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6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・完成

最終回路図は下記の通り。

(クリックして拡大)

周波数特性は下記の通りで、6~90kHz (-3dB) 程度である。左右差がないので、代表して左 Ch を示した。

(クリックして拡大)

歪み率特性は下記の通り。 7DJ8全段差動ミニワッターとほぼ同様な結果である。 高域の暴れは 14kΩの出力トランスでもあり仕方ないか。 5%歪み率で 0.7W 程度と、7DJ8前段差動ミニワッター の 0.9W に比べて若干少ない。 残留雑音は 左Ch 0.043mV、右Ch 0.038mVと7DJ8 に比べておおよそ半分程度である。

方形波(矩形波)のオシロも記載しておく。

100Hz

1kHz

10kHz

10kHz 負荷なし

10kHz 0.1μF負荷

10kHz 1μF負荷

0.1μF のコンデンサ負荷では発振気味のリンキングが認められるが、基本的に安定していることがわかる。

肝心かなめの音質だが、7DJ8全段差動ミニワッターが小出力を感じさせないピラミッド型の雄大な音に対して、6R-HH2全段差動ミニワッターは優しさを感じさせる音だ。 もちろん、全段差動ミニワッターらしく、出すべき音はしっかり出してくれる。 14畳のリビングにある Dynaudio Contour 3.3 をしっかり鳴らしてくれる。 ピアノコンチェルトを聴くと、雄大なオーケストレーションの表現では 7DJ8全段差動ミニワッターに一日の長があるが、ピアノのキータッチの違いといった雰囲気感の表現は 6R-HH2全段差動ミニワッターのほうが上手だ。Altec Mini Monitor 8A での試聴では、7DJ8 全段差動ミニワッターは相性が悪いらしく、何を聴いても明るく澄み切ってしまうが、6R-HH2全段差動ミニワッターはこのあたりも上手だ。 ちなみに、7DJ8 全段差動ミニワッターは、ぺるけさんの トランス型 DAC だと静けさの表現も得意だが、Soulnote sd2.0 だと静けさの表現がいまひとつのようだ。 6R-HH2全段差動ミニワッターではこういう相性問題は少ないようだ。

トータルでみて、ミニワッターを思わせないピラミッド型の雄大な音が7DJ8全段差動ミニワッターの長所だが、6R-HH2全段差動ミニワッターでは、雄大さの代わりにおしとやかさを身につけたように思える。 6R-HH2は、全段差動ミニワッターとしても十分に存在価値がある真空管であるといいたい。

追伸: ちょい聴きだが、6R-HH8 もなかなかよい。 7DJ8 と 6R-HH2 の中庸といったところ。 このミニワッターは、アンプ作りなどの作業部屋の tangent EVO4  を鳴らすたに作ったが、ぺるけ師匠が愛用していたことをたったいま知った。 ちなみに、Monitor Audio の R95HD/R45HD も単身赴任先で使っている。 みんなおんなじこと考えるのね…..

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・測定結果

2SK30A - 6R-HH8 - 6AQ5(三結)全段差動アンプの測定結果を示す。

周波数特性は、左右ともほぼ同じである。 1W 時は 5~80 kHz(-3dB)、0.1W 時は  2~90 kHz(-3dB)の帯域がとれた。

クリックで拡大(代表して 左 Ch)

10kHz の方形波の波形を示す。 上段は入力信号、下段は出力である。


大きなリンキングもなく、すなおな特性と言える。
負荷開放時である。 安定している。

0.1 μF負荷時である。 若干のリンキングなどが認められるが、発振に至ることはない。

雑音歪み率は、0.01~0.2W の実用域では全て、0.1%未満という素晴らしい結果だ。わずかに左チャンネルのほうが、低域で悪いが電源スイッチが左側にあるためと思われる。 5% 歪みで考えると、3Wの出力が得られており、大成功と言える。


ON-OFF 法によるダンピングファクタは、おおよそ 4 であった。残留雑音はふらつくので正確ではないが、0.15~0.17mV 程度であった。 クロストークはほとんど残留雑音をはかっているのみの結果であった。 すなわち、80dB 程度とれており、50kHz 以上では、若干悪化していた。

ロードラインを引いたり、測定結果を出しながら調整したのは、今回が初めてだ。 全ては、情熱の真空管の木村哲氏のおかげだ。 深謝したい。

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・6R-HH8 でチャレンジ

6R-HH8 に前段管を変更したところ、激しく発振(笑)した。やはり、一筋縄ではいかない。 6R-HH8 のグリッド周りに他の配線が近づかないように配慮しつつ、グリッドへの発振止め抵抗を 3.3kΩにしたら、発振は止まった。

無帰還での -3dB 点は、55kHz まで伸びた。 Analog Discovery によると Zobel Network を 15Ω + 0.1μF にしたところ、1MHz 周辺の位相回転が改善するので、この定数で NF 量を検討することにした。

クリックで拡大(右Ch を示した)

 低音がボンつかないように、NF量を決定したところ、測定してみたら4dB ほどの NF量であった。 70kHz にわずかな盛り上がりがあるので、NF抵抗に少量のコンデンサを抱かせて調節した。 330pf ちょうど良さそうだ。

クリックで拡大(右ch を示した)

最終的な回路図を示す。

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ここまで調整して試聴したところ、ピアノのキータッチの違いがわかるかどうかという点では、みごとに合格。 よかった!

はらわた(クリックで拡大)

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・仕切り直し

さて、次なる一手は、前段に違う真空管を使うことであろう。
手元にあるNOS(New Old Stock)電圧増幅管には、ECC81/12AT7, 7DJ8, 12BH7A, 6350, 6R-HH8 があるが、利得の点で ECC81/12AT7 が脱落、ヒータ電圧の観点で 7DJ8 が脱落した。 残るものから考えると、12BH7A, 6350 はそれ自体がミニワッターに使えるぐらい大きく、見栄えやヒータ電流の小ささから 6R-HH8 が残る。

6R-HH8(6KN8)は、ECC81/12AT7 や 6DJ8 と同様のカスコード増幅用高周波双三極のTV球である。 6DJ8 を元に日立が開発した 6R-HH1 の改良版が 6R-HH8 とのことだ。

情熱の真空管(ぺるけ師匠)による全段差動アンプの1号機(6AH4GT)でも、前段増幅は当初 6DJ8 が使われており、良いかもしれない。 問題は 6R-HH8 は、6DJ8 より 3割方 high Gm であり、発振させないで使いこなせるかどうかが不安だが、困ったら掲示板で相談すればいいだろうと軽く考えて、ロードラインをひいてみた。 ぺるけ師匠の6AH4GT より、少し高めの電圧のほうが良さそう。 当初ロードラインを引き間違えたのはないしょ。 下図は6R-HH8 のデータシートから、プレート電流 10mA以下のところ書き直して、ロードラインを引いてみたところ。

前段にあまり多くの電流を流せないので、このぐらいで勘弁してもらうことにした。 ぺるけ師匠の6AH4GT でも、6DJ8 を 2mA で使用する予定だったようだし。