【 JBL J216B Pro との出会い(番外編) 】 への脚注 | (98/7/13 記) |
アンプの最終段の動作形式を示す用語のひとつ。
下図(今回作成したアンプ)の終段のトランジスタは、上側と下側とふたつある。 入力信号の増幅をふたつのトランジスタが相補的に働くことで出力信号を作り出している。 通常は、入力信号がプラス側のときは、ふたつのトランジスタのうち、ひとつが出力信号を作り出し、マイナス側の時は、もうひとつのトランジスタが出力信号を作り出す。 ふたつのトランジスタの出力を合成することで、増幅が可能となる方式を B Class 動作という。 それに対して、それぞれのトランジスタに流す電流を多くすることで、それぞれのトランジスタがいかなる入力をうけても、お休みの時間ができないようにすることもできる。 こういう動作形態を A Class 動作という。 B Class アンプの利点は、トランジスタに流す直流電流が少なくても、大出力を取り出せることにある。 その代わり、出力信号の合成によるひずみを避けられない。 一方、A Class アンプの場合は、この歪はないが、トランジスタに大電流を流す必要があり、大出力を取り出すためには困難が付きまとう。 どちらを選択するかは、好みの問題かも。
終段のコンプリメンタリペアのトランジスタには、位相が異なる信号を与えなければならないので、単一のオペアンプの出力から取り出した信号をそのまま終段のトランジスタに供給することはできません。 良くある回路は、位相反転段兼プリドライバ回路を設ける回路なのですが、ここでは、オペアンプを二つ使って位相の異なる出力を作ってみました。 下に原理回路図を示します。
- オペアンプ毎に、ジーメンス積層コンデンサ(1μ)のパスコンをいれた。
- オペアンプ毎に、オフセット調節をいれて、出力段のトランジスタの電流量および出力の電位を調整できるようにした。 電流量は 0.9 A、出力電位は± 10 mV 以内になるようにする。 アンプがウォームアップして、熱的に平衡に達してから、最終的に調整した。
- 電源は、12.6 V * 2 (各 5 A, A.C.)のヒータトランスを利用した。 ショットキーバリアダイオードを利用して、電源ノイズの低減をはかった。 フィルタコンデンサは、片チャンネルあたり 47,000 μ (x 2)で、いろいろと各種のパスコンをいれて、音質調整をした。
回路が簡単なせいか、部品の選択によって、音がころころ変わる印象があったアンプでした。 電源部のパスコンに、いつもだと、適当なポリエステルフィルムコンデンサだとか、積層コンデンサをいれると、まとまることが多いのだが、今回は、昔ながらのスチロールコンデンサが、絶妙の味付けをしてくれました。 0.47 μぐらいはいってます。
この回路は、私が作ってから1〜2年してから、MJ 無線と実験の自作コンテストの記事で、ほとんど同じようなもの(さすがに回路定数は違いましたが)を作った方がいたようです。 まぁ、人間の考えることなんて、似たり寄ったりですね。