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6AQ5全段差動アンプへの道・・・測定とNFB

Analog Discoveryで測定したところ、 無帰還では10Hz~40kHz (-3dB)程度だ。 この帯域の狭さは、全段差動ベーシックアンプでは仕方ない。 高rp三極管によるドライブですので、ミラー効果が影響してしまう。 情熱の真空管のサイトでも説明がある。 200kHz でわずかなこぶがあるが、位相回転が180度にいたることはない。

聴感で、低域がボンつかないようにNF量を決定してみた。 ある程度NFをかけたほうが、音質的にはよいようだ。 結果的に、NFBを 5.6 dB かけた。 このときの周波数特性は、下記の通りで 8Hz~50kHz(-3dB)程度。 大きな暴れもない。

10kHz の方形波もすなお。 NFの補正コンデンサは不要らしい? 補正コンデンサ無しでよいかを知るために、木村哲(著)真空管アンプの素 を買って読んだ。 なるほど、いらない。

 

歪み率を WaveSpectra で測定してみた。 最低歪みでは、0.1%を切っていた。 驚いた。 5%歪みで2.5W程度取れており、今回の目的には十分。

ダンピングファクタは ON/OFF法で、4 程度。

残留雑音は、左右とも 0.17mV 程度。 クロストークは、50kHz で-72dB で、可聴帯域では、-80dB 以上とれた。正直、残留雑音の測定と変わらない。

6AQ5全段差動ベーシックアンプは、前哨戦のつもりだったが、あまりにできが良いで、さらなる改良をしたくなった。

6AQ5全段差動アンプへの道・・・設計と製作

全段差動ベーシックアンプの場合、ここまでくると迷いは少ない。 前段は μ = 100 の 12AX7 しか選択肢はない。 あとは、どれだけ電流を流すかとか、どれだけゲインを稼ぐかとか。 今回の場合は、電流を増やしたくないし、ゲインはできるだけ稼ぎたい。 6AQ5のグリッドリークが470KΩなので、12AX7のプレート抵抗はその1/2程度が精一杯。 全日本真空管マニュアル(ラジオ技術全書)から、動作例を選ぶだけ。 定電流ダイオードは、何本か買って、1.0mAに近いものを選んだ。

回路図(クリックすると拡大)

もともとのセメント抵抗を使うと、中のコンデンサがあぶられてしまうので、放熱を筐体でできるメタルクラッド抵抗に。 電解コンデンサはよくわからないメーカーだけど、とりあえず、そのまま。 たぶん、後で交換するんだろうな。

意外に困ったのは、6AQ5のバランス取り用の半固定抵抗。 立てラグと相性が悪いようで、右タイプのものは、いつのまにか足が取れてしまう。 平ラグなら大丈夫なのかもしれないが。 回すときに、ハンダしている足に力がかかってしまうからだろう。

マルツの店頭でよさげなのを探したら、東京コスモス電機のトリマポテンショをみつけた。 これは大丈夫なようだ。 足もかなりしっかりしていて、折れそうにない。 これからは、基本的にこのトリマポテンショを使おう。

無帰還で聴いてみると、さらに良くなった感じ。 低域はぼんつくけど、以前よりはるかにいい。 思った以上に良いアンプになりそうで、うれしい。

はらわた(電解コンデンサを変更した後

6AQ5全段差動アンプへの道・・・準備

まずは下準備を・・・

1) もともとのAMP-3では、各チャンネルの 6AQ5(2球)に30mA しか流れていない。 AB級だから当然か? このままで、バイアス電流を増やすと、電源フィルタの抵抗が焼けてしまう。 300Ω/220μF 2段のフィルタ回路を、抵抗を並列にして 150Ωに変更し、ダイオード保護に 10Ωを追加。 電圧は265V程度となって、自己バイアスならちょうど良くなった。 ラッキー!

2)6AQ5を三結にして、LM317による定電流回路に変更。 定電流としては62.5 mA(2球分)で、6AQ5のプレート損失は 7.8W で、データシートによれば、三結垂直偏向出力時は 9W の最大設計中心なので、まあいいだろう。

上記のようにしてみたら、異音がする。 定電流回路の発振はよくあるトラブルらしい。 解決方法をググって、0.01μ のコンデンサを入れましたとさ。

この状態で聴いてみたところ、もともとの状況だと、よく言えば懐かしい音・昭和の音だが、はっきりいうとチャンネルセパレーションが取れていない、ステレオイメージが広がらない、狭帯域の音だったのが、だいぶ改善された感じ。 全段差動アンプは、電源の影響を受けにくいことが、功を奏しているのだろうと思った。

幸いにして、トランスはあまり熱くならない。 長く使っても、手で触っていられる程度。 よって、電源トランスの 235V/150mA は、DC電流値に決定!

3) ボリュームはいつも ALPS RK-27 を使っている。 ところが、AMP-3 付属のつまみはローレットタイプ。 せっかくだから、デザインを壊さずにしたいので、探してみたら、ローレットタイプの音響用(RK2122G-A10K L-20KC)があったので、これを採用。

6AQ5全段差動アンプへの道・・・ラジオ少年 AMP-3

ウェブ上で大変評判の高い全段差動アンプを作ってみたいと思っていた。 情熱の真空管(http://op316.com/tubes/tubes.htm)に、設計マニュアルを始め、たくさんの資料がある。 シャーシ加工が大変なこともあって、なかなかやれずにいたが、ヤフオクで、ラジオ少年 AMP-3 を手に入れ、改造することとした。 6AQ5(実機は高信頼管の6005)を選んだのは、6V6三結の音が割と好みだから。 6G-A4がもったいないので、BGM でいいときは、6V6三結で聴いていたことも多い。 今なら、6EZ5/6EY6あたりを手に入れて使うんだろうと思うが・・・。

元々の回路図は、こちら。 設計者による記事もある。 12AX7によるPK分割で、AB級、ビーム管接続、固定バイアスである。情熱の真空管にも書かれていたが、普通のプッシュプル・アンプを差動プッシュプルに改造するのは、乗り越えないといけないことが多数。

すなわち、AB級からA級への変更に伴う電源電圧の変更、出力トランスのインピータンスの問題などである。 電源トランスは、235V/150mA, 22V/50mA, 6.3V/3A となっている。 AC表示だったら、どうしようと思いつつも、まさか6AQ5PP ステレオを、DC 100mA のトランスでまかなうことはないだろうと、勝手に DC 150mAだと考えた。 電源トランスが熱くなってしまうなら、6AQ5の電流を減らせばいいやと見切り発車。 出力トランスは、5KΩ PP で、8Ωのみの出力。 15W用とのこと。 こちらは一次インピータンスが低すぎるけど、あきらめるしかないか。

「情熱の真空管」のBuilding My Very First Tube Amp講座や、情熱の真空管アンプ(書籍:もはや中古かアマゾンのオンデマンドしかないらしい)を読んで、まずはベーシック2段アンプを作ってみることにした。