「半導体アンプ」カテゴリーアーカイブ

Phono Equalizer も自作できるか・・・構想編

Phono Equalizer を作るとなると、問題となるのは電源部である。 たかじんさんの HPA-1000 ヘッドホンアンプでも、特注Rコアトランスを利用している。 理由はノイズである。 一般的なトロイダルトランスでは、リーケージフラックスが多くハムを誘発してしまうからである。 

こんなこともあろうかと(このフレーズで何かを思い出した人はすごい)・・・ ヤフオクで、よさげなRコアトランスが出ると買い占めていたのが役に立った。 北村機電製で、無負荷時 15V x 2 (大きさから 10VA)を5個持っており、静電シールド付きである。 13V x 2 と考えると電流容量は 0.38A で DC 0.2A ちょい取れる。 これを左右別電源で使えば、よいだろう。

電源は、たかじんさんによる Blue Snow DAC と同じ方式を採用することとする。 LM317/LM337 によって定電圧化をしたのちに、リップルフィルターをかませる。 当然ながら、LT1115/LT1010イコライザ基板と Unbalance-Balance 変換 NNBA-1基板とでそれぞれリップ利フィルターをいれる。すなわち、下記のリップリフィルタが4台はいることになる。ここには、たっぷりニチコン MUSE-KZ 電解コンデンサをおごっている。 LM317/LM337 基板には、お気楽オーディオさんのミニシリーズ Type-J基板を使った。 ただし、ダイオードによる整流は、正負別としている。サブウーファ用のハイカットフィルタと同じだ。 整流後のコンデンサは、ニチコン FW 4700μF を2本プラス PMLCAP 25V 4.7μF を投入する。 LM317/LM337 のリップルフィルタ部分は MUSE-KZ がスペース的にはいらず、ニチコン FG(FineGold)でがまんしたが、安定化後のコンデンサは、MUSE-KZ である。

リップルフィルタ

Phono Equalizer の LT1115/LT1010 基板のほうでは、電解コンデンサは MUSE-KZ、オペアンプのパスコンは、Philips PILKOR メタライズドポリエステルフィルムといつもの陣容で固めた。 イコライザ素子のほうは、 指定容量と許容差の観点から選択の余地は少なく、東信工業のポリプロピレンフィルムコンデンサを使用する。 NFBのAC帰還のためのコンデンサは、フィルムコンデンサとして PMLCAP を使用したので、電解コンデンサのほうは、容量優先で FW とした。

Unbalance – Balance 変換 に用いる入出力バランスアンプ基板 NNBA-1のほうは、2SC2240 / 2SA970 に活躍してもらい、少々無理をしても、MUSE-KZ コンデンサを使う。 ぺるけ師匠の 簡易版 hFE 測定器を作成して、2SC2240 のペアを探して使おう。 FET 入力にしようかとも思ったが、安全優先で、DCカットするならばと、2SC2240 / 2SA970 で優美さを狙った方がよいと考えた。

現在使用している soulnote ph1.0 は MC 専用であり、現在、メインシステムの Micro FV-111 + Audio Craft AC-3000MC には、ストレートアームに Philips GP922Z をつけているが、今回のシステムでは、MC/MM 両方が使えるようにしよう。 設定のための方策は、アナログ対応バランスプリアンプと同じだが、左右別電源に加えてさらにノイズ源となるトランスを加えるわけにはいかないので、めんどうだが、リレーの電源も左右別としよう。 片チャンネルから MC/MM 表示のLEDの電源をとり、もう片方からは、電源ON表示の LED電源をとることとする。

… to be continued.

Phono Equalizer も自作できるか・・・妄想編

すでに記事にしたように、電気作業部屋で使用しているアナログ対応バランス型プリアンプには、イトウ電子製の LT1115+LT1010 Phono Equalizer 基板で、MC/MMカートリッジに対応している。 この基板は S/N 比も極めて良好で、音質的にも満足できる。 

さて、我が家のリビングのステレオ装置は、鈴木哲さんが設計したSoulnote の ma1.0 / sd2.0 などであったが、それらはすでに、バランス型プリアンプフルバランス・フルディスクリートアンプBlue Snow DAC に置き換えられており、第一線を退いている。 現在残っているのは、フォノイコライザの ph1.0 のみである。  アナログ対応バランス型プリアンプのフォノ入力の音には大きな不満がないので、Phono Equalizer も自作に変更できるのでは・・・と妄想が広がる。

Phono Equalizer を作るとしたら、当然、アナログ対応バランス型プリアンプで採用したイトウ電子製の基板が第一候補になるが、欠品中である。 なんとかならないかと思っていたら、ヤフオクでLT1115+LT1010 イコライザ基板が売られていた。 イトウ電子製の基板と同じく、LT1115 のデータシート通りである。 その上、手には入りにくい値の抵抗も付属してくる。 説明サイトを読むと、2013年から改版されて売られ続けていることがわかる。 コンデンサ類を自分の好みのものを使って、試してみたい妄想が広がる。 電解コンデンサは KZ を使い、フィルムコンには Pilkor や PMLCAP を使うとか。 イコライザ素子はマイカかポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルムでといった具合だ。 もちろん、イコライザ素子は精度の問題もあるので何でもよいわけではない。

アナログ対応バランス型プリアンプでは、スペースの問題があって、電源を十分におごることができなかった。 また、Unbalance – Balance 変換も、スペースファクタ優先にせざるを得なかった。 これらの問題を解決した Phono Equalizer を作成すれば、ph1.0 もリプレースできる?

こんなことを妄想していたら、たかじんさんが 入出力バランスアンプ基板 NNBA-1 の配布を開始した。 この基板は、フルディスクリートのバランス入力・バランス出力で、可聴帯域の CMRR はおおよそ90dB と本格的な内容だ。 Unbalance – Balance 変換にも利用できる。 これなら、バランス型プリアンプのフォノ入力の音には大きな不満がないので、Phono Equalizer も自作できるかもしれない。

… to be continued.

追伸: 現時点では、バランス型プリアンプ のフラットアンプ部は、ヘッドホンアンプの HPA-12 を利用しているので、実は、CMRR が 0 dB という悲惨なことになっている。 当然ながら、NBBA-1 基板にアップグレードしたい。

Class AA ミニワッターは実現するか・・・合格しました & はらわた

完成した Class AA ミニワッターを、自宅で100時間程度エージングしてから、知人宅に持ち込んだ。 村治佳織のギターでテスト! 禁断のClassAAヘッドホンアンプのように、目の前に広がる絶妙な空気感がでるかどうか? 

何しろ、こちらの利点はやや出力が大きいことと、保護回路に小信号用のリレーではなく、MOS-FET を使っていることだが、Rコアトランスを利用できていないし、使いやすいようにゲインを少し上げており、ひずみ率特性はやや悪い。

最初の一音が出た瞬間に合格だとわかった。 この絶妙な空気感は、ClassAA回路とテクニクスのスピーカーで織りなす音なのだろう。 我が家のスピーカーでは出ない。 また知人宅の Mcintosh のアンプと組み合わせても出ない。

左側のスピーカーが Technics SB-MX-100D。 アナログプレーヤの上に仮置きされているのが、ClassAAアンプ。 右側に Mcintosh のセパレートアンプと Soulnote sa1.0 がみえる。

無事に合格できてよかった~~~ このアンプは知人宅にお嫁入りだ。 自作派にとっては、この上ない喜びといえる。 何しろたくさんの市販アンプをお持ちの知人宅で、他のアンプより、はっきり優れた組み合わせだからだ。 2台の ClassAAアンプが共通した音色であることから、これは回路の音といえるのだろう。

要調整のNFコンデンサは不要であった
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Class AA ミニワッターは実現するか・・・とりあえず完成

左右差の理由として考えられ、高域特性に大きく影響するものといえば、NFBの補正コンデンサである。 思い切って、補正コンデンサをはずして、周波数特性を再度図ってみると、フラットになっているではないか。 基板だけで測定しても、最終的に測定してみないとだめということ。

(クリックで拡大)ClassAAミニワッター周波数特性(8Ω負荷)

歪み率特性は、左右とも類似した特性になった。 100Hz が一番よく、周波数が上がるにつれて、悪化している。 禁断の ClassAAヘッドホンアンプと比較すると、NFB量の低下と負荷抵抗が下がったことが影響しているのだろう。 そうはいっても、一番良いところでは、0.01% を切っており、とても立派な特性といえよう。

ClassAAミニワッター雑音歪み率特性 左チャンネル(8Ω負荷)
ClassAAミニワッター雑音歪み率特性 右チャンネル(8Ω負荷)

ここまで作り上げて、自分でヒアリングしてみる限りでは、それなりによいアンプに仕上がっていると思われた。 なにしろ、Dynaudio Contour 3.3 相手なら、軽々とドライブして、リファレンスの音源をきれいに鳴らしこめるのだから。

to be continued…

Class AA ミニワッターは実現するか・・・またも迷走

2代目ということもあって、簡単ねぇと思いながら、手持ちのシャーシに穴あけして組み込んだ。 ボリュームは、手持ちのアルプスRK-27 2連 10kΩを用いた。

入出力特性を調べてみると、たった1.5W しか出ない。 おかしいと思って電源電圧を図りながら入出力特性を測定すると、電源のレギュレーションが悪く、最大出力時には、8V程度まで電圧が下がってしまうことが判明した。 よって、トランスを 115V/12V2回路、50VA のものに変更した。 このことによって、おおむね 4W 程度の出力が確保できた。 無信号時の電圧はおよそ ±15V で定格内に抑えられている。

音は出るが、ノイズ感がある。 おかしい。 幸い、入力はQIコネクタを用いているので、QIコネクタに直接入力すると問題ない。 ひずみ率測定をすると、1kHz, 10kHz に比べて、100Hz が一桁以上悪い。 今回は、過去のアースラインの失敗(HPA-1000禁断のClassAA ヘッドホンアンプ)は対策済みだ。 どうしてなのかわからない。

RK-27を用いたボリューム回路に何らかの問題があるに違いない。 このときに考えたのは、アンプ部の入力インピータンスである。 簿ボリュームが 10kΩで、アンプ部の入力インピータンスが 10kΩではだめなのではないか。 たまたま、たかじんさんのホームページのコメントに、「東京光音電波の説明だと、全抵抗値の10倍以上の値で信号を受けてくださいと書いています。50kのボリュームなら500kΩ以上の入力抵抗のアンプで受ける必要がある。」とあった。 東京光音電波のホームページには、20倍以上がよいとあり、その理由は、アッテネータ特性(減衰量)が狂うからという説明であった。 音質的な影響等はどうなのかをたかじんさんに尋ねたところ、次のコメントがあった。

それ以外にも摺動子に流す電流を抑えた方が音質的に優れていると感じます。
アルプスRK27を使った個人的な感想としては受け側インピーダンスが10kΩ程度では高域がうるさく、音場が狭いというか音の見通しが悪くなります。 100kあたりまで上げるとそれらの不満はかなり解消されます。
そんなこともあって、HPA-1000では330kΩ受けにしています。

なるほど~! 作例をみれば、解答が推測できるというのを忘れていた。 よって、このアンプも 受け側入力インピータンスを330kΩに変更した。 この変更で、100Hz の歪み率が、1kHz、10kHz より大幅に悪いという現象は消失した。 

安心して、歪み率測定を始めたところ、今度は、10kHz のひずみ率が、左チャンネルで、右チャンネルに比べて、一桁高いという現象が発生した。 なぜだ~。

to be continued….

Class AA ミニワッターは実現するか・・・基板の作成

禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは難産だったが、今回はそれをよりよくコピーしようというものなので、アンプ基板の作成は短時間ですんだ。 設計上の変更点は、NFBの定数のみである。 ただし、電源供給はPRT-02の端子をうまく利用できるように大電流部分は左右別とし、前段のV-AMP については、別途電源部から取り出した。 そのうえで、S-GND も左右別にした。

(クリックで拡大) 
(クリックで拡大)

難航したのは、PRT-02のほう。 調整できない。 今回はたかじんさんに聞く前によく考えてみたところ、電源電圧が±10V 程度と低いため、チェナーダイオードを手持ちの 4V 程度のものに変更したところ、無事に動作するようになった。

(クリックで拡大) ClassAA ミニワッター 左チャンネル

アンプ基板ができたところで、NFBの並列コンデンサの容量を決定するために、周波数特性を測定した。 左チャンネルでは、1.5pF が適正と考えた。 また、右チャンネルでは、上図の左チャンネルのCなしに見られる 200kHz のふくらみがなかったため、 補正なしとすることにした。

to be continued…

Class AA ミニワッターは実現するか・・・構想編

難産の末に生まれた禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは、知人宅の Technics SB-MX100D を驚くほどの空気感で鳴らした。 知人はMcintosh のセパレート、Soulnote sa1.0、EL34全段差動アンプなど各種のアンプを持っておられるが、彼が驚くほどの出来であった。 曰く、手持ちのアンプでは出ない音とのこと。 面白いことに、その空気感は、我が家の Dynaudio や Linaeum、Tangent のスピーカーでは出せない。 村治佳織のギターが目の前に浮かび上がるのだ。

自作派としては、同様のアンプを作って驚かせたいところだ。 禁断の ClassAA ヘッドホンアンプは、あくまでヘッドホンアンプであって、スピーカーを鳴らすものではない。 例えば、スピーカーの保護は小信号用の OMRON G6A リレーであり、スピーカー保護には向かない。 たかじんさんの基板を利用するなら、PRT-01/02 を使う必要がある。 ここでは、PRT-02を採用したい。

また、ミニワッターとしたいので、電源電圧を少しは上げておきたかったり、出来上がりゲインを多めにしたいなど、修正箇所は多数あるはず。 また、たかじんさんの基板は、大電流を流すGND と信号系の GND を分けているので、それを理解して配線することも必要になるだろう。 当初の設計は下記の通り。

電源トランスは、禁断の ClassAA ヘッドホンアンプと同じにしたいが、このアンプはヤフオクでジャンクとして購入したRコアトランスであり、同じものは手に入らない。 とりあえず、手持ちの RS のトロイダルトランス 9V x 2 50VA を用いることにした。

to be continued…

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・はらわたなど

ケースはタカチ HY-70-33-22SS だ。 サイドの放熱器は全く不必要なので、OS-70-20-33SS のサイド面をパネル面として使うのが正しい選択なのだろうが、HY型のほうが圧倒的に安いので、こちらを利用している。 おそらく、OS型はパーツ数が多いために値段が高くなるのだろう。 配置は左からトランス、PRT-03、アンプ基板と、HPA-1000ヘッドホンアンプと同じ配置で、アンプ基板も右側が入力、左側が出力側となっている。

PRT-03 の出力抵抗には、酸化金属皮膜3W 10Ω / 47Ωをいれてあるが、使う意味はなさそうに感じている。

横幅はけっこうキツキツでぎりぎり。 この写真は PGA2311 ボリュームのアース関係を改善する前の者
アンプ基板

NFBの補正コンデンサは抵抗に直付け。 調整の都合上こうするのが楽で横着した。 導電性テープを用いてベタアースを作っている。 MUSES01 を V-AMPに採用する予定で作り始めたため、ひとつのオペアンプを両チャンネルで共有するつくりになっている。 入力コンデンサは PMLCAP なので、裏面にはんだ付けしてある。

アンプ基板裏面
上から禁断のClassAAヘッドホンアンプ、2台目の Blue Snow DAC, HPA-1000ヘッドホンアンプ

写真で見ても、禁断の ClassAAヘッドホンアンプの前面の光の照り返しが違うのがわかるだろう。 実は、XLR4 のためのメタコアによる穴開け作業で、手が滑り、XLR4穴周囲に大きな傷を作ってしまった。 ホルツ 補修用パテ アルミホール用アルミパテで穴埋めして削ったところ、色が全然違いかえって目立つことが判明。 さらに、削ったことにより、パネルのアルマイト加工がはがれる部分がでてきて、パネルが全体的におかしなことに。

仕方がないので、電動サンダーでアルマイト加工ではがし、紙やすりできれいにしてから、アサヒペン カラーアルミスプレー (シルバーメタリック)で薄塗×4回塗装したところ、まずまずの結果を得て完成と思ったが、室内に持ち込むと塗装ムラが目立ち、#600, #1200 #1500 の紙やすりで水研ぎしても、きれいにならず、むしろ塗装前のほうがきれいだったため、ラッカーで塗装をすべて落とした。 塗装を落とした際にパテも全て溶けて流れた。

傷が著しく目立つため、最後の手段で、手作業で #240の紙やすりでヘアライン加工を施し、#600の紙やすりで調整した。 そして、XLRジャックを付けたのちに、傷隠しのために金属の円盤を付けて完成というわけ。 ちなみに金属の円盤は、ハードディスク分解で手に入れた軸受けだ。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・トラブルシューティング

さすがに、同じトラブルをやらかせば、すぐに気が付く。 100Hz の歪み率だけ悪いのはアースの問題だと。 ClassAA基板のみで歪み率を測定すると、100Hz でも 1kHz とほぼ同じ歪み率なので、問題は電子ボリュームあたりのアース処理に問題があると。 HPA-1000 でも同じ問題で悩んだ経緯があり、たかじんさんから下記のコメントをいただいた。

GNDの接続、とくにループになってしまうことによる影響は大きいですよね。

ハムノイズとして現れることが多いのですが、ひずみ率として捉えるのは面白いと思いました。

HPA-1000 は2枚の基板をあまり離さずにGNDラインを1本で繋げるという手法をとってもらうのが理想です。 でもそこに電子ボリュームが入ると、電子ボリュームの電源のGNDが必要になり、GNDループが発生します。

この辺の処理はいくつかあるのですが、トランスからの漏れ磁束を拾ってしまう事もあったりして、ハムノイズという現象だけを追っていると一筋縄ではいかないんですよね。
GNDだけでなく、信号ラインからも漏れ磁束を拾ってしまうから。

PGA2311 電子ボリュームの信号系のアースを、ClassAAアンプ基板の入力端子から供給するのではなく、電源であるPRT-03 の S-GND から供給することにした。ひずみ率特性のみならず、音質向上が得られたのは言うまでもなく。

ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)
ClassAAヘッドホンアンプ 33Ω負荷 ひずみ率特性(クリックで拡大)

雑音歪み率は、100 Hz から 10kHz まで、左右差なくよくそろっていることに加えて、最小で 0.003% と HPA-1000 より優れている。 特性が優れているからと言って、音質が優れている証拠にはならないが。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、3.5W程度は出るので、知人宅で、Technics SB-MX100D を鳴らさせてもらう機会を得た。 ClassAAアンプは Technics のお家芸だからだ。 絶妙の空気感に驚いた。 村治佳織のギターが目の前に浮かび上がるように聞こえる。 何よりも素晴らしいのは、奏法の違いがよくわかることだ。 1980年代に聞いた Technics の高級機を彷彿させる、ちょっと離れたところからきれいに響かせる感じといったらいいだろうか。 ジャズトリオなどでは、楽器の位置関係がよくわかって、響き合う様子もよくわかる。 この感じは、手持ちの Linaeum や Dynaudio では得られないものだ。

閑話休題。 私が作成した HPA-1000 は、初段トランジスタに 2SC2240 を使っているためか、清楚で女性ボーカルの良さが引き立つ感じがとてもいい。 隅々まで音の余韻が聴こえて大人な響き。 穏やかなで落ち着いた雰囲気。 これに対して、この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、HPA-1000 に比べると、もう少しクールにまとめてくる。 Modern Jazz Quartet のおしゃれさがよく目立つ。 交響曲を聞くと、HPA-1000 は、ホールトーンもよく聴こえる中央よりやや後ろの席。 この禁断のClassAA ヘッドホンアンプは、よく全体を見渡せる2階席の最前列といった感じ。 

いずれにせよ、難産だった禁断のClassAA ヘッドホンアンプが完成して、とてもうれしい。

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・測定してみる

とりあえず、周波数特性を測定してみることにした。 NFの補正コンデンサなしで調べてみる。

周波数特性(クリックで拡大)

高域のカットオフは、入力のハイカットフィルタによると考えられるが、位相特性はかなり悪いので、NFの補正コンデンサの調整が必要だ。 6.8pF で位相特性はかなりの改善が認められ、10pF ではさらなる改善が認められる。 15pF に増やしても誤差程度の改善しかないが、22pF まで増やすと位相特性は理想的になるが、10kHz から影響が出てしまう。 よって、10pF に決定することとした。

(クリックで拡大)

残留ノイズは、LED電球のON/OFFでも数字が変わるので、本当のところはよくわからないが、マルチメータのショートから、7μV程度の変動がみられるのみだ。 十分にノイズが少ないといえる。 Rコアトランスを利用したのが、好結果を生んだといえるだろう。

安心してひずみ率(THD+N)測定を始めたところ、1kHz では、最低が0.005% と、WaveGene/WaveSpectra 測定の限界に近い数字で満足したが、100Hz では、安定して0.2~0.3 % と高い数字を示していた。 またやってしまったようだ。

to be continued…