測定は大切: 誰でも持っている(?)簡易測定器の紹介 | (99/8/1 記) |
測定・・・というと、とても大変なことのように思います。 ある意味で、それは真実です。 厳密な測定をするには、それなりのテクニックと機材が必要です。 MJ 無線と実験の音響空間クリニックなどをごらんになれば、よくわかるでしょう。 では、我々、音楽愛好家は、「自分の感性のおもむくまま AUDIO 機器をセッティングしていけばよいのか?」と言われれば、それもまた、NO と言わざるを得ません。 なんだ、前のコラムで、「自分の耳を信じよう」といっていたのに、それはうそなのか??? といわれそうですが、決してうそをついているわけではないのです。 オーディオ機器の購入の際には、自分の耳を信じていてよいのですが、それのセッティングや調整には、けっこう簡易測定が役に立つのです。
実は、このページにアクセスできるぐらいの方は、簡易測定器を持っているも同然なのです。 うそばっかりと言われそうですが、このページにアクセスしている方は、パソコンを持っていますよね。 Windows 95/98 のパソコンがあれば、たいがい、サウンドカードがついていて、スピーカー出力とマイク入力がついているはずです。 それらの入出力をつかえば、パソコンが測定装置に早変わりするのです。
「専用ソフトウェアがいるだろうって。」 ご名答です。 幸い、フリーウェアがあります。 http://www.abel.co.uk/~maxim/analysis.htm から、wavetool.zip と vbrun300.zip をダウンロードしてください。 それらを同一フォルダ内で解凍してください。 Analyzer、Meter、Scope、Sig-gen の実行可能ファイルがでてきます。ファイル名 | 内容 |
Analyzer | スペクトルアナライザ |
Meter | VU メーター |
Scope | オシロスコープ |
Sig-gen | 発振器 |
上には、スペクトルアナライザの画面を示しました。 おなじみの画面ですね。 使っているうちに、使い方はわかるでしょう。 この時、気をつけなければならないのは、入出力のボリュームです。 コントロールパネルのマルチメディアを選択して、おのおのの項目を的確に設定してください。 なお、パソコンによっては、両方をいっしょに使えない場合があります。 例えば、大概のノートパソコンは、そういう仕様になっています。 その場合は、カセットデッキなどでホワイトノイズを録音してもよいでしょうし、あるいは、ホワイトノイズとして、FM を使う手もあります。 FM チューナーで、放送局に同調させないときにザーっと言うノイズがでます。 これをホワイトノイズとして使用するわけです。
注意: ホワイトノイズを盛大に再生すると、連続した過大入力にトゥイターが耐えきれずに焼損(故障)することがあるので、気をつけてください。
問題はマイクですが、あまり大げさに考えることはありません。 パソコン付属のコンデンサ型のマイクで、この場合は十分です。 パソコンのサウンドカードは、正直言って、オーディオ機器ほどの質を保てません。 せいぜい、20 - 20KHz が 0 〜 -3dB 程度に収まっていれば、よい方でしょう。 また、パソコン自体が、デジタルノイズのかたまりのようなものですから、S/N 比も十分とは言えません。 このことをよく考えて使わなければなりません。 また、周波数の低い方で、解析成分の最も低いところは、極低周波のノイズをひろう関係で、全く意味がありません。 私が「簡易測定器」と冒頭で述べているのは、これらがその理由です。
上記は、私のリスニングルームの周波数特性です。 20 KHz まで測定しており、私のノートパソコンの CPU power 不足もあって、解析周波数が 50 Hz きざみのため、100 Hz 以下は、全く当てになりません。 (100 Hz 以下を測定したければ、測定範囲を 5 KHz 以下に限定することで、およそ 10 Hz きざみで測定可能で、25 Hz 以上が測定できますから、ご安心を。) また、10 KHz 以上は、使用したマイクと使用したノートパソコンのサウンド部の性能のため、だらさがりになっています。 Y軸方向は、ひと目盛り 10 dB です。 3 KHz を越えるあたりから、測定点がおおくなりすぎて、汚い感じに見えますが、平均のポイントをみて、適度に無視してください。
要するに、ここで、紹介していた測定器では、20 Hz - 5 KHz あるいは、100 Hz - 10 KHz (これが、上記の例)について、なんとか測定できる程度の測定器なわけです。 しかしながら、我々のオーディオ装置から、ホワイトノイズを出して、測定結果がアンプの周波数特性のごとく一直線にはならないのです。 この程度の測定器であっても、音楽派 AUDIO 愛好家には十分に役に立つのです。 今回は提示しませんが、定在波の存在もチェックできます。 この連載のなかで、役に立った例を示していきたいと思います。
(to be continued...)