よく考えれば、先に考えたフラットアンプは、不平衡出力に使えない。 もとにもどって、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプの回路を見直してみると、この回路は反転アンプである。 FET+エミッタフォローをオペアンプに変えても動作はするはず。 ただし、この場合は入力インピータンスを高くはできないので、アナログ対応バランス型プリアンプには使用できない。

今回は一番最初に、差動ドライバ/レシーバとしての動作を確認した。 今回は大丈夫だ。 トランス二次側を開放すると、500kHz あたりに 15dB に及ぶピークがでる。 二次側に 2kΩを試しに入れたところ、ピークは 4dB で収まるが、抵抗値を小さくしてもあまり変わりがなかったので、残りは微分補正(上回路図の要調整のコンデンサ)で検討することにした。


微分補正のコンデンサ容量をいろいろ変えたところ、24pF では 200kHz でわずかに盛り上がる。 一方、47pF では、位相回転がプラス側に著しく跳ね返るので、適性な補正が 33pF であることがわかる。 この容量は左右とも同じであった。 高域の -3dB 点は おおよそ 400kHz である。 低域のほうはどの程度の出力かによって異なるが、4V出力においては、なんと 2Hz である。 Analog Discovery の発信器の制約から、これより大きな出力では測定できない。 ぺるけ師匠の記事通りの性能といえる。

歪み率特性をみると、20Hz では、0.1V出力ぐらいからひずみ率の低下が認められなくなる。おそらくトランスが飽和してくるためと思われる。 試しに 100 Hz も測定してみたが、0.2V出力ぐらいまでは 1kHz とデータがそろう。 これまでの WaveGene/WaveSpectra での測定であれば、100/1k/10kHz の測定で、0.001% のオーダーの測定はできないので、 きれいに 100/1k/10kHz の測定結果がそろったように見えるであろう。 トランスを使った影響が、ひずみ率の形でみえてくる。
残留雑音は、VP-7723A (A補正)にて、左チャンネル 11µV、右チャンネル 12µV であった。 さて、肝心の CMRR は下記の通り。 左右のチャンネルで状況は異なるが、20kHz までは、60dB とれている。


性能的には、やっと目的を達することができた。 あとは音質。 果たして合格できるのか・・・。
to be continued…