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バランス入力 15W 全段差動アンプ・・・設計やりなおし

 今回は、Arito’s Lab のトランスを使っており、周波数特性が公開されている。 高域の伸びが悪いのは、もともとの設計の悪さに決まっている。

 まず、ドライバの周波数特性をはかってみたら・・・。 下のように、-3dB点が、20kHz 未満という悲惨な状況であることがわかった。 ぺるけ師匠も私も、周波数特性が一番狭いのが終段になるようにしている。 これは絶対にだめだ。

最初の設計におけるドライバ段の周波数特性(クリックで拡大)

ドライバ段の負荷抵抗が 47kΩなのに対して、後段のグリッド抵抗が 100kΩで負荷が重すぎるのであろう。 よく考えれば、カスコードブートストラップ回路での出力インピータンスは負荷抵抗と同じと考えて良いのだから、この結果は当然(^^;)

対策は 6G-A4全段差動アンプと同様にエミッタフォロワで受けて後段に渡すことだ。 すでに平ラグはいっぱいなので、平ラグをとめるネジ穴に 7P の立てラグをたてて利用することにした。 エミッタフォロワには 1mA 流した。 年末でパーツ屋が休みなので、200kΩ 1/4W を2本並列とした。 対策は効果があって、下のように、-3dB 点が 300KHz超のところになった。

エミッタフォロワ追加後の周波数特性(クリックで拡大)

後は負帰還抵抗を配線して、抵抗に抱かせるコンデンサの量を調節すればできあがりだろう。 無帰還で聞いても、結構いい感じ・・・

to be continued….

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・試行編

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・構想編で述べたように、7DJ8/6R-HH2 全段差動ミニワッターは A2級ドライブの方がよさそう。 ところが、本家本元のぺるけさんのところでは、エミッタフォロワ付きの 6DJ8 全段差動ミニワッターは、複雑な発振がおきて凍結状態とか。

(クリックして拡大)

とりあえず、上図のようにエミッタフォロワ付きで出力管の出力段の定電流回路はとりあえずカソード抵抗1本で試みてみたところ、7DJ8 / 6R-HH2 とも、0.6~0.7W 程度は取れた。 しかし、カソード電圧は 7DJ8 と 6R-HH2 で1V程度の差が生じていたので、出力段の定電流化 を行うこととした。 6R-HH2 もミニワッターとして使える!

to be continued…

6R-HH2 はミニワッターの夢を見るか・・・構想編

さて、6R-HH2のデータシートから書き起こして、ロードラインを引いてみよう。 ぺるけ師匠の6DJ8全段差動ミニワッターと同じプレート電圧、プレート電流のポイントで 7KΩのラインは下図の通りになる。

6DJ8 に比べるとだいぶ直線性が悪いというか、直線性が良い部分がグリッド電圧が正の領域に広がっている。 すなわち、6R-HH2 でミニワッターを作ろうとしたら、A2級動作を前提に設計する必要がある。 すなわち、エミッタフォロワ・ドライブにすることになる。

ぺるけ師匠の作例だと、6N6P ではエミッタフォロワドライブはうまくいったが、6DJ8 では複雑な発振が起きたとある。

6R-HH2 はエミッタフォロワドライブで、全段差動ミニワッターの夢を見られるのか?

6G-A4全段差動アンプ・・・思案中2

FET + 高耐圧Tr によるカスコードによる2段構成としたときにも、考えなければならないことがある。 それは、6G-A4 は三極管で Cg-p, Ck が大きく、入力容量が大きいことだ。 6AQ5(6005)全段差動でも、12AX7-6AQ5 の二段構成から三段構成へと変更したのも同じく高域特性の問題である。 http://www.op316.com/tubes/myamp/tune2.htm に示されるように、ミラー効果の問題があることから、初段の負荷抵抗を低く取る必要がある。 真空管に比べれば、FET の負荷抵抗は低く取れるのではあるが・・・。

低い電圧で利得を稼ぐ必要から、初段FETは 2SK117BL に決定。 6畳間の真空管アンプたちの71A全段差動アンプより、 2SK117BL のドレイン-ソース電圧とドレイン電流の関係図をいただき、電源電圧 80V とした。 ロードラインは 負荷抵抗15kΩ が点線、22kΩが実線である。 15kΩだと、基点を 45V として、2.5mA 流すあたりだが、結構苦しいのがわかる。 22kΩとして 基点40V / 2mA のほうがいい感じ。

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ところが、6G-A4のデータシートによると、Ck=5.0pf Cg-p=6.5pf で、増幅率はおおよそ9倍(Ep=250V, Ip=40mA, 4kΩ負荷)である。

入力容量=Ck+{Cg-p ×(グリッド~プレート間の交流電圧比+1)}

配線による容量増加を考えると、80pF 程度の入力容量があることになる。 FET + 高耐圧Tr によるカスコードの場合、出力インピータンスはほぼ負荷抵抗に等しいので、カットオフ周波数は、負荷抵抗 15kΩ でさえ、130kΩ程度になる。 予定している出力トランスの TANGO FX40-8 のカットオフ周波数は、100kHz 程度なので、スタガ比が全く取れないという問題を生じてしまう。 よって、工夫しないと安定したNFBをかけられない。 このような場合に、出力トランスを最も狭帯域とするのではなく、前段を狭帯域とする考え方もあるが、私としては、黒川達夫氏が「デジタル時代の真空管アンプ完全製作12例」で示したように主張したように出力トランスが最も狭帯域としたい。 よって、本アンプでは、FET + 高耐圧Tr によるカスコードの負荷抵抗を 22kΩとして、さらにエミッタフォロワを付け加える構成とした。 エミッタフォロワの発振を怖がっていたのだが、Arito さんのチョロQ掲示板で肩を押してもらえ、決心できた。

他の検討事項としては、6G-A4 にどの程度のプレート損失までがんばってもらうかだが、ここは 250V/40mA Pp=10W の軽めの動作とした。 280V/47mA Pp=13W の動作例は過酷と考えた。 250V/40mA 8kΩ PP の条件でも、理想最大出力は 6.4W であり、十分と考えた。

出力段の定電流回路は、チャンネル当たり 60V / 80mA を引き受けることとなり、4.8W もの熱を発する。 ちょうど6G-A4 のヒータ電力程度である。 ヒータが暖まるまでの過渡電圧がどうなるかわからないので、VCEO 400V のダーリントントランジスタ 2SD1409 による定電流回路とし、メタルクラッド抵抗とともに放熱器をつけることとした。 ちょうど標準シャーシにはGT管6個分のスペースがあることから、真ん中のふたつを放熱器スペースに当てることにした。 なかなかデザイン的によさそうな色合いの放熱器が見当たらず、手持ちのジャンクを活用することになった。