単身赴任先では、かつて Rogers Studio 7 を鳴らしていたが、Linaeum A-1 を手に入れて、Rogers Studio 7 はお払い箱になった。 その後 Linaeum A-1 に Monitor Audio Radius 370HD サブウーファを追加して満足していたが、知人宅で Technics SB-MX100D + ClassAA ミニワッターを聴いてから、国産のスピーカー手に入れたい病にかかってしまった。
かつては、Pioneer Puremalt S-PM-1000 をメインスピーカーとして使っていたり、マルチチャンネルオーディオで、サラウンドに Pioneer Puremalt S-A4SPT-PM を使っていたこともあった。 S-A4SPT-PM は現在でも娘宅で使われている。 手放したスピーカーの欠点は、いずれも低域の弱さである。 Linaeum A-1 はバスレフポートに工夫があって、低域の量感はたっぷりだが、バスレフなので50Hz 以下の成分はほとんど出ない。 サブウーファを 40Hz でクロスして、ほんの少しだけ足して使っていた。 おおむね満足なのだが、曲によって、ちょうど良いバランスが異なることがあるのが欠点であった。
国産のスピーカー手に入れたい病もあってか、いくつかのスピーカーが候補となった。 ひとつは知人宅と同じ Technics SB-MX100D であるが、このスピーカーはエッジ硬化に対する処理がけっこう大変で、なかなか良品に出会えないという欠点があった。 もうひとつは、YAMAHA のスピーカーである。 YAMAHA のスピーカーは、NS-F700 でさえ、リファレンスCD を合格できることを確認している。 ピュアオーディオ向けの現行機種なら NS-2000A あたりだが、いかんせん高価であり、中古も出てこない。 オーディオの足跡をさまよっていたら、Victor SX-700 が目にとまった。 現代風のトールボーイ 3Way スピーカーだが、クロスオーバー周波数が 180Hz、3000Hz である。 小型の 2Way スピーカーにサブウーファがついたようだ。 Linaeum LS-1000 での 150Hz によく似ている。 この SX-700 の後継機の SX-700 Sprit はごく普通の 3Way となっており、当時は評判が悪かったらしい。 ウェブ上の情報から、SX-700 は 渡邉 勝氏の設計で、SX-700 の基本設計が Kripton KX-1000P に引き継がれているらしいことを知った。 当時の評判があまり良くなかったこともあってか安価に手に入るので、試しに購入することとした。
結果は大正解であった。 アンプを選ぶきらいがあるが、6G-A4全段差動アンプで鳴らすと、リファレンスCD をゆうゆう合格する実力であった。
手持ちのスピーカーとの比較では、Dynaudio Contour 3.3 がどちらかというと寒色系、Linaeum LS-1000 がニュートラルな感じに対して、Victor SX-700 は暖色系といえる。 暖色系といっても、音数は多く、ハイスピードである。 女性ボーカルが綺麗めに聞こえるのも好ましい。 ピアノについては、リファレンスCD をゆうゆう合格する実力がある一方で、バイオリンも嫌みがないキラキラ音である。 1989年に発売されたスピーカーであるが、全く古さを感じさせない。 当時は YAMAHA NS-1000M に代表される大型ブックシェルフが主流であったことを考えると、トールボーイ型という形とこの現代的な音が、当時としては受け入れがたかったのだろうと想像している。
追伸 Technics SB-MX100D をうまく鳴らした ClassAA ヘッドホンアンプ で鳴らしてみたところ、音は綺麗であるが、力不足を感じた。 このアンプを選ぶスピーカーを鳴らせるように、新たなアンプを作っていきたい。