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6G-A4全段差動アンプ・・・思案中

旧ホームページの AUDIO な日々にあるように、私は 6G-A4 PP を作ったものの満足いく音を出せるようにならず、投げ出してしまっていた。 手元には、出力トランスのTANGO FX-40-8 と電源トランスの ST220 がある。 6AQ5 (6005) 全段差動アンプは、前哨戦でしかない。 その割には、だいぶのめり込んで結局3段構成化まで、がんばってしまった。

さて、本命の6G-A4全段差動アンプを考えると、ひとつの考えは 6AQ5全段差動でうまくいった3段構成である。 6G-A4 のバイアス電圧から考えても、6AQ5全段差動で使った 2SK30A - 6R-HH8 の前段構成でうまくドライブできるだろう。 この6G-A4 全段差動アンプは、ヤフオクで手に入れたぺるけ師匠による標準シャーシを使うので、デザイン上はGT管が好ましい。 入手しやすいところでは、6SN7GT だろうか。 ところが、手元にはGT管の電圧増幅管がジャンク球しかないし、GT管だと 6R-HH8 のような 低rp管がないらしい。

もうひとつ面白そうな構成がある。 FET + 高耐圧Tr によるカスコード によって、2段分の利得を得てしまうのだ。 情熱の真空管でも、71Aミニワッター で使用例があり、それを全段差動化した記事 もある。 この構成の利点は2段アンプなのでNFが安定にかかることがあげられる。 加えて、うまくやれば、直結ドライブも可能なこともあげられる。 欠点は、FET + 高耐圧Tr によるカスコード は、それぞれの段の利得が安定しない可能性がある(=選別不可避)であることや、直結にした場合は 6G-A4 のカソード側の定電流負荷での消費電力が大きくなることがあげられる。 カソード側の定電流負荷を小さくしようとすると、前段の電圧を下げなければならない。 そうすると、ドライブできる電圧が下がってしまうというトレードオフが生じる。 つまり、魅力的だが、けっこうたいへん。

自分ではどちらにするかも決めかね、真空管&オーディオ「なんでもあり掲示板」に相談したところ、紺屋さんから、先に示したトレードオフに対して、すばらしい情報をいただき、「FET + 高耐圧Tr によるカスコード」方式に舵を切ることに。

電源電圧80Vで2SK209+BJTカスコード、2mA+2mAで単体測定やった例がたまたまありまして・・・
 ご提示の回路のように、ベース接地をGND基準にすると、早期にクリップするようです。理由はワタシには説明できませんが、あくまで差動FETのソースと共通ベース間を定電圧源で縛るほうが良いようです。
 添付の例ではGND-ベース固定だと40Vppで限界。ソース~ベース間固定では63Vppまで(図は50.5V時)行けました。
 個人的には、PH-185を使いK117・C3209カスコード~直結、に惹かれます。

to be continued ..

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・測定結果

2SK30A - 6R-HH8 - 6AQ5(三結)全段差動アンプの測定結果を示す。

周波数特性は、左右ともほぼ同じである。 1W 時は 5~80 kHz(-3dB)、0.1W 時は  2~90 kHz(-3dB)の帯域がとれた。

クリックで拡大(代表して 左 Ch)

10kHz の方形波の波形を示す。 上段は入力信号、下段は出力である。


大きなリンキングもなく、すなおな特性と言える。
負荷開放時である。 安定している。

0.1 μF負荷時である。 若干のリンキングなどが認められるが、発振に至ることはない。

雑音歪み率は、0.01~0.2W の実用域では全て、0.1%未満という素晴らしい結果だ。わずかに左チャンネルのほうが、低域で悪いが電源スイッチが左側にあるためと思われる。 5% 歪みで考えると、3Wの出力が得られており、大成功と言える。


ON-OFF 法によるダンピングファクタは、おおよそ 4 であった。残留雑音はふらつくので正確ではないが、0.15~0.17mV 程度であった。 クロストークはほとんど残留雑音をはかっているのみの結果であった。 すなわち、80dB 程度とれており、50kHz 以上では、若干悪化していた。

ロードラインを引いたり、測定結果を出しながら調整したのは、今回が初めてだ。 全ては、情熱の真空管の木村哲氏のおかげだ。 深謝したい。

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・6R-HH8 でチャレンジ

6R-HH8 に前段管を変更したところ、激しく発振(笑)した。やはり、一筋縄ではいかない。 6R-HH8 のグリッド周りに他の配線が近づかないように配慮しつつ、グリッドへの発振止め抵抗を 3.3kΩにしたら、発振は止まった。

無帰還での -3dB 点は、55kHz まで伸びた。 Analog Discovery によると Zobel Network を 15Ω + 0.1μF にしたところ、1MHz 周辺の位相回転が改善するので、この定数で NF 量を検討することにした。

クリックで拡大(右Ch を示した)

 低音がボンつかないように、NF量を決定したところ、測定してみたら4dB ほどの NF量であった。 70kHz にわずかな盛り上がりがあるので、NF抵抗に少量のコンデンサを抱かせて調節した。 330pf ちょうど良さそうだ。

クリックで拡大(右ch を示した)

最終的な回路図を示す。

クリックで拡大

ここまで調整して試聴したところ、ピアノのキータッチの違いがわかるかどうかという点では、みごとに合格。 よかった!

はらわた(クリックで拡大)

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・仕切り直し

さて、次なる一手は、前段に違う真空管を使うことであろう。
手元にあるNOS(New Old Stock)電圧増幅管には、ECC81/12AT7, 7DJ8, 12BH7A, 6350, 6R-HH8 があるが、利得の点で ECC81/12AT7 が脱落、ヒータ電圧の観点で 7DJ8 が脱落した。 残るものから考えると、12BH7A, 6350 はそれ自体がミニワッターに使えるぐらい大きく、見栄えやヒータ電流の小ささから 6R-HH8 が残る。

6R-HH8(6KN8)は、ECC81/12AT7 や 6DJ8 と同様のカスコード増幅用高周波双三極のTV球である。 6DJ8 を元に日立が開発した 6R-HH1 の改良版が 6R-HH8 とのことだ。

情熱の真空管(ぺるけ師匠)による全段差動アンプの1号機(6AH4GT)でも、前段増幅は当初 6DJ8 が使われており、良いかもしれない。 問題は 6R-HH8 は、6DJ8 より 3割方 high Gm であり、発振させないで使いこなせるかどうかが不安だが、困ったら掲示板で相談すればいいだろうと軽く考えて、ロードラインをひいてみた。 ぺるけ師匠の6AH4GT より、少し高めの電圧のほうが良さそう。 当初ロードラインを引き間違えたのはないしょ。 下図は6R-HH8 のデータシートから、プレート電流 10mA以下のところ書き直して、ロードラインを引いてみたところ。

前段にあまり多くの電流を流せないので、このぐらいで勘弁してもらうことにした。 ぺるけ師匠の6AH4GT でも、6DJ8 を 2mA で使用する予定だったようだし。

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・現実は厳しい

設計はしてみたものの・・・現実は厳しい。

触れる程度ではあるが、結構、温度が高いので、電解コンデンサは105℃品を使いたいが、なかなか手に入らない。
→ ヤフオクを通して購入。

12AU7/ECC82 はどこのを買ったらいいの? さっぱりわからない。 久しぶりすぎて、どこから買ったらいいのかも不明。
→ Electro-Harmonix のを購入した。

22V/50mA を整流したけど、電圧が低い! LM317 だとうまくいかない。 電圧がたりず、スパイク状のノイズが残る。
→ ディスクリートでやりなおし。

手持ちの 2SK30ATM だと、情熱の真空管のサイトに掲載されているちょうど良いぐらいのIDSSのものがない。 せっかく、選別用のFET & CRD選別冶具を作ってがんばったのに・・・
→ 掲示板で教えてもらって、設計やりなおし。 IDSSが少ない場合は、ドレイン抵抗を少し増やせば良いとぺるけ師匠より助言あり。  参考になるページがあって、ここをみて設計し直せばなお良い。

こんな感じでがんばってつくったのに、できあがってみたら、いまいち。 以前より良いのだが・・・

どんな機材でも、システムに入れるかどうかを決めるときの基準に、ピアノのキータッチの違いがわかるかどうかというのがある。 「シューマニアーナ 8」(FOCD9328)シューマン:ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調 Op.14 の冒頭の数十秒が、この基準の良い題材である。 余談だがシューマニアーナシリーズは、このころが全盛のようだ。 楽譜を見ながら聞けば、私が言いたいことはわかるだろう。

閑話休題。 定位感とか音場感とかは妥協できるが、楽器の鳴きがわかるのは最低限の条件だ。 せっかくの全段差動アンプ3段構成なので、この基準を満たして欲しい。 ピアノのキータッチの違いがわかるかどうかという基準で聴くと、3段構成化した6AQ5全段差動は落第とは言わないが、赤点なのだ。 このままなら、よく使うアンプにはならないだろう。 現実は厳しい。 さてどうしよう・・・

6AQ5全段差動 3段化の夢・・・なぜ

情熱の真空管でも、全段差動ベーシックアンプのグレードアップとして、3段構成化をとりあげている。 私の6AQ5全段差動ベーシックアンプの場合も、高域特性は良いとは言えない。 AMP-3の場合、中国製の出力トランスだし、期待できないよな・・・と思っていた。 ところが、トランスの特性を Analog Discovery でとってみると・・・

意外なほど良い。 200kHz の暴れはあるが、100kHz 程度までは、-1dB 程度。 このアンプも3段構成化の夢をみていいのでは・・・

乗り越えないといけないのはいくつか。 ひとつは熱の問題。 初段の電圧は低いので、200V近い電圧ドロップが必要となるが、そうでなくても、いろいろなところが暖かい。 B電源のフィルタ用のメタルクラッド抵抗、定電流用のLM317と発熱するものが多い。 さらに発熱するのが増えたら、どこで放熱?

ヒータも6AQ5が4本で、1.8Aになっている。 残容量は1.2Aしかない。 もともと電流容量には余裕がないと思われるので、6FQ7あたりを前段に使うと、いっぱいいっぱい。 また背格好が6AQ5と同じで、前段球に見えなかったりして。 常識的には、直線性は悪いけど 12AU7あたりを使う? しかし、手持ちにはジャンク球しかない。 仕方がない、買うか。 これなら背格好もいいし、ヒータ電流も少ない。

そうだ、いいことがある。 固定バイアス用の電源を初段のFETの電源に使おう。 そのほうが、都合がいい。

こんな妄想を膨らませながら、とりあえず設計したのが下記。

暫定回路図(クリックで拡大)