リモコン付きバランス型プリアンプ 完成 & はらわた

さて、肝心の音質の評価だが、Blue Snow DAC → 本プリアンプ → KT88全段差動アンプ → Dynaudio Contour 3.3 で行った。 すべての機材を 15分ほどウォームアップしたうえで、まずはリファレンスの試聴。 最初の数十秒で、不合格かどうかがわかる。

幸いなことに本機は合格だ。 先に失敗したフラットアンプでも、かろうじて合格だが、本機は、余裕で合格である。 あとは、弦楽四重奏や女性ボーカルを聞いて、不快感を感じなければよい。 初代ほどのゴージャス&わかりやすい快活さはないが、欠点は感じられない。 これでよさそうだ。

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左から電源スイッチ、LCD、Volume、入力選択だ。 LCD の下に見えるのは、リモコンの入力部である。
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ボリュームに相当する可変抵抗と入力切り替えのロータリースイッチは、アルミ板で共締めされている。 このようにすることで、操作によるゆるみを防止できる。
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右下に、リップルフィルタ基板が見える。
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いつものように、パスコンは PILKOR で 1µF
筐体のアース接続が確実になるように塗装を剥がすのを忘れずに。

ここまでくれば、あとは、相棒になるパワーアンプ次第。 パワーアンプの作成に力を入れたい。

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その3)

よく考えれば、先に考えたフラットアンプは、不平衡出力に使えない。 もとにもどって、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプの回路を見直してみると、この回路は反転アンプである。 FET+エミッタフォローをオペアンプに変えても動作はするはず。 ただし、この場合は入力インピータンスを高くはできないので、アナログ対応バランス型プリアンプには使用できない。

今回は一番最初に、差動ドライバ/レシーバとしての動作を確認した。 今回は大丈夫だ。 トランス二次側を開放すると、500kHz あたりに 15dB に及ぶピークがでる。 二次側に 2kΩを試しに入れたところ、ピークは 4dB で収まるが、抵抗値を小さくしてもあまり変わりがなかったので、残りは微分補正(上回路図の要調整のコンデンサ)で検討することにした。

左チャンネルを示す(右チャンネルもほぼ同じ)

微分補正のコンデンサ容量をいろいろ変えたところ、24pF では 200kHz でわずかに盛り上がる。 一方、47pF では、位相回転がプラス側に著しく跳ね返るので、適性な補正が 33pF であることがわかる。 この容量は左右とも同じであった。  高域の -3dB 点は おおよそ 400kHz である。 低域のほうはどの程度の出力かによって異なるが、4V出力においては、なんと 2Hz である。 Analog Discovery の発信器の制約から、これより大きな出力では測定できない。 ぺるけ師匠の記事通りの性能といえる。

左チャンネルの雑音比済み率 VP-7723A (LPF=80kHz)

歪み率特性をみると、20Hz では、0.1V出力ぐらいからひずみ率の低下が認められなくなる。おそらくトランスが飽和してくるためと思われる。 試しに 100 Hz も測定してみたが、0.2V出力ぐらいまでは 1kHz とデータがそろう。 これまでの WaveGene/WaveSpectra での測定であれば、100/1k/10kHz の測定で、0.001% のオーダーの測定はできないので、 きれいに 100/1k/10kHz の測定結果がそろったように見えるであろう。 トランスを使った影響が、ひずみ率の形でみえてくる。

残留雑音は、VP-7723A (A補正)にて、左チャンネル 11µV、右チャンネル 12µV であった。 さて、肝心の CMRR は下記の通り。 左右のチャンネルで状況は異なるが、20kHz までは、60dB とれている。

左チャンネル(クリックで拡大)
右チャンネル(クリックで拡大)

性能的には、やっと目的を達することができた。 あとは音質。 果たして合格できるのか・・・。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その2)

次に考えたのは、ぺるけ師匠の簡易平衡→不平衡コンバータの応用である。 下記のように使えば、平衡入力・平衡出力が得られるはず。

ところが、この回路は入力インピータンスが異なるため、不平衡入力のときに、バランスが不良となる。 ぺるけ師匠の記事から、-入力側の入力抵抗を 30kΩとし、NF抵抗(上図の 20kΩ)を 60kΩとする必要がある。 60kΩという抵抗はないので、120kΩを並列にして組み上げた。

Analog Disocovery にて周波数特性を測定すると、1.5kΩにてトランス二次側をターミネートするだけではだめで、トランス二次側につながる NFB 抵抗を利用して、微分補正をかける必要があった。 下図にて赤は微分補正なし、青は 15pF、茶は 22pF であり、15pF が適正と考えた。

VP-7723A LPF=80kHz

歪み率特性をみると、出力電圧が 2V ぐらいから、20Hz の特性が頭打ちになる。 おそらくトランスが飽和してくるためと思われるが、8V程度まで 0.01% を切っているので、問題にはならない。

ところが・・・ 上記の回路だが、ラインレシーバとして動作しない。 そんなばかな・・・と思ったのだが、トランスの二次側から NFB をかけていることが原因らしい。 二次側のトランスの中点をGND につなぐとラインレシーバとして動作する。

せっかく作ってしまったこともあり、試聴してみると、高域がキンキンとうるさく感じるところがあって、疲れる感じがした。 この現象は、電子ボリュームの出力にオペアンプバッファがはいっていて、フラットアンプが低インピータンスドライブされるためらしい。 たかじんさんの PGA-2311ボリュームでも、100-200kHz の LPF を入れる対策をとっている。 本フラットアンプでもそのようにしてみたところ若干の改善は認められたが、基本的な性格は変わらないようだ。 どうやら失敗らしい。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ フラットアンプの試行錯誤(その1)

今回のフラットアンプを考えるときに最初に考えたのは、ぺるけ師匠の平衡プロジェクトだ。 平衡・不平衡の入出力に対応している。 すなわち、バランス入出力のフラットアンプであり、差動レシーバ/ドライバとしても機能する。

参考にしたのは、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプだ。 最少の半導体で構成されているが、上記の条件を満たしている。 トランス出力としているのは、不平衡出力の時に、片側の出力をアースすれば使えるということが大きいようだ。 今回のフラットアンプでも、そのようにしたいと考えた。 ぺるけ師匠は、各種のライントランスの計測データも提示なさっている。 これをみると、日本光電の E-8480 が私の目をひいた。 ヤフオクで手に入れることができた。

問題はこれから。 アナログ対応バランス型プリアンプでは、470kΩの入力インピータンスで受ける必要がある(MUSES 72320 の出力をバッファなしで受ける)ので、ぺるけ師匠の FET式平衡型差動プリアンプのフラットアンプは使えない。 反転入力型の回路であり、入力インピータンスをあげるのは困難だ。 小さく仕上げるためにオペアンプを使うことを考え、下記のような回路を考えた。 ぺるけ師匠のように、トランスの二次側からも NFB をかけるが、一次側の出力からも NFB をかけておく。 このようにすることで、トランスがループに含まれる NFB 量を減少させ、安定化に役立つ。

※ 二次側のターミネートは下記に示した試行錯誤により決定

二次側のターミネートをつけるだけで、上図の周波数特性が得られた。

VP-7723A LPF 80kHz(バラックでの測定)

上記に示したのは、バラックでの仮測定のときの歪み率特性である。100Hz が少し悪いのはシールド不十分のための雑音が影響していると思われる。

聴いてみると、なかなかゴージャスなご機嫌サウンド。 ビッグバンドジャズがよく映える。 ところが、これは失敗作であった。 なぜなら、CMRR を測定したら、6dB 程度しか取れていない上に、差動ドライバとしては動作しないこともわかった。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ 構想編

mi-take クリエイトから購入したのは、PGA2230 によるバランス型ボリューム基板と専用電源基板、表示用LCDである。 これにフラットアンプを自分で作成する。

電源には SONY 製の重厚な鋼板で覆われたEIトランスを使う。 ちょうど専用電源基板にちょうど良かった。 

専用電源基板は、SBD で整流、ニチコンの FW が用いられており、自分の趣向にもあう。 ただし、FWのパスコンとして、PMLCAP 35V 4.7μF を追加した。

基板裏に PMLCAP をはんだづけした。

PGA2230 によるバランス型ボリューム基板には、デジタル制御の 5V とアナログ部分に供給されると思われる±電源が必要である。 専用電源基板は三端子レギュレータなので、このあとに、大好きな KZコンデンサによるリップルフィルタをいれてから、PGA2330 に供給する。 このあたりは、アナログ対応バランス型プリアンプと同じ。 PGA2330 基板とフラットアンプ基板には、それぞれリップルフィルタがはいる。

今回は電流が少ないので、トランジスタのベースのKZ は 100μFとした。

PGA2230 によるバランス型ボリューム基板は、リモコンに対応している。 リモコンの受光部がすでにはんだ付けされているので、これをはんだ吸い取り機(HAKKO FR-301)ではずして、フロントパネルに取り付けることにした。 取り付けは、例によって、ホットボンドだ。

手元に、4回路3接点のロータリースイッチがあるので、これを利用して3入力とするが、うち1入力を RCA 端子とする。 フラットアンプに差動ドライバの役割も持たせる必要がある。 最悪の場合は、アナログ対応バランス型プリアンプと同じように、変換基板を作ることにするが、できれば、今回はぺるけ師匠の差動型プリアンプのように、トランスを用いて、差動ドライバ/差動レシーバの役割を持たせたい。

電源電圧が ±14.4V のみであることと省スペースという制約のなかで、平衡・不平衡入出力に対応できるフラットアンプを作成することがこのリモコン付きバランス型プリアンプの成功のカギを握ることになる。

to be continued…

リモコン付きバランス型プリアンプ 妄想編

メインシステムで使用しているバランス型プリアンプには、全ての操作をリモコン操作が可能という特徴があり、たいへん重宝していた。 このバランス型プリアンプを不注意な改造で壊してしまったときに、もしも修理できなかったときのことを考えていた。 2025年7月現在のたかじんさんのバランス型ボリューム基板には、リモコン操作可能なものはない。

ウェブ上で調べてみると、バランス型プリアンプのシャーシ(タカチ WO99-43-33S)にうまく組み込み可能なものに、mi-take クリエイトPGA2230 によるバランス型ボリューム基板がみつかった。とりあえず、各種の関連基板等を確保した。

幸いにして、バランス型プリアンプは、たかじんさんのご支援により修理できたので、この基板を用いて、単身赴任先で用いるプリアンプを作成することにした。

購入した基板はボリューム基板のみなので、フラットアンプが必要になる。 アナログ対応バランス型プリアンプでは、設置面積が少なくてすむClassAA フラットアンプを採用したが、この構成には大変大きな欠点がある。 CMRR(同窓除去比)が 0 ということだ。 バランス型プリアンプを改良しようとして、故障させてしまったのもこの点を改良しようとしたためであった。

よって、新たなフラットアンプを検討する必要がある。 一番良いのは、もちろん、たかじんさんによる入出力バランスアンプ NNBA-1 基板を採用することだが、7cm x 10cm 2枚構成ということで、小さくまとめることのは困難だ。 ヒートシンクがトランジスタに支えられる構造から、縦置きはよろしくない。 アナログ対応バランス型プリアンプもスペース的にも、電源容量の観点からも、NNBA-1 基板は採用できない。 どちらでも使えるフラットアンプを作り出す必要があるのだ。

ケースは単身赴任先で使用することも考え、できれば余り大きくしたくない。 そう考えていたときに、ヤフオクで、Ideal CE-30(幅300mm, 奥行き200mm 高さ100mm) が投げ売りされていた。 廃品種になったようだ。 ちょうど良いので複数確保することにした。

追伸 アマチュア向けのシャーシ/ケースがどんどんなくなっていく。 LEAD はアマチュア向けから撤退してしまった。 予定では夏ごろとのことであったが、KT-88全段作動アンプ で使った MK-400 はあっという間に売り切れてしまい、予備を購入できなかった。

to be continued…

フルバランス・フルディスクリートアンプへの修理・・・また発振だった

フルバランス・フルディスクリートアンプの左チャンネルが、バランス型プリアンプの改良で故障してしまった。 この故障は、フラットアンプの±電源のうち、+電源が供給されなかったために、出力にDCが出力されたためと思われる。 幸いにして、スピーカーは、保護回路基板のPRT-01 によって、影響を受けなかった。

この原因は、フラットアンプ NBBA-1 の出力のコンデンサをフィルムコンデンサと電解コンデンサを並列接続しており、逆電圧がかかったことが理由として考えられる。 ある機械の故障が他の機械の故障につながるというのは許容できないと私は考える。 よって、このような形式になっていた Blue Snow DACバランス型プリアンプの NBBA-1 の出力から電解コンデンサを除去することとした。 電解コンデンサの除去によっても、低域のカットオフ周波数が 1Hz 以下になることを確認した。 音質的な変化としては、低域の余裕度が犠牲になると思われたが、私の環境では、高域の変化のほうが圧倒的に大きかった。 高域の雑味が取れた感じというのが一番の変化であった。 ただし、我が家はメインシステムが、左右別サブウーファ付きという点が一般的ではないので、他の環境では別の結果となるかもしれない。

さて、フルバランス・フルディスクリートアンプの修理の方だが、VFA-01 の BTL 構成であり、片チャンネルがバイアス電流を上げられず、オフセット電圧を調整できなくなっていた。 実験用トラッキング電源で、±12V を供給し、各トランジスタのBE電圧が 0.6V になっていないトランジスタは壊れていると考え、交換することで修理が完成するだろうと考えた。

最初に見つかったのは、終段の 2SA1186 の故障であったため、その3段ダーリントントランジスタを全て交換した。 ところが、相変わらずオフセット電圧の調整が極めて不安定のままだ。 出力は、-10V からほんの少し回しただけで、+1.7V 程度となり、その後ゆっくりと +1.4V ていどまで低下する。 右に完全に回すと+4V程度になる。 DC Offset が +1.5V 程度であれば、バイアス調整が可能になる。
しかし、DC Offset がマイナスになると、バイアス調整が全く取れず、電流が流れない。

たかじんさんによる ±12V 電源 での動作時の各所の電圧 を参考にして故障した実機の電圧は下記の通り。

クリックで拡大: ただし、初段は 2SK170 である

これをみると、差動2段目があやしいかもしれないと考え、電流負荷も含めて全て交換するも、全く変化がなかった。 DC入力された、FET(2SK170)の故障を考えて、こちらも交換したが、変化がなかった。 念のために、電源を入れずに、全ての抵抗を確認したが、これまた異常がなかった。 交換していないのは、2SC2837 の3段ダーリントンのみとなってしまったので、だめもとで交換したが、これまた変化がなかった。

オシロであたってみると、オフセット電圧がマイナスのときには、40MHz 帯で発振していた(下図)。 オフセット電圧ガプラスになると、1MHz 帯での発振に変わる。

こうなると、初段の出力間のCR(下図の C4, R5)、2段目のベースに接続されたC(C5)を丸ピンソケットにして、各種の値を差し込んで試みてみたが、一向に改善されない。

たかじんさんに相談してみると、3段ダーリントンのベースのコンデンサ(C7, C8)の増量や、ベースにいれた抵抗の増加も考慮してはとのことであったが、C7, C8 を1000pF 程度まで増加しても,発振の状況は変わらなかった。 調整のしすぎで、半固定抵抗が不安定になってしまい、これも交換した。 

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かくして、困ってしまった私だが、たかじんさんも新作の VFA-34 では発振で苦労なさっていた。 この記事のコメントで、ボード線図の測定が提案されており、私もやってみた。 

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驚くなかれ、400kHz に急峻なピークがある。 このようなピークは、NFBループのコンデンサで解決すべきと考え、たかじんさんの推奨の 3pF から、6.8pF に増量したところ、このピークは消え、オフセット電圧の調整、バイアス電流の調整もきくようになった。 一番よかったのは、R5=100Ω / C4=1000pF であった。 念のために、ひずみ率特性を測定し、従前と変わらないことを確認した。

フルバランス・フルディスクリートアンプの修理での教訓は、基本に忠実であれということにつきる。 トランジスタアンプの場合、自分で設計する技量がないので、回路の理解が十分ではないこともあって、わからない/予想外となると、たかじんさんに安易に質問してしまう悪い習慣がついているようだ。 ぺるけ師匠の「Tips &トラブルシューティング・ブック」にある「手を動かす前に頭を使え」である。 今回は、問題がない部品をたくさん交換してしまった。 交換してしまったトランジスタは、HFE 測定後に再利用したい。

追伸: 本来の予定では、NNBA-1 の換装 した後に、Panasonic Audio Analyzer VP-7723A を購入したので、安定した測定が可能になった報告で終えるつもりだった・・・

バランス型プリアンプを改良したい・・・問題切り分けと解決

困ったときのたかじんさん頼み・・・とお定まりの道を歩んでしまった。 彼のアドバイスは次の点にまとめられる。

※ マイコンは明らかに壊れている
※ MUSES72320 の故障が、マイコンを巻き込んで壊すことがあり得る
※ MUSES72320 は電源が入っていないときの過大入力で壊れることがある(0.1V程度の入力で動作確認を)
※ 半田付けの確認はとにかく入念に

私は、わかりやすいように 2V(rms) の入力をいれて、動作確認をしていた。 どうやら、動作確認のたびに、MUSES72320 を破壊していたらしい。 さらに、MUSES 72320 を壊してしまった結果として、マイコンまで壊してしまったらしい。 マイコンが壊れていると言うことは、それと接続されている、SEL-12 上の SN74HC594 をも壊してしまっている可能性が高い。 マイコンはたかじんさんにお願いして、2個購入させていただいた。 MUSES 72320 は再発注した。 SN74HC594 は DIGIKEY から購入した。 

修理にあたって、最小限の構成で動作することの確認から始めた。
① VOL-12 のみを電源に接続して、新しいマイコン、MUSES 72320 の貼り替えを行って動作確認する。 MUSES 72320 をはがしたら、CRの容量をテスタで確認する。 MUSES 72320 のはんだ付けにあたっては、拡大レンズ下でたかじんさんの手法を忠実に守り、そのうえでミラーレスカメラで等倍撮影可能なレンズにて撮影し、確実なはんだ付けとブリッジがないことを確認する。 動作確認には 0.1V(rms) の入力電圧で行う。
② VOL-12 の動作を確認できたら、同様に VOL-01 の動作確認を行う。
③ SEL-12 については、SC74HC594 を張り替えてから行う。

体力・気力が充実した休日に以上の手順でがんばったところ、VOL-12 ではチップコンデンサの不良が、VOL-01 ではチップ抵抗の不良が見つかり、交換を要した。 MUSES 72320 を張り替えて動作が確認できたときの喜びといったら。

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これで万事解決と思いきや、SEL-12 は動作が不確実で、動作したりしなかったりしていた。 動作していないときには、リレーに電圧がかかっていなかったので、駆動トランジスタが不良になりかかっていると判断して、全てのトランジスタを交換した。 これで無事解決と思ったら、リレーがひとつ動作しなくなっていた。 はんだ吸い取り器で、リレーを除去しようとしたが除去できず、やむを得ず、リレーの方を破壊して交換した。 なかなか破壊できず、基板を壊しそうになって、冷や汗をかいた。

かくして、バランス型プリアンプは無事に復旧した。 復旧にはおよそ2か月を要した。 あとは、VFA-01 の復旧だが、これはトランジスタの BE電圧をみれば、壊れたトランジスタがわかるはずだから容易であろうと・・・

to be continued…

バランス型プリアンプを改良したい・・・修理をしたがどんどん悪化

MUSES 72320 をさっそく秋月電子に発注して、交換することを考えた。 なんと、MUSES 72320 は在庫限りになっていた。 とりあえず4個購入した。

MUSES 72320 を張り替えれば、治るだろうという読みである。 0.65mm ピッチの SSOP32 をはがすところから。 太いより線にたくさんハンダをのせて、D型のこて先で熱すると、ほどなく MUSES72320 がはがれた。 いつものように、MUSES72320 を半田付けして、治ることを期待したが、全く駄目である。 発振器で入力して、オシロで確認しても、全く動作している様子がない。

NBBA-1 の不都合が生じたのは、左チャンネルのみなので、測定環境の問題を疑って、右チャンネルを確認したら、なんと右チャンネルも動作しないではないか! そのまま調べてみたら、MUSES72320 の電源ラインが故障している。 -電源が出力されていない。 取り急ぎ、三端子レギュレータで即席の ±12V 電源を準備して、つないでみた。 残念ながら、両チャンネルとも動作していないことがわかったのみであった。 NBBA-1 の電源不良がもとになって、全部駄目になってしまったのだ。 

あせるとろくなことはないと考えて、日をおいて、チェックのし直しをした。 現時点で、SEL-12 は不安定ながら動作しているので、マイコンはかろうじて動作していると思われる。 MUSES 72320 は VOL-12, VOL-01 ともに動作不良であることがわかった。

よって、MUSES 72320 を両方とも張り替えて、再度チャレンジしたが、動作不良はあいかわらず。 くわえて、SEL-12 も動作しなくなってしまった。 何故だ・・・・?

どんどん動作不良がひどくなっていく。 もはや修理不能? そうなると、リモコンで動作可能なボリュームを再度作成したいが、そのような基板があるのだろうか? VOL-12/-01、SEL-12 は既に廃版なのだ。

to be continued…

バランス型プリアンプを改良したい・・・改良ではなく壊してしまった件

バランス型プリアンプは、問題なく動作しているが、実は大きな問題点がある。 それは、フラットアンプに HPA-12ヘッドホンアンプ を使用しており、+-入力のそれぞれに unbalanced のフラットアンプを利用しているので、同相除去比(Common Mode Rejection Ratio, CMRR)はゼロである。 つまり、バランス入力・バランス出力の体裁をとっているものの、外来ノイズに対するメリットは、プリアンプ単体としてはない。

こんなおりに、たかじんさんが、入出力バランスアンプ NNBA-1 基板を配布し始めた。 これは素晴らしいと考え、同基板にフラットアンプを切り換えることを計画した。 本基板は、Unbalanced – Balanced (差動ドライバ)や、Balanced – Unbalanced (差動レシーバ)としても使用可能で、Phono Equalizer でも使用している。 Phono Equalizer 作成時に同時に作成しておき、入力を 2SK170 とし、MUSES 72320 に合わせて負荷抵抗等を作成した。

VP-7723A (LPF 80kHz ON)にて測定

NBBA-1 の歪み率特性が、たかじんさんのそれとあまりかわらないことを確認できたので、あとは交換するだけ。 電源は、たかじんさんの BlueWind DC-Arrow +/- 電源基板 とした。 交換も終わり、メインシステムにいれて音出しを開始した。 もやっとした音だが、KZ 電解コンデンサの使い始めは、こんなものだ。 

パワーアンプの電源を切って、2時間放置して、再度音出しをしたら、左チャンネルから音が出ない。 フルバランスパワーアンプのプロテクションがとれないのだ。 パワーアンプが壊れたかと思って、確認すると、DC漏れしていた。 オフセット調整をすると、問題が解決したので、ほっとして音出しを続行すると、やっぱり音が出ない。 これはプリアンプがおかしいのだ。 テスタであたったら、出力にDCがでている。 即座にプリアンプの電源を落として、調べてみたら、NBBA-1 フラットアンプの左チャンネルの+電源がきていない。 どこに問題があるのかを調べてみると、なんと電源のコネクタの接触不良があったようだ。

原因がわかってほっとして、再度システムに組み込んで、音出しをしたら、なんと全く音が出ない・・・・ 左チャンネルのパワーアンプもプロテクタがはずれない。 改良のつもりがプリアンプごと壊してしまった。 加えて、パワーアンプも。

to be continued…

 

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