「真空管アンプ」カテゴリーアーカイブ

6G-A4全段差動アンプ・・・再度検討してみたら

現状の問題点は、超高域発振が起こって対処が必要なのに、高域の周波数特性が悪いことだ。

本アンプの前段は、カスコードブートストラップ回路で、高域特性は良いはず。 何が起こっているのだろうか? (普通のカスコード回路は、下図の定電圧ダイオードの下部がアースに接続されており、高周波増幅に用いられる。)

「カスコードブートストラップ 発振」で検索をかけたところ、シミュレーションで発振しやすいという結果を得たページを見つけた。 このページによると信号入力にハイカットフィルターをつけて高域の入力制限をすると良いとのことだ。 指示に従って、信号入力側の 発振止めの1kのあと(上図)に 56pF でアースすることにした。

また、カスコードブートストラップでは定電圧源のダイオード(上図の5.6V)に大容量の電解コンデンサを抱かせている作例はなかった。 よって、この電解コンデンサを除去し、定電圧ダイオードを LED 3個直列に変更した。 このようにしたところ、発振止めの 220 pF のコンデンサを 10 pF に減らしても、残留雑音が著しく悪化すること(>1mV)はなくなったし、歪み率特性も大きな変動はなかった。 少し前進かな。

to be continued…

6G-A4全段差動アンプ・・・なんとか完成に?

歪み率を測定したら、10 kHz の歪み率が著しく悪い。 これまでの経過から疑われるのは、やはり高周波発振だ。

現時点ではオシロスコープで各所をあたっても明らかな発振はない。 しかし、ハムのように聞こえるほど影響を与えた右チャンネルと、10kHz の入力で始めて発振がわかった左チャンネルの補正が同じでよいとは思えない。 当然、右チャンネルのほうは、より補正量が多くて妥当と考えた。

最初に右チャンネルから取り組んだ。 NFB抵抗を ON/OFF しながら、入力FET のソースからアースする補正コンデンサを 10 pF から増やしながら、WaveSpectra で雑音の様子を観察してみたが、0.01 μF (10000 pF)まで増やしても、10 pF と変わる様子はない。

手詰まりで、左チャンネルをチェックしてみたが、補正コンデンサ 10 pF だと、6W程度になると、発振してしまう。 左チャンネルが 10 pF でダメなら、より重篤だった右チャンネルが 10 pF でよいはずはない。 何を指標に決めたらいいのか?

決め手はなかったが、現時点で、あきらかにおかしいのは歪み率特性なので、NFBをなしで 1 kHz と比較して悪化しない容量を探ることにした。

右チャンネルから始める。 47 pF まで変化なし。 一気に 220 pF にしてみたところ、歪み率は一気に改善。 0.1% を切る状況に。 220 pFで左チャンネルを調べてみると、なんと右チャンネルの方が歪み率は良い。 よって、補正コンデンサの容量は、両チャンネルとも  220 pF に決定した。

この状態で聴感にて、NFB量を決定したところ、6dB で良好に感じられた。 NFの微分補正コンデンサなしでの周波数特性は8~55kHz (-3dB)程度である。 高域の伸びは物足りないが、すなおな特性で、微分補正のコンデンサは不要だろう。

クリックで拡大

この状態での歪み率特性は下記の通りで、常用域の 0.3 W未満は、どの周波数でも 0.1%を切る結果となった。

これで周波数特性が、もう少し良ければ完成でいいんだけどなぁ。 もう少し、初段ソースの補正コンデンサを減らしてみようか? それともいっそのこと、もっと広いケースにいれて飛びつき発振をもとから絶つ?

to be continued…

6G-A4全段差動アンプ・・・一難去ってまた一難

さて、NFB抵抗とNFB補正コンデンサも決定したので、歪み率を測定してみた。

まずはトラブルがあった右チャンネルから。 1kHz の歪み率は、最低で 0.07% 程度で、6AQ5PP 全段差動 より若干悪いが、0.1% を切っているのでまずまずか。 ところが、10kHz をとったところ、最低でも2% 以上となってしまう。 どうしたことか。 なんと、NFBをかけないときより悪化している。 また、WaveSpectra の表示が数秒に1回、規則的に乱れる。 超低域発振(モーターボーディング)か? 左チャンネルも測定してみると、こちらはもっと悪い。 右チャンネルの現象に加えて、10kHz では出力を上げると発振してしまう。 ただし超低域発振はない。

左チャンネルでの 10kHz 入力での発信周波数はおよそ 20 MHz であった。 右チャンネルのように雑音増加にはつながらなかったが、同じ発振だろうと考えて、同じ対策を取ったところ、発振は解決。 ただし歪み率は悪いまま。

超低域発振は増幅部と電源を介する正帰還と情熱の真空管のサイトににもある。 対策は「初段が、出力段のB電源電圧の変動の影響を受けにくくする」とのことなので、本アンプの場合は、C電源が怪しい。 掲示板でも指摘されていた。 エミッタフォロワが不安定性の問題となる。 ぺるけ師匠の 6AH4GT 全段差動アンプでは、C電源はAC 5V を半波整流で 220 μF X 2, 200Ω のパイ型フィルタであったので、LEDを定電圧源としたシャント型に変更した。 結果は、著しいハムの増加。 両チャンネルとも残留雑音が 2 mV を超えた。 仕方がないので、6.3V + 5V のヒータ電源を利用して、2段フィルタにしたが、残留雑音は 1 mV 止まり。 やけのやんぱちで、7905 の3端子レギュレータにしたら、雑音はもとにもどった。 ここでちょっと音を聴いてみると、やけに寸詰まりで、LM380 の ICアンプのような音。 仕方がないので、もとの 2SA1015 のエミッタフォロワに戻した。 高域特性が良くなるように、おまじないで OS コンをおごることにした。 やけのやんぱち。 ぺるけ師匠にあきれかえられるに違いない。

閑話休題。 どっちにしても、C電源は超低域発振の原因ではない。 他の原因はと思って、いろいろウェブで調べてみたら、OPT配線と信号ラインが近接すると、超低域発振(モーターボーディング)の原因になると。 どれどれと調べてみたら、OPT → 6G-A4(プレート)の配線が、グリッドの放熱線の近くを走っていた。 6G-A4 はふたつのグリッド電極(1番と5番)をつないで放熱する必要があるが、この放熱のための配線である。 おもむろに離してみたら、超低域発振(モーターボーディング)と思われる現象は止まった。

to be continued…

6G-A4全段差動アンプ・・・NFB量の決定

聴感にて、NFB量を決定することにした。

NFBをかけないで聞いてみると、端正ですなおな音という印象である。 音数は 6AQ5全段差動アンプより多く、期待が持てる。

情熱の真空管のコンテンツ「Building My Very First Tube Amp講座」の掲示板のログに、12AX7 ー 6G-A4 の2段構成の全段差動アンプを作成した方がおり次のような感想を述べていらっしゃいました。

絶滅寸前6GA4の全段差動が、一応の完成をみました。(中略)その音色は「スジ肉というよりはブロイラー」という印象です。ただほんのすこし良質のブロイラーらしく「味わいはないけど、臭みは少ない」といったところ。この先、熟成して味が出るか? ただ腐るか?

無帰還出来いてみて、「味わいはないけど臭みは少ない」のはわかるような気もしました。

さて、ここからが本題。 低域がボンつかないようにとNFBをかけてみるわけで、当初、期間定数βを 0.1 程度(Rin 100 / Rnfb 910)にして、がっちりNFBをかけてみたところ、躍動感に乏しい、死んだような音になった。 まさにブロイラー。

それではと、NFBを減らしてみると、なかなか良い点が見つからない。 上原ひろみのALIVE~ワンダラーのドラム、ベースがはじける様子が出ないか、ボンついてしまうか。 仕方がないので、Rnfb を 5kΩのトリマポテンショにして、いろいろ聞きながら、よい点を探ってみた。

わかったことは、良いポイントが本当にピンポイントであること。 メインのスピーカーである Dynaudio Contour 3.3 でも、
サブの ALTECLANSING Mini Monitor 8A  でも、同じポイントで良い感じで聞けることが分かり、Rnfb = 2kΩがベストポイント。 NF量は 8.6 dB  となった。

さて、ここで周波数特性を取ってみると、両チャンネルとも125kHz あたりに、1 dB 程度の盛り上がりがある。 220 pF で、盛り上がりは消える。 左チャンネルは 220 pF できれいななで肩になるが、右チャンネルはわずかに盛り上がる。 しかし、右チャンネルの補正コンデンサを 330 pF にすると、左チャンネルとの差が大きくなりすぎるようだ。 よって、補正コンデンサを 220 pF とすることにした。

補正コンデンサもつけて、Dynaudio Contour 3.3 で試聴してみると、端正な鳴りながら、ごきげんなサウンドだ。 私がいつも気にしている、ピアノのキータッチの差がわかる件については、無帰還のときからかろうじて合格で、補正コンデンサまでつけた現時点では、これまでのメイン装置の SOULNOTE ma 1.0  よりも、キータッチの差を露骨に表現する。 ブラスバンドを聞くと、管楽器のしなやかさの表現もうまい。 マーラーのような大編成のオーケストラものを聞くと、SOULNOTE ma 1.0 に 一日の長を認めるが、モーツアルトやシューベルトの交響曲ではいい勝負だと思う。

6AQ5 全段差動と比較すると、似たような傾向のアンプだとは思うが、格の違いを感じる。 6AQ5 全段差動のトランスが中華製でちょうどよい負荷抵抗ではないのに対し、6G-A4全段差動は、TANGO FX40-8 なので、勝負にならないか。

長時間の試聴をしてみると、予想通り、真空管を除いて一番熱いのは終段の定電流をささえる放熱器である。 幸い、触って心地よい程度なのでちょうど良かったようだ。

さて、最後に、このアンプの作成を他人にお勧めできるかと問われると、答えは NO だ。 発振の件でわかるように両チャンネルで状況が異なるにもかかららず、理由がわからないこと。 すなわち、私の記事は再現性が保証できないからだ。

6G-A4全段差動アンプ・・・トラブル発生

トラブルは、わずかながら、右チャンネルからハム音が聞こえること。 残留雑音が左チャンネルは 0.2mV なのに、右チャンネルは 1mV を超える。 アース処理が悪いのか? どこかにループがあるのか。

ボリュームの触ると雑音が増えるので、ボリュームがアースから浮いているのだろう。 塗装をはがして菊座金を着けた。 ボリュームを触っても雑音が増えなくなった。 でも、雑音は相変わらず。

アースを見直すと、前段は前段定電圧電源に、終段はリップルフィルターのアースにつないでいた。 これも悪さしているのかもしれない。 前段定電圧電源からアース母線をはって、そこに全てのアースをつないだら、少しハムは減った。 それでも、1mV 近い残留雑音だ。

雑音を WaveSpectra でみると、50 Hz 100 Hz といった電源周波数とその高調波がたくさんあることがわかる。 左チャンネルはレベルが全然違っていた。

そのうち、奇妙なことに気がついた。 ボリュームを最低に絞ると、雑音が増える。ぺるけ師匠の「電子工作・自作オーディオ Tips  & トラブルシューティング・ブック」の  p. 126 には、「ボリュームポジションで変化するようであれば、高周波発振の疑いはさらに濃くなります。」とあり、発振を疑わざるを得ない。

しかし、6G-A4 のグリッドにオシロをあてても、ふらふらと基線が揺れる様子がうつるのみで、強烈に発振している様子はない。 手元のオシロは周波数帯域 200MHz のデジタルオシロなので、それより高い周波数の発振? やっぱりエミッタフォロワが悪さしている? 前段のユニバーサル基板から、全ての部品を取り外して、(ハンダシュッ太郎、大活躍!)エミッタフォロワ段のベースに抵抗を入れてみたが、雑音は変わらず。 原因不明で、困ってしまった。

ありそうなトラブルとしては、やっぱりエミッタフォロワの部分。 ベースに 100Ω の抵抗をいれてみるが、状況は改善せず。 さらに、エミッタフォロワ段をなくして、直結しても、状況は変わらず。 すなわち、エミッタフォロワ段はこの発振には関係がない。

電源を入れたまま、取り回しを工夫していたところ、初段のFET のソース間のボリュームにさわると、ノイズの様子が変わることに気がついた。 そして、ソースとアースの間に、10pFのコンデンサを入れると、見事に雑音が消えた。 両チャンネルとも、雑音は 0.15-17mV に減った。 結果オーライといったところか。

掲示板で相談していたら、菊池さんという方から、ハムが聞こえるのに、そのハム成分がオシロで映らないときには、発振を疑うのだと教えられた。 言われてみればその通りだ。

その後、オシロのアースの取り方次第で、発振が見えたり見えなかったりすることがわかった。 今回の発振は、20.8MHz で、200 mV p-p 程度の発振であることがわかった。 何しろ、オシロのプローブ自体が発振の状況を変えてしまうこともあるようで、良い経験になった。

さらに、掲示板で flip-flopさんより、下記のコメントをいただきました。 確かに、20.8MHz の発振なので、ストレー容量による発振も十分にあり得る周波数かと。

回路的には、初段のソース回路(ブートストラップや半固定含む)とエミッタフォロワ出力(真空管ゲート配線含む)は同相なので、ストレーによる飛び付きがあると発振します。

対策としては、すでにやったようにブートストラップ又は差動のソースを小容量CでGNDに落とすか、コレクタ22kΩ負荷に並列に小容量Cを抱かせるか、ですね。 初段のソース回路(ブートストラップや半固定含む)をシールドしても効果があると思われます。

6G-A4全段差動アンプ・・・製作準備

標準シャーシを利用して、標準シャーシ対応の電源トランス、アウトプットトランスを利用しているから、製作準備は簡単と思っている皆さん・・・大間違い!

標準シャーシの真ん中のGT管スペースに取り付ける放熱器に取り付けるネジ穴のタップを切らねばならない。5.7mm 厚のところに、M3のタップ切りをしないといけない。

赤丸にねじ切り! それも2カ所。 手元の工具でできることは、細い穴を空けて広げるぐらい。 がっちりポンチで 中心を決めて、2mm の刃で穴を空けて、ゆっくり広げるのみ。 幸いにしてうまくいった。 当初、放熱器に、シャーシアースからの導通がなかったので、穴周辺の塗装をはがして、導通を確保した。

次の問題は、前段回路をどこに、どのように配置するかだ。6畳間の真空管アンプたちの71A全段差動アンプと同じ配置は、難しい。なぜなら、71A との比較なら、信じられないほど 6G-A4 の利得が高いからだ。 6G-A4 のグリッドへの配線が短くなるように考えた方が良い。 標準シャーシを使うので、球の間の穴から、トリマポテンショをいじれるようにしておく必要もある。 よって、左右対称の配線にするなどの工夫が必要だ。 ここでは、サンハヤトのAT-48D を用いることにした。 端子板付きの4ツ目ユニバーサル基板である。 さっそく、AT48D を模した用紙(PDF)をつくって、部品配置を検討することにした。 

6G-A4全段差動アンプ・・・思案中2

FET + 高耐圧Tr によるカスコードによる2段構成としたときにも、考えなければならないことがある。 それは、6G-A4 は三極管で Cg-p, Ck が大きく、入力容量が大きいことだ。 6AQ5(6005)全段差動でも、12AX7-6AQ5 の二段構成から三段構成へと変更したのも同じく高域特性の問題である。 http://www.op316.com/tubes/myamp/tune2.htm に示されるように、ミラー効果の問題があることから、初段の負荷抵抗を低く取る必要がある。 真空管に比べれば、FET の負荷抵抗は低く取れるのではあるが・・・。

低い電圧で利得を稼ぐ必要から、初段FETは 2SK117BL に決定。 6畳間の真空管アンプたちの71A全段差動アンプより、 2SK117BL のドレイン-ソース電圧とドレイン電流の関係図をいただき、電源電圧 80V とした。 ロードラインは 負荷抵抗15kΩ が点線、22kΩが実線である。 15kΩだと、基点を 45V として、2.5mA 流すあたりだが、結構苦しいのがわかる。 22kΩとして 基点40V / 2mA のほうがいい感じ。

クリックで拡大

ところが、6G-A4のデータシートによると、Ck=5.0pf Cg-p=6.5pf で、増幅率はおおよそ9倍(Ep=250V, Ip=40mA, 4kΩ負荷)である。

入力容量=Ck+{Cg-p ×(グリッド~プレート間の交流電圧比+1)}

配線による容量増加を考えると、80pF 程度の入力容量があることになる。 FET + 高耐圧Tr によるカスコードの場合、出力インピータンスはほぼ負荷抵抗に等しいので、カットオフ周波数は、負荷抵抗 15kΩ でさえ、130kΩ程度になる。 予定している出力トランスの TANGO FX40-8 のカットオフ周波数は、100kHz 程度なので、スタガ比が全く取れないという問題を生じてしまう。 よって、工夫しないと安定したNFBをかけられない。 このような場合に、出力トランスを最も狭帯域とするのではなく、前段を狭帯域とする考え方もあるが、私としては、黒川達夫氏が「デジタル時代の真空管アンプ完全製作12例」で示したように主張したように出力トランスが最も狭帯域としたい。 よって、本アンプでは、FET + 高耐圧Tr によるカスコードの負荷抵抗を 22kΩとして、さらにエミッタフォロワを付け加える構成とした。 エミッタフォロワの発振を怖がっていたのだが、Arito さんのチョロQ掲示板で肩を押してもらえ、決心できた。

他の検討事項としては、6G-A4 にどの程度のプレート損失までがんばってもらうかだが、ここは 250V/40mA Pp=10W の軽めの動作とした。 280V/47mA Pp=13W の動作例は過酷と考えた。 250V/40mA 8kΩ PP の条件でも、理想最大出力は 6.4W であり、十分と考えた。

出力段の定電流回路は、チャンネル当たり 60V / 80mA を引き受けることとなり、4.8W もの熱を発する。 ちょうど6G-A4 のヒータ電力程度である。 ヒータが暖まるまでの過渡電圧がどうなるかわからないので、VCEO 400V のダーリントントランジスタ 2SD1409 による定電流回路とし、メタルクラッド抵抗とともに放熱器をつけることとした。 ちょうど標準シャーシにはGT管6個分のスペースがあることから、真ん中のふたつを放熱器スペースに当てることにした。 なかなかデザイン的によさそうな色合いの放熱器が見当たらず、手持ちのジャンクを活用することになった。

6G-A4全段差動アンプ・・・思案中

旧ホームページの AUDIO な日々にあるように、私は 6G-A4 PP を作ったものの満足いく音を出せるようにならず、投げ出してしまっていた。 手元には、出力トランスのTANGO FX-40-8 と電源トランスの ST220 がある。 6AQ5 (6005) 全段差動アンプは、前哨戦でしかない。 その割には、だいぶのめり込んで結局3段構成化まで、がんばってしまった。

さて、本命の6G-A4全段差動アンプを考えると、ひとつの考えは 6AQ5全段差動でうまくいった3段構成である。 6G-A4 のバイアス電圧から考えても、6AQ5全段差動で使った 2SK30A - 6R-HH8 の前段構成でうまくドライブできるだろう。 この6G-A4 全段差動アンプは、ヤフオクで手に入れたぺるけ師匠による標準シャーシを使うので、デザイン上はGT管が好ましい。 入手しやすいところでは、6SN7GT だろうか。 ところが、手元にはGT管の電圧増幅管がジャンク球しかないし、GT管だと 6R-HH8 のような 低rp管がないらしい。

もうひとつ面白そうな構成がある。 FET + 高耐圧Tr によるカスコード によって、2段分の利得を得てしまうのだ。 情熱の真空管でも、71Aミニワッター で使用例があり、それを全段差動化した記事 もある。 この構成の利点は2段アンプなのでNFが安定にかかることがあげられる。 加えて、うまくやれば、直結ドライブも可能なこともあげられる。 欠点は、FET + 高耐圧Tr によるカスコード は、それぞれの段の利得が安定しない可能性がある(=選別不可避)であることや、直結にした場合は 6G-A4 のカソード側の定電流負荷での消費電力が大きくなることがあげられる。 カソード側の定電流負荷を小さくしようとすると、前段の電圧を下げなければならない。 そうすると、ドライブできる電圧が下がってしまうというトレードオフが生じる。 つまり、魅力的だが、けっこうたいへん。

自分ではどちらにするかも決めかね、真空管&オーディオ「なんでもあり掲示板」に相談したところ、紺屋さんから、先に示したトレードオフに対して、すばらしい情報をいただき、「FET + 高耐圧Tr によるカスコード」方式に舵を切ることに。

電源電圧80Vで2SK209+BJTカスコード、2mA+2mAで単体測定やった例がたまたまありまして・・・
 ご提示の回路のように、ベース接地をGND基準にすると、早期にクリップするようです。理由はワタシには説明できませんが、あくまで差動FETのソースと共通ベース間を定電圧源で縛るほうが良いようです。
 添付の例ではGND-ベース固定だと40Vppで限界。ソース~ベース間固定では63Vppまで(図は50.5V時)行けました。
 個人的には、PH-185を使いK117・C3209カスコード~直結、に惹かれます。

to be continued ..

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・測定結果

2SK30A - 6R-HH8 - 6AQ5(三結)全段差動アンプの測定結果を示す。

周波数特性は、左右ともほぼ同じである。 1W 時は 5~80 kHz(-3dB)、0.1W 時は  2~90 kHz(-3dB)の帯域がとれた。

クリックで拡大(代表して 左 Ch)

10kHz の方形波の波形を示す。 上段は入力信号、下段は出力である。


大きなリンキングもなく、すなおな特性と言える。
負荷開放時である。 安定している。

0.1 μF負荷時である。 若干のリンキングなどが認められるが、発振に至ることはない。

雑音歪み率は、0.01~0.2W の実用域では全て、0.1%未満という素晴らしい結果だ。わずかに左チャンネルのほうが、低域で悪いが電源スイッチが左側にあるためと思われる。 5% 歪みで考えると、3Wの出力が得られており、大成功と言える。


ON-OFF 法によるダンピングファクタは、おおよそ 4 であった。残留雑音はふらつくので正確ではないが、0.15~0.17mV 程度であった。 クロストークはほとんど残留雑音をはかっているのみの結果であった。 すなわち、80dB 程度とれており、50kHz 以上では、若干悪化していた。

ロードラインを引いたり、測定結果を出しながら調整したのは、今回が初めてだ。 全ては、情熱の真空管の木村哲氏のおかげだ。 深謝したい。

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・6R-HH8 でチャレンジ

6R-HH8 に前段管を変更したところ、激しく発振(笑)した。やはり、一筋縄ではいかない。 6R-HH8 のグリッド周りに他の配線が近づかないように配慮しつつ、グリッドへの発振止め抵抗を 3.3kΩにしたら、発振は止まった。

無帰還での -3dB 点は、55kHz まで伸びた。 Analog Discovery によると Zobel Network を 15Ω + 0.1μF にしたところ、1MHz 周辺の位相回転が改善するので、この定数で NF 量を検討することにした。

クリックで拡大(右Ch を示した)

 低音がボンつかないように、NF量を決定したところ、測定してみたら4dB ほどの NF量であった。 70kHz にわずかな盛り上がりがあるので、NF抵抗に少量のコンデンサを抱かせて調節した。 330pf ちょうど良さそうだ。

クリックで拡大(右ch を示した)

最終的な回路図を示す。

クリックで拡大

ここまで調整して試聴したところ、ピアノのキータッチの違いがわかるかどうかという点では、みごとに合格。 よかった!

はらわた(クリックで拡大)