6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・試行編

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・構想編で述べたように、7DJ8/6R-HH2 全段差動ミニワッターは A2級ドライブの方がよさそう。 ところが、本家本元のぺるけさんのところでは、エミッタフォロワ付きの 6DJ8 全段差動ミニワッターは、複雑な発振がおきて凍結状態とか。

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とりあえず、上図のようにエミッタフォロワ付きで出力管の出力段の定電流回路はとりあえずカソード抵抗1本で試みてみたところ、7DJ8 / 6R-HH2 とも、0.6~0.7W 程度は取れた。 しかし、カソード電圧は 7DJ8 と 6R-HH2 で1V程度の差が生じていたので、出力段の定電流化 を行うこととした。 6R-HH2 もミニワッターとして使える!

to be continued…

7DJ8 のヒーター電圧測定

手元にあるのは 7DJ8 であるが、この真空管のヒーター電圧は、諸説ある。 7.0Vという記載もある一方で7.6V という記載もある。 どちらにせよ、7DJ8 はトランスレス用で、電流は 0.3A である。 よって、手持ちの 7DJ8 のヒーターを点灯させてみて、電流値が 0.3A になる電圧を調べるのがよいと考えた。

数本試したところでは、7.3V程度で 0.3A の電流量となった。 こうなると、6.3V をショットキーバリアダイオードでブリッジ整流する形では、SDI2100 のデータシートから考えると、7.1V程度となるであろう。一般にヒータ電圧は±5%が許容されているが、なんとなく気持ち悪い。

6.3Vを重ねて、12.6Vをショットキーバリアダイオードでブリッジ整流して、2本の 7DJ8 を直列につないでヒーター点灯なら、15.1V程度となるので、余裕がある。 この手でいこう。

6R-HH2のときには、さらに抵抗で電圧を落とせば良いだけになるが、ヒーター電流が 0.4A に増える。

7DJ8  と 6R-HH2 はピンコンパチなので、ヒーター電圧を切り替えれば、差し替え可能だ。 6R-HH2 に間違って7.3Vをかけたりしないように、工夫が必要だ。 単にスイッチで切り替えると、間違って手を触れたりする可能性がある。 鍵で切り替えるスイッチを購入しようかと思ったが、意外に手に入らない。

よって、端子板を使ってショートする形にした。 これなら間違うことはあるまい。

 

 

 

真空管ソケット洗浄

7DJ8 / 6R-HH2 全段差動アンプを作る準備をしていて、MT9ピンソケットの未使用品を数十年間死蔵していたことに気がついた。 新品を購入する方が良いかどうかを掲示板で質問しようと思ったが、その前に検索エンジンで調べてみると、おんにょさんの真空管アンプのホームページに、ソケットのピン洗浄のページにたどりついた。 銀製品のクリーナーで酸化皮膜を還元する手法なので試す価値があると考えた。

シルバークリーナーの Speedip に10秒程度つけて、極小の歯間ブラシで磨いた。 その後、化粧用のコットンをこよりのように細くして、ピン内部の拭き取りを行なった。

左:処理後、右:処理前のソケット クリックで拡大

写真でもはっきりわかるほどの差だ。 まさに新品同様のぴかぴかになった。 洗浄後のソケットを、7DJ8 / 6R-HH2 ミニワッターで使用してみるつもりだ。

 

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・構想編

さて、6R-HH2のデータシートから書き起こして、ロードラインを引いてみよう。 ぺるけ師匠の6DJ8全段差動ミニワッターと同じプレート電圧、プレート電流のポイントで 7KΩのラインは下図の通りになる。

6DJ8 に比べるとだいぶ直線性が悪いというか、直線性が良い部分がグリッド電圧が正の領域に広がっている。 すなわち、6R-HH2 でミニワッターを作ろうとしたら、A2級動作を前提に設計する必要がある。 すなわち、エミッタフォロワ・ドライブにすることになる。

ぺるけ師匠の作例だと、6N6P ではエミッタフォロワドライブはうまくいったが、6DJ8 では複雑な発振が起きたとある。

6R-HH2 はエミッタフォロワドライブで、全段差動ミニワッターの夢を見られるのか?

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・妄想編

ぺるけ師匠の6DJ8全段差動PPミニワッターは名だたるプロ音響エンジニア達がこぞって使っている名品なそうで、音を聴いてみたい。 運の良いことに、30年前に手に入れた、封も切っていない新品の東芝7DJ8が手元に11本ある。

6R-HH2 は、日本独自のカスコード増幅用高周波双3極管だ。AC電源電圧がアメリカは117Vなのに、日本は100V なので、トランスレスTVでヒーター電圧不足により利得が下がる事情で、日本独自のカスコード増幅高周波双3極管の*R-HH*が開発されたらしい。 これらの真空管の原型が6DJ8だ。 つい最近、ひょんなことから、手元には封も切られていないNOS(New Old Stock)品の 6R-HH2 を20数本手にいれた。

データシートによると、6DJ8 の 三定数は  μ=33,Gm=12550μ℧,rp=2.6kΩ (rp は計算値)であるが、ぺるけ師匠の「情熱の真空管アンプ」の本では、μ=32,Gm=5820μ℧,rp=5.5kΩ とある。 6R-HH2 は、データシートでは、μ=36,Gm=8000μ℧,rp=4.5kΩ である。 データシート同士を比べるとプレート抵抗は高め。 6R-HH8 は μ=45,Gm=16000μ℧,rp=2.8kΩ で、6DJ8 に近いかもしれない。

こんな 6R-HH2 だが、全段差動ミニワッターの夢を見られるのか?

6G-A4全段差動アンプ・・・完成?

ハイカットフィルター(56pF)を入れた後に、初段ソースにいれたコンデンサを取り去り、残留雑音が減るようにで調整してみたところ、左Ch 10pF、右Ch 82pF あたりで雑音は減らなくなった。

残留雑音は、左Ch 0.13~0.15mV、右Ch 0.28~0.30mV (フィルタなし)程度である。 このときの回路図を下記に示す。

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歪み率特性は下記の通りで、以前に比べて0.001W程度の出力でやや上昇したが、0.1W付近では低くなったようだ。常用域の0.1W程度での歪み率は 0.1% を大幅に下回っており満足いくできあがりだ。

クロストーク特性はほぼ残留雑音程度で、50kHz を超えると出力が減少するため、数値上は悪化する。 ダンピングファクターは、ON/OFF法でほぼ8である。

さて、残留雑音に左右差があるのが残念。 どんな雑音なのかをWaveSpectra でチェックして対策を取ろうとしていたら、電源ON直後から雑音がでている。 出力管を抜いて、残留雑音を条件を変えて測定すると下記の通り。

要するに、電源トランスによる誘導ハムがあるようだ・・・ということは、シャーシから作り直さないとダメってこと?

6G-A4全段差動アンプ・・・再度検討してみたら(続)

カスコードブートストラップ回路は、いろいろな利点と欠点があると、Raspberry Pi の DAC 製作でお世話になっているたかじんさんのページにもある。 欠点は部品点数が増えることと定電圧ダイオードを用いた場合に雑音が増えることがあげられていた。雑音が増えることについては、定電流ダイオード+抵抗にすることで逃げられるとのことで、私もやってみることにした。

たかじんさんの記事では、E101を用いていたが、当方の場合は、この回路が電源OFFのときに電解コンデンサの電荷を積極的に逃がす働きも兼ねているので、電流量は変えなかった。 E102の定電流ダイオードは、上下で 差が0.01mA以内の選別を行っている。 抵抗に並列するコンデンサは気持ちの問題との記載があり、私は付けなかった。

以上の対策で、周波数特性は改良されたが、下記の通りで理想からはほど遠い。

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どこが原因になっているかを探るために、Analog Discovery(FRAplus & measure)による計測を止めて、ファンクションジェネレータとオシロスコープで確認してみる。 カスコードブートストラップ回路の前段は、ハイカットフィルタ通りの周波数特性で問題なし。 さては、トランスの特性が悪い?
FX40-8 じゃだめなのかと思いつつ、スピーカー出力にて確認したら、あれっ・・・ 100kHz までほとんどフラットではないか。

何かの操作ミスで、FRAmeasure の測定器校正がおかしくなっていたらしい。 なんてこったい。 自動校正をして再度測定したら、とても良い特性で驚いた。 無帰還での周波数特性は、若干の波打ちがあるが、両チャンネルとも 1.5-200kHz(-3dB)程度であった。 残留雑音は、左チャンネルで 0.16mV、右チャンネルで 0.45mV と右チャンネルで少し多い。 まだ改良の余地があるようだ。

6G-A4全段差動アンプ・・・再度検討してみたら

現状の問題点は、超高域発振が起こって対処が必要なのに、高域の周波数特性が悪いことだ。

本アンプの前段は、カスコードブートストラップ回路で、高域特性は良いはず。 何が起こっているのだろうか? (普通のカスコード回路は、下図の定電圧ダイオードの下部がアースに接続されており、高周波増幅に用いられる。)

「カスコードブートストラップ 発振」で検索をかけたところ、シミュレーションで発振しやすいという結果を得たページを見つけた。 このページによると信号入力にハイカットフィルターをつけて高域の入力制限をすると良いとのことだ。 指示に従って、信号入力側の 発振止めの1kのあと(上図)に 56pF でアースすることにした。

また、カスコードブートストラップでは定電圧源のダイオード(上図の5.6V)に大容量の電解コンデンサを抱かせている作例はなかった。 よって、この電解コンデンサを除去し、定電圧ダイオードを LED 3個直列に変更した。 このようにしたところ、発振止めの 220 pF のコンデンサを 10 pF に減らしても、残留雑音が著しく悪化すること(>1mV)はなくなったし、歪み率特性も大きな変動はなかった。 少し前進かな。

to be continued…

6G-A4全段差動アンプ・・・なんとか完成に?

歪み率を測定したら、10 kHz の歪み率が著しく悪い。 これまでの経過から疑われるのは、やはり高周波発振だ。

現時点ではオシロスコープで各所をあたっても明らかな発振はない。 しかし、ハムのように聞こえるほど影響を与えた右チャンネルと、10kHz の入力で始めて発振がわかった左チャンネルの補正が同じでよいとは思えない。 当然、右チャンネルのほうは、より補正量が多くて妥当と考えた。

最初に右チャンネルから取り組んだ。 NFB抵抗を ON/OFF しながら、入力FET のソースからアースする補正コンデンサを 10 pF から増やしながら、WaveSpectra で雑音の様子を観察してみたが、0.01 μF (10000 pF)まで増やしても、10 pF と変わる様子はない。

手詰まりで、左チャンネルをチェックしてみたが、補正コンデンサ 10 pF だと、6W程度になると、発振してしまう。 左チャンネルが 10 pF でダメなら、より重篤だった右チャンネルが 10 pF でよいはずはない。 何を指標に決めたらいいのか?

決め手はなかったが、現時点で、あきらかにおかしいのは歪み率特性なので、NFBをなしで 1 kHz と比較して悪化しない容量を探ることにした。

右チャンネルから始める。 47 pF まで変化なし。 一気に 220 pF にしてみたところ、歪み率は一気に改善。 0.1% を切る状況に。 220 pFで左チャンネルを調べてみると、なんと右チャンネルの方が歪み率は良い。 よって、補正コンデンサの容量は、両チャンネルとも  220 pF に決定した。

この状態で聴感にて、NFB量を決定したところ、6dB で良好に感じられた。 NFの微分補正コンデンサなしでの周波数特性は8~55kHz (-3dB)程度である。 高域の伸びは物足りないが、すなおな特性で、微分補正のコンデンサは不要だろう。

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この状態での歪み率特性は下記の通りで、常用域の 0.3 W未満は、どの周波数でも 0.1%を切る結果となった。

これで周波数特性が、もう少し良ければ完成でいいんだけどなぁ。 もう少し、初段ソースの補正コンデンサを減らしてみようか? それともいっそのこと、もっと広いケースにいれて飛びつき発振をもとから絶つ?

to be continued…

6G-A4全段差動アンプ・・・一難去ってまた一難

さて、NFB抵抗とNFB補正コンデンサも決定したので、歪み率を測定してみた。

まずはトラブルがあった右チャンネルから。 1kHz の歪み率は、最低で 0.07% 程度で、6AQ5PP 全段差動 より若干悪いが、0.1% を切っているのでまずまずか。 ところが、10kHz をとったところ、最低でも2% 以上となってしまう。 どうしたことか。 なんと、NFBをかけないときより悪化している。 また、WaveSpectra の表示が数秒に1回、規則的に乱れる。 超低域発振(モーターボーディング)か? 左チャンネルも測定してみると、こちらはもっと悪い。 右チャンネルの現象に加えて、10kHz では出力を上げると発振してしまう。 ただし超低域発振はない。

左チャンネルでの 10kHz 入力での発信周波数はおよそ 20 MHz であった。 右チャンネルのように雑音増加にはつながらなかったが、同じ発振だろうと考えて、同じ対策を取ったところ、発振は解決。 ただし歪み率は悪いまま。

超低域発振は増幅部と電源を介する正帰還と情熱の真空管のサイトににもある。 対策は「初段が、出力段のB電源電圧の変動の影響を受けにくくする」とのことなので、本アンプの場合は、C電源が怪しい。 掲示板でも指摘されていた。 エミッタフォロワが不安定性の問題となる。 ぺるけ師匠の 6AH4GT 全段差動アンプでは、C電源はAC 5V を半波整流で 220 μF X 2, 200Ω のパイ型フィルタであったので、LEDを定電圧源としたシャント型に変更した。 結果は、著しいハムの増加。 両チャンネルとも残留雑音が 2 mV を超えた。 仕方がないので、6.3V + 5V のヒータ電源を利用して、2段フィルタにしたが、残留雑音は 1 mV 止まり。 やけのやんぱちで、7905 の3端子レギュレータにしたら、雑音はもとにもどった。 ここでちょっと音を聴いてみると、やけに寸詰まりで、LM380 の ICアンプのような音。 仕方がないので、もとの 2SA1015 のエミッタフォロワに戻した。 高域特性が良くなるように、おまじないで OS コンをおごることにした。 やけのやんぱち。 ぺるけ師匠にあきれかえられるに違いない。

閑話休題。 どっちにしても、C電源は超低域発振の原因ではない。 他の原因はと思って、いろいろウェブで調べてみたら、OPT配線と信号ラインが近接すると、超低域発振(モーターボーディング)の原因になると。 どれどれと調べてみたら、OPT → 6G-A4(プレート)の配線が、グリッドの放熱線の近くを走っていた。 6G-A4 はふたつのグリッド電極(1番と5番)をつないで放熱する必要があるが、この放熱のための配線である。 おもむろに離してみたら、超低域発振(モーターボーディング)と思われる現象は止まった。

to be continued…