こんにちは、Pioneer Puremalt スピーカー(その3) (99/12/2 記)
  

この文章は こんにちは、Puremalt スピーカー(その2)の続編になっています。
まだ、お読みでない方は、そちらを先にお読みください。

 
前編で記したように、惨憺たる伝送特性には、がっかりした。 Sonus Faber や Dynaudio など、興味があるスピーカーもあるが、値段が \ 1,000,000 を越えるとあっては、そう簡単に購入もできない。 途方にくれつつ、調整をすすめるしか手はない。 伊藤恵さんのピアノのニュアンスの表現は見事なので、とにかく低音不足を、もう少しなんとかしたい。 ごまかしでもいい。 お金をためるまでの一時しのぎでもいい。

スピーカーの大きさに対して、部屋の大きさは十分すぎるほどなので、壁面などの反響を十分に活用していくぐらいしか、思いつくことはない。 Puremalt 単独で、セッティングポイントを変えて、リスニングポイントで伝送特性を計っていくことにした。

側面 50 cm, 後壁 30 cm

側面 50 cm, 後壁 30 cm の場合

最初のセッティングポイントは、スピーカー側面が壁から 50 cm、後面が 30 cm になっている。 200 - 400 Hz と 1 KHz に peak があり、500 Hz あたりに深い dip がある。 200 - 400 Hz に比べて、80 - 200 Hz のレベルが低いため、相対的に低音が不足する感じがあるのかもしれない。 後の測定データと比較してわかったのだが、5 KHz 前後にも peak があるようだ。 測定結果としては、ちょっと耐えられないレベルで、聴感上不満足なのも当たり前だろう。

まず、後壁からの距離を変えて測定してみた。

側面 50 cm, 後壁 0 cm

側面 50 cm, 後壁 0 cm の場合

側面 50 cm, 後壁 40 cm

側面 50 cm, 後壁 40 cm の場合

側面 50 cm, 後壁 80 cm

側面 50 cm, 後壁 80 cm の場合

後面を壁に合わせた場合、300 Hz 前後に peak が出てくる。 一方、80 cm 離すと、200 - 300 Hz の peak が目立ち、結果的に 180 Hz 前後の dip が目立つことになる。 間の 40 cm の時には、あまり peak & dip は目立たなくなる。 このページの上の方にある、30 cm のデータと 40 cm のデータとを比べてほしい。 たった 10 cm の違いで、これだけ周波数特性の暴れが異なる。 後面に近づける方は、駄目そうなので、さらに 10 cm 離してみた結果が下だ。

側面 50 cm, 後壁 50 cm

側面 50 cm, 後壁 50 cm の場合

100 Hz 前後の dip が出てきているのは問題だが、定在波によると思われる 320 Hz, 650 Hz の peak を除けば、60 Hz 以上のレベルがそろってきている。 データを示さないが、後面からさらに 10 cm 離した、60 cm の場合は、上の後壁から 80 cm のデータと同様の peak が出現してくる。 どうやら後面からの距離は 50 cm が良いようだ。 そこで、今度は、壁面からの距離を変えてみる。

側面 40 cm, 後壁 50 cm

側面 40 cm, 後壁 50 cm の場合

側面 30 cm, 後壁 50 cm

側面 30 cm, 後壁 50 cm の場合

上記をみてわかるように、側面から壁までの距離を 40 cm とすると、50 cm の時に比べて、全体的にレベルが揃い、peak & dip を感じにくくなってくる。 もちろん、320 Hz, 650 Hz の定在波は、残っていますけれども。 さらに詰めて、30 cm とすると、今度は、壁面との相互作用が強くなりすぎて、400 Hz に強烈な dip が出てくる。 かくして、後面から 50 cm、側面から 40 cm というのが、ベストポジションであることがわかる。 調整前と調整後とをダイレクトに比較したのが下図。 平均レベルである、-67 dB 付近に緑線で示している。 調整前では、200 Hz 以上がほとんど平均レベル以上になっているのに対して、200 Hz 以下が平均レベル以下になっているのがわかる。 調整後は、それと同様の傾向はあるものの、調整前ほどの露骨な差はないようにみえる。 320 Hz 前後の定在波と、有意なレスポンスがない 70 Hz 以下を避けて、70 - 300 Hz の測定結果について、分散検定(F-検定)をかけてみると、有意な分散差(p<0.01)が認められる。 つまり、調整後のほうが、よりフラットであることを、統計学的に立証できたことになる。 後はスーパーウーファを加えて、どこまでいけるか! (次回に、請うご期待!)

調整前

調整前

調整前

調整後

(to be continued...)

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