はらわたを下に示す。 左側から電源部(基板2枚)、Amanero Combo 384、同軸(AE-DIR8416)基板で、同軸基板の上に KZ電解コンデンサを使った音作りのためのリップルフィルターがある。 一番右側の下がデジタル制御基板で、上がDAC本体基板である。
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DAC基板とアナログ電源を供給する KZ電解コンデンサによるリップルフィルター基板である。 OSコンやオーディオ用電解コンデンサがが多数、DAC基板に搭載されているのがわかる。 下は電源部の詳細であり、SONY製のEIコアトランス、tinySP電源基板、DC-DCコンバータによる 5V基板が見える。tinySP電源基板の裏面には、25V 10μF の PMLCAP 積層フィルムコンデンサが追加されている。
トグルスイッチやロータリースイッチのまわり止めのために、アルミ板を追加して、ふたつのスイッチをねじ止めすれば、十分に固定できる。 この技はとても便利だが、ふたつのスイッチを必要とする。
できあがってから、この DAC基板は、オペアンプ出力がそのまま出力されていることに気がついた。 先の痛ましい事故 の経験から、出力に DC が絶対出ない仕様とするので、16V 10μF のPMLCAP を出力に追加した。
上が AK4497SVQ miniDAC で、下がリモコン付きバランス型プリアンプ AK4497SVQ miniDAC のつまみは、デジタルフィルターの切り替えで、トグルスイッチは入力切り替え
KZ電解コンデンサは寝起きが悪い ので、100時間程度鳴らしたのちの感想だが、リモコン付きバランス型プリアンプ 、12HG7/12GN7A CasComp 単段差動アンプ で鳴らしてみた。BlueSnow DAC と比較してみると、Blue Snow DAC のほうがややおだやかでひかえめだが、これは Blue Snow DAC でオペアンプに MUSES 01 を使っているためと思われる。 しかしながら、その差は少なく、ブラインドで聴きわける自信は全くない。 ただし、本機のほうが、デジタルフィルタの差がわかりやすいことに気がついた。旭化成による、デジタルフィルタに関する記事 によれば、次の通り。
おおむねアジア圏の人々は Sharp roll off filter, Slow roll off filter を、欧米のお客様は Short delay sharp roll off filter を好まれる傾向があるようです。
なぜ音質の好みに地域性が出るかを色々考えてみたのですが、その人が話す言語の特徴が影響を及ぼしているのではないでしょうか。言葉のなかで、子音の重要度が高い言語を話す人はプリエコーのない short タイプを、母音が重要度の高い言語を話す人は対照型の特性のフィルターを好むように感じています。一番耳にする頻度が高く、コミュニケーションに重要な部分を占める言語 (母国語) が、聴感の好みを決めているのではないのでしょうか? 非常に興味深い傾向だと思っています (あくまで仮説です…) 。
私の好みというか、リファレンスを最もうまく描出するのは、Short Delay Slow Roll-off filter であった。 BlueSnow DAC も同じ設定に変更することとした。 miniDAC 工作は、おおむね満足な結果といえる。
たっぷり試聴しているうちに、ピアノの打音が固めで、時にバイオリンが悲鳴を上げることに気がついた。 致命的とはいえないのだが、気になり出すとどうにもならない。 IV のオペアンプを LME49720から、いつもの MUSES01に変えてみると、いつも通りの安心できる音にかわった。念のためにオシロスコープで発振がないことを確認して、これで完成とした。
完成を喜んでいたら、MUSES 01 が生産終了予定であることを知った。 2SK30A、2SK117、2SK170 などの FET や 2SC2837/A1186 などのトランジスタがなくなりそうなときに、ストックとして買い込んだが、オペアンプもそういう時代になりそうだ。 もはや、電気工作という趣味自体が結晶化 し、終焉が近いのかもしれない。