実際に作り始めて、すぐに悩んだのは、G3/Shield 電極がふたつあること。先人の回路図に両方をアースするように書かれており、本作では、MTソケットの中心ピンをアースとして、そこから短距離で G3/Shield 電極をつなぐことにした。
まずは NFB をかけずに正弦波をいれてみたところ、盛大に発振していた。 発振周波数は 4MHz 程度。 前川さんの EL821 CasComp 単段差動プッシュプルアンプの解説に、「オペアンプの低い出力インピーダンスでグリッドを駆動するため、ミラー効果が生じない」とあることから、グリッドに発振止めをいれていなかった。 グリッドの発振止めをいれると、盛大な発振は止まるも、1MHz 帯での微弱な発振がみられた。 先人の 12GN7 CSPP アンプではプレートにフェライトビーズをいれていたことを思い出して、虎の子の「アモビーズ」をいれてみたところ、この発振も止まった。 ここでアナログディスカバリーで周波数特性を測定したら・・・

驚くなかれ。 1MHz で ゲインが 0dB まで戻っているではないか。 アナログディスカバリのツールキットで調べてみると、3~4MHz で、3dB 程度のゲインがある。 このままでは、どう考えても NFB をかけるどころではない。 EL821 CasComp 単段差動プッシュプルアンプ で狭帯域出力トランスを使っていたのは、安定した NFB のためとのことであったのは、まさにこれが理由だ。
ここで、私が考えた対策は積分補正である。 プレート ー プレート間に CR をいれて帯域制限してみる試みだ。 2MHz で -3dB 程度あればいいだろうと考え、3kΩ – 22pF で試みたところ、周波数特性は次のようになった。

見慣れた感じの周波数特性・位相特性になってきた。 これでいけるだろうか?
to be continued…