
SACD 5.0ch/2ch , CD hybrid
Conductor: Kaspars Putniņš
Choir: Swedish Radio Choir(正式名称 Radiokören)
Organ: Johan Hammarström
・Gloria: Kathrin Lorenzen (Soprano)
・Offertorium: Jennie Eriksson Nordin (Soprano)
・Sanctus: Lisa Carlioth (Soprano), Mats Carlsson (Tenor),
Lars Johansson Brissman (Baritone)
※ Solists は合唱団団員
Missa sacra, Op. 147
Vier doppelchörige Gesänge, Op. 141
Missa Sacra はこの SACD のようにオルガン伴奏版もあれば、オーケストラ伴奏版もあります。 それぞれによいところがありますが、オルガン伴奏版の方が和声の掛け合いや対位法的な構造を聞き取りやすいという特徴があります。 この曲の紹介にも書きましたが、作曲当時にこの曲が評価されなかったひとつの理由に、ミサ曲としては自由すぎ、演奏曲としては敬虔すぎることがあげられています。 この SACD はどちらかというと、教会におけるミサ演奏を思わせる厳かな演奏です。
調べてみると、スエーデンはルター派キリスト教(Lutheran)が 2000年まで国教だったそうです。 始祖である Martin Luther は自らリュートを弾き、Choal(讃美歌)を作曲し、教会における音楽を「一部の聖職者のもの」から「民衆全員のもの」へと大転換させたことでも知られています。 それまでの伝統的なローマ・カトリックの典礼では、選ばれた聖歌隊によって「異なるメロディが追いかけ合い、複雑に織り重なる響き(Polyphonie)」がラテン語で厳かに奉納されていました。これに対して、ルターの共同体では誰もが理解できる自国語による歌唱へと変わります。さらに、信徒全員が親しみやすい旋律にのせて声を揃え、一つの言葉を一斉に歌う、素朴で重厚な響き(Homophonie)の様式へと生まれ変わったのです。 歌うことが祈りにつながるのです。
以上の文化的背景を知ると、この演奏の真価が見えてくるように思います。 この曲はカトリックの伝統的な文脈から外れた構成(第4曲 Offertorium の存在)や歌詞の改変がありますが、Swedish Radio Choir(正式名称 Radiokören)にとっては、当たり前のこととして受容されるわけです。 歌うことが祈りという経験を積んだ合唱団の演奏が、厳かなな祈りを思わせるのは当たり前です。 Robert Schumann の思いが伝わったと言っても過言ではないでしょう。
この演奏は、St. Matteuskyrkan / St Matthew’s Church(Stockholm, Sweden)で録音されています。 使用されたパイプオルガンは、Marcussen & Søn によって作成されたそうです。 SACD 5.0ch で収録で、サブウーファの録音がないのは一見よろしくないようにみえて、とても良いことです。 なぜなら、オルガンの超低域のひびきが 5ch に振り分けられ、リアルに聞こえるからです。 オーディオ的にも、演奏も両方良いという SACD として推薦します。


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