PHILIPS LHH-P700 との出会い | (99/3/28 記) |
この文章は PHILIPS LHH-A700 との出会い(前編)・(後編)の続編になっています。
まだ、お読みでない方は、そちらを先にお読みください。
MJ 無線と実験のバックナンバーをあたっても、プリアンプの記事は非常に少ない。 先に引用したようにプリアンプは、単なる電気特性だけをそろえるだけでは駄目で、熱狂的な音楽愛好家であり、ものごとをシステム的に分析し,機械の存在を人間との有機的な結合として考えることが必要だということなのかもしれない。 現在の私が作るとすれば、ハイブリッド構成の無帰還アンプを作ることだろう。 真空管の選別をして、ある程度、高 S/N のプリアンプを作ることは可能であるが、長期間、その性能を維持することは至難の業だからだ。 現実に、手持ちの真空管イコライザアンプの S/N は、作成時に比べて、12 - 15 dB ほど悪化している。 真空管の経時変化のためのようで、初段管を交換すると、値が変化する。 しかし、手持ちの真空管では、作成時ほどの S/N を得ることはできない。 やはり、10 年使って問題がおこってこない設計というのは、むずかしいのだ。
閑話休題。 BTL 接続のために、もう一台、LHH-A700 を、インターネット上で探していたところ、LHH-P700 という機械がひっかかってきた。 LHH-P700 だって? そんなのあったっけ? 型版からすると、プリアンプらしい。 Infoseek で検索をかけてみると、確かにプリアンプで、オーディオ・テクニカの社長さんの愛機だとかという噂があるようだ。 無線と実験のバックナンバーを探すこと1時間。 幸運なことに、LHH-P700 の記事をみつけだせた。 MC/MM イコライザアンプ付きのプリアンプで、バランス入出力付きで、アンバランスの入力をバランスで出すことも可能。 値段は、発売当時 \ 100,000 だったようだ。 LHH-A700 と同じ設計者によるプリアンプでもあり、LHH-A700 との相性は抜群なようだ。 特に、LHH-A700 を BTL 接続したときの評価は高いようだ。 LHH-P700 欲しい病にかかってしまった。 有名メーカーの人気商品なら、中古も潤沢だろうけど、LHH-P700 がでてくるかなぁ??? ところが、こういうのは、タイミングがあるようで、インターネットの検索エンジンで、某所の中古に出ていた。 すぐに連絡をとったが、残念ながら、またも売約済み。 しかし、そこの店長から、先に LHH-800R を購入した吉田苑が、PHILIPS 製品の取り扱いが多いので、LHH-P700 の中古が見つかりやすいでしょうと教えていただいた。 さっそく、吉田苑に連絡をとったところ、待つこと1ヶ月あまりで入手できてしまった。 なんてラッキー(^^)
数日で、LHH-P700 が到着した。 小さな筐体の背面は、入出力端子で一杯になっているが、前面は音量調整とセレクタのみというシンプルなアンプ。 (左右の)バランス調整さえ、省略されている。 それにもかかわらず、バランス入出力可能という構成には、驚く限りだ。 さて、音質は?
まず、リファレンスの Elly Ameling の LP だ。 使用カートリッジは、もちろん、MC 型の Philips 922-II だ。 つややかで、良く澄んだ、それなのに暖かみのある声が部屋一杯にひろがる。 これは良い。 Quad 44 + 405 と同様に Elly Ameling の良さを引き出してくれる。 Quad に比べると、やや硬質だが、清楚で、シルキーな感じで悪くない。 Quad のほうが、ちょっと古めで懐かしめな音ともいえよう。
次は、伊藤恵 で、シューマンのピアノソナタ第一番と第三番だ。 このピアニストは、キータッチを変えることによって、一台のピアノで、いろいろな音色を弾きわける、数少ないピアニストの一人だ。 この違いをうまく描出できるかどうかが、試聴ポイントだが、これまた、非常によい。 LHH-P700 が LHH-800R と LHH-A700 との間をうまく仲介してくれているようだ。 プリアンプが間に入るより、コード一本で直結するほうがよいと、原音再生論者は、盲目的な信念をもっているだろうが、オーディオを音楽を聴く道具だと割り切っている私は、よりよい音楽表現が得られれば、手段は選ばないのだ。
やっと、めでたし、めでたし・・・ということだが、ここまできて、はっとしたことがひとつ。 「 QUAD 中心のシステムのどこかを変えようとすると、結局、総換えになる。」 という言い伝えを思い出した。 CD Player を PHILIPS LHH-800R ではなくて、Quad CD67 あたりか、ルボックスあたりを導入すれば、こうはならなかったのかもしれない。 ともあれ、QUAD 44 + 405 は、メインシステムから引退だ。 さらば、QUAD 44 + 405! などと書きながら、QUAD 44 + 405 の記事は終わらなかったりして・・・。
(to be continued...)