フルバランス・フルディスクリートアンプへの長い道のり・・・測定結果

さて、これまでの経過で、なんとか各種のデータを安定して測定できるようになった。 最終回路図は下図で、BTL接続している。 なお、図中のC5 は1台では47pF もう1台では、220pF である。 その顛末は、フルバランス・フルディスクリートアンプへの長い道のり・・・また発振 にある。また、終段のアイドリング電流は、0.5A に設定している。 8Ω出力だと4W相当、4Ω出力では、2W相当まで、A級アンプとして作動する。 日常的に利用する出力は、0.数W程度なので、日常の使用上ではA級アンプである。 筐体の両側が放熱器になっているが、触って心地よい程度の暖かさである。 トランジスタそのものを触ってもやけどするような熱さではない。

(クリックにて拡大)

最大出力は、5%歪みで20W/8Ω、40W/4Ωを確保できた。 これについては、概ね想定通りである。 残留雑音はそのまま測って、0.07mV程度である。 以下、C5が47pF の個体をA、220pF の個体をBとして記載する。

周波数特性は、以下の通りだ。 -3dB は、Aで150kHz、Bで 120kHz 程度である。 位相特性は両方とも-125°程度までで安定しているように見える。

VFA-01 (A): 周波数特性   (クリックで拡大)
VFA-01 (B): 周波数特性   (クリックで拡大)

歪み率特性は次の通り。 両個体とも、最低歪み率は0.02%程度で、10kHz の特性は、100Hz/1kHzに比べて、やや悪い。 周波数によって歪み率特性が異なるのは、たかじんさんのオリジナルのデータでも同様だ。 ただし、歪み率特性自体は大分悪い。 これは、BTL化によるものと考える。 おおむね4倍と考えれば、妥当なレベルといえる。 奇数次の歪みはBTL化で打ち消されないからだ。

VFA-01(A): 歪み率特性
VFA-01(B): 歪み率特性

視聴しての感じは、Soulnote ma1.0 に比較して、ワイドレンジでダイナミックだ。 エレガントさは変わらないが、このアンプのほうが、ピアノのキータッチの差や、ボーカルの表情の変化がわかりやすい。この差は、最近メインスピーカーになった Linaeum LS-1000 で聴くとたいへん目立つ。 Dynaudio Contour 3.3 で聴くと、キータッチは表情の変化はわかるが、突き放した表現で、聞き込まないとわからない。 Soulnote ma1.0 もフルバランス構成ではあるが、4Ω出力の記載はない。 LS-1000は、コンデンサ型スピーカーにスーパーウーファをつけたような構成であり、4Ωの記載があることから、一般に鳴らしにくいスピーカーであるが、本アンプは4Ωギャランティーは十分であることが長所につながっているのだと思う。

本アンプの欠点は、録音(やアレンジ)の悪さをそのまま出してしまうことだ。 ma1.0 はそういう点では、一枚上手のように感じる。 一方、LPレコード(soulnote ph1.0、バランスプリ経由)で古い録音を聴いても、ノイズが目立つといったことはないようだ。

基板を頒布していただき、また適切なアドバイスを何度もいたぢあたたかじんさんに心から感謝したい。

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