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バランス型プリアンプを改良したい・・・問題切り分けと解決

困ったときのたかじんさん頼み・・・とお定まりの道を歩んでしまった。 彼のアドバイスは次の点にまとめられる。

※ マイコンは明らかに壊れている
※ MUSES72320 の故障が、マイコンを巻き込んで壊すことがあり得る
※ MUSES72320 は電源が入っていないときの過大入力で壊れることがある(0.1V程度の入力で動作確認を)
※ 半田付けの確認はとにかく入念に

私は、わかりやすいように 2V(rms) の入力をいれて、動作確認をしていた。 どうやら、動作確認のたびに、MUSES72320 を破壊していたらしい。 さらに、MUSES 72320 を壊してしまった結果として、マイコンまで壊してしまったらしい。 マイコンが壊れていると言うことは、それと接続されている、SEL-12 上の SN74HC594 をも壊してしまっている可能性が高い。 マイコンはたかじんさんにお願いして、2個購入させていただいた。 MUSES 72320 は再発注した。 SN74HC594 は DIGIKEY から購入した。 

修理にあたって、最小限の構成で動作することの確認から始めた。
① VOL-12 のみを電源に接続して、新しいマイコン、MUSES 72320 の貼り替えを行って動作確認する。 MUSES 72320 をはがしたら、CRの容量をテスタで確認する。 MUSES 72320 のはんだ付けにあたっては、拡大レンズ下でたかじんさんの手法を忠実に守り、そのうえでミラーレスカメラで等倍撮影可能なレンズにて撮影し、確実なはんだ付けとブリッジがないことを確認する。 動作確認には 0.1V(rms) の入力電圧で行う。
② VOL-12 の動作を確認できたら、同様に VOL-01 の動作確認を行う。
③ SEL-12 については、SC74HC594 を張り替えてから行う。

体力・気力が充実した休日に以上の手順でがんばったところ、VOL-12 ではチップコンデンサの不良が、VOL-01 ではチップ抵抗の不良が見つかり、交換を要した。 MUSES 72320 を張り替えて動作が確認できたときの喜びといったら。

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これで万事解決と思いきや、SEL-12 は動作が不確実で、動作したりしなかったりしていた。 動作していないときには、リレーに電圧がかかっていなかったので、駆動トランジスタが不良になりかかっていると判断して、全てのトランジスタを交換した。 これで無事解決と思ったら、リレーがひとつ動作しなくなっていた。 はんだ吸い取り器で、リレーを除去しようとしたが除去できず、やむを得ず、リレーの方を破壊して交換した。 なかなか破壊できず、基板を壊しそうになって、冷や汗をかいた。

かくして、バランス型プリアンプは無事に復旧した。 復旧にはおよそ2か月を要した。 あとは、VFA-01 の復旧だが、これはトランジスタの BE電圧をみれば、壊れたトランジスタがわかるはずだから容易であろうと・・・

to be continued…

バランス型プリアンプを改良したい・・・修理をしたがどんどん悪化

MUSES 72320 をさっそく秋月電子に発注して、交換することを考えた。 なんと、MUSES 72320 は在庫限りになっていた。 とりあえず4個購入した。

MUSES 72320 を張り替えれば、治るだろうという読みである。 0.65mm ピッチの SSOP32 をはがすところから。 太いより線にたくさんハンダをのせて、D型のこて先で熱すると、ほどなく MUSES72320 がはがれた。 いつものように、MUSES72320 を半田付けして、治ることを期待したが、全く駄目である。 発振器で入力して、オシロで確認しても、全く動作している様子がない。

NBBA-1 の不都合が生じたのは、左チャンネルのみなので、測定環境の問題を疑って、右チャンネルを確認したら、なんと右チャンネルも動作しないではないか! そのまま調べてみたら、MUSES72320 の電源ラインが故障している。 -電源が出力されていない。 取り急ぎ、三端子レギュレータで即席の ±12V 電源を準備して、つないでみた。 残念ながら、両チャンネルとも動作していないことがわかったのみであった。 NBBA-1 の電源不良がもとになって、全部駄目になってしまったのだ。 

あせるとろくなことはないと考えて、日をおいて、チェックのし直しをした。 現時点で、SEL-12 は不安定ながら動作しているので、マイコンはかろうじて動作していると思われる。 MUSES 72320 は VOL-12, VOL-01 ともに動作不良であることがわかった。

よって、MUSES 72320 を両方とも張り替えて、再度チャレンジしたが、動作不良はあいかわらず。 くわえて、SEL-12 も動作しなくなってしまった。 何故だ・・・・?

どんどん動作不良がひどくなっていく。 もはや修理不能? そうなると、リモコンで動作可能なボリュームを再度作成したいが、そのような基板があるのだろうか? VOL-12/-01、SEL-12 は既に廃版なのだ。

to be continued…

バランス型プリアンプを改良したい・・・改良ではなく壊してしまった件

バランス型プリアンプは、問題なく動作しているが、実は大きな問題点がある。 それは、フラットアンプに HPA-12ヘッドホンアンプ を使用しており、+-入力のそれぞれに unbalanced のフラットアンプを利用しているので、同相除去比(Common Mode Rejection Ratio, CMRR)はゼロである。 つまり、バランス入力・バランス出力の体裁をとっているものの、外来ノイズに対するメリットは、プリアンプ単体としてはない。

こんなおりに、たかじんさんが、入出力バランスアンプ NNBA-1 基板を配布し始めた。 これは素晴らしいと考え、同基板にフラットアンプを切り換えることを計画した。 本基板は、Unbalanced – Balanced (差動ドライバ)や、Balanced – Unbalanced (差動レシーバ)としても使用可能で、Phono Equalizer でも使用している。 Phono Equalizer 作成時に同時に作成しておき、入力を 2SK170 とし、MUSES 72320 に合わせて負荷抵抗等を作成した。

VP-7723A (LPF 80kHz ON)にて測定

NBBA-1 の歪み率特性が、たかじんさんのそれとあまりかわらないことを確認できたので、あとは交換するだけ。 電源は、たかじんさんの BlueWind DC-Arrow +/- 電源基板 とした。 交換も終わり、メインシステムにいれて音出しを開始した。 もやっとした音だが、KZ 電解コンデンサの使い始めは、こんなものだ。 

パワーアンプの電源を切って、2時間放置して、再度音出しをしたら、左チャンネルから音が出ない。 フルバランスパワーアンプのプロテクションがとれないのだ。 パワーアンプが壊れたかと思って、確認すると、DC漏れしていた。 オフセット調整をすると、問題が解決したので、ほっとして音出しを続行すると、やっぱり音が出ない。 これはプリアンプがおかしいのだ。 テスタであたったら、出力にDCがでている。 即座にプリアンプの電源を落として、調べてみたら、NBBA-1 フラットアンプの左チャンネルの+電源がきていない。 どこに問題があるのかを調べてみると、なんと電源のコネクタの接触不良があったようだ。

原因がわかってほっとして、再度システムに組み込んで、音出しをしたら、なんと全く音が出ない・・・・ 左チャンネルのパワーアンプもプロテクタがはずれない。 改良のつもりがプリアンプごと壊してしまった。 加えて、パワーアンプも。

to be continued…

 

アナログ対応のプリアンプを作ろう・・・特性とはらわた

フラットアンプの周波数特性は下記の通り。 実は左右とも全く同じである。 歪み率特性は省略。 なぜなら、WaveGene/WaveSpectra での測定の測定限界以下の部分がほとんどを占めており、100Hz / 1kHz / 10kHz ともに、0.01%の測定結果が長く続く。 測定した意味がないというか。

左チャンネル(クリックで拡大)
右チャンネル(クリックで拡大)

イコライザアンプのほうだが、RIAA偏差はもともとの基板が、20~20kHz で ±0.2dB 程度の偏差であり、そこからバランス化して、0 – 0.15 dB になるように調整している。 すなわち、RIAA偏差は問題にならないはず。 加えて、アナログ対応のプリアンプを作ろう・・・フォノイコライザーのサブソニックフィルターとバランス対応で示したように、15Hz以下はしっかり落としてある。

イコライザアンプのS/N比を測定してみた。 DENON DL-103 をつけて、ボリュームを最大にしたところでの雑音電圧は、左 0.40mV(rms)、右 0.33mV(rms) であった。 アンプは 69dB のゲインなので、入力換算では計算上左 0.12μV、右 0.14μV である。これをdbV換算すると左 -138.4dBV、右 137.0dBV である。 A-weighting補正なしの数字であることを考えると、すばらしいといいたい。 実際、フルボリュームにしても、ノイズは皆無だ。

はらわたは下図。 左側に電源部、右側にイコライザアンプ、その間に、VOL-12&VOL-01、SEL-12 と ClassAA フラットアンプが、所狭しと並んでいる。 シャーシアースはフラットアンプの左側の縦ラグで、アナログ用GNDから得ている。 なおタカチのケースはアルマイト加工してあるので、そのままではケースの各部品間の導通はない。よって下図のように、アルマイト塗装をはがしてきつくねじ止めして、確実にアースされていることを確認する必要がある。

天板のアースをとる前に撮影、クリックで拡大

SONY SRP-D2000互換のパワーディストリビュータと一緒に使用。 前面にTRSジャックとRCAジャックの入力3がある。右の黒いつまみはボリューム。 赤い押しボタンはメニューボタン。 一番右の黒の押ボタンが MC/MM切り替えで、その上にインジゲーターがある。

バランス型プリアンプは完成するか・・・できた~

歪み率特性を測定してみた。 測定は ESI juli@xte と WaveGene & WaveSpectra で行った。 ESI juli@xte は、アンバランスとバランス入出力を切り替えられるサウンドカードである。 よって、バランス入出力の本プリアンプの歪み率を測定可能である。 この組み合わせによる歪み率測定は0.005%程度が限界である。

測定結果は下記の通りで、最低歪み率は 0.01% を割っており、全ての周波数で歪み率は誤差の範囲内で揃っている。 左右差も誤差の範囲内である。 自画自賛であるが、実に優秀な結果といいたい。

(クリックで拡大)

(クリックで拡大)

使ってみて、リモコンで入力切り替えが出来て、音量調節が出来るのはとても使い勝手が良い。 加えて、仕様的にも我が家にぴったりである。 Ch-1 に Soulnote sd2.0b のDAC出力、Ch-2 にRaspberry Pi + SB32+PRO DoP によるネットワークプレーヤー出力、Ch-3 には、Soulnote ph1.0 の LP プレーヤーのイコライザ出力がつながっている。

現時点では、出力に Soulnote ma 1.0 のバランス出力、あるいは Softone Model 7(出力管 KT-66)がつながっているが、いずれ自作のフルバランスパワーアンプをつなげたい。

上はネットワークプレーヤー
下が本プリアンプ

バランス型プリアンプは完成するか・・・またもトラブル発生

念のために、特性をチェックしてみたところ・・・

(クリックで拡大)

ボリュームが最大だと、500kHz 前後で 1 dB 程度のピークが出てくる。 面白いことに、電子ボリューム(VOL-12,  VOL-01)を 1 dB でもしぼるとこのピークは消える。

よく考えれば、電子ボリューム 1 dB 分の抵抗で、HPA-12 の入力回路に挿入された 100 pF との間でハイカットフィルターが働いたとわかるのだが、「トランジスタ回路は苦手・デジタル回路はわからない 」の先入観で、混乱してしまった。

実際、0 dB で使用することはないので、このままでいいかと考えたり、このままでは気持ち悪いと考えたり・・・・。 結局、たかじんさんの掲示板で相談してしまった。 なんと恥ずかしい。

結論として、HPA-12 の前に 1.8 kΩの抵抗で、このピークは消えましたとさ。

(左Ch:クリックで拡大)

(右Ch:クリックで拡大)

バランス型プリアンプは完成するか・・・トラブル発生

改良と調整のはずが、壊してしまった。

シグナルジェネレータとオシロであたってみると、セレクタ基板の SEL-12 で信号が途切れている。 VOL-12 の入力に触ってみるとノイズが発生するので、MUSES72330 が載っている VOL-12 と VOL-01 は無事だ。

たくさんの表面実装部品が載っている VOL-12 と VOL-01 が無事なのは朗報だ。 しかしながら、SEL-12 はマイコン制御でのセレクタ基板であり、デジタル部分が壊れていたら、私には直しようがない。 リレーを駆動しているトランジスタのベース電圧が明らかに異常であり、駆動トランジスタが壊れているのはすぐにわかった。

とりあえず駆動トランジスタを外して、マイコン制御の出力電圧をあたったところ、幸いなことにそちらは壊れていないことがわかった。 ほっとしつつ、駆動トランジスタを再度ハンダ付けして、おそるおそる電源をいれたところ、SEL-12 が正常に動作した。 よかった~。

さて、気を取り直して試聴したところ、当初はちょっと物足りない感じでがっかりしたが、コンデンサのエージングが進んだのか、音の粒立ちがよくなり、大規模な交響曲のトゥッティも滑らかで心地よい。 後は、特性のチェックだけだ。

追伸: 実は、再度の調整中に、また同じトラブルが起きた。

原因は、VOL-12、VOL-01、SEL-12 のデジタル系と HPA-12 のアナログ系の GND をつないでいなかったことにあることをたかじんさんに教えてもらった。 MUSES72330 の各種GNDが導通していないことから デジタル系、アナログ系の GND を分離して良いと考えた私のミスであった。

バランス型プリアンプは完成するか・・・改良を試みたが

さまざまな曲を1か月ぐらい聞いていたら、大規模な交響曲を聴いていると、トゥッティがうるさく聞こえることに気がついた。

また、たかじんさんの作成では、最低歪み率が 0.01 % を切っている。 本構成は2チャンネル合わせてバランス型にしているので、同じにはならないが、倍を大きく超えているのは、NFB量が足りないためかと思われる。

当初、HPA-12 のゲインを 5倍としたのは、私が作るアンプは低出力のものが多く、フルボリュームが 1V 未満のほうが使い勝手がいいだろうと考えたことや、学生の頃に作ったアンプでは、フラットアンプは 10倍 という固定観念があったためもある。 実際使ってみると、ゲインは有り余っているので、NFB量を増しても使い勝手に影響しない。

以上から、TIPS-12 の バイアスコンデンサを 10µFに増量することにした。Panasonic ECQE  メタライズドポリエステルフィルムコンデンサを用意した。 また、NFB関係をたかじんさんのオリジナルに合わせることにした。

(クリックで拡大)

部品を入れ替えて試聴しようとしたら、なんと音が出ない。 壊れてしまった・・・

to be continued.

 

バランス型プリアンプは完成するか・・・配線と最初の試聴

配線にあたっては、ぺるけさんの平衡プロジェクト をひととおり熟読した。 一番参考になったのは、シグナルラインとアースラインの取り回しだ。 HOTとCOLDの2本のシグナルラインをしっかり捻って配線すれば、シールド線は不要というのは目から鱗だった。 それでよい理由は、平衡回路の基礎4・・・平衡回路の実装 に詳しい。 ぜひ一読されたい。 アースラインについては、ぺるけさんの作例 がとても参考になった。 あらためて、ぺるけさんに心から感謝申し上げたい。

(クリックで拡大)

HPA-12 基板の TIPS集 の音質改善アイディアのほうは、

  • TIPS-10  電圧増幅部へのコンデンサ追加
  • TIPS-11  バイアス回路にコンデンサ追加

がある。 電圧増幅部のほうは、オーディオ用ハイグレード品電解コンデンサ MUSE KZシリーズ 1000µF 25V の追加とした。 バイアス回路のほうは、0.1µF~100µFとかなりの幅が指定されていたので、コメント欄でたかじんさんに伺った。

バイアス部のコンデンサは、音の雰囲気に影響がでます。
何も付けていないと、音数が多く聞こえるけど、音量を上げるとすこしうるさく感じる面もあります。

そこに、0.1~1uF程度のフィルムコンデンサを入れることで音が大人しくなってきます。

更に容量を増やして電解コンにすると、もっと大人しくなるのですが、何か音が物足りなくなってしまいます。

という訳で、好みで選択してください。とっかえひっかえしてみるのが良いと思います。

とご教示いただいたので、1µF のPILKOR 積層メタライズドフィルムをいれてみた。

さて、試聴してみると、プリアンプをいれたほうが、音数が増えた感じがして大満足。 しばらく、このままで聞いてみることにした。

特性的には、歪み率の最低が 0.03% 程度で、周波数特性は下記の通りですなお。 残留雑音は 0.05mV 程度であった。

 

バランス型プリアンプは完成するか・・・MUSES72320 のハンダ付けにチャレンジ

表面実装部品にチャレンジ で示したように、表面実装部品のハンダ付けに成功した後、たかじんさんのSSOPのハンダ付け方法 に従って、MUSES72320 のハンダ付けにチャレンジした。

  1. ランド部でハンダ線を溶かす。
  2. ICに向かってコテを動かしてハンダを流し込む。
  3. コテ先を一度、ICの足の先端部分に少しだけ乗り上げる。
    そのまま、またランド側へとすべらせるようにコテ先を戻す
  4. これを3~5本くらいやったら、一旦、コテ先をクリーニング。  そのタイミングで ICの上を指で押さえて、熱を冷やす。

思ったより簡単・・・と思ったが、念のために写真を撮って拡大してみると・・・ブリッジだらけ、その上、ほこりがいっぱいついている。 あぶない、あぶない。

アルコールで掃除して、ハンダ吸い取り線で、ブリッジを解除して再確認したところ。

さて、動作するか・・・ 緊張の一瞬・・・・

ボリューム部分OK! ばんざ~い。

このあと、LCDパネルは動作したものの、有機ELのパネルが動作しなくて、だいぶ苦戦したけど、たかじんさんから、有機EL用のマイコンでも、LCDパネルが動作することを教えてもらい、有機ELパネルの不良と分かったとさ。