Bonn への小旅行 | (98/6/29) |
私が住んでいた Dsseldorf から Bonn までは、急行列車で1時間ほど。 いつでも行けると思っていた。 それなのに、秋口は子供たちが風邪を引いたり、天気が悪かったりしているうちに、寒い寒い冬になってしまい、結局4月になってしまった。
列車から窓の外を眺めると、日本の感覚だと、まだ春は遠い感じ。 日こそ長くなったけれど、まだまだ朝夕は寒い。 今日も天気はいまひとつだけど、今日しか行ける日はない。 電話で確認したら、ガイドブックは間違っていて、週末は Robert Schumannhaus が開いていない。 休みを取らないと、行けないのだ。
Bonn の駅に到着した。 駅前に出て驚いたのは、Bonn のたたずまいが、非常に小さな街だったから。 東西ドイツに分裂したいたころの西ドイツの首都。 そして、現在も政治機能のほとんどがある Bonn。 人口も 30 万人ほどなのに、雰囲気は小さな田舎町だ。 ドイツ人は、東京のような巨大都市を好まない。 大きな都市であっても、田舎町のようなたたずまいを好むという。 そんな意識の現われかもしれない。
いろいろと歩く予定なので、Bonn Card(旅行者用のバス・市電載り放題カード)を買う。 驚いたことに、窓口のお姉さんが、カードの発行の仕方がわからない。 逆にいうと、それだけ観光客が少ないのかもしれない。
駅前からのバスは 10 分ほどで Endenich の Robert Schumannhaus に着く。 その途中の道は、音楽家の名前だらけだ。 Bach, Beethoven, Bruckner... なんでもありかも。 立ち並ぶ家々は、こじんまりとしているが、清潔で、気品にあふれている。 花が生けられてあったり、植え込まれてあったり。 さて、バス停でおりたのは良いが、どこが Robert Schumannhaus なのかわからない。 案内板も何も無い。 ガイドブックの地図を片手に調べてみたがよくわからない。 カンだけを頼りに行動する。 (こういうのはお勧めしません。 きちんとした地図を買って、調べましょう。) 幸い、すぐに見つかった。 ドアを開こうとしたが閉まっている。 あれっ! ベルを鳴らしたところ、ロックが解除されるベルが鳴ったので、ほっとした。 中は、普通の図書館のよう。 Robert Schumann 関係は(日本風に数えて)2階だという。
2階にあがっていくと、大きな部屋がひとつと六畳間ぐらいの小さな部屋が2つ。 大きな部屋では、いろいろ本が読めるようになっていて、小さな部屋ふたつが、Robert の記念の部屋だ。 Robert と Clara の本もたくさんある。 だいたい 180 cm x 45 cm の本棚ひとつが、Robert と Clara の本で埋まっていた。 Dietrich Fischer-Diskau 著の本があって、驚く。 ちょっと読んでみて、良い本だと思ったので、購入したかったのだが、本屋を探しても手に入らず。 これはちょっと残念。
Robert の部屋の展示物は、手前の部屋には 父母の肖像画、Dr. Richarz の肖像画。 驚いたことに、Brahms の鉛筆デッサンがあった。 これはとても意外だった。 奥の部屋には、 Clara の使ったピアノの展示。 およそ6オクターブのピアノだった。 アップライトでもグランドでもない形に驚いた。 窓からは、綺麗な公園が見える。 のどかで、とても良い環境のように思えた。
記帳には、多くの日本語が書かれていた。 中には、ここと Zwickau (Schumann の故郷)に行くために、日本からきた人もいるようだ。 Robert が好きな人がたくさんいることを実感できた。 私は、日英両方で、このホームページのことを書いてきた。 絵葉書や買える資料をすべて買いこみ、Robert Schumannhaus を出て、駅に戻った。 今度は駅のインフォメーションで、ホテル探し。 近くの格安のホテルを紹介してもらった。 今度も場所がわからず、若干迷うが、なんとかたどり着く。 小さいけれども清潔で家庭的なホテルだった。 ドイツは、たいがいの都市で、こういう小さくとも良いホテルがたくさんある。 誰でも安心して旅行できる国だ。
一休みの後、今度は、Robert の墓参りに行く。 ホテルから歩くこと、15 分で、Alter Friedhof に着いた。 どこが Robert の墓標なのかわかるか不安でいたが、ちゃんと案内板があった。 墓標は、周囲と比べても、格段に大きいもので、Robert と Clara とが、当時、どれほど評価されていたのかが良くわかる。 墓標の周りには花がたくさん植えられていて、良く整備されていた。 すぐに捨てられてしまうだろうなぁと思いながらも、ホームページの内容をおさめた、フロッピーディスクをお備えしてきた。 これで、今回の小旅行の目的は全部果たせた。 私自身は、もうこれだけで充分に満足。 後は、一般的な観光を。 Beethovenhaus とか・・・。 Beethovenhaus は、日本語のパンフレットなんかもあるし、お土産売店もそろっているし、いいかもしれませんね。
Bonn からの帰りの列車の中、残り少ないドイツでの日々のうちに、Zwickau への旅行をしようという気持ちがふつふつと沸いてきていた。 しかし、Zwickau は遠い。 その上時間もない。 女房が待ち望んでいるイタリア旅行を犠牲にしないと、Zwickau には行けないし・・・・。