6 Intermezzi, Op. 4 (Vol. 2) (98/11/15 記)
 

この文章は、Intermezzi Op. 4 (Vol. 1) の続編です。
まだ読んでいない方は、そちらを先に呼んでください。
 

それでは、第2曲といきましょう。 ここでも、Robert は、シンコペーテッドなリズムの連続により、本来の拍子(ここでは8分の6拍子なら、強・弱・弱・やや強・弱・弱のリズム)からの逸脱をはかっていきます。 譜例1の上段に示すように、第6拍、時には第3拍にもアクセントをおいています。 最初は、3拍ごとにアクセントを置き、その後は6拍ごとにすることで、曲の流れを感じさせます。 その後、譜例1の下段に示すように、速度を落として(Lento)、同じテーマがオクターブを下げて再現されます。 その後も、同じテーマがスピードを元に戻して、より軽やかな形ででてきます。 第1曲が、副付点音符を用いた、頭でっかちのコマのような不安定なリズムの連発だったのに対し、第2曲は流れるようなリズム感を用いています。 しかし、曲のテンポをゆらすことによって、不安定なイメージは一貫しているように思います。
 

  譜例1
Intermezzi Op4-2 (11K)


赤丸が、アクセントを示す。 
赤線と青線は同じ展開だが、赤線は、青線より1オクターブ下になっている。 赤線のテーマのところは、Lento (ゆっくりと)の指示があることに注意。

譜例2は、譜例1の展開が終了した直後の所です。 青線に示すごとく、アクセントがつけられており、またも、連続的に第3・6拍に強拍が移動しています。 ところが、この部分の主要なメロディ展開は、赤丸に示すごとくで、先の強拍と異なるところにおかれています。 このメロディ展開のほうは、本来の8分の6拍子の展開にそっていることにも注意を払うべきでしょう。 すなわち、第3・6拍の強拍は、あくまで、意図的に変化された強拍と解されるのです。 ところが、譜例2の最後の2小節の所では、逆にメロディライン(右手)にアクセントがつけられて、第3・6拍に強拍が与えられています。 しががって、譜例2の部分は、ちぐはぐな感じを聴き手に与えかねず、ピアニストにとっては、曲の解釈が問われる部分といえましょう。 逆に言えば、ピアニストの曲の解釈が、ここほどよくわかるところはありません。

  譜例2
Intermezzi Op4-2 (11K)


青線のところに、アクセントが指示されている。 
赤丸は、ここでのメロディを示す。 青線のアクセントと異なる拍に、メロディの音符がおかれていることに注意。

中間部の最初を譜例3に示します。ここでは、先の意図的に強拍が移された展開は影を潜めています。 急に、叙情的で、ともすると平凡に堕しかねないメロディが続きます。

  譜例3
Intermezzi Op4-2 (11K)

 譜例3に示したように、このメロディに対する、楽譜の指示は M. M. 四分音符 = 138 という、速いテンポなのです。 ところが、この部分には、Meine Ruh' ist hin ・・・ (私の休息の時は、これから・・・)と書かれており、M.M. で指示されているテンポが、そぐわない感じがするのです。 どちらに、従うべきなのでしょうか? M. M. で示されているとおりが正しいにきまっているとおっしゃるかもしれませんが、このテンポだと、かなり早いので、休息の時を思わせる印象がなくなってしまいます。 LP/CD の録音をきいてみますと、かなりゆっくりと演奏されることも、少なくありません。 ちなみに、伊藤恵の録音(FONTEC FOCD3438)では、びっくりするほど、ゆっくりと演奏されています。 一方、Aldo Ciccolini (EMI 7243 5 68557 2 4 :廃盤) では、M. M.の指示通りに、早く演奏されています。 聴いてみると、どちらの解釈も、なかなか味わい深く、どちらもが良いように思います。  ここでは、遅めのテンポと M.M. 通りのテンポで演奏した MIDI ファイルを提示いたしますので、お聞き比べください。

Intermezzi Op.4-2
中間部が M.M. の指示通り


Intermezzi Op.4-2
中間部が M.M. の指示より遅い

to be continued...

みなさまのおすすめの演奏やご意見がございましたら、
n'Guin までメールをください。  お待ちしております。

続きに進む
このページのトップに戻る
R. SCHUMANN おすすめの曲 の一覧に戻る