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続 Linaeum Model A-1 がやってきた

入手できたのは、ウーファーのエッジがボロボロになったもの。 A-1 のエッジはウレタンエッジなので、当然ともいえる。 交換するエッジはヤフオクなどで入手できる。

スピーカー端子のところのねじをはずすと、ネットワークが取り出せる、指月のフィルムコンデンサとコイル。 さすがしっかりしたネットワークだ。

最初に困ったのは、ウーファーの取り外し。 スピーカー端子のところをはずすと、ウーファが見える。 ウーファは後面から取り付けられており、なんとかねじを外せるが、ウーファを外に出せない。 正解は、前面のサランネットを取り付けるゴムをはずすことだ。 ゴムを外すと、ねじが見えて、前面を取り外せるようになる。 気がつくのに数時間かかった(^^;) 

ウーファの裏面には、エッジのはがし残りがたくさんついている。 ポリプロピレンコーンなので、マイナスドライバでカスカスとこじり落とす。 要注意なのは、ガスケットの方で、なかなかうまくはがれない。 結局カッターナイフを切り離すしかない。 フレームにもエッジがこびりついているが、これはラッカーはがし液を使うと落とせる・・・というか、物理的に落とすことは困難だ。 ネットで購入した新しいエッジは、フレームに合うように切り落とす必要がある。 どうせガスケットで隠れる上に、最終的には全く見えないので、少々いびつでも何ら問題ない。 専用接着剤も購入したのだが、木工ボンドにしか見えないのは、気のせいだろうか。 ツィーターのほうも相似をする必要がある。 金網が張ってあるとはいえ、ホコリがたくさんたまっていた。 リボンのほうのホコリはエアダスターで軽く吹き飛ばす程度にとどめた。

充分に乾かした後に鳴らしてみると、エッジがなじんでいないのか、低音がくすんだ音だったが、数時間で鮮度の高い音に変わっていった。 知人宅で聞いたように、びっくりするほどの質・量を伴った低音だ。 この秘密はバスレフポートにあった。 

写真に示すように2本のバスレフポートの長さが異なるので、増強できる低音のピークがふたつあることになる。 このことは、仕様が全く同じの Optimus LX5 の測定結果でしっかり示されている。

Optimus LX5 インピータンス&位相特性(バスレフポートあり)

バスレフポートあり(上)では、2本のバスレフポートによるインピータンス上昇が 45Hz と 100Hz 前後で認められる。 一方バスレフポートを詰め物で完全に塞いだ、バスレフポートなし(下)では密閉箱のようにインピータンス上昇は 100Hz 前後のみで認めている。 このデータは、Stereophile の Stand Loudspeaker ReviewsRadioShack Optimus Pro LX5 loudspeaker Measurements より拝借した。

Optimus LX5 インピータンス&位相特性(バスレフポートなし)

これまで示してきたように、本機には素晴らしい特徴がある一方で、いくつかの欠点がある。 
1) かなりアンプを選ぶこと。 
 公称ではインピータンスは8Ωだが、上記の実測データは低いインピータンスを示している。 実際、分解するとツィーターは6Ω表示である。すなわち、低いインピータンスのスピーカーをしっかり駆動できるアンプでないと、まともな音が出ない。 まさか、こんな小さなスピーカーが強力なアンプを要するとは普通思わない。
2) ニアフィールドで聴くときれいに聞こえないこと。
 音場感豊かなツィーターの良さも出ないし、せっかくの低域もブーミーにしか聞こえない。
3) 部屋が広くないと本領を発揮しないこと
 ニアフィールドでよくないという欠点につながっていると思われるが、最低でも6畳程度の空間がないと、ツィーターの良さが発揮されない。 本機の長所は全方位性ともいえるツィータによる音場感の良さだが、ある程度の空間が必要だ。 同様に、ある程度の空間があって初めて、上述した長さの異なるバスレフポートによって増強された低域が生きる。 まさに、しっかり、くっきりした質の高い低音に聞こえる。
 当初、4畳半の電気工作作業部屋で本機を使う予定であったが、すっかりあてがはずれてしまった。

ところで、本機には上位機種がある。 LM-1000 である。 本機を手に入れるためにずっとオークションなどをながめていて、見つけていた。 LM-1000 は、本機の最大の特徴であるリボン型ツィーターがおおむね200Hz 以上を担うフルレンジとして活躍する。 ネット上の評判では、SOUND JULIA 店長の日記 には下記のようにある。

何ともルックスの悪いスピーカー...。
いわゆる、「ブサイク」...
(中略)
QUADの初代ESLの低域をしっかりさせた様な感じでもあるし、
説明不能な音です。

フィルム系振動板の為、
エネルギーが強く出ませんので
突き刺さる高域ではありませんが、
素直で、フラットで、上まで伸びる高域と、
密閉型ウーファーの低域が、絶妙にマッチして
聴いていると、気持ちを持って行かれてしまいます....。

不思議な音です。

かなり迷った末に、上位機種も手に入れてみることにしました。

to be continued …