルのアルマイト加工がはがれる部分がでてきて、パネルが全体的におかしなことに。

仕方がないので、電動サンダーでアルマイト加工ではがし、紙やすりできれいにしてから、アサヒペン カラーアルミスプレー (シルバーメタリック)で薄塗×4回塗装したところ、まずまずの結果を得て完成と思ったが、室内に持ち込むと塗装ムラが目立ち、#600, #1200 #1500 の紙やすりで水研ぎしても、きれいにならず、むしろ塗装前のほうがきれいだったため、ラッカーで塗装をすべて落とした。 塗装を落とした際にパテも全て溶けて流れた。

傷が著しく目立つため、最後の手段で、手作業で #240の紙やすりでヘアライン加工を施し、#600の紙やすりで調整した。 そして、XLRジャックを付けたのちに、傷隠しのために金属の円盤を付けて完成というわけ。 ちなみに金属の円盤は、ハードディスク分解で手に入れた軸受けだ。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・トラブルシューティング

さすがに、同じトラブルをやらかせば、すぐに気が付く。 100Hz の歪み率だけ悪いのはアースの問題だと。 ClassAA基板のみで歪み率を測定すると、100Hz でも 1kHz とほぼ同じ歪み率なので、問題は電子ボリュームあたりのアース処理に問題があると。 HPA-1000 でも同じ問題で悩んだ経緯があり、たかじんさんから下記のコメントをいただいた。

GNDの接続、とくにループになってしまうことによる影響は大きいですよね。

ハムノイズとして現れることが多いのですが、ひずみ率として捉えるのは面白いと思いました。

HPA-1000 は2枚の基板をあまり離さずにGNDラインを1本で繋げるという手法をとってもらうのが理想です。 でもそこに電子ボリュームが入ると、電子ボリュームの電源のGNDが必要になり、GNDループが発生します。

この辺の処理はいくつかあるのですが、トランスからの漏れ磁束を拾ってしまう事もあったりして、ハムノイズという現象だけを追っていると一筋縄ではいかないんですよね。
GNDだけでなく、信号ラインからも漏れ磁束を拾ってしまうから。

PGA2311 電子ボリュームの信号系のアースを、ClassAAアンプ基板の入力端子から供給するのではなく、電源であるPRT-03 の S-GND から供給することにした。ひずみ率特性のみならず、音質向上が得られたのは言うまでもなく。

ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)
ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)

雑音歪み率は、100 Hz から 10kHz まで、左右差なくよくそろっていることに加えて、最小で 0.003% と HPA-1000 より優れている。 特性が優れているからと言って、音質が優れている証拠にはならないが。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、3.5W程度は出るので、知人宅で、Technics SB-MX100D を鳴らさせてもらう機会を得た。 ClassAAアンプは Technics のお家芸だからだ。 絶妙の空気感に驚いた。 村治佳織のギターが目の前に浮かび上がるように聞こえる。 何よりも素晴らしいのは、奏法の違いがよくわかることだ。 1980年代に聞いた Technics の高級機を彷彿させる、ちょっと離れたところからきれいに響かせる感じといったらいいだろうか。 ジャズトリオなどでは、楽器の位置関係がよくわかって、響き合う様子もよくわかる。 この感じは、手持ちの Linaeum や Dynaudio では得られないものだ。

閑話休題。 私が作成した HPA-1000 は、初段トランジスタに 2SC2240 を使っているためか、清楚で女性ボーカルの良さが引き立つ感じがとてもいい。 隅々まで音の余韻が聴こえて大人な響き。 穏やかなで落ち着いた雰囲気。 これに対して、この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、HPA-1000 に比べると、もう少しクールにまとめてくる。 Modern Jazz Quartet のおしゃれさがよく目立つ。 交響曲を聞くと、HPA-1000 は、ホールトーンもよく聴こえる中央よりやや後ろの席。 この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、よく全体を見渡せる2階席の最前列といった感じ。 

いずれにせよ、難産だった禁断のClassAA ヘッドホンアンプが完成して、とてもうれしい。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・測定してみる

とりあえず、周波数特性を測定してみることにした。 NFの補正コンデンサなしで調べてみる。

周波数特性(クリックで拡大)

高域のカットオフは、入力のハイカットフィルタによると考えられるが、位相特性はかなり悪いので、NFの補正コンデンサの調整が必要だ。 6.8pF で位相特性はかなりの改善が認められ、10pF ではさらなる改善が認められる。 15pF に増やしても誤差程度の改善しかないが、22pF まで増やすと位相特性は理想的になるが、10kHz から影響が出てしまう。 よって、10pF に決定することとした。

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残留ノイズは、LED電球のON/OFFでも数字が変わるので、本当のところはよくわからないが、マルチメータのショートから、7μV程度の変動がみられるのみだ。 十分にノイズが少ないといえる。 Rコアトランスを利用したのが、好結果を生んだといえるだろう。

安心してひずみ率(THD+N)測定を始めたところ、1kHz では、最低が0.005% と、WaveGene/WaveSpectra 測定の限界に近い数字で満足したが、100Hz では、安定して0.2~0.3 % と高い数字を示していた。 またやってしまったようだ。

to be continued…

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・希望の光が

電流増幅に、パワーオペアンプの LM1875 を用いて失敗してから、半年余り、禁断のClassAA ヘッドホンアンプの進展はなかった。 よって、HPA-1000 を先に作ることになった。 そんな折に、定期的にj巡回しているお気楽オーディオさんで、TDA2030 のほうが LM1875より安定しているという記事があり、TDA2030 を試してみることにした。 

TDA-2030は、ピン配置はLM1875と同じパワーオペアンプで、出力電流(Iout)はデータシートによれば 3.5A と、LM1875 の 4A よりやや少なめ。 少ないとはいえ、一般的なオペアンプとは桁が違う。

MUSES8920 + TDA2030 で、片チャンネルは安定して動作し、0,5A のヒューズで出力を短絡しても、問題ない。 喜んで、両チャンネルを作成してみると、発振してしまった。 NFループのコンデンサを調整してみたが、発振は変わらない。 

ふと思いついて、V-AMP のオペアンプを変更してみると、LME49720 では安定して動作することがわかった。 バラックで 1kHz の歪み率をとってみると、0.03%程度なので、問題なさそう。 他のオペアンプを使ってみると、MUSES01, MUSES02, OPA2604はきれいに発振、OPA627 は大丈夫そう、OP827 も発振しそう。OPA2134も大丈夫そうであった。 とりあえず、LME49720 で進めてみることにした。

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電源およびヘッドホン保護は、たかじんさんの PRT-03 を使うので、理想的だ。 電源トランスは、ヤフオクで保護したRコアトランスだ。 無負荷で 14V(CTあり)で、外形が90mm × 100mm あることから、50VA程度の容量と思われる。 想像するに、12.6V(CT付き)4A 程度だろう。 ヘッドホンアンプには、十分すぎる電流容量といえる。

構想編で述べたように、たかじんさんの PGA2311 電子ボリュームを使う。 この基板は低インピータンス出力なので、電子ボリューム基板とアンプ基板の距離を無視できる。 上記の回路図にあるように、たかじんさんの作例と同じく、入力におおむね 200kHz のハイカットフィルターをいれておくこととする。

to be continued…