Myrten, Op. 25 (その2) | (2000/4/16 記) |
7. Die Lotosblume (はすの花)
Die Lotusblume ängstigt
Sich vor der Sonne Pracht
Und mit gesenktem Haupte
Erwartet sie traumend die Nacht.
はすの花は、華やかな太陽の光を恐れている。
そして、頭を垂れて、夜が訪れるのを夢見ている。
Der Mond, der ist ihr Buhle
Er weckt sie mit seinem Licht,
Und ihm entschleiert sie freundlich
Ihr frommes Blumengesicht,
月は、はすが愛する恋人
はすは、月の光で目を覚ます。
そして、そのありのままの花の姿を
月にむかって、おひろめする。Sie blüht und glüht und leuchtet
Und starret stumm in die Hoh';
Sie duftet und weinet und zittert
Vor Liebe und Liebesweh.
はすは、咲き出で、色づき、輝く。
黙って月を見つめ,においたち、
ふるえながら、むせびなく。
愛するあまり、片想いのあまり。
もっとも有名な曲のひとつです。 Robert は、同じ詩で合唱曲も書いています(Op. 33-3)。 この曲の楽譜を見ると、いつも感じることなのですが、この曲のピアノ伴奏は、非常に困難だと感じてしまいます。 技術よりも叙情性、詩の確実な理解と音韻の知識がなければ、うまく表現できないでしょう。 Robert らしいといえば、Robert らしいのですが。(テクニカルに難しくとも、簡単そうに聞こえる。 簡単そうに見えると、かえって難しい。) 有名な曲ですが、抜群に優れた演奏を挙げるのが困難です。 子供の情景のトロイメライの難しさと同じです。
8. Talismane (魔よけの札)
9. Lied der Suleika (ズライカの歌)
Gottes ist der Orient!
Gottes ist der Okzident!
Nord und südliches Gelände
Ruht im Frieden seiner Hände
東洋は神のもの
西洋も神のもの
北も南も平和に
神の手の元に、安らかに
Er, der einzige Gerechte,
Will fur jedermann das Rechte.
Sei von seinen hundert Namen
Dieser hochgelobet! Amen.
神、それは唯一の正しいもの、
全てのもののために、正義を欲する。
百を越える御名のもとで、
この御名をたかくほめたたえよう。 アーメン。
Mich verwirren will das Irren;
Doch du weist mich zu entwirren,
Wenn ich wandle, wenn ich dichte,
Gib du meinem Weg die Richte!迷いから抜け出せなければ、
神は私を救い出してくれる。
私がさまよい、試みるときも、
私を正しい道に導きたまえ。
Wie mit innigstem Behagen,
Lied, empfind' ich deinen Sinn,
Liebevoll du scheinst zu sagen,
Daß ich ihm zur Seite bin;
歌よ。 心からの喜びをこめられた、
おまえの心を、私は感じている。
おまえは私にこういってくれる。
私はあの方のそばにいるのだと。
Daß er ewig mein gedenket,
Seiner Liebe Seligkeit,
Immerdar der Fernen schenket,
Die ein Leben ihm geweiht.
あの方が永遠に私を想ってくれ
あの方に命をささげた私に
遠く離れたこの私という女に
愛を送り続けてくれるのだ、と。
Ja, mein Herz es ist der Spiegel,
Freund, worin du dich erblickst,
Diese Brust, wo deine Siegel
Kuß auf Kuß hereingedrückt.
そう。 私の心は鏡。
友よ。そこにあなたがいます。
この胸にあなたが幾度も重ねた
キスが残っています。
Sußes Dichten, lauter Wahrheit,
Fesselt mich in Sympathie,
Rein verkorpert Liebesklarheit
Im Gewand der Poesie!
甘美な
この優美な曲は、Julius Mozen の詩によるものです。 ひめやかにそよぐ風と木が、来年には花嫁になる乙女のことを、さざめいているという内容です。 内容的には、第1曲の Widmung を受け継ぐ曲で、第1曲と同様に上向調の分散和音を多用したピアノ伴奏がつけられています。 ピアノと声とが交錯するときに生まれる響きは、他の作曲家の作品にはない美しさだと思います。 この曲では、声は、時に、ピアノの後ろに隠れて、歌詞にあるように、"so gar Leise Weis" (こんなかすかなささやき)になり、花や風のささやきを演じるのが、聴きどころのひとつだと思います。
4. Jemand(あの人)
Mein Herz ist betrübt, ich sag' es nicht.
mein Herz ist betrübt, betrübt um Jemand;
Ich könnte wachen die längste Nacht.
Und immer träumen von Jemand.
0 Wonne! von Jemand!
0 Himmel! von Jemand;
Durchstreifen könnt' ich die ganze Welt
Aus Liebe zu Jemand.
私の心は苦しい、口には出さないけれど、 私の心は苦しい、あの人を求めるあまり。 どんなに長い夜でも、眠ることなく、 まだ見ぬ人のことを夢みているのです。 ああ、喜びよ! あの人からもたらされる! ああ、幸せよ! あの人からもたらされる! 私は世界中を、探し回るでしょう。 あの人を愛するあまり。 Ihr Mächte, die ihr der Liebe hold,
o lächelt freundlich auf Jemand!
Beschirmet ihn, wo Gefahren drohn;
gebt sicher Geleite dem Jemand!
0 Wonne! dem Jemand!
0 Himmel! dem Jemand!
Ich wollt', ich wollte, was wollt' ich nicht
für meinen Jemand!
愛をいつくしむあなた方、神々よ、 ああ、どうかあの人にほほえみかけてください。 あの人に危険が迫っているときには、守ってあげてください あの人を安全に導いてあけてください! ああ、喜びよ! あの人のために! ああ、幸せよ! あの人のために! どんなことでもしてあけたい、 あの人のためなら。
第4曲では、スコットランドの詩人 Robert Burns の詩を Eduard Gerhard がドイツ語訳した詩に Robert が作曲しています。 恋にあこがれる乙女の祈りをあらわした曲なのでしょうか。 詩は安直に堕しがちな内容ですが、Robert の手にかかると、説話のように聞こえるから不思議なものです。
5. Aus den Schenkenbüch desl "Westöstlichen divan I(西東詩集 酌童の巻より I)6. Aus den Schenkenbüch desl "Westöstlichen divan II(西東詩集 酌童の巻より II)
Sitz' ich allein,
Wo kann ich besser sein?
Meinen Wein
Trink ich allein;
Niemand setzt mir Schranken,
Ich hab so meine eignen Gedanken.
ぼくは、ひとりで坐っている。 これ以上、よいことがあろうか。 自分のワインを、ひとりで飲む。 だれも自分の邪魔をしたりなぞしない。 自分ひとりの考えにふけるのみ。
Setze mir nicht, du Grobian,
Mir den Krug so derb vor die Nase!
Wer mir Wein bringt, sehe mich freundlich an,
Sonst trübt sich der Eilfer im Glase.
隣にすわるな、無作法なやつめ。 鼻先にグラスを乱暴にほうりだすとは! 酒を給仕するものは、もっと丁寧でなければならない。 さもなければ、せっかくのワインも駄目になってしまう。 Du lieblicher Knabe, du komm herein,
Was stehst du denn da auf der Schwelle?
Du sollst mir künftig der Schenke sein,
Jeder Wein ist schmackhaft und helle.
かわいらしい少年よ、こっちにおいで。 敷居の上で、もじもじしながら、立っているんだい? これからはきみに酌をしてもらおう、 どのワインもおいしくて、澄んでいるんだ。
第5・6曲は、Johann Wolfgang von Goethe による詩に作曲されています。 第2曲の Freisinn に引き続く曲のようです。 孤独で、愛をほしがっているけれども、そんなことはおくびにも出さない男が、何とか結婚にいたるまでの様子が、Myrten の影のテーマのように思うのですが、これは考え過ぎなのでしょうか?
(to be continued...)
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原詩の日本語訳は、私 n'Guin が気のおもむくままに、訳したものなので、誤りがたくさんあることだろうと思います。 誤りを見つけたら、あははははっ! と笑って、私に教えてくださいな。