Kinderszenen, Op. 15 | (98/3/25 記) |
Kinderszenen (子供の情景、op. 15)は、R. Schumann のピアノ曲の中でも、最も有名なトロイメライが入っている曲集です。 (オルゴール用として有名という声もあり。^^) 13 個の小曲からなっています。
そんなことはないというアナタには、実地テストを(笑)。 例えば、第1曲(Von fremden Ldern und Menschen 見知らぬ国より)を例に取ってみましょう。 右手は1秒につき1回拍子を取って、左手は2秒に3回拍子をとってみてください。 ピアノをやったことがある人はできますね。 今度は、右手と左手がいっしょにたたくときに左手を強くたたいてみてくださいね。 少し難しくなってきたでしょう。 さらに、全体のスピードを早くしたり遅くしたりして揺らしてみてくださいな。 MM (四分音符)= 50 - 70 ぐらいの範囲で。 どうですか。 これができないと、「子供の情景」を弾くことはできません。 他の曲になりますが、ペダリングがけっこうデリケートです。 下手なペダリングだと音が濁ります。 また、ペダルの踏みが下手だとペダルを踏む音が聞こえて、せっかくのピアニッシモが台なしになります。
有名な曲なので CD での録音は、いろいろあります。 私の最低のチェックポイントは、リズムが崩れていないことと、ペダルで音がにごらないことがあげられます。 アマチュアや引退寸前の著名ピアニストが弾いているなら、話は別(興味は別ポイントだから)ですが、最低のチェックポイントを満たしていない演奏は、私にとっては評価外です。 こんな厳しいことをいうのも、Schumann のピアノ曲は、響きと音のハーモニーが命だからです。
閑話休題。
この曲では、小曲ごとに全く違うシチュエーションが表現されています。 それらの対比の表現が、この曲の聴きどころのひとつです。 「静」の小曲から「動」の小曲へ、あるいは、その逆といったところも、わかりやすい聴きどころでしょう。 全曲を聴き通すと、30 分ぐらいかかりますが、是非とも通して聴いていただきたいと思います。
個々の小曲の中では、第1曲(Von fremden Ldern und Menschen 見知らぬ国より)や第7曲(Trumerei トロイメライ)最終曲(Der Dichter spricht 詩人は語る)のような「静」の表現の曲は、弾き手の個性がよくあらわれます。 ピアニストを聴き比べるには、面白いかもしれません。 特に、最終曲には、中ほどに、フリーハンドというか、装飾音の形で4分の4拍子にもかかわらず、9〜12拍分の音符がちりばめられています。 ここをどう弾いてくれるかが、結構楽しみです。 一方、「動」の曲では、ただ乱暴になりがちな第6曲(Wichtige Begebenheit 大事件)を、子供らしいダイナミクスの中に、どう表現しているか? なんてのも聴き所のひとつでしょう。
さて、お勧めの演奏ですが・・・。
私の好みのなかでは、Clara Haskil がお勧めです。 女流ならでは・・・という演奏を期待すると、ハズレかもしれません。 それと、若干録音が古いのが難点でしょう。 新しい録音がいいとおっしゃる方は、Christoph Eschenbach の演奏はいかがでしょうか。 おとなしめですが、みずみずしい好演奏だと思います。 ピアノを実際に弾いている方々に是非とも聴いていただきたいのは、Ingrid Haebler の演奏なのですが、現在、廃盤かもしれません。 若干、学究的な面がちらつくのですが、全体としては、女流らしくやさしくしあがっています。
(以下 99/4/18 追記)
もうひとり、忘れてはならない好演奏を追加いたします。 Maria-Joo Pires の演奏です。 師匠の Karl Engel の演奏もなかなか素晴らしいのですが、女性らしい優しさを感じさせる分だけ、師匠より手上のようです。 もうひとり、仲道郁代の演奏も忘れるわけにはいきません。 推薦します。
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