AUDIO と MIDI と PIANO と | (99/1/10 記) |
日本に戻ってきて、Super Woofer の次の懸案は、ピアノの購入であった。 上の娘が7才になり、ピアノを習わせる好機も終わりの年齢になりつつあったからだ。 もちろん、娘は以前より音楽教室に通って、キーボードには触っていたが、ピアノを使っていたわけでなかった。 最近は、音楽でも、早期教育といった考えがあるようだ。 しかし、私の個人的な考えでは、ピアノを弾けるようになるには、ある程度の身体の大きさが必要である。 ピアノのキーを押すには、それなりの力が必要なので、ある程度の身体の大きさと力がないと、無理な姿勢で、不自然な力を腕にいれて弾くようになってしまう。 個人差もあるが、日本人の体格だと、おおむね6〜7才程度の体格が必要だと感じている。 私自身は、4才からオルガンを、6才からピアノを習い始めていたようだが、身体が小さく、貧弱だった私には、ピアノを弾くことは若干の困難を伴っていたようで、常に、大きな音を出すように指導を受けたものだ。 残念ながら、不自然な力を前腕にいれていたようで、腕をちょっとでも使いすぎると、現在でも、両腕の腱鞘炎が顔を出す。
閑話休題。 いずれにせよ、娘にはピアノが必要だと、日本に戻ってくる前から、考えていた。 我が家では、アップライト・ピアノを置くのが精いっぱいだ。 置き場所は、7畳強の子供部屋である。 最近、6畳間ぐらいのスペースに防音設備をして、グランド・ピアノをいれることが流行しているらしい。 グランド・ピアノを狭い部屋に入れれば、当然ながら、過剰な反響が起こって、部屋にいられるような音ではなくなってしまう。 そんなわけで、とにかく吸音、吸音、吸音で、とにかく吸音しまくる。 ピアノのように、低音から高音まで幅広い音域を持つので、その低音の吸音には、膨大な容積のグラスウールなどの吸音が必要となるのである。 さて、そんな大量のグラスウールに囲まれた楽器が、響きのよい、艶やかな高音を出せるだろうか。 響きの良さ、楽器の良さを引き出せるのであろうか? もちろん、そんなうまい話はどこにもころがっているはずがない。 (ちょっとしたオーディオの知識があれば、すぐにご理解いただけることと思う。)
ヤマハの Web サイトから、ピアノのカタログを読んでいたところ、サイレント・アンサンブル・ピアノというのが、目に付いた。 言ってみれば、現代版のロール・ピアノとでも言えばよいのであろうか。 MIDI データを本物のピアノに演奏させることができる。 自分で作成した MIDI ファイルを演奏させることにより、自分自身の解釈の演奏を、自分で練習せずとも、聴くこともできるわけだ。 もちろん、自分で MIDI ファイルを作成する手間暇を考えると、自分で練習したほうが、早いかもしれないが (^^)
Ragtime Piano の Webmaster に手取り足取り MIDI ファイルの作り方を教えていただいていたので、帰国後、すぐに秋葉原によって YAMAHA MU-100 という MIDI 音源を購入し、それを、先の JBL subsystem につないで、使っていた。 MIDI 音源の差による音の差は、私の想像以上で、GM で規定されている piano だけを使っていても、ペダリングのかかりかた、音量の加減などは、音源によって、本当にまちまちである。 従って、自分が意図したように聞こえるのは、調整に用いた音源以外ではあり得ないのが実情である。 この意味で、サイレント・アンサンブル・ピアノというリファレンス(爆笑!ほんまかいな?)があるのは、心強い。 少なくとも、サイレント・アンサンブル機能があれば、子供がピアノを弾かなくなっても、私が使い続けることだろう。
サイレント・アンサンブル・ピアノは、普通のピアノに、サイレントアンサンブル仕様のアクセサリがついたものだ。 従って、ピアノ選びそのものは、各種の機種を弾いてみないとわからない。 ヤマハ仙台店でも、若干試弾させてもらったものの、周囲の音が邪魔になって、音の響きも何も分かったものではない。 それで、出張の折に、ヤマハ銀座店のピアノギャラリーを訪れ、試弾させてもらった。 YAMAHA のアップライトピアノにも、YU-5, 3, 1 といったグレードがあり、どの程度の音の差があるのかを知りたかったわけである。 子供の学習用と考えれば、最低ランク(YU-1 より、その下もあるらしい)でも、十分だろうと思っていたのだが、実際に試弾してみると、音の差は大きい。 私程度のなまくらな腕前でも差が歴然としていた。 YU-5 を弾きならした後で、YU-1 の音を聞くと、おもちゃを弾いているような錯覚に捕らわれたといってもよい。 数分の試弾で、YU-5 以外のピアノを買う気はなくなってしまった。 やはり、価格は正直なのだ。 YAMAHA 純正組み合わせだと、このサイレント・アンサンブル・ピアノには、アンプ付きスピーカーといったオーディオ機器が組み合わせになるのだが、もちろん、オーディオ機器の方は丁重にお断りして、手持ちの JBL subsystem を組み合わせることにした。
自宅にピアノが来て、さっそく数時間ほど弾きならした。 子供用にはもったいない感じがするが、自分も楽しむことだし。 唯一、残念なのは、ピアノの音が立派過ぎて、部屋が負けているように感じたことだ。 この YU-5 は、どうやら、最低でも 10 畳以上の広さを要求しているように感じる。 もっとも、子供のピアノ練習や、私がいたずらする程度しか、弾いてもらえないことが、このピアノにとっての最大の悲劇といえようが・・・。 そして、もうひとつの災難は、私の JBL サブシステムがなくなってしまったことである。 誰ですか。 それは災難じゃなくて、新しいスピーカー購入の好機だと言っているのは? (ご名答だけど・・・。)
(to be continued...)