「アンプ自作」カテゴリーアーカイブ

フルバランス・フルディスクリートアンプへの長い道のり・・・構想編

部品集めをして放置プレイを5年ほどたって、やっと作り始め。

アンプ部については、全く自信がないので、基本的には、たかじんさんの指定通りとするが、初段のFETだけは、2SK170 をチョイス。バランス型プリアンプは完成するか・・・フラットアンプの設計と同じ理由である。 初段のFET以外は、全てたかじんさんの指定通りとした。

電源部は、Soulnote 風に比較的少用量の電解コンデンサの並列使用である。 お気楽オーディオキット資料館のシンプル電源基板 を利用することとした。 プラス・マイナス電源それぞれに8個の電解コンデンサを使える。 ここでは、105℃低インピーダンス・高リプル電流品の長寿命品である KY 型 4700μF 25V を利用することとした。

ここで大問題に気がついた。 電源の 300VA トランスだが、巻き線の抵抗が低すぎてはかれない。 どう計測しても、0.05Ω以下。 よって、瞬間のピーク電流として、300A 以上流れることが予測される。 手持ちの D15XBN20 のせん頭サージ順電流は200A なので、かんたんにふっとぶことだろう。 秋月電子のサイトを見ていたら、SBRT20U100SLP を用いたブリッジダイオードを見つけた。 1個あたりのせん頭サージ順電流は180A であり、放熱への配慮も断然よい。 しかしながら、これを用いたとしてもラッシュカレント対策を行う必要があろう。

ウェブでみていたら、キットを用いた対策例をみつけた。 キットはアマゾンで購入できる。 同じものを購入して組み立てようとしたが、部品不良がないことの確認をしていたら、リレーの導通がないことがわかった。 しかも2組とも。 キットを使うのはあきらめて、自分で組むことにした。

なんとも古典的な回路だが、電源ON後2秒程度でリレーが動作する。

ケースは、タカチのケースで、側面が放熱器になっている HYシリーズから、HY88-43-23SS を選択した。 たかじんさんが、電源なしで HIT23-7-18SS を使っていたので、余裕があるだろうと考えたが、実際にはキツキツでけっこう配置に困ることになった。 理由は、トランスの二次配線が異様に硬くて太い単線のため取り回しがむずかしく、電源部全体として、配置に苦戦したからだ。

電源さえできれば、初段を除いて同じ部品構成なので、普通の(Unbalanced の)ステレオアンプとしては、問題なく動作するだろうというもくろみであったのだが・・・・。

フルバランス・フルディスクリートアンプへの長い道のり・・・妄想編

我が家のメインシステムは、長らく Soulnote ma1.0 をパワーアンプとして利用しており、バランス入力のセレクタ付きプリアンプを完成させた。 そうなれば、次はパワーアンプである。

Soulnote ma1.0 はフルバランスアンプであり、sa2.0 がそのシングルエンド版であることはよく知られている。 よって、Multi-Ch システムでは、ma1.0 をフロントチャンネルに使用して、センターチャンネルは sa2.0 をBTL で利用している。 フルバランスアンプをディスクリートで作るのは、簡単ではない。 なぜなら、BTL接続で4Ω負荷を保証するためには、単独のアンプとしては、2Ω負荷を保証する必要があるからだ。 当然ながら、アンプの電源は大電流を流せるように余裕を持たせる必要がある。 その代わり、BTLで出力が単独アンプの4倍になるので、低出力アンプで十分である。

一般に2Ω出力を可能にするには3段ダーリントンとせざるを得ないだろうが、発振・暴走の可能性が高くなる。 トランジスタアンプの設計経験がない私には無理だろうとずっと思っていたが、new_western_elec  の たかじんさんが  VFA-01 の基板配布を始めたときにこれだと思った。

 ■VFA-01のスペック (±20V電源のとき)

+出力  10W(8Ω), 20W(4Ω), 40W(2Ω)
ノンクリップ

3段ダーリントンで、2Ω負荷が8Ω負荷の4倍の出力と理屈通りになっているからだ。 もちろん、私の場合は、4Ω負荷で10W程度の出力があれば十分すぎる。 BTLで40Wになるからだ。 保護回路基板もセットになっているのもうれしい。

作成にあたって最も問題になるのは、私自身の経験。 ディスクリートの本格的アンプを組むのは、学生時代の金田式以来。 およそ40年ぶりである。 ここの記事にはしていないが、おなじたかじんさんの HPA-12 を用いた A級パワーアンプで、発振・焼損させた経験から、オシロスコープや発振器を買い換えた経緯がある。 作りあげられるかどうかが大きな問題である。

まずは部品集めから。 使用するトランジスタを確保するところから。 確保したのは2016年の初頭。 当時は、 2SK30A, 117, 170 は入手できるところが少なくなり始めたころ。 たかじんさんの指定トランジスタを必要個数の倍以上確保した。 なぜ倍以上かは書かなくてもわかるよね・・・失敗して壊してしまう可能性が高いから、 そして、実際やらかしましたとさ。

そしてトランス。 Soulnote ma1.0 がステレオで 700VA のトランスを使っていることから、その同等トランスを・・・・ということで探しても見つかりませんでした。 たかじんさんの記事では、12V3A × 2回路とのことでしたが・・・

Soulnote ma1.0 に近づけることから、Block トロイダルトランス,1次:115 V ac, 230 V ac,2次:2 x 12V ac,電力:300VA RKD 300/2×12 に決定。 このことから、モノラルアンプにすることもほぼ決定。 二次巻き線のあまりの太さと取り回しのしにくさに驚いたのは、なんと2021年の秋だとさ。

真空管ソケット洗浄

7DJ8 / 6R-HH2 全段差動アンプを作る準備をしていて、MT9ピンソケットの未使用品を数十年間死蔵していたことに気がついた。 新品を購入する方が良いかどうかを掲示板で質問しようと思ったが、その前に検索エンジンで調べてみると、おんにょさんの真空管アンプのホームページに、ソケットのピン洗浄のページにたどりついた。 銀製品のクリーナーで酸化皮膜を還元する手法なので試す価値があると考えた。

シルバークリーナーの Speedip に10秒程度つけて、極小の歯間ブラシで磨いた。 その後、化粧用のコットンをこよりのように細くして、ピン内部の拭き取りを行なった。

左:処理後、右:処理前のソケット クリックで拡大

写真でもはっきりわかるほどの差だ。 まさに新品同様のぴかぴかになった。 洗浄後のソケットを、7DJ8 / 6R-HH2 ミニワッターで使用してみるつもりだ。

 

歪み率測定・・・WaveSpectra 覚え書き

歪み率測定は、WaveGene / WaveSpectra を利用している。 高機能なフリーソフトに感謝している。 高機能な分だけ、使いこなしが大切。

サウンドカードは、ESI Juli@Xte である。24-bit 192Khz ADC (114dB) / DAC (112dB) で、Balance / Unbalance 両方の I/O が使える。 音質的にもかなり良い。 ディスコンになってしまったのが残念でならない。

さて、本題の WaveGene / WaveSpectra 覚え書き。 説明書き を忠実に守ることから。

  • WaveGene / WaveSpectra を同じサウンドカードで動作させる
    ESI Juli@Xte の場合、WaveGene を Wasapi 、WaveSpectra を ASIO に設定する必要がある。 さもないと動作しない。
  • ESI JUli@Xte の ASIO入出力は 1+2 を指定する(3+4 はデジタル出力)
  • 窓関数は「なし(矩形)」
    FFTに最適化 をすれば、窓関数「なし(矩形)」がノイズ成分による誤差が少ない。
  • WaveGene の周波数は、必ずFFTに最適化を選ぶ
  • WaveGene / WaveSpectra ともに、サンプル数を指定する。
    100 Hz  – – –  16784
    1 kHz – – – – – 4096
    10 kHz – – – – 2048  or 4096
  • WaveGene / WaveSpectra ともに、-3dB 程度までで利用する
    Juli@Xte の入力は、2V 程度で飽和するので、アッテネータを利用しないと正しく測定できない。
  • 以上の注意書きを守った場合、ループバックによる測定限界は、100Hz で 0.0023%、1kHz で 0.0030%、10kHz で 0.0031%である。 アマチュア測定用としては十分すぎる。

測定器など・・・

電気工作の三種の神器といえば、ミリバル、オシロスコープ、低周波発振器と決まっていた。 学生時代にもらった、Trio CO1303D と AG-202 は 200MHz までということもあって、トランジスタ系は発振をみつけられなかった。

現在使用しているのは、次の通り。

  • ファンクションジェネレータ AFG-2025(Texio)
  • デジタルオシロスコープ DPO2002B(Tektronix)
  • デジタルマルチメータ GDM-8261A(GwInstek)
  • アナログ万能測定ツール Analog Discovery

Analog Discovery は、Arito さんが頒布してくださった FRAplus アダプター を利用して、周波数特性や位相を簡便に測定させてもらっている。 ありがたい限りだ。