禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・測定してみる

とりあえず、周波数特性を測定してみることにした。 NFの補正コンデンサなしで調べてみる。

周波数特性(クリックで拡大)

高域のカットオフは、入力のハイカットフィルタによると考えられるが、位相特性はかなり悪いので、NFの補正コンデンサの調整が必要だ。 6.8pF で位相特性はかなりの改善が認められ、10pF ではさらなる改善が認められる。 15pF に増やしても誤差程度の改善しかないが、22pF まで増やすと位相特性は理想的になるが、10kHz から影響が出てしまう。 よって、10pF に決定することとした。

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残留ノイズは、LED電球のON/OFFでも数字が変わるので、本当のところはよくわからないが、マルチメータのショートから、7μV程度の変動がみられるのみだ。 十分にノイズが少ないといえる。 Rコアトランスを利用したのが、好結果を生んだといえるだろう。

安心してひずみ率(THD+N)測定を始めたところ、1kHz では、最低が0.005% と、WaveGene/WaveSpectra 測定の限界に近い数字で満足したが、100Hz では、安定して0.2~0.3 % と高い数字を示していた。 またやってしまったようだ。

to be continued…

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・希望の光が

電流増幅に、パワーオペアンプの LM1875 を用いて失敗してから、半年余り、禁断のClassAA ヘッドホンアンプの進展はなかった。 よって、HPA-1000 を先に作ることになった。 そんな折に、定期的にj巡回しているお気楽オーディオさんで、TDA2030 のほうが LM1875より安定しているという記事があり、TDA2030 を試してみることにした。 

TDA-2030は、ピン配置はLM1875と同じパワーオペアンプで、出力電流(Iout)はデータシートによれば 3.5A と、LM1875 の 4A よりやや少なめ。 少ないとはいえ、一般的なオペアンプとは桁が違う。

MUSES8920 + TDA2030 で、片チャンネルは安定して動作し、0,5A のヒューズで出力を短絡しても、問題ない。 喜んで、両チャンネルを作成してみると、発振してしまった。 NFループのコンデンサを調整してみたが、発振は変わらない。 

ふと思いついて、V-AMP のオペアンプを変更してみると、LME49720 では安定して動作することがわかった。 バラックで 1kHz の歪み率をとってみると、0.03%程度なので、問題なさそう。 他のオペアンプを使ってみると、MUSES01, MUSES02, OPA2604はきれいに発振、OPA627 は大丈夫そう、OP827 も発振しそう。OPA2134も大丈夫そうであった。 とりあえず、LME49720 で進めてみることにした。

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電源およびヘッドホン保護は、たかじんさんの PRT-03 を使うので、理想的だ。 電源トランスは、ヤフオクで保護したRコアトランスだ。 無負荷で 14V(CTあり)で、外形が90mm × 100mm あることから、50VA程度の容量と思われる。 想像するに、12.6V(CT付き)4A 程度だろう。 ヘッドホンアンプには、十分すぎる電流容量といえる。

構想編で述べたように、たかじんさんの PGA2311 電子ボリュームを使う。 この基板は低インピータンス出力なので、電子ボリューム基板とアンプ基板の距離を無視できる。 上記の回路図にあるように、たかじんさんの作例と同じく、入力におおむね 200kHz のハイカットフィルターをいれておくこととする。

to be continued…

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・迷走編

簡単に動作するだろうという予想に反して、作ってみると、SP OUT端子が電源電圧に張り付いてしまうというトラブルに見舞われた。まるでコンパレータのようだ。 発振を疑い、NFBコンデンサを調整してもダメ。 ネット上の作例との違いは、電圧増幅アンプとしてのオペアンプとが、三端子レギュレータで電源電圧が安定化されていることなので、この点も試みたものの、改善は認められなかった。

万策尽きて、ほかのパワーオペアンプを試みてみることにした。 秋月電子で安価に手に入る LM1875 である。 LM685T と同じく20Wのアンプを作成できる。 出力電流(Iout)もデータシート上4A と同じだ。 こちらにしてみたら、SP OUT端子は、ほぼ0V となったが、何らかの入力を入れた瞬間に、コンパレータ状態に元戻り。

手段がなくなってしまい、まだ安定していたフラットアンプに近づける試みとして、ホイートストンブリッジの抵抗値を高くしてみた。

この状態では、発振は認められたものの、NFBコンデンサ量を調整したら、発振は認められなくなった。

これでいいと思いながら、いつもの試験用ジャンクスピーカーで音出しをしてみた。 ClassAAフラットアンプと異なり、ボリュームをあげても音割れすることなく、いい感じで聴ける。

喜んで聞いていたら、スピーカー端子のプラス端子とマイナス端子が接触したとたんに、LM1875と虎の子の MUSES01 から煙があがった。

音は出ているのだから、過電流保護をつければよいかと思い、電圧増幅オペアンプには 0.05A、電流増幅のLM1875 には、0.5A のポリスイッチをいれて、スピーカーショートでもオペアンプが壊れてしまわないようにはしたものの、ここで歪み率を測定すると、出力にかかわりなく0.3% 程度で、極めて不安定であることが、測定からも立証されてしまった。

たかじんさんがおっしゃるように、禁断のClassAA アンプは、危険な構成で、フラットアンプならともかくそれ以上はアマチュアには無理?

to be continued…

禁断のClassAA ヘッドホンアンプは完成するか・・・構想編

アナログ対応バランスプリアンプのフラットアンプとして、禁断の ClassAA ヘッドホンアップを利用し、ヘッドホンアンプとして好結果を得たので、本格的に利用してみたいと考えた。 

本格的に利用するとしたら、電流供給アンプ(C-Amp)の電流供給能力をあげる工夫をしたいところだ。 ウェブ上の作例を探すと、C-Amp としてパワーオペアンプの LM675T を用いた作例とオペアンプにSEEP出力段を付加した作例が見つかった。 SEEP出力段を付加した作例はプリント基板を自作した作例であったこともあり、LM675Tの作例を追試してみることを考えた。

最終的にはヘッドホンアンプで使うことを考え、電源および保護回路等は、たかじんさんによる、HPA-1000 用の PRT-03 を用いれば、電源としても優秀だし、保護回路も完璧だ。

当初は、このヘッドホンアンプを、チャチャっと作り上げてから、HPA-1000に腰を据えて取り組むつもりだったが、実際には HPA-1000 のほうを先に完成させざるを・・・

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・はらわた

左から、電源スイッチ、出力切り替え、ヘッドホン(XLR4)、NFB切り替え(LEDはNO-NFB時ON)ボリュームつまみ。
足はアルミ無垢(AFM44-20S)にした。
スピーカー出力は、バナナプラグ専用。 ほとんどたかじんさんのデモ機と同じ配置になっている。
中央の緑色の基板は、NFB切り替えのリレー用基板。 見ての通りで、各基板は数ミリ程度しかはなれていない。 QHコネクタのおかげでなんとか配線できている。

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・再度のトラブルシューティング

最初に考えたのは、はんだ付け不良だ。 音を聴きながら絶縁物で部品をたたくと、はんだ付け不良がわかる。 どこも異常がない。 各部の電圧は正常だし・・・・。 万事休すか。

修正をあきらめて、風呂に入っているときに、左右で違うところとして、アースラインを思い出した。 MUSES72320 ボリューム基板は、入出力ともに左右別の GND端子がある。 これは、たかじんさんによれば、MUSES72323 自体が左右の GND を分けて、チャンネルセパレーションをよくする工夫をしているからとのことだ。 しかしながら、左右別のGND をそのまま入力端子につなぐと、音源で GND は一緒になるので、下図のように左右のRCAケーブルを通して、音源とHPA-1000 のSGNDで大きなループを形成してしまう。 これはノイズ対策上問題になる。

点線がアースループを示している

上記の問題を避けるために、下図のように、入力端子の GND をつなぎ、MUSES72323 基板の左チャンネルのシールド線を利用して、アース電位を供給していた。 こうすれば、上述のループは形成されない。

上図だと、アースラインのループは形成されないが、シールド線によるアース電位は、左チャンネルの信号により、影響を受けることになる。 もしかすると、信号が大きくなると歪み率があがるのはこのためかもしれないと、風呂の中で考えたのだ。 シールド線を通して入力端子の GND をつなぐのではなく、下図のように HPA-1000 の SGND から直接つなぐことにするのだ。 こうすれば、ループも形成されないし、チャンネル信号がアース電位に影響を及ぼすこともない。

結果は大成功で、全体的に歪み率が下がった。 たかじんさんのオリジナルより歪み率は今一つだが、NFB量が6dB 少ないことを考えれば妥当と思われる。 音質はぐっと変わった。 ダイナミックさが大幅に増した。 たった一本の配線の違いで、こんなに影響が及ぶことがあるという貴重な体験をした。 

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・測定してみる

音が聴けるようになって、たかじんさんのコメント「高級ヘッドホンを駆動するならHPA-1000がおすすめです。 HPA-12からすると一つ上の階に上がったかのような景色が見られると思います。」が気になる。

確かに、HPA-12のA級ミニアンプ(27番のところ)で、ヘッドホンを駆動するより良いのだが、上流の音源次第であるように思えるし、一聴して上という感じがしない。 ブラインドで聴かされたら区別できない。 HPA-12のA級ミニアンプが思いのほか良いのだろうと思っていた。

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周波数特性は左右ともほとんど同じで、-3dB 点はおおよそ 270kHzだ。 位相回転も少なく、素晴らしい特性といえる。

ところが歪み率特性を図り始めたら、とんでもないことがわかった。ヘッドホンを考え、33Ω負荷にて測定したところ、1kHz での歪み率は、0.1mW では左右とも 0.07% と同じだが、10mW では左ch 0.17%、右ch 0.02% と差が開き始め、30mW では左ch 1.0%、右ch 0.07% と桁が違ってくる のだ。 1000mW 程度の定格出力であることを考えると、30mW でこんな歪み率になるのは、あきらかに異常といえる。

どこがおかしいのだろうか。 解決できるのだろうか。

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・音が出るまで

HPA-1000 の入力端子は、はんだ付けではなく、2.54mm ピッチのヘッダピンにしておいたので、そこをショートするとハム音が消える。 外部から適当な音楽を流し込むときれいな音が流れることから、問題はMUSES 72323 ボリューム基板である。

オシロで動作することを確認していたのに、なぜだ? 壊してしまったかと、取り外してオシロで再確認すると、問題がない。 きちんとボリュームとして動作している。

ハムがでることから、アース関係だろうと思われることからアースの問題だと思われるが、電源を PRT-03 から取っている以上、アースはつながっているはず。 すぐに考え付いたのは、シグナル関係のアースがつながっていないのではと考え、HPA-1000 両基板の SGND間のアースをワニ口クリップでつないでみると、音は出るけどボリュームとしては機能していない。 たかじんさんのホームページでヘルプをもらおうかと思ったが、回路図片手に考えてみることにした。

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回路図を検討すること1週間、わかったことは次の通り。

  1. 電源のGNDは、信号ラインのアースにはつながっていない。
  2. 信号ラインのアースは、左右で分離している。
    → 現状の配線では、信号系のアースがつながれていないので、ハム音がでるのは当然。
    → PRT-03 に一点アースするのが低雑音の決め手であることから、信号ラインのアースは、HPA-1000 の SGND からループができないようにつなげばよい
  3. たかじんさんの説明ページでは、アッテネータとして使う時には、オペアンプの3番と6番をつないで使うように指示があるが、そうすると、MUSES72323 の R+ 信号と R(OUT)信号が混合されることになる。
    → MUSES72320 基板と同じ使い方をするなら、3番だけから出力を取り出せばよい。

以上が正解で、音が出始めた。 「めでたし、めでたし」と思ったが、本当のトラブルシューティングは、実はこれから・・・

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・作成編

まずは電源部からということで、PRT-03 を作成した。 作成途上で、不具合情報があり、自分はパターンカットで対処。 作成前に不具合情報が手に入って対処できたのは大変ありがたい。

MUSES72323基板はアッテネータとして利用するため、オペアンプ部とそのパスコンの部分は実装しなかった。 0.65mm ピッチのMUSES72323 のはんだ付けは、今回は一回で成功。 過去の失敗が生きた。 発振器とオシロで動作確認して、作成完了。 組み立てが楽になるように、ボリューム部分は 2.54mm ピッチのヘッダピンをたて、QIコネクタで接続するようにした。 1.6mm ダイスでの圧着にもだいぶ慣れたせいか、今回は多用してしまった。

本体基板の作成は小さな表面実装部品がないから楽勝のはず・・・がそうはいかなかった。 いくつかの解決すべき問題がある。

  1. MUSES72323 基板はアッテネータとして使用するので、HPA-1000基板のすぐ近くに配置する必要がある。
  2. NFB回路をシャーシ前面のスイッチまで引き回すわけにはいかないので、リレーでショートさせることにする。 NFB回路の端子が、先のMUSES72323基板からの入力端子と極めて近いところにある。
  3. 終段とドライブ段のトランジスタは基板ごと固定となり、M3 のタップ霧が必要で、ステレオ分で10個も。
  4. ステレオ分の2枚の基板と PRT-03 の SGND と を太い線でつなぐ必要がある。

    つまり、位置決めはやり直しがとても難しい。

結局、たかじんさんのデモ機と同じ配置で、2枚の HPA-1000 基板の間に最小限に切り落としたリレー基板をおき、MUSES 72320 基板は側面に配置することとした。

幸いにして、一発で、HPA-1000基板は DCバランスがとれて、バイアス調整もすんだ。 NFB 量が少ないので、安定度は低めだが、しっかりおいこめた。

喜んで、MUSES72323 基板とつないで、テスト用スピーカにつないで音を確認しようとしたら、音が出ないどころか、強烈なハム音がでてくる。 なぜだ?

to be continued…

無帰還A級ディスクリートヘッドホンアンプ HPA-1000 ・・・構想編

アナログ対応バランス型プリアンプに利用したClassAA フラットアンプで、ヘッドホンに目覚めてしまった。 自作する前に、比較対象としてRatoc RAL-DSDHA2 と M-Audio MicroDAC 24/192を購入したわけだが、当然次は自作だ。

フルバランス・フルディスクリートアンプに利用したたかじんさんのVFA-01基板は、残留ノイズがとても少ないことから、これで作ることも考えたが、たかじんさんがパワーアンプ基板よりも大きい超弩級ヘッドホンアンプと称し、キット化された HPA-1000 を作ってみたくなるのは当然といえよう。

専用トランスのTRS-1000を使うのは当然だ。 TRS-1000の仕様はこちら。 キットでは電子ボリュームPGA2311基板が利用可能で、たかじんさんもHPA-1000で使うことを考えた電子ボリュームだ。 しかしながら、へそ曲がりの私としては、たかじんさんの最新作の電子ボリューム基板である MUSES72323 基板を、アッテネータとして用いることを考えた。 バランス型プリアンプアナログ対応バランス型プリアンプで MUSES72320 を利用して好結果を得ていることもその理由だ。

たかじんさんは、NFBはいらない。no-NFBしか聴かない。というあなたへという記事を出されており、鈴木哲さんが設計したSOULNOTEのアンプを愛用してきた私は、この部分にも惹かれた。  当然、no-NFB に向けた定数変更をしたうえで、3dB の NFB をかけた状況でも使えるようにしよう。

トランジスタは、たかじんさんのオリジナルでは初段に BC550C、次段以降に2SC1845 / 2SA992 であった。 BC550Cはすでに入手不可能、そしてその代替えの BC549もタッチの差で、共立エレショップで品切れになってしまい、入手できなかった。 たかじんさんによれば、初段は hFEが高い 2SC2240BL が望ましいとのことで、次段以降2SC2240 / 2SA970 でも可とのことだった。 次段以降には、GRランクを使うことにした。 終段のトランジスタは指定通り TTC004B / TTA004B を用いることにした。 2SK170/2SK117 などでもよいとのことだったが、VFA-01 で、たかじんさんの指定外の 2SK170 を使って大変苦労したこともあり、今回はオリジナルに近いトランジスタを用いることにした。 抵抗類はタクマンが指定されていたが、ほとんど入手できないことから、手持ちのKOA を利用した。

設置場所を考えると小さい筐体にしたかったが、残留ノイズを減らすためにというたかじんさんからのアドバイスにより、ケースはタカチHY88-43-23SSを利用することに。 たかじんさんのデモ機のタカチで使用された OS88-26-43SS でないのは、OS88-26-43SS が高価だったため。

専用の電源・保護回路基板である PRT-03 では、出力インピータンス切り替えが可能で、出力を切り替えることができる。 せっかくの無帰還A級ディスクリートアンプで、 8Ω: 4500mW(500mWまでA級)の出力が得られるそうなので、1出力はミニワッターとして使えるように、スピーカー出力の端子を出すことに・・・

to be continued...

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