最終回路図を上に、周波数特性を下に示す。
周波数特性では、60kHz 付近にわずかなふくらみがあるが、NFC を増減させると、500kHz前後のふくらみが急激に盛り上がってくるので、これで最終特性とした。
歪み率特性は、バランス入力改造前と測定環境が異なるので比較できない。 理由は不明だが、これまで使用してきた ESI juli@Xte にて、低歪みでの測定ができなくなってしまい、Motu M2で測定したためだ。 しかしながら、最低歪み率は左右ともに0.1%を大幅に下回っており、良好な特性といえるだろう。
残留雑音は、A-weight なしで、左チャンネル 0.048mV、右チャンネル0.049mV であった。また、ON-OFF法によるダンピングファクタは、11.8(1kHz)であった。
聴感上は、7DJ8 と 6R-HH2 との真空管の差が目立たなくなったようだ。 どちらもバランス化する前の 6R-HH2 に近い。 微妙なニュアンスの表現がどちらもうまくなった。 自分の好みでは、6R-HH2 のほうが圧倒的に良い。 リファレンスのピアノのキータッチの差が一層わかりやすいうえに、ダイナミックレンジが上がった感じがする。もともとはミニワッターとして使用されていなかった 6R-HH2 が使えるかどうかのプロジェクトだったわけだが、バランス入力化してみると、低出力という難点はあるものの、デスクトップオーディオ用途では、むしろ推奨されるべき真空管であるように思えてきた。 ただし、この評価はバランス入力プリアンプと Tangent Evo4 の環境によるもので、使用機器との相性がよいのかもしれない。 いずれにせよ、バランス改造は正解だった。