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6G-A4全段差動アンプ・・・思案中2

FET + 高耐圧Tr によるカスコードによる2段構成としたときにも、考えなければならないことがある。 それは、6G-A4 は三極管で Cg-p, Ck が大きく、入力容量が大きいことだ。 6AQ5(6005)全段差動でも、12AX7-6AQ5 の二段構成から三段構成へと変更したのも同じく高域特性の問題である。 http://www.op316.com/tubes/myamp/tune2.htm に示されるように、ミラー効果の問題があることから、初段の負荷抵抗を低く取る必要がある。 真空管に比べれば、FET の負荷抵抗は低く取れるのではあるが・・・。

低い電圧で利得を稼ぐ必要から、初段FETは 2SK117BL に決定。 6畳間の真空管アンプたちの71A全段差動アンプより、 2SK117BL のドレイン-ソース電圧とドレイン電流の関係図をいただき、電源電圧 80V とした。 ロードラインは 負荷抵抗15kΩ が点線、22kΩが実線である。 15kΩだと、基点を 45V として、2.5mA 流すあたりだが、結構苦しいのがわかる。 22kΩとして 基点40V / 2mA のほうがいい感じ。

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ところが、6G-A4のデータシートによると、Ck=5.0pf Cg-p=6.5pf で、増幅率はおおよそ9倍(Ep=250V, Ip=40mA, 4kΩ負荷)である。

入力容量=Ck+{Cg-p ×(グリッド~プレート間の交流電圧比+1)}

配線による容量増加を考えると、80pF 程度の入力容量があることになる。 FET + 高耐圧Tr によるカスコードの場合、出力インピータンスはほぼ負荷抵抗に等しいので、カットオフ周波数は、負荷抵抗 15kΩ でさえ、130kΩ程度になる。 予定している出力トランスの TANGO FX40-8 のカットオフ周波数は、100kHz 程度なので、スタガ比が全く取れないという問題を生じてしまう。 よって、工夫しないと安定したNFBをかけられない。 このような場合に、出力トランスを最も狭帯域とするのではなく、前段を狭帯域とする考え方もあるが、私としては、黒川達夫氏が「デジタル時代の真空管アンプ完全製作12例」で示したように主張したように出力トランスが最も狭帯域としたい。 よって、本アンプでは、FET + 高耐圧Tr によるカスコードの負荷抵抗を 22kΩとして、さらにエミッタフォロワを付け加える構成とした。 エミッタフォロワの発振を怖がっていたのだが、Arito さんのチョロQ掲示板で肩を押してもらえ、決心できた。

他の検討事項としては、6G-A4 にどの程度のプレート損失までがんばってもらうかだが、ここは 250V/40mA Pp=10W の軽めの動作とした。 280V/47mA Pp=13W の動作例は過酷と考えた。 250V/40mA 8kΩ PP の条件でも、理想最大出力は 6.4W であり、十分と考えた。

出力段の定電流回路は、チャンネル当たり 60V / 80mA を引き受けることとなり、4.8W もの熱を発する。 ちょうど6G-A4 のヒータ電力程度である。 ヒータが暖まるまでの過渡電圧がどうなるかわからないので、VCEO 400V のダーリントントランジスタ 2SD1409 による定電流回路とし、メタルクラッド抵抗とともに放熱器をつけることとした。 ちょうど標準シャーシにはGT管6個分のスペースがあることから、真ん中のふたつを放熱器スペースに当てることにした。 なかなかデザイン的によさそうな色合いの放熱器が見当たらず、手持ちのジャンクを活用することになった。