JBL J216 Pro との出会い(番外編) (98/7/13 記)
 

現在では、コンピュータにステレオスピーカーが付いているのは、ほぼ常識になっているが、私がはじめてコンピュータを購入した当時(平成元年ごろ)は、コンピュータに付いているのは、BEEP 音(警告のためのベル音)を出すための小さなスピーカーだけだった。 平成 2 年ごろに、Creative Lab. の Sound Blaster シリーズによる、Multimedia Extension セットが出荷され始め、コンピュータと音楽が接近し始めた。 私自身も、平成 3 年には、PC/AT 互換機を使い始め、音質が良いといわれた Media Vision Pro Audio Spectrum 16 (with SCSI) を導入した。 CD-ROM 装置でかけた CD の音には、期待をしていなかったにもかかわらず、けっこう聴ける音質で驚いたものだ。 付属してきたソフトの音質も、けっこういけたので、手持ちの真空管アンプと 10 cm 2 way ぐらいのミニスピーカーをつないで楽しんでいた。

当時は、日本語版は Windows 3.1 の時代で、マルチタスクも不充分だから、CD-ROM 装置で、CD を聴いていると、本来のお仕事のほうも、少し遅くなってしまう。 だんだん、それが気になってきて、あまり CD を聴かなくなってしまった。 しかし、仕事中も BGM の音楽は聴きたいわけで・・・。 ちょうど、初売りのときに、Phillips CD-750 が、手ごろな値段で売っていたので、これを購入して、コンピュータのところに置くことにした。 サブシステムのスタートだ。 ひとたび始まると、必ずやエスカレートしていくのが、私の性(さが)というものだ。 安物ながら、CD プレーヤーがあるし、サブのアンプには、事欠かない。 そうなれば、やっぱり、それなりのスピーカーが欲しくなってしまった。 さて、何を買うか?

既に書いたように、私のメインのスピーカーは、QUAD ESL-63 だ。 別に、大きな不満があるわけでもないが、世間一般の風評としては、弦は良いがピアノは悪いという。 それならば、サブシステムのほうは、QUAD とは、まったく逆の性格のスピーカーを選ぶのも一興というものだ。  私の好みのメーカーにとらわれない方が、むしろ楽しそうだ。 国内メーカーなら、お好みのメーカーといえば、DENON とか LUX や VICTOR あたりにであるが、今回ばかりは、PIONIEER や KENWOOD とか YAMAHA あたりが好いかもしれない。 国外のメーカーなら、天敵の ALTEC とか JBL あたりが(好みからはずれているから)目標になりそう(笑)。 せいぜい YAMAHA あたりかと思っていた。

ところが、難題がひとつ。 サブシステムなので、あまりお金をかけたくない(へそくりで買うしかなかったし)ので、選択の余地があまりない。 当初、YAMAHA の NS-10M あたりを考えていた。 しかし、10 cm 2 way 程度だと、やっぱり低音がさびしい。 もう少し、大きいのが欲しい。 ところが、そうなると予算を明らかにオーバーしてしまう。

中古をねらおうかなぁ、考えていた矢先、とあるオーディオ店が店じまいのための大安売り。 展示品の YAMAHA NS-690/III が半値弱という広告を見つけた。 ソフトドームでクラシック向けとして有名な機種だ。 何とか手の出る値段だったので、「これで決まり!」 と感じた。 さっそく買いに出た。 一応、音出しをしてもらったところ、店員さんが間違って、JBL J216 Pro を鳴らしてしまった。 その後で YAMAHA NS-690/III を鳴らしてもらったのだが、JBL J216 Pro の若干硬質ながらも素直で細やかな鳴り方が気になってしょうがない。 決して、YAMAHA NS-690/III の音が悪いわけではないのだが。 値段は、ほぼ同じだし・・・。 結局、JBL J216 Pro を買って帰ってきた。

私が JBL のスピーカーを買うなんて。 今回は、自分の好みからはずれたスピーカーをも選択の余地にはいれていたものの、天敵の JBL だなんて。 期待に心を躍らせながら、自宅に持ち帰って鳴らしてみる。 バスレフらしい軽い低音、硬質で、細い、音のシャワーのような中高域。 JBL のイメージにあわないだろう Mozart のピアノ曲や Schubert の弦楽四重奏なんかをかけてみる。 どうして、どうして。 若干、神経質な音ではあるが、弦楽器もそこそこいける。 ピアノは、抜けるような高音がきれいに響く。 JBL でクラシックなんて、考えもしなかったけど、これは、単に私が固定観念に惑わされていただけなんだろう。 JBL に詳しい友人によれば、JBL J216 Pro は、古い JBL の音なのだそうだ。 彼によれば、こういう音のスピーカーをクラシック好きな人が買うのは、そう珍しくないとのことだ。

真空管アンプやトランジスタアンプなど、駆動するアンプを変えてみると、けっこうアンプを選ぶようだ。 真空管式の無帰還アンプは、JBL 216B Pro の魅力をスポイルしてしまう。 高帰還の IC アンプのほうが、むしろ、相性が好いらしい。 それならば、JBL 216B Pro 用のアンプをつくってやろうじゃないか! とエスカレート。 パソコンの音声出力を受ける必要もあるので、使用時間のことを考えないといけない真空管式よりも、メインテナンスの手間隙が少なくてすむ半導体を利用したアンプがいいだろう。 あとは、手持ちの部品ストックを生かすだけ。 ちょうど、10 cm x 20 cm x 10 cm ぐらいの放熱器が2個あったので、これを最終段の放熱に利用するとして・・・。 出力は、片チャンネルあたり 10 W もあれば十分なことを考えれば、放熱器の大きさを考えれば、A Class アンプでも大丈夫。 う〜ん。 A Class 10W x 2 のサブアンプなんて、なかなか好いアイディア。 10 W でよければ、電源は ± 15 V もあれば、お釣りがくるし。 この程度の電圧なら、前段駆動は、汎用のオペアンプでも十分だし・・・。 そんなこんなで、ローコストなアンプの出来上がり。 新たに購入したのは、ケースと電源トランス、あとは細々とした部品ぐらい。 総工費 \ 20,000 なり。 ケースをけちれば、半額でも大丈夫なぐらいだったけど、長く使うことを考えて、ケースだけは、まずまず立派にした。 オペアンプ駆動だから、回路設計なんてあってないようなもの。 ちょっとアホなことを考えて、オペアンプも対称性をもつ回路にしてみました。

SUB AUDIO SYSTEM (4K)

現在では、MIDI も始めたため、このサブシステムがいっそう役立っています。 現在の問題点は、もうすぐサイレントアンサンブルピアノを購入するので、そのアンサンブルのために、もうひとつ、サブシステムが必要(?)なこと。 今度はどんなスピーカーにしようかな。

(to be continued...)

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