QUAD 44 壊れる(その1) | (99/5/30 記) |
警 告 「 QUAD 44 壊れる 」の記事には、QUAD 44 を私 n'Guin が修理していく記事が掲載されています。 QUAD 44 が壊れた場合に、メーカーに修理を依頼することをお勧めします。 私 n'Guin は、すべて自己責任のもとで、自分で修理をいたしました。 Audio 装置を修理するには、電子工学上の知識が必要です。 電子工学上の知識がない方が修理をした場合には、装置のみならず、生命にかかわるような重大な問題を生じることがあります。 いかなるトラブルが生じても、当方はいっさい責任を負いません。
QUAD 44 & 405 は、メインシステムから引退した。 しかし、その余生を、Rogers Studio 7 のシステムで送らせることにした。 番外編: Rogers Studio 7 との出会い の記事を書いた時点では、Rogers Studio 7 のエージングが進んでいなかったためか、QUAD 44 + 405 では、うまく鳴ってくれなかった。 ところが、半年のエージングの効果か、1999 年春に再度試したときには、つややかな音色で鳴ってくれた。 めでたし、めでたし・・・・ とはいかないのであった。 QUAD 44 が壊れてしまった。
QUAD 44 のほうが、時々調子がおかしくなったのは、1998 年の秋口からだ。 時折、セレクタスイッチ(入力切り替え)が動作しなくなることがあった。 QUAD 44 のセレクタは機械式ではなく、電子スイッチでの切り替えなのだ。 当初は、電源を入れ直せば、動作していたが、冬ごろから、故障の頻度が増え始めた。 故障したところを見計らって、筐体を開けてチェックしようとすると、たいがい故障が勝手になおってしまうので、どこが異常なのかわからない。 最初に疑ったのは、左の写真に示すセレクタスイッチの基盤につながっているコネクタだ。 接触不良を疑ったのだ。 このコネクタに接点復活剤をたっぷりと吹きかけたところ、QUAD 44 のセレクタスイッチの故障の頻度は激減した。 コネクタか・・・ 特殊なコネクタなので、調子が本当に悪くなればメーカーに送り返して修理してもらわなければならない。 そうすると、少なくとも 2 - 3 万円かかるなぁ・・・と気分は憂鬱であった。
ところが、1999 年 3 月末ごろから、この故障が、再度、頻発するようになった。 今度は、先のコネクタを掃除しようが何しようが、まったく直らない。 もちろん、筐体を開けても、自然に直ってしまうということはない。 先のコネクタはシロだ。 いろいろと調べてみると、セレクタスイッチ部は、汎用の電子スイッチとフリップフロップでできており、これらを含めて、今回の故障箇所については、すべての部品が入手可能と判明した。 汎用アナログスイッチが用いられているあたりに、設計・制作された年代を感じさせられる。 自分で修理をするか、それともメーカーに修理を依頼するか、迷った。 製造コンデンサの製造年月日は 1986 - 7 年であり、既に 12 - 13 年経過している。 そろそろ劣化が著しくなる時期である。 もしメーカーに修理を依頼するなら、それらのメインテナンスも必要と考えられ、その場合の修理費用は、50,000 円をゆうに越えることが予測される。 現在、QUAD 44 の中古市場での価格は、50,000 - 80,000 円程度なので、修理に失敗したところで、中古を買い直せばそれですむ。 そう考えて、私は自分で修理することに決めた。 ついでに電解コンデンサなど、劣化が予測される部品を交換するなどのメインテナンスもいっしょに行うことに決めた。
私の QUAD 44 は、電解コンデンサや各種の半導体には、すべてフェルトでカバーがかけてあり、部品番号や部品定数が読み取れないようにしてあった。 このフェルトは、全く導電性をもたなかったので、隠す以外の働きをしていないと判断して、まず最初に、これらをすべて取り去った。 驚いたことに、アンプ部は、ほとんどが汎用のオペアンプ(左の写真を参照: TL-072CP が用いられている。 左上は、今回の修理で用いられた超小型ブラックゲートで、+−の記号は n'Guin が書き込んだもの)で構成されていた。 日本製のセパレートアンプで、そのような構成のプリアンプは、あまりないだろう。 プリント基盤の回路をおっていくうちに、セレクタスイッチ部の故障の原因は、セレクタスイッチ部に、電源が供給されないことによることが判明した。 そうなると、一番怪しいのは、電源部などの電解コンデンサである。 一番劣化が予測される部品である。 それに違いないと判断して、代替え可能な電解コンデンサを入手することにした。 もうひとつ、必要なものがある。 それは、コンデンサ容量の測定装置だ。 幸い、秋月通商のコンデンサ測定キットが、組み立てられないまま手元にあったので、まずはそれを組み立てることにした。 この測定キットは、非常に安価だが、おおむね 1% の誤差でコンデンサ容量を測定可能だ。 今回の目的なら、10 % 程度誤差があっても十分に役に立つので、まずは、これを作成した。
(to be continued...)